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2017年03月31日

北朝鮮に軍配 真相闇

 北朝鮮とマレーシアの双方が大使館員の出国を禁止するという「人質合戦」は、人命を限りなく軽視する北朝鮮に軍配が上がったようだ。
 マレーシアの空港で先月、金正恩・朝鮮労働党委員長の兄である金正男氏が殺害された事件をめぐる両国の駆け引きは、マレーシアが北朝鮮の要求通りに金正男氏の遺体を北朝鮮に送還することで合意。これにより、北朝鮮から出国を禁じられていたマレーシア人9人が31日、帰国できた。
 事件発生直後から、北朝鮮の関与を指摘したマレーシア政府に対し、北朝鮮が反発し、遺体の返還を求めていた。北朝鮮が今月7日、マレーシア人の出国禁止措置を発表すると、マレーシアも対抗して同様の措置を取り、「人質合戦」となった。
 といっても分が悪いのはマレーシアだった。北朝鮮の将軍様は国民の命を何とも思っていないのだから、人質は通用するわけがない。結局、マレーシア国内で9人の安否を気遣う声が沸き、人質合戦は北朝鮮に軍配が上がった。
 さて、今回の両国の合意によって殺害事件の重要参考人とされる北朝鮮人3人も帰国してしまうであろうし、事件直後に北朝鮮に逃亡したとみられる4人の容疑者に対する捜査は不可能となる。結局、逮捕されたのはインドネシア人とベトナム人の女2人だけ。事件の真相は闇に葬られる。
 北朝鮮はアメリカ、ロシア、中国を手玉に取りながら、経済制裁によって国民を餓死させてでも核兵器を開発した。マレーシアを手玉に取ることなど容易だったに違いない。
 今回の事件で改めて「ならずもの国家」ぶりを披瀝した北朝鮮だが、日本人として忘れてはならないのは拉致被害者のことだ。2002年に当時の小泉純一郎首相の訪朝により、北朝鮮が拉致を認めて謝罪し、被害者5人が帰国したが、その後の進展はまったくない。家族連絡会は今月27日で結成20年を経過した。被害者全員の帰国を訴える声は北朝鮮に届かない。あまりにも残酷だ。

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2017年03月29日

金融機関の心遣い

 医療費の還付を名目にしたり、息子を名乗ったりして、現金をだまし取る特殊詐欺の被害が続発しているとして、県警は28日、県内に特殊詐欺多発注意報を発令した。発令期間は4月6日までの10日間。
 県警によると今月18日から27日までの10日間で、還付金詐欺やオレオレ詐欺などによる被害が5件報告されている。また、インターネットのサイト未納料金を名目に電子マネーを購入させて、だまし取る架空請求詐欺も多発しており、警戒するよう呼びかけている。
 電子マネーを購入させる手口は新しいが、還付金詐欺やオレオレ詐欺はもはや古典的。にもかかわらずだまされる人が一向に減らないのは、犯人の手口が巧妙なのか、被害者がうっかりしているのか。
 先日、神照学区に住む80代の女性から電話を頂いた。女性は27日に「急な入り用」で「大金」が必要になり、長浜信用金庫神照支店で現金を引き出した。女性は「職員の方が騙されていないか、大丈夫か、と、いろんな気遣いをして下さいました。帰り道で誰かが待っていないかと心配して下さり、自宅まで付き添ってくれました。その心遣いがとても嬉しく、誰かに報告したくなったので電話しました」とのこと。
 高齢者を狙った詐欺はここ湖北地域でも時々発生し、特に独り暮らしのお年寄りは気軽に相談できる相手もなく、詐欺犯に狙われやすい。金融機関は詐欺犯からお年寄りを守る最後の防波堤。この女性の電話からは、金融機関の職員の顧客を詐欺犯から守るための有り余る程の気遣いがうかがえた。

