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原発事故6年

 あすで東日本大震災から丸6年を迎える。東京電力福島第1原発事故による放射線汚染により、現在も12万3000人が避難生活を送っている。
 メルトダウン(炉心溶融)した1〜3号機では、使用済み核燃料の搬出に向けた準備が進んでいるが、「デブリ」と呼ばれる溶融燃料の取り出しについては、まったく見通しが立たない状態だ。先日、ようやく映像を捉えたばかり。2号機の原子炉格納容器内では最大で推定毎時650シーベルトという過去最高の放射線量が確認された。容易に人は近づけない。
 汚染水の処理もいずれ限界に達することが予想される。溶融燃料を冷やすため、事故直後から建屋に水を流し込み続けているが、燃料に触れた水は汚染される。地下水も流入し、次々と新たな汚染水が生み出されている。原発施設周辺は汚染水のタンクが立ち並ぶが、廃炉作業完了までに維持できる見通しはなく、最悪の場合、海に捨てるという選択肢を迫られることになるのではないか。
 廃炉作業と並行して、除染によって放射線量が低下した地域では「避難指示」が解除されつつあるが、6年の歳月と放射線の不安から、住民の帰還の歩みは遅い。
 復興庁は今年1月、福島県飯舘村、楢葉町の住民に帰還について意向調査を実施した。2015年9月に避難指示が解除された楢葉町では「現在、戻っている」との回答は17・8%にとどまり、「条件が整えば戻る」は23・9%だった。「戻らない」との回答も25・2%あった。
 今月31日に帰宅困難地域を除くエリアで避難指示が解除される飯舘村でも「戻りたい」との回答は33・5%にとどまっている。「戻りたい」との回答のうち「すぐに」という住民は4割程度だ。
 線量低下を理由に帰還を促されたところで、すでに避難先での新しい生活が定着していたり、放射線被ばくを心配したりして、帰還に踏み切れない住民が多いのは当然のことだろう。とくに子どもを持つ家庭は低線量での被ばくに不安を抱えている。帰還しても子どもを屋内で遊ばせ、外出の際はマスクを着用させることになるかもしれない。
 数知れない不幸を生み出している福島第1原発。その廃炉完了は30〜40年後とされるが、果たして現在の技術でデブリを取り出すことができるのか、チェルノブイリのように「石棺」に閉じ込めるしか手段がないのではないか。事故から6年が経過してもデブリの状態さえ把握できない現実に、廃炉作業の将来を悲観的に考えたくもなる。そして、このような過酷事故が二度と発生しないとは想定できない。

2017年03月10日 16:50 |


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