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観光政策への思い

 長浜市が3月に策定した市観光ビジョンは、観光政策による地域経済の活性化を目指している。
 観光地としては無名だった長浜は黒壁によるガラス事業の展開と、京阪神からの新快速電車の長浜駅までの乗り入れ、そして市民挙げて数々のイベントを企画することによって、黒壁周辺だけで年間200万人の観光客が訪れるようになった。
 しかし、黒壁自身が赤字に苦しむように観光客の購買意欲は決して高くなく、黒壁周辺の商店街でも空き店舗が目立っている。
 さて、ビジョンでは17の戦略を立てているが、その中で是非とも進めてもらいたいのは、イベントの再整理。この30年で次々と新しいイベントが開催され、合併も経たことによってイベント数は「県内随一」だそうだ。
 では、何のためにイベントを行うのか。観光客や市民を呼び込むためなのか。それとも地元産業の振興のためなのか、消費の喚起なのか。それぞれのイベントが誕生した背景には企画者の意図があったことは当然だが、漫然と続けてきた結果はどうだろうか。観光ビジョンでも「イベントを行うこと自体が目的化し、イベント過多による疲労感が蔓延している」「観光客の増加や消費喚起に結びついていないイベントが増えている」と問題点を指摘している。
 目的や効果を検証し、イベントの統廃合を進めるべきだろう。もちろん、数値では一律には測れない文化振興やコミュニティーへの寄与は忘れてはならないが、特に補助金として税金が投入されているイベントはしっかり検証する必要がある。
 加えて、観光需要が変わりつつあることを見逃してはならない。現代の観光は「モノ消費」から「コト消費」にシフトしている。黒壁のガラス製品は売れないが、体験教室は人気だ。湖北地域の持つ豊かな自然や農地、文化財を生かすことも考えたい。古民家に泊まって農業を体験したり、山や川、湖でアクティビティを楽しんだりと、体験型の観光にもっと前のめりになるべきだ。
 そして観光地としての魅力の発信手段としてSNSの活用が欠かせない。そのSNSでの主役は、写真映えだ。写真映えのするコンテンツを観光客に提示することで、人が人を呼ぶ効果を生み出す。昨年は余呉湖を写した写真が南米ボリビアの絶景スポット「ウユニ塩湖」にそっくりだとして、「日本のウユニ」などと紹介され、SNS上で瞬く間に広まり、写真愛好家の関心を集めた。景色ではなくとも、例えば、夏目漱石「坊っちゃん」の舞台である松山市では「マドンナ」のコスプレをした娘さんが松山城内で観光客をもてなし、記念写真にも快く応じてくれるとして評判だ。
 イベント再整理、体験型観光の推進、SNS活用—。この当たりが観光振興の鍵になるのでは、と勝手に思っている。

2017年04月07日 17:45 |


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