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2017年03月27日

旅行会社の倒産

 ゴールデンウイークを2カ月後に控え、旅行計画などを本格的に練りだす頃に差し掛かっているが、旅行者をおどろかせるようなニュースが週末、駆け巡った。
 格安の海外ツアーを取り扱っている東京都の旅行会社「てるみくらぶ」が突然、営業を停止したというニュース。旅行当日になって「発券済みの航空券は利用できるかどうか現時点で確認できておりません」「滞在先のホテルにてトラブルが生じないことを確認できておりません」との突然のメールが届き、ツアーに申し込んでいた旅行者は飛行機に乗れなかったり、予約していたホテルに宿泊できなかったりと、散々な目に遭っているようだ。
 この旅行会社は格安で知られていたそうだが、最近は「現金一括入金セール」の旅行プランを宣伝するなど、自転車操業とも受け取れるツアーを企画していた。経営陣は資金ショートが予測できていたにもかかわらず、ぎりぎりまでツアー客を募ったあげく、旅行者や予約客を放ったらかして、きょう27日、破産してしまった。
 帝国データバンクによると、同社は名古屋や大阪などに営業所を構え、ハワイ、グアム、韓国などに現地法人を設立。積極的な広告展開と低価格路線で顧客を取り込み、年間売り上げは約195億円(昨年9月期)に達していたが、人件費や広告宣伝費、円安で利益率が低下し、資金繰りが悪化していた。負債は約151億円で、うち、一般旅行者に対する債務は約3万6000人に対して約100億円にのぼる。
 旅行業者の倒産としてはリーマン・ショック後最大となる規模だそうだが、旅行会社の倒産は珍しいことではない。ただ、事前に倒産手続きを行うことで予約客に迷惑をかけず、旅金の返金を進めるのが一般的だ。
 さて、海外旅行を扱う旅行会社のホームページには格安プランが並ぶ。東アジア、東南アジアの場合、2泊3日、3泊4日で2万円、3万円というプランは当たり前で、国内旅行よりも安い。いったいどこで利益を生み出しているのか不思議なくらいだ。
 日本人の出国者数はここ20年、1600万〜1700万人前後を推移。日本人の7人に1人が年1回、海外を訪れている計算となる。海外旅行が特別でなくなった今、多くの旅行会社が価格を競わざるをえない状態となっているが、安売り競争の激化で疲弊した挙句、企業倫理を喪失した今回のニュースを見ると、消費者自身も価格以外の視点や判断基準を持ちたいところ。これは何も旅行だけの話ではないが。

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2017年03月24日

証人喚問すべきは…

 森友学園の国有地売却問題は、渦中の学園理事長・籠池泰典氏が衆参両院の予算委員会に証人喚問される事態に発展した。
 証人喚問では学園の国有地の借り受けについて、定期借地契約の期間を10年から50年へと延長すべく、籠池氏が安倍首相の夫人・昭恵氏に働きかけを求め、昭恵氏付の政府職員がファクスで希望に沿えない旨の回答をしていたことが明らかになった。
 政府側は、籠池氏の要望を職員が断り、その中身について昭恵氏が関与していないとして、問題なしと結論付けているが、野党側は昭恵氏による働きかけがあったのではと証人喚問を求めるなど攻勢を強めている。
 そもそも籠池氏の発言をどこまで信じればよいのだろうか。証人喚問では都合の悪い部分になると「刑事訴追の恐れ」を理由に回答を拒否した。昭恵氏から現金100万円を受け取ったとの証言についても、裏付ける証拠がない。籠池氏の話だけを鵜呑みにするのは非常に危険ではないだろうか。
 過去にはペテン師が捏造したメール文書に頼って民主党が自民党を追及した結果、民主党執行部が総退陣に追い込まれた「偽メール事件」があった。
 さて、この問題の根本は9億5600万円と査定された国有地が、学園に1億3400万円という大幅値引きで売却されたことだ。値引きの根拠は、地中に埋められたごみの撤去費用約8億円だったが、学園側はそれだけの大金をかけてごみを撤去する予定はなかった。
 財務省が算出したごみの撤去費用は適正だったか、なぜ財務省が交渉の過程での面会記録をすべて廃棄したのか、破格の値引きに政治家の関与はあったのか、そういった点が明らかにされるべきだ。
 ゆえに追及されるきは籠池氏ではなく、国有地売却に関わった財務省の役人だ。しかも、嘘を付いても罰せられない「参考人招致」ではなく、籠池氏と同じく「証人喚問」で真相の究明が行われるべきなのだが。

