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緊迫する米朝

 米国と北朝鮮との間で緊張が高まっている。米国のティラーソン国務長官は過去の北朝鮮政策を「失敗」と指摘して、対話ではなく武力行使を含む「選択肢」を準備していることを公言。来日中のペンス副大統領も核・ミサイル開発を強行する北朝鮮に対して「平和は力によってのみ初めて達成される」と牽制している。
 しかし、今のところ米国がシリアのように北朝鮮を攻撃する気配はない。北朝鮮に向かっているとみられた空母打撃群もシンガポールを出港後、南下してインドネシア海域を航行している。何より、もし米国が北朝鮮に攻撃を加えるなら、その反撃に備えて、在韓、在日の米国民を避難させることになる。米国民の避難が完了しないうちに、米国が先制攻撃を加えることはない。
 米国の力の誇示は北朝鮮の庇護者である中国に、北朝鮮に対して政治的、経済的な圧力を掛けるべきとのメッセージなのだろう。中国が徹底した経済制裁に踏み切れば、北朝鮮の窒息は免れないのだから。
 だが、中国が北朝鮮に影響力を行使できず、核・ミサイル開発を止められないのであれば、米国は自国を射程距離に収める核兵器の開発を武力で阻止することになるだろう。もちろん、北朝鮮は米国が軍事行動を起こせば「全面的な戦争になる」と警告し、「核兵器を使った先制攻撃で応じる」と牽制している。
 世界一の経済規模と軍事力を誇る米国に対し、北朝鮮には貿易や資本取引、武器の禁輸など数々の経済制裁が科され、GDPは茨城県程度という見方もある。現実的には米国と全面戦争なんてできない。
 ゆえに北朝鮮は核兵器こそが唯一の自衛手段と考え、開発に没頭する。イラクもシリアも核兵器を持たないからこそ米国の攻撃を受けたと考えているのだから。
 問題なのは北朝鮮が孤立し、対話のルートがまったくないことだ。軍事力ではなく対話による解決が理想だが、偶発的な衝突が発生した際の双方の危機管理の仕組みもない。
 北朝鮮問題という迷路は半世紀以上が経過してもなお出口が見つけられないばかりか、より複雑になっている。核開発も戦争も、その両方を回避する秘策をトランプ大統領が持っていることを願いたい。

2017年04月19日 16:14 |


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