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2016年10月31日

訪日客2千万人突破

 2016年の訪日外国人数がきのう30日で2000万人を突破した。格安航空会社(LCC)の登場や路線の拡充、ビザ緩和など官民挙げた取り組みが東アジアを中心とする観光客の取り込みに成功した。
 観光庁の統計によると、10年前の2006年の訪日客は733万人で、今の3分の1程度だった。世界金融危機と新型インフルエンザが発生した2009年、東日本大震災の2011年は前年比マイナスを記録したものの、2012年以降は急速に伸び、2015年は47・1%という驚異的な伸びを見せた。今年も20%を超える伸び率で10月中に節目となる2000万人突破を達成することとなった。
 一方、訪日客の旅行消費額は4年9カ月ぶりに減少に転じ、中国人観光客の「爆買い」がひと段落したことを印象付けた。今年7〜9月期の消費額は9717億円で、前年同期比2・9%の減少となった。為替レートがやや円高となり割安感が低下したのが大きな要因だ。それを裏付けるのが旅行費用別の構成比。前年同期に消費額全体の40・4%を占めた「買い物代」が34・5%へと低下。一方で、「宿泊費」が26・0%から28・7%へ、飲食費が18・4%から21・1%へと割合を増やした。買い物中心の旅行スタイルから変化しつつあるのがうかがえる興味深い数値だ。
 インターネットで世界中のモノを買える今の時代に、外国で買い物ばかりに勤しむのは、なんだかもったいない。宿泊場所にその国らしさを求めたり、食文化を楽しんだり、各種アクティビティやアミューズメントに挑戦したりと、「コト消費」を重視するのは、モノに満たされた現代人の旅行スタイルだろう。
 2000万人の訪日客のうち、いったいどれほどが湖北地域を訪れているのかは不明だが、名古屋と京都の中間に位置し琵琶湖という大自然を抱える地の利を生かし、少しでも取り込みを図りたいものである。その起爆剤となるのが長浜曳山祭のユネスコ無形文化遺産登録。祭の保護と伝承はもちろん、湖北地域への観光客誘致の引き金として官民による一計に期待したい。

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2016年10月28日

「読書週間」のはじまり

 きのう27日から「読書週間」が始まった。終戦間もない昭和22年、「読書の力によって、平和な文化国家をつくろう」と、出版社、書店、図書館、新聞などが実施したのが始まりだった。以来、読書推進協議会が文化の日(11月3日)を中心に2週間、読書を推奨する取り組みを続けている。
 取り組みが始まって69年。読書を取り巻く環境はインターネットと電子端末の普及で大きく変化している。電子書籍の市場拡大と出版物の需要減少だ。出版物の販売額は1996年のピーク時に比べ約6割に縮小している。一方で電子書籍の販売額は急速に拡大している。
 読売新聞が読書週間にちなんで実施した世論調査では、電子書籍の利用者は18%にとどまっているが、18〜29歳では51%、30代では52%と半数を超えている。電子書籍の利用者が増えている背景には、立ち読み感覚の「読み放題サービス」プランが登場していることがある。
 小生も以前は「週刊文春」「週刊新潮」などの週刊誌を週に1冊は購入していたが、現在は通信会社が提供する読み放題サービスを利用している。▽総合週刊誌▽ライフスタイル▽ファッション▽ビジネス・IT・国際▽スポーツ・車▽エンタメ・趣味▽お出掛け・グルメ—など160を超える雑誌が月額400円で読める。これまでは読む機会のなかった女性向け週刊誌の読者投稿コーナーなど興味深い情報に触れる機会も多く、情報の幅は広がった。ただ、新しい雑誌が次々と更新されるため、立ち読み感覚で流し読みし、頭の中に情報が残りにくい気がする。
 今後も、電子メディアの発達によって読書の手法は変容する。しかし、その使い手が人間であるかぎり、人間性を育て、かたちづくるのに「本」が重要な役割を果たすことは変わりない。日々の暮らしや人生設計に、新しい感覚での「本とのつきあい方」を取り入れてはどうだろうか—。これは読書推進協議会の提案だ。

