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カネで買う歓心

 東南アジア歴訪中の安倍首相がフィリピンへ1兆円規模の経済協力を表明した。ドゥテルテ大統領が注力する違法薬物の取り締まりを支援するため、更生施設の整備や人材育成に協力すると同時に、慢性的渋滞に悩まされている首都マニラのインフラ整備など、政府開発援助(ODA)や民間投資を含めて今後5年間で1兆円の投資を行うというものだ。
 安倍首相の狙いは、海洋進出を進める中国を念頭に、南シナ海の安全保障のためのフィリンピンとの連携強化。「法の支配や紛争の平和的解決」を強調する安倍首相に対し、ドゥテルテ大統領は「あらゆる分野で日本を支持する」と応じた。だが、これが1兆円支援への見返り発言となると、その効果は怪しい。
 というのも、中国は昨年10月、フィリピンに2・5兆円の経済支援を行うことを表明し、その引き換えとして、ドゥテルテ大統領は南シナ海で抱える中国との領有権問題を棚上げすると応じた。
 ドゥテルテ大統領が日本、中国両国を天秤にかけ、自国に有利な支援策を引き出そうというしたたかさは、大国に翻弄されてきたフィリピン外交の知恵ではあるが、札束で頬を叩くようなカネ勘定の外交合戦では日本の分が悪そうだ。
 安倍首相はこのあと、オーストラリア、インドネシア、マレーシアで各国の首脳と会談し、南シナ海問題での連携を確認する方針だが、そこでも何らかの経済支援が表明されることとなろう。
 少なくない国民が感じていることは安倍首相が外遊のたびに、様々な名目で金銭的支援を表明することだ。昨夏はアフリカ支援のために民間資金も合わせて3年間で3兆円を投じる方針を明らかにしているし、外遊ではないが年末にはロシアのプーチン大統領との首脳会談で3000億円の経済協力を決めている。必要不可欠な支援や企業活動の呼び水となる投資もあろうが、外遊のたびにカネを配って各国の歓心を買う外交では、カネの切れ目が縁の切れ目になりかねない。

2017年01月13日 15:06 |


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