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安い、速いの代償

 インターネットで注文すれば何でも宅配され、「送料無料」や「翌日配達」など値段やスピードで消費者心理をくすぐるサービスも、もはや珍しくなくなった。
 しかし、宅配便最大手のヤマト運輸の労働組合の「春闘」で明らかになったように、ネット通販の荷受増大で現場の疲弊は限界に達している。この春闘を受け、ヤマト運輸は「宅急便」の基本運賃を、9月末までに引き上げる方針を示した。基本運賃の引き上げは消費増税を除くと27年ぶりのことだそうだ。
 ヤマト運輸の取り扱う荷物のうち個人向けは1割程度とされ、残りの9割はネット通販大手のアマゾンなど大口顧客だ。本丸であるネット通販の運賃値上げの実現が労働環境改善のカギとなろう。
 小生もアマゾンを何かと活用する。湖北地域で売っていない商品を購入できるし、直接、店を訪れ商品棚から探す必要がない。いつでも、どこでも買い物できる、その便利さにどっぷりと浸っている。おまけに多くが「配送無料」だ。
 きのうはイギリス人作家の紀行(中古本)をアマゾンで注文した。20年前に発刊された書籍だったので、長浜市内の書店にも古書店にも置いておらず、中身を確認できないまま、ネットでの注文となった。価格はまさかの1円だった。さすがに配送料は257円と提示されたが、この本の価格設定を著者が知ったらショックに違いない。
 そう考えると物流を担っているトラック運転手や各家庭に届ける配達員にとって「配送無料」との表示は、複雑な気持ちになるのではないだろうか。ましてや荷受の急増で疲弊しているとなれば。
 「安い、速い」の宅配便だけでない。24時間営業の飲食店など過剰とも思えるサービスによる現場の疲弊も問題視され、開店時間を改める飲食店も出てきた。私たちは便利さをいったいどこまで追求するのか、立ち止まって考えたいところ。

2017年03月08日 16:39 |


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