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2016年10月24日

存在感ない野党

 東京と福岡で23日に行われた衆院補選を自民候補が制した。
 東京10区補選は衆院議員から東京都知事に転出した小池百合子氏の失職に伴い実施された。比例東京ブロックから鞍替えした自民前職・若狭勝氏が小池知事の求心力をバックに、民主候補を下して圧勝した。
 福岡6区補選は鳩山邦夫元総務相の死去に伴うもので、鳩山氏の次男で前福岡県大川市長の鳩山二郎氏と、自民党県連が推す県連会長の長男の蔵内謙氏の戦いに、民進候補が食い込む形だった。結果は鳩山氏が自民党支持者以外からも幅広い支持を得て圧勝した。自民党は勝った鳩山氏を「追加公認」した。
 自民党が2選挙区を制したが、東京は小池知事の求心力、福岡は元総務相の「弔い合戦」が勝因であり、有権者が自民党を積極的に支持したわけではなかった。その点は自民党が一番良く分かっていて、二階俊博幹事長は「日本国中で自民党が支持されているかどうかということは、これからも慎重に我々は検討して対応すべき」と謙虚なコメントを残した。
 問題は存在感をまったく示せなかった野党だろう。野党は民進候補に一本化したが、東京補選では先の知事選で自民東京都連に反旗を翻した若狭候補に大きく水をあけられた。福岡補選では自民分裂選挙に埋もれ、民進候補の得票率はわずか23・4%だった。
 日本の選挙制度が、政権交代可能な2大政党政治を目指す仕組みである以上、野党のいずれかが自民党に対抗しうる政党へと成長することが欠かせない。
 7月の鹿児島県知事選、10月16日の新潟県知事選では野党推薦候補が自民推薦候補を破っている。原発再稼働を争点化して、自民との明確な対決軸を有権者に示せたことが勝因だった。
 では政権選択を問う国政選挙で、どのような対決軸を生み出して有権者を振り向かせるのか。少なくとも原発政策という単一イシューで戦えるものではないことは過去の総選挙が示している。結局は党の精神や姿勢が問われるのではないだろうか。
 過去の選挙で第3極と呼ばれた「維新」や「みんなの党」が有力な支持基盤のないまま、飛躍的に有権者の支持を集めたのは、結党の明確な精神によるところが大きい。その点、野党第1党である民進党は過去に国民の期待を裏切った民主党の路線を継承し、変化したのは党首の顔だけではないか、というのが有権者の見方である。
 自民党が何の苦もなく2選挙区を制した補選に、野党はどれほど危機感を抱いているのだろうか。

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2016年10月19日

公衆トイレの開設時間

 長浜市街地にある市営の公衆トイレのうち、御旅所駐車場のそばにあるトイレ(南呉服町)が夕方6時には早々と閉鎖され、読者から「ユネスコの無形文化遺産登録を控えているというのに、これでは観光客のおもてなしにならない」との苦言を頂いた。
 所管する市環境保全課に問い合わせたところ、夜間のイタズラや防犯上の理由から、開設時間は午前9時から午後6時までに限っているという。「利用客のほとんどが観光客や観光バス利用者で、午後6時以降はあまり需要がない」と説明している。
 これに対し、読者は「夕方6時に公衆トイレを閉めているようでは、夜間の観光客など望みようがないし、その程度の観光地かと思われて恥ずかしい」と納得いかない様子だった。
 ちなみに、大通寺門前通りにある中央駐車場トイレ(大宮町)は開設当初から24時間開放している。イタズラも報告されているが、施錠できる構造ではないうえ、夜間に賑わう飲食店が多い地域ゆえに市民からも重宝されていることから24時間体制を維持している。こちらは市商工振興課が所管する。
 また、北国街道まちかど広場の公衆トイレ(黒壁ガラス館裏手)は以前24時間開放していたが、イタズラが相次いだことで、現在は午前8時から午後8時となっている。こちらは市都市計画課の所管。
 市街地の公衆トイレの所管が3課に分かれているという奇妙な話は置いておいて、イタズラ防止のために公衆トイレを夜間閉鎖するのは理解できるが、午後6時に早々と閉めるようでは、宿泊・滞在型観光を目指す長浜市の姿勢からずれている気がしてならない。ただ、黒壁を含む商店街の少なくない店舗が夕方に早々と店を閉めている実態を考えると、トイレ問題を含め、宿泊・滞在型観光などただの掛け声だけと疑われても仕方ない。これは昨年6月の市議会でも指摘されていた課題でもある。