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2017年03月22日

スプーン1杯のおかず

 金儲けのためか、それとも、切実な保育需要に応えるためか。定員を上回る園児をこっそり預かったうえ、満足な給食を与えないなど、数々の問題が明らかになった姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」。
 姫路市の調査によると、定員が46人にもかかわらず、それとは別に市に隠れて22人について直接契約を結んで受け入れていた。この22人の利用料は月額2万〜4万円に設定し、これとは別に給食費として月額4000〜5000円を徴収していたという。
 この問題がセンセーショナルに報じられるきっかけとなったのが、給食の少なさだった。給食を40人分程度しか準備していなかったため、0歳児や1歳児はスプーン1杯程度のおかずしか食べられなかったそうだ。自分の思いを言葉で伝えられない乳児が不憫でならない。
 さて、園側にとって定員を上回る22人を受け入れることにどれほどのメリットがあったのだろうか。利用料と給食費を合わせても園児1人当たりの売上は2万4000円〜4万5000円程度となる。一方で、厚生労働省の資料によると、定員40人の認定こども園の基本単価は0歳児で月額20万円、1〜2歳でも14万円前後になる。手のかからない3歳児以上になると7〜8万円と設定されている。直接契約の保育料では、まっとうな保育を行えないのは明白だ。
 だから園児の給食をカットして経費を節約したのだろうか。この園では保育士の過酷労働も明らかになっている。一般的に、保育園の運営コストの8割が人件費とされる。その人件費をカットするために保育士の数を切り詰め、遅刻すればその日はただ働きとするなど裏ルールを設けていた。これではまっとうな保育士は定着しない。
 園児と保育士の双方を不幸にさせている園だが、それでも子どもを保育園に預けざるを得ない保護者がいるのも現実だ。直接契約した保護者にとっては、有り難い存在だったのかもしれない。
 国は1億総活躍社会を掲げて女性の社会進出を促すが、現実は待機児童を解消できず、保護者は希望する保育園に子どもを預けられていない。一方、保育士給与は他業種に比べ低く、自治体からの委託費が収入の核となっている民間保育園では、委託費や補助金が手厚くならない限り、その給与を上げるのは難しい。このため保育人材が不足し、どの保育園でも確保に苦労している。
 姫路市の保育園は経営者サイドに問題ありなのは言うまでもないが、なぜ22人もが直接契約することとなったのか、その背景も探る必要がありそうだ。

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2017年03月17日

国防を担う若者たち

 きのう16日に長浜市役所で行われた自衛隊入隊予定者への激励会を取材したところ、「陸上自衛隊高等工科学校」という聞き慣れない学校への進学者がいた。
 陸上自衛隊高等工科学校は神奈川県横須賀市の陸上自衛隊武山駐屯地内にあり、将来の陸上自衛隊の中核を担う人材を養成する。
 入学できるのは中学卒業の17歳未満の男子。全国から集まった仲間が寮生活を送りながら、3年間、勉学と訓練に励む。午前6時の起床ラッパで飛び起き、6時45分から朝食、8時から朝礼、8時25分から午前の課業という具合に規律正しく1日がスタートし、午後の課業終了後は、クラブ活動や入浴、夕食、清掃、自習など。午後11時に消灯となる。
 勉強は普通科高校と同様の国語、数学、英語などの一般教育をはじめ、自衛隊の装備品を扱うための電子工学や情報工学などもある。最も特徴的なのは戦闘訓練などの防衛基礎学を学ぶことだろう。もちろん射撃訓練もある。
 この高等工科学校に入学する清水壮麿君(15)は今月、中学校を卒業したばかり。小さい頃から憧れていた自衛官に向けて大きな一歩を踏み出すことになった。「近年の国際情勢や、自然災害の多さを考えると自衛隊の役割は大切。学校では立派な自衛官になれるようにしっかりと勉強したい」と頼もしい決意を語ってくれた。
 このほか、海上自衛隊に入隊する男性は、潜水艦の乗員になる夢を諦めきれず、勤めていた企業を辞めての決断だった。過去にもF15戦闘機のパイロットになる夢を叶えたいと仕事を辞め、難関の航空自衛隊幹部候補生に合格した男性がいた。彼は現在、浜松基地で訓練を積んでいるという。
 近年、北朝鮮の核開発やミサイル発射、中国による南シナ海の軍事拠点化、ウクライナでの親露勢力による内戦、IS(いわゆるイスラム国)のテロなど、世界平和を脅かすニュースは絶えることがない。さらに、アメリカでのトランプ大統領の誕生、EU国内での右派勢力の台頭など、政治の世界で排外主義が大手を振るようになった。
 世界平和の不安定化が顕著になる中、日本の国防を支える自衛隊の役割はますます大きくなることだろう。その任務を、どこか遠くの誰かではなく、湖北地域の中学や高校を卒業した若者が担っている事実を、しっかりと胸に刻みたい。

