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公共施設の「始末」

 長浜市が公共施設の廃止や民間への譲渡などの方針を定めた個別施設計画案を策定し、目下、市民から意見を募っているが、地方自治体は人口減少が加速する中で身の丈に応じた規模への縮小が求められている。特に1市8町によって誕生した長浜市は旧町から引き継いできた多くの公共施設を持つが、いつまでも市がすべてを抱えるのではなく、上手に「始末」してゆく必要がある。市の定めた公共施設総合管理計画によると今後40年間の公共建築物の更新費用の総額は1331億円にのぼるが、投資可能な金額は885億円に過ぎない。差し引き446億円の財源不足が発生する。これを解消するためには公共施設の削減が欠かせない。
 公共施設は高度経済成長期、人口増加に対応するため数多く造られたが、今後の更新時期を迎えることから、多くの自治体が長浜市と同様に公共施設の削減計画を立てている。課題は住民との合意形成だろう。住民が公共施設を地域のシンボルや「顔」としてとらえたり、愛着を持っていたりするから、廃止されることによる喪失感や行政サービス低下の心配を抱く。その点は自治体による丁寧な説明が欠かせない。
 公共施設の中でシンボリックなのは市役所庁舎。目下、市長選が行われている高島市では新庁舎の整備を巡って北部と南部の地域間対立が生じている。12年前の5町1村合併の際の協定では旧今津町に新庁舎を建てることが決まっていたが、現市長は財政上の問題から旧新旭庁舎を改修することを公約に掲げ当選。住民投票で賛成多数を得たうえで、改修を進めている。旧今津町の住民らは合併協定に基づいて旧今津町に新庁舎が建設されず、精神的苦痛を被ったとして市に対する損害賠償訴訟を今月10日、大津地裁に起こしている。
 さて、今回の市長選は再選を目指す現職の福井正明氏(65)に新人で前市議の熊谷もも氏(40)が挑む一騎打ちとなっている。財政的見地や人口減少の観点から市庁舎問題を含めた公共施設の統廃合や改修に取り組んできた福井氏に対し、熊谷氏は公共施設の合理化に「待った」をかけ、市民の手による活用を訴えている。市民の財産である公共施設の将来を役所の事情だけで決めるのであれば市民が反発するのは当然であるが、公共施設を自治体に頼ることなく市民の手で運営することも今の時代に求められる知恵だ。

2017年01月25日 16:29 |


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