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2016年10月17日

原発への不安

 原発再稼働に反対する新人候補が初当選した新潟知事選は、原発に対する県民の不安を率直に反映させた結果だった。
 任期満了に伴う新潟県知事選(16日)で、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に反対する医師で弁護士の米山隆一氏(49)=共産、自由、社民推薦=が、前長岡市長・森民夫氏(67)=自民、公明推薦=ら3人を破った。
 選挙戦は米山氏と森氏による事実上の一騎打ちで、柏崎刈羽原発の再稼働問題が争点となった。
 米山氏は再稼働に慎重な現職の泉田裕彦知事の立場を継承し、選挙戦では再稼働反対の姿勢を鮮明にしていた。福島原発事故の原因、健康・生活への影響、安全な避難方法の3点の検証がなされない限り、「原発再稼働の議論は始められない」と訴えた。共産、自由、社民党の幹部が応援に入り、終盤には自主投票の民進党の蓮舫代表が選挙区入りした。
 一方の森氏は自民・公明の全面バックアップのもと各種業界団体が支援し、組織力で対立候補を圧倒するはずだった。人口減少対策や経済政策を中心に訴え、米山氏との接戦が伝えられた中盤以降は「問題があれば国にはっきりノーと言う」などと原発再稼働問題に踏み込んだが、有権者に響かなかった。
 7月の鹿児島県知事選でも九州電力川内原発の一時停止を公約に掲げた新人が現職を破っている。福島原発事故の惨状を見て、原発を抱える地元の住民が再稼働に不安や恐怖を覚えるのは、当然のことであろう。
 鹿児島そして新潟で示された民意を、政府や電力会社が真正面から受け止め、原発に頼らないエネルギー政策への転換を目に見える形で実行しない限り、その不安は解消されようがない。「絶対に安全」「何重もの安全対策を施している」と説明されたところで、「想定外」の事態で安全性が覆される可能性は否定できないのだから。原発再稼働に前のめりな政府と電力会社への抗議の1票の積み重ねが新潟県知事選の結果だ。

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2016年10月14日

死刑廃止の潮流

 日本弁護士連合会が7日に福井市内で開いた人権擁護大会で死刑廃止を目指す宣言を賛成多数で採択した。死刑廃止は世界の潮流であるが、日本では死刑存続を求める国民の声が大多数を占めており、仮に死刑を廃止するならば終身刑という新たな極刑が必要ではないだろうか。
 「死刑のない世界」の実現を訴えている国際人権組織「アムネスティ・インターナショナル」は1977年に「死刑廃止のためのストックホルム宣言」を発表し、「死刑は生きる権利の侵害であり、究極的に残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である」と死刑制度を批判している。
 同団体によると、死刑廃止国は1970年の13カ国から、2015年末には世界の3分の2にあたる約140カ国に増えている。死刑廃止はもはや世界の潮流といえよう。
 一方、2015年に死刑を執行した国は日本を含む25カ国。少なくとも1634人に執行され、厳格なイスラム教国であるイラン、パキスタン、サウジアラビアの3カ国で約9割を占めた。ただし、ここには死刑を「国家機密」とする中国の死刑人数は反映されておらず、アムネスティは中国を世界最大の死刑国とみている。日本は3人だった。
 死刑廃止の気運を高めるには、いわゆる人権派弁護士が国民の理解を得る必要がある。しかし、光市母子殺害事件の裁判で死刑回避のために集った人権派弁護士が、荒唐無稽な主張を繰り返して国民の非難を浴びたのは記憶に新しい。そして、今回の死刑廃止宣言の採決に参加したのは、3万7000人を超える会員のうち、現地に足を運んだ786人だけ。ごり押し感が否めず、即座に犯罪被害者支援弁護士フォーラムが「被害者の尊厳を無視した暴挙」などと批判したのは当然だろう。
 さて、日本の国民は死刑制度をどう受け止めているのだろうか。内閣府が2014年に実施した世論調査では「死刑もやむを得ない」との回答者が80・3%を占め、「廃止すべき」はわずか9・7%だった。死刑存続派は「死刑を廃止すれば、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」との意見が主流で、廃止派は「裁判に誤りがあったとき、死刑にしてしまうと取り返しがつかない」「生かしておいて罪の償いをさせた方がよい」などが主な意見。
 さらに、仮釈放のない「終身刑」が新たに導入された場合については、死刑廃止の回答が37・7%に増え、存続が51・5%に減少している。死刑廃止を日本で実現するには、終身刑の導入が鍵となりそうだ。