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2017年03月15日

70兆分の1の存在

 世界には同じ顔をした人が3人いるという真偽不明の話はオカルトに過ぎないが、DNAまで一緒となると、生物学的にはありえないようだ。
 先日、今春で退任する長浜バイオ大学の三輪正直学長による最終講義に参加したが、その講義で人間一人一人が非常にユニークな存在であるという話が印象に残った。
 人間の細胞の核の中には人間の「個性」を決定付ける染色体があり、それは23対46本からなる。受精の際には1対のうちどちらか1本、つまり父方から計23本、母方から計23本が選ばれて組み合わされる。
 その組み合わせを計算すると、父方の23対から1本ずつを選ぶ組み合わせは、2の23乗で838万8608通り。母方も同じように838万8608通り。そして父方、母方の両方の組み合わせを掛け合わせると70兆3687億4417万7664通りとなる。
 つまり、「あなた」は約70兆分の1の確率で誕生しているという説明だった。
 三輪学長は日ごろから学生に対して、自身が70兆もの組み合わせの中から選ばれたユニークな存在であることを自覚し、その強みを生かすよう呼びかけてきたそうだ。
 このほか、三輪学長の講義で印象に残ったのが「遺伝病」だった。遺伝病は「遺伝する病気」を指すのではなく、遺伝子や染色体が発症に強く関係している病気を指す。三輪学長によると、たとえ健康であっても誰もが遺伝病の原因となる劣性遺伝子を代々受け継いでいる「保因者」であると指摘し、皆が保因者であることを認識する必要性を訴えた。そのうえで、偏見や差別をなくすために、これらバイオサイエンスの知識が欠かせないと話していた。
 生物学的見地からのこれらの解説は、小生にとって良い勉強の機会となった。もちろん、遺伝子で個性のすべてが決まるわけではない。その個性が持つ強みや魅力を発芽、開花させるのはこの世に生を受けてからの環境や歩み、そして努力によることは言うまでもない。それぞれが生物学的にユニークな存在であることを認識することは、互いの違いや個性を認め合う寛容な社会を目指すうえでのひとつの強みとなるのではないだろうか。

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2017年03月13日

サウジの経済改革

 サウジアラビアのサルマン国王が12日、1500人を伴って来日した。
 サウジアラビアはアラビア半島の大部分を占め、面積は日本の6倍近い。国土のほとんどが砂漠に覆われているが、世界有数の石油産出国であり、輸出量は世界一。オペックの盟主でもある。
 石油権益を独占する王族が国を独裁的に統治し、そのオイルマネーで国民に教育や医療を無償で提供し、電力や水道など公共料金を安くふるまってきた。ようは石油で得られる利益が、現状の国家運営を支えているわけだ。
 しかし、石油価格の低迷が国家財政を左右するうえ、万一、石油が枯渇するとなれば、財政破綻は火を見るより明らか。
 実際にアメリカがシェールガスを量産し、オペック非加盟国であるロシアが資源外交を積極的に展開するなどして、石油価格は安定した状態ではない。以前ならオペックの盟主であるサウジアラビアが減産することで相場を引き締める役割を担ってきたが、現状は減産すれば米露にシェアを奪われることとなり、石油に頼った国家運営が厳しさを増している。
 目下、副国王でサルマン国王の息子ムハンマド副皇太子が脱石油依存の経済改革を模索し、今回の来日でも国王に付き添い、脱石油に向けて、経済や技術面で日本に協力を求めるとみられている。
 さて、副皇太子の改革は脱石油だけにとどまるのだろうか。人権団体などが注目するのは、女性の地位向上だ。
 サウジアラビアはイスラム教を厳格に守る国として知られるが、女性の人権は厳しく制限されている。たとえば、女性は自動車の運転が禁じられているため、自身が車で外出する際には運転手を雇う必要があるし、そもそも、近親者の付き添いなしでの外出が禁止されている。おまけに、外出する際にはヒジャーブを身に着け、顔や体を隠す必要がある。
 副皇太子は脱石油の経済改革の中で、女性の労働参加率の向上を掲げている。保守派聖職者の抵抗を懸念すると、副皇太子という立場で女性の地位向上に踏み切るのは難しいと見られるが、女性の労働参加と地位向上は切り離せない。

