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2つの大統領選

 注目のフランス大統領選の決選投票が7日行われ、EUとの関係重視を訴える無所属のマクロン氏(39)が得票の6割以上を集め、EU離脱を主張した極右「国民戦線」のルペン氏(48)を破って初当選した。EUでは移民の受け入れ停止や自国第一を掲げる極右政党が、移民流入に不安を抱える国民感情を背景に支持を伸ばしているが、自由や平等、博愛を国是とするフランスはルペン氏を退け、史上最年少の大統領に舵取りを託した。
 イギリス国民投票でのEU離脱、アメリカのトランプ政権の発足など、世界に広がる自国第一主義に歯止めをかける象徴的な選挙となったものの、投票者の4割近くがルペン氏に投票した事実は、フランス国内でも移民受け入れやEUに対する不満が決して小さくないことを示している。
 さて、新しい大統領に選ばれたマクロン氏は政府機関職員、投資銀行勤務を経て、オランド政権で経済相に就任。大規模な構造改革を進め、経済活動の自由化を促した。しかし、フランス政界を担ってきた中道左派「社会党」や中道右派「共和党」が国民の期待に応えていないとして、左派でも右派でもない中道の「前進」を立ち上げ、政治運動に取り組んできた。既存政治に閉塞感を抱く国民の期待を集めて大統領選に勝利したわけだが、この若い大統領が進める新しい国づくりがEUの結束を高めることに期待せずにはいられない。
 さて、もう一つの注目すべき選挙は9日投票の韓国大統領選。最大野党で左派「共に民主党」の文在寅氏(64)が独走し、同じく中道左派「国民の党」の安哲秀氏(55)が追う。朝鮮半島情勢が緊迫する中にあって、文氏が北朝鮮への融和的な政策を掲げていることから、与党の保守系「自由韓国党」の洪準杓氏(62)が厳しく批判して追い上げているが、文氏との差を埋めるには到っていない。
 トップを走る文氏は「最終的かつ不可逆的」とした2015年の日韓合意に対して「無効であり、再交渉を求める」との姿勢だ。当然、日本政府は再交渉を受け入れる訳にはいかないが、文氏も日本に譲歩すれば求心力が失われることから、日韓関係が再び冷え込む可能性がある。
 朴槿恵前大統領の逮捕によって国民は与党に愛想を付かしているわけだが、北朝鮮情勢が緊迫する中で、左派系の候補同士でトップ争いをしている大統領選は、この国の複雑な政治力学を示している。

2017年05月08日 16:41 |


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