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米国の民主主義

 「お前はクビだ!」。テレビ司会者時代の決め台詞を彷彿とさせるように、トランプ米大統領は自身が発した大統領令に異を唱えた司法省トップを解任した。独断専行の大統領令を次々発するトランプ大統領に世界が振り回されているが、広がる困惑や反発の声はどこ吹く風。きょうも「アメリカン・ドリームが帰ってくる」などと、せっせとツイッターで発信している。
 トランプ大統領は1月20日の就任以来、メキシコ国境に不法入国を防ぐための壁建設にゴーサインを出すなど次々と大統領令を発している。そして27日にはシリア、イエメン、スーダン、ソマリア、イラク、イラン、リビアの7カ国の国民を90日から120日間、入国禁止とする大統領令に署名した。ホワイトハウスは入国審査制度の厳格化のための準備期間として「入国禁止ではない」と強弁しているが、国内外で反発が広がっている。
 この入国禁止の大統領令を決める際、トランプ大統領は関係閣僚にも伝えず一部側近とだけ協議していたというから、内部からも抗議の声が噴出。司法省長官でさえ「大統領令を擁護しない」と批判したが、トランプ大統領は即座に長官をクビにした。
 自由と人権が保障され、そして移民の国であるはずのアメリカはどう変わっていくのか。国際社会は大きく困惑しているが、この大統領を生んだのは米国民だ。
 ロイター通信が全米50州で入国禁止の大統領令の是非に関して世論調査を実施したところ、賛成が49%で、反対の41%を上回っていることが明らかになった。トランプ大統領、そして支持者からすれば、選挙戦で訴えていた不法移民排斥やイスラム教徒入国禁止などの公約を守ったに過ぎない。
 「実際のところ、民主主義は最悪の政治と言うことができる。これまで試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治体制を除けば、だが」—。これはイギリスの元首相ウィンストン・チャーチルの言葉で、独裁や全体主義、共産主義、社会主義よりも民主主義が優れているとの逆説的指摘だった。
 我こそが民主主義のお手本とばかり胸を張り、他国に介入しては民主主義を押し付けてきた米国だが、今の政治と米国民の姿を見ると、チャーチルの名言が揺らいでいるように思う。

2017年02月01日 16:19 |


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