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2017年03月10日

原発事故6年

 あすで東日本大震災から丸6年を迎える。東京電力福島第1原発事故による放射線汚染により、現在も12万3000人が避難生活を送っている。
 メルトダウン(炉心溶融)した1〜3号機では、使用済み核燃料の搬出に向けた準備が進んでいるが、「デブリ」と呼ばれる溶融燃料の取り出しについては、まったく見通しが立たない状態だ。先日、ようやく映像を捉えたばかり。2号機の原子炉格納容器内では最大で推定毎時650シーベルトという過去最高の放射線量が確認された。容易に人は近づけない。
 汚染水の処理もいずれ限界に達することが予想される。溶融燃料を冷やすため、事故直後から建屋に水を流し込み続けているが、燃料に触れた水は汚染される。地下水も流入し、次々と新たな汚染水が生み出されている。原発施設周辺は汚染水のタンクが立ち並ぶが、廃炉作業完了までに維持できる見通しはなく、最悪の場合、海に捨てるという選択肢を迫られることになるのではないか。
 廃炉作業と並行して、除染によって放射線量が低下した地域では「避難指示」が解除されつつあるが、6年の歳月と放射線の不安から、住民の帰還の歩みは遅い。
 復興庁は今年1月、福島県飯舘村、楢葉町の住民に帰還について意向調査を実施した。2015年9月に避難指示が解除された楢葉町では「現在、戻っている」との回答は17・8%にとどまり、「条件が整えば戻る」は23・9%だった。「戻らない」との回答も25・2%あった。
 今月31日に帰宅困難地域を除くエリアで避難指示が解除される飯舘村でも「戻りたい」との回答は33・5%にとどまっている。「戻りたい」との回答のうち「すぐに」という住民は4割程度だ。
 線量低下を理由に帰還を促されたところで、すでに避難先での新しい生活が定着していたり、放射線被ばくを心配したりして、帰還に踏み切れない住民が多いのは当然のことだろう。とくに子どもを持つ家庭は低線量での被ばくに不安を抱えている。帰還しても子どもを屋内で遊ばせ、外出の際はマスクを着用させることになるかもしれない。
 数知れない不幸を生み出している福島第1原発。その廃炉完了は30〜40年後とされるが、果たして現在の技術でデブリを取り出すことができるのか、チェルノブイリのように「石棺」に閉じ込めるしか手段がないのではないか。事故から6年が経過してもデブリの状態さえ把握できない現実に、廃炉作業の将来を悲観的に考えたくもなる。そして、このような過酷事故が二度と発生しないとは想定できない。

