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世界の兵器取引、冷戦後最大に

 スウェーデンのシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所」が20日に公表した世界の兵器取引の報告書によると、2012〜16年の取引量が前回調査(07〜11年)に比べ、8・4%増加し、1989年の冷戦終結以来、最大規模となった。
 兵器取引は輸出国と輸入国に顕著な傾向が見られる。最大の輸出国はアメリカで世界シェアの33%を占め、次いでロシアの23%。3位は中国の6・2%。以下、フランス6・0%、ドイツ5・6%、イギリス4・6%。スペイン2・8%、イタリア2・7%、ウクライナ2・6%、イスラエル2・3%と続く。米露の2大国が世界シェアの過半数を占めている実態がうかがえると同時に、中国は前回4位からフランスを抜いて3位に浮上しており、兵器輸出を加速させていることが分かる。
 一方、輸入国のトップ10はインドの13%が1位で、以下、サウジアラビア8・2%、アラブ首長国連邦4・6%、中国4・5%、アルジェリア3・7%、トルコ3・3%、オーストラリア3・3%、イラク3・2%、パキスタン3・2%、ベトナム3・0%。これ以降も東アジアや東南アジア、中東の国々が続いている。
 兵器輸入の多い国は紛争中、もしくは紛争に到らなくとも近隣国との火種を抱えている。トップのインドは隣接する中国やパキスタンと領土問題を抱える。また、兵器輸入トップ20を世界地図に落とし込めば、東南アジアと中東に兵器が集中していることが一目瞭然となる。
 特に東南アジアではベトナムが前回比202%増で、台湾、シンガポール、インドネシアも輸入国トップ20に入っている。中国による南シナ海での領有権拡大を背景に各国が兵器輸入を強化し、防衛力を高めていることが分かる。
 中東はイラクやシリアでのテロ組織「IS」(いわゆるイスラム国)の暗躍をはじめ、イエメンでの内戦などを背景に各国の輸入量が増え、世界全体の輸入に占める中東のシェアは前回の17%から29%へと膨らんでいる。特にサウジアラビアの兵器輸入は前回比212%増と突出しており、敵対するイランやシリアとの紛争を招きかねない。そして中東に出回る兵器の多くがアメリカ製だ。
 ストックホルム国際平和研究所の分析からは、世界が確実に不安定化していることがうかがえる。特に東アジア、東南アジアに兵器が集中し始めていることを知っておきたい。

2017年02月22日 16:20 |


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