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2016年10月07日

老老介護の果てに

 介護に疲れた挙句、寝たきりの認知症の妻(79)=当時=の首を電気コードで絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた夫(82)の判決が6日、神戸地裁であり、懲役3年、執行猶予5年の判決が下された。
 裁判長は「被告は肉体的、精神的に疲弊し、家族の協力も十分に得られない状態で介護を続けていた。先の見えない状況で殺害を決意してしまった心理状態を大きく非難することはできない」と、実刑を回避した。
 長年連れ添った妻を殺害してしまうほど、心身を追いつめられる夫の不幸を思うと同時に、なぜ他の家族が介護に非協力的だったのかが疑問だ。ただ、介護に疲れた夫婦が心中したり、一方を殺害したりと、老老介護の末に起こる不幸な事件は後を絶たず、数年前に長浜市内でも発生している。
 高齢化と核家族化が進んだ今の日本社会は、高齢者のみの世帯が増え続けており、今後も老老介護は深刻さを増してゆく。
 寝たきりや認知症の高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護の必要性や専門性が高まる一方で、核家族化、少子化によって家族だけで介護することが困難な時代を迎えたとして、2000年に始まったのが介護保険制度だった。社会全体で介護を支えるのが目的だが、「介護地獄」から抜け出せない家族がいるのが実態だ。
 公的老人ホームはどこも満室で入所待ちの行列ができている。民間の老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅もあるが、こちらは十分な蓄えや家族の支援が欠かせない。老老介護や介護難民の解消の道のりは長い。
 いわゆる団塊世代が後期高齢者となる2025年問題に加えて、未婚化による「おひとり様」の増加で、今後、介護需要はますます増える。一方で、介護の現場を充実させるには保険料や税金のさらなる投入が欠かせない。介護保険の総費用は年々増え続けており、2000年度の3・6兆円に対し、2016年度は約10兆円にのぼる見込みだ。
 増え続ける介護需要と介護費用、減少する現役世代。こういった状態で介護を維持できる方程式はあるのだろうか。人生の終末期を迎えるにあたって、頼りになるのは介護保険制度なのか、それとも家族なのか。きっと、その両方だろう。

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2016年10月03日

シベリア鉄道延伸

 北海道とサハリン(樺太)を結ぶ「宗谷トンネル」を整備することで、日本からシベリアを経てヨーロッパまでを鉄道で結ぶ構想が浮上している。内閣参与の飯島勲氏が先週発売の週刊文春のコーナー「激辛インテリジェンス」内で、「長年の見果てぬ夢が実現に向けて動き出しそうだ」と、「夢の構想」が政府間協議で急浮上していることを明らかにした。
 構想はユーラシア大陸とサハリン間の間宮海峡(約7㌔)に橋を架け、サハリンと北海道稚内間の宗谷海峡(約42㌔)をトンネルで結ぶもの。極東やシベリア開発の起爆剤としたいロシアは以前から「シベリア鉄道延伸計画」としてアピールしているが、これまで日本側が計画について反応することはなかった。
 安倍晋三首相は9月1日に「ロシア経済分野協力担当大臣」というポストを新設し、世耕弘成経済産業相を任命した。特定の国との協力に関する担当相の設置は異例で、安倍首相が北方領土問題の解決に向け、前のめりになっていることがうかがえる。
 一方、ロシアは極東やシベリアの開発には日本の協力が不可欠とし、シベリア鉄道延伸はその起爆剤。ロシアは以前から延伸計画を日本に打診しており、日本の求める領土問題交渉を好機ととらえ日本側に協力を促したい考えだ。
 この壮大な構想が実現すれば、日本とヨーロッパが鉄道によって結ばれる。物資輸送に大変革をもたらし、東京からモスクワ行き、パリ行きの列車を走らせることも可能となる。
 ロシアが北方領土問題の交渉に応じる見返りとしてシベリア鉄道延伸計画を持ち出しているのか、それとも日本が延伸計画の協議に応じる姿勢を見せることで北方領土問題の前進を見出そうとしているのか。どちらが主導権を握ろうとしているのかは不明だが、ロシアとの交渉は一筋縄ではゆくまい。過去には日本の北方領土の不法占拠、最近ではウクライナのクリミア半島併合、シリアのアサド政権支援など、ロシアの本性をゆめゆめ忘れるなかれ。

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