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2017年03月08日

安い、速いの代償

 インターネットで注文すれば何でも宅配され、「送料無料」や「翌日配達」など値段やスピードで消費者心理をくすぐるサービスも、もはや珍しくなくなった。
 しかし、宅配便最大手のヤマト運輸の労働組合の「春闘」で明らかになったように、ネット通販の荷受増大で現場の疲弊は限界に達している。この春闘を受け、ヤマト運輸は「宅急便」の基本運賃を、9月末までに引き上げる方針を示した。基本運賃の引き上げは消費増税を除くと27年ぶりのことだそうだ。
 ヤマト運輸の取り扱う荷物のうち個人向けは1割程度とされ、残りの9割はネット通販大手のアマゾンなど大口顧客だ。本丸であるネット通販の運賃値上げの実現が労働環境改善のカギとなろう。
 小生もアマゾンを何かと活用する。湖北地域で売っていない商品を購入できるし、直接、店を訪れ商品棚から探す必要がない。いつでも、どこでも買い物できる、その便利さにどっぷりと浸っている。おまけに多くが「配送無料」だ。
 きのうはイギリス人作家の紀行(中古本)をアマゾンで注文した。20年前に発刊された書籍だったので、長浜市内の書店にも古書店にも置いておらず、中身を確認できないまま、ネットでの注文となった。価格はまさかの1円だった。さすがに配送料は257円と提示されたが、この本の価格設定を著者が知ったらショックに違いない。
 そう考えると物流を担っているトラック運転手や各家庭に届ける配達員にとって「配送無料」との表示は、複雑な気持ちになるのではないだろうか。ましてや荷受の急増で疲弊しているとなれば。
 「安い、速い」の宅配便だけでない。24時間営業の飲食店など過剰とも思えるサービスによる現場の疲弊も問題視され、開店時間を改める飲食店も出てきた。私たちは便利さをいったいどこまで追求するのか、立ち止まって考えたいところ。

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2017年03月06日

健康増進法の改正

 受動喫煙による健康被害の防止に向け、厚生労働省は飲食店などでの喫煙を原則禁止とする健康増進法改正を目指している。
 改正案では未成年者や患者が利用する小中高校、医療機関は敷地内のすべてを禁煙とする。大学、官公庁などは屋内を禁煙とし、喫煙室の設置も認めない。飲食店のほか、ホテルや駅などの共用部分は禁煙とするが、喫煙室の設置は認める。
 一方で、床面積30平方㍍以下の小規模のバーやスナックなどは、妊婦や未成年者の利用が想定しにくいとして規制の対象外としている。違反した施設管理者には50万円以下の罰金を科す。
 世界では先進国を中心にホテルや飲食店などの屋内禁煙を徹底しているが、日本は健康増進法で屋内禁煙を努力義務とし、罰則規定もない。日本の受動喫煙対策が「世界最低レベル」と指摘されるゆえんだ。
 改定案には飲食店などから反対の声が出ているほか、自民党内部でも小規模飲食的への配慮を求める声が出ているが、小規模のバーやスナックを規制の対象外としたことで、一定の配慮となったのではないだろうか。
 飛行機や電車、タクシー内でも喫煙できた時代に比べると、非喫煙者がずいぶんと煙に悩まされなくなったものだ。最後に残ったのが飲食店だったが、長浜市内でも全面禁煙としたり、込み合う昼時を禁煙時間としたり、受動喫煙の防止意識が広がりつつあることを実感する。先日、昨年オープンした長浜市内の洋食店を初めて訪れたところ全面禁煙を採用していた。食事中の煙に悩まされることのない安心感を抱いたところだ。
 厚生労働省は2019年のラグビー・ワールドカップ前の施行を目指し、今月にも健康増進法改正案を提案する見込み。

