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理髪店での出来事

 先日、車の点検で岐阜県を訪れた際、点検中の待ち時間に散髪に繰り出した。代車でうろうろしていたところコーヒーサロンを併設した「青い鳥」という理髪店を見つけた。お洒落な若者が利用するような美容室ではなく、地元の年配の男性常連客が集いそうな家庭的な雰囲気の店。
 女性の理容師さんが出てきたので「珍しいな」と思いながら、椅子に腰掛ける。その理容師さん、ニコニコと笑顔で準備しているが、黙ったままで、何か違和感を覚えた。「きょうはどのようにされますか」などといった言葉がないまま。
 こんな風にカットして欲しいと話しかけても、通じていない様子。ひょっとして日本に研修に来たばかりの外国の方なのかと思って、片言の英語でも話しかけたが、通じない。
 結局、自分の髪を指でつまみながら、「この部分はこれくらいで」などと身ぶり手ぶりでお願いした。どれくらい伝わったのか不安だったが、今さら店を出られる雰囲気でもなかった。
 その後、店の奥から男性理容師が現れたことで、なぜ、話が通じなかったのか、すべてを理解した。女性が男性に説明しているようすから、2人は聴覚障害者。先ほど英語で話しかけていた自身の思量の浅さに、絶望的なほどの恥ずかしさが押し寄せた。
 ハサミを手に持ったのは男性理容師だった。黙々と、テキパキと髪をさばく。客と会話ができないことへの配慮だろうか、正面の鏡にテレビが映り込むように配置されていた。聞こえるのはテレビの音声とハサミの音、そして職人の息遣い。何とも心地良い空間だった。
 その後、常連と思われる男性客が入ってきたので、どのようにカットを注文するのかと興味深く見ていたところ、スマートフォンで写真を見せていた。なるほどスマートな注文。
 さて、小生の髪型はというと、うまく伝えられなかったので希望とは少し異なったが、自身の浅薄を恥じる勉強の機会となった。今度訪れることがあるならば、スマホで希望を伝えたい。

2017年04月03日 17:32 |


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