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上手に叱る温かさ

 26日付の朝日新聞の「小さないのち」の連載に目が止まった。兵庫県内の県立高校の男子生徒の自殺に対する男性教諭の苦悩と対処を描いた記事だった。
 生徒は前年にテストで友人のカンニングに協力したとして無期限の謹慎処分(実際は7日間)を受けていた。そして、今度は喫煙が発覚し、校長や教頭、そして生徒指導部長だった男性教諭から叱責され、再び無期限の謹慎処分を受けた。その夜、生徒は自宅を出て命を絶った。
 男性教諭は「上手に叱る温かさがなかった」と悔やみ、生徒指導の改善を職員会議で提案した。謹慎処分の「無期限」を「当分の間」としたり、生徒への聞き取りは1時間以内、行き過ぎた指導にならないように複数の教員であたったりと配慮するようになった。「子どもは失敗しながら成長する。やり直す機会を与えることが大切」と語っていた。
 子どもは親を選べないと同時に、教師も選べない。どんな親の下で成長するのか、学校でどんな教師に出会うのかで、子どもの将来は左右される。教育の基本は家庭にあるが、近年はその家庭の教育力の劣化が指摘されるところであり、ネグレクト(育児放棄)も珍しくない。不幸な家庭環境が問題行動や不登校につながっているケースも少なくない。
 もしも、子どもが親からも教師からも愛情を感じず、「頼れる大人がいない」と悩み、その挙句、問題行動や不登校に至っているとすれば、どんなに不幸なことだろうか。
 記事では「子どもへの理解や手法を間違うと追い詰めてしまう」と学者の指摘を紹介し、問題行動そのものを追及するのではなく、背景にある子どもの悩みを解決することを説いている。これは教育のテクニック論に過ぎないが、親や教師、そして地域の大人が子どもに愛情と関心を持ち、「ちゃんと見守っているよ」という心の温かさを伝えることが、子どもの成長に欠かせない。

2017年04月26日 16:00 |


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