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2017年03月03日

市民1人当たりの借金は

 2日開会した長浜市議会定例会に提出された長浜市の新年度予算案。一般会計の総額は、当初予算規模としては4年連続の縮減となる507億円だった。
 自治体の予算は国民、市民の財布から出ているのだから、自分達の住んでいる市や町がどんな財政状況にあるのか、ある程度は関心を持つべきではないだろうか。財政状況を分析する際、貯金額と借金額の推移を見れば、おおよその感覚はつかめる。
 市町合併により新しい長浜市が誕生してから、初めての通年予算を組んだ平成22年度と、29年度を比較してみる。まず、貯金である「基金」。これは後年の事業や借金返済に備えて資金を蓄えておくもので、22年度は238億9800万円だった。これを年々増やして29年度末には324億5100万円となる見込み。7年間で貯金が85億5300万円増えたわけだ。
 次は借金である市債残高。22年度は578億1600万円だったが、29年度末は463億円0700万円を見込んでいる。こちらは7年間で115億0900万円減少している。
 この7年間の貯金と借金の推移からは200億円程度、財政が改善していると分析できそうだ。
 1市8町が合併して誕生した長浜市は組織も施設も一時的に肥大化したことから、徹底したスリム化が求められており、以上の数値からも順調に進んでいることが分かる。
 日ごろは長浜市政に厳しい共産党市議団も最新の「長浜民報ひきやま」(1414号)で「実質収支は毎年黒字で推移し、財政調整基金を確保しながら、債務残高は大幅に減らしている」と紹介し、「県下の合併自治体と比較して、財政運営としては堅実に運営されている」と評価するほどだ。
 では、県内他市との比較ではどうだろうか。比較指標のひとつとして、市民1人当たりの市債残高を計算してみた。県内13市の29年度末の一般会計の市債残高見込み額を2月1日時点の人口(県統計課発表資料による)で除算した。
 借金が少ない順に並べると、大津(1人当たり33・2万円)、守山(33・3万円)、草津(34・1万円)、彦根(35・7万円)、近江八幡(37万円)、長浜(39・6万円)、高島(46・9万円)、甲賀(47・3万円)、湖南(52・2万円)、東近江(52・3万円)、野洲(55・1万円)、米原(59・5万円)、栗東(64・9万円)となった。
 6番目から12番目はすべて「平成の大合併」で誕生した新市。長浜は上から6番目だが、新市の中では飛び抜けて借金が少ない。最下位の栗東は新幹線新駅整備計画の中止に伴って、先行投資が水の泡になったことが尾を引いている。
 なお、長浜市は産業文化交流施設、北部総合体育館、北部学校給食センター、JR長浜駅前ビル整備、田村駅周辺整備など投資事業が目白押し。米原市も50億円を投じて米原駅前に新庁舎を建設する。
 今後も市の事業と財政のバランスに目を光らせると同時に、過度の緊縮財政により市民サービスが必要以上にカットされまいか、見守りたい。

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2017年03月01日

破格の86%オフ

 「日本を悪者として扱っている中国、韓国が心を改め、歴史教科書でうそを教えないようお願いいたします」「安倍首相がんばれ」「安保法制、国会通過、良かったです」—。これは大阪府の森友学園が運営する幼稚園の運動会で、園児が宣誓した言葉だ。おおよそ幼稚園児が発するとは思えない言葉の数々に、異様さを覚えた方も多いのではないだろうか。
 この学園では教育勅語の素読を取り入れるなど愛国心を育むことを教育理念としている。私立学校法人は自由や多様性を保障されているから、これら教育方針には問題ない。仏教系の学校はお経を唱えるし、キリスト教系は聖書を学んだりもする。
 ただ、まだ理解していないであろう園児に、「安倍首相がんばれ」「安保法制、国会通過、良かったです」などと宣誓させるのは異様でしかなく、特定政党を支持するなどの政治的活動を禁じる教育基本法に抵触する恐れもある。
 さて、この森友学園については、9億5600万円と査定された国有地を国が学園に1億3400万円で売却していたことが明らかになった。86%オフという破格の値引きの根拠は、地中に埋められたごみの撤去費用約8億円だ。しかし、現場では8億円をかけてごみを撤去する気配はない。麻生太郎財務相は「法律上の手続きをきちっと済ませてやっているので何ら問題ない」と話しているが、誰がどう考えても問題だらけである。
 なぜ売却先を一般公募せずに森友学園との随意契約としたのか、なぜごみの撤去費用を8億円もの破格で見積もったのか、なぜ財布の紐が固いはずの財務省が国有地をわざわざ破格で投げ売りするのか、なぜ昨年に豊中市議が行った情報開示請求に対し近畿財務局が売却価格を不開示にしたのか、なぜ交渉文書がすべて破棄されているのか。
 この異例の売却劇は、前例踏襲を大切にする役人だけの意思で行えるとは到底思えない、何らかの政治介入があったのではないか、と考える国民が多いことだろう。
 森友学園の名誉校長には安倍首相夫人が就いていた。安倍首相は「私や妻は全く関わっていない」と関与を否定している。
 国民の財産である国有地が不透明な手続きで、しかも破格で、首相を支持する学校法人の手に渡った。決して不問にしてはならない。

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