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北朝鮮に軍配 真相闇

 北朝鮮とマレーシアの双方が大使館員の出国を禁止するという「人質合戦」は、人命を限りなく軽視する北朝鮮に軍配が上がったようだ。
 マレーシアの空港で先月、金正恩・朝鮮労働党委員長の兄である金正男氏が殺害された事件をめぐる両国の駆け引きは、マレーシアが北朝鮮の要求通りに金正男氏の遺体を北朝鮮に送還することで合意。これにより、北朝鮮から出国を禁じられていたマレーシア人9人が31日、帰国できた。
 事件発生直後から、北朝鮮の関与を指摘したマレーシア政府に対し、北朝鮮が反発し、遺体の返還を求めていた。北朝鮮が今月7日、マレーシア人の出国禁止措置を発表すると、マレーシアも対抗して同様の措置を取り、「人質合戦」となった。
 といっても分が悪いのはマレーシアだった。北朝鮮の将軍様は国民の命を何とも思っていないのだから、人質は通用するわけがない。結局、マレーシア国内で9人の安否を気遣う声が沸き、人質合戦は北朝鮮に軍配が上がった。
 さて、今回の両国の合意によって殺害事件の重要参考人とされる北朝鮮人3人も帰国してしまうであろうし、事件直後に北朝鮮に逃亡したとみられる4人の容疑者に対する捜査は不可能となる。結局、逮捕されたのはインドネシア人とベトナム人の女2人だけ。事件の真相は闇に葬られる。
 北朝鮮はアメリカ、ロシア、中国を手玉に取りながら、経済制裁によって国民を餓死させてでも核兵器を開発した。マレーシアを手玉に取ることなど容易だったに違いない。
 今回の事件で改めて「ならずもの国家」ぶりを披瀝した北朝鮮だが、日本人として忘れてはならないのは拉致被害者のことだ。2002年に当時の小泉純一郎首相の訪朝により、北朝鮮が拉致を認めて謝罪し、被害者5人が帰国したが、その後の進展はまったくない。家族連絡会は今月27日で結成20年を経過した。被害者全員の帰国を訴える声は北朝鮮に届かない。あまりにも残酷だ。

2017年03月31日 17:00 |


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