滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2016年09月30日

住宅の後始末

 人生の終わりに備えた活動を「終活」と呼ぶ。人生の終末期に直面する老後の生活、介護や病気への対処、葬儀や相続、お墓のことなどをあらかじめ決めることで、自身のシニアライフを充実させ、そして家族の不安を取り除く効果がある。それらを記述する「エンディングノート」も市販されている。
 終活では、是非とも自身の住んでいる住宅についても考えたい。もし、住んでいる家が将来、空き家になるのならばどう処分するのか、と。
 長浜市は10月1日から空き家条例を施行する。長年放置された危険な空き家の解消を期待すると同時に、これ以上空き家を発生させない努力が市民に求められよう。
 都市部や近隣の新興住宅地に移り住んだものの、親の死去にともなって実家の管理に苦労する話は多い。近隣住民に迷惑をかけないためにも、固定資産税や管理費用という金銭的負担から解放されるためにも、早めの対処が欠かせない。そのためには、所有者自身の意識改革が求められる。
 滋賀夕刊にはときどき、空き家や空き地の放置に困っているとの相談が入る。長年の放置で家屋が倒壊寸前だったり、草木が繁ってうっそうとしていたり、近隣住民は大変迷惑しているが、所有者が分からない、連絡が取れない、というので手の打ちようがない。私有財産ゆえに、近所の住民が勝手に解体できないどころか、樹木の伐採もできない。
 住む人がなく長年放置されている住宅の処分のため、国は空き家対策特措法を定め、危険、迷惑な空き家を市町村が「特定空き家」と認定すれば所有者や管理者に解体を命じ、従わなかった場合には罰金を科したり、行政が代わって解体したり、できる。
 だが、個人の財産である住宅の処分に自治体がどこまで踏み込むのか。個人が責任を持つべき住宅の処分に安易に税金を投入してよいのか。多くの自治体が悩ましい選択を迫られることになる。
 人口減少にともなってますます増加するであろう空き家。所有者は無頓着であってはならない。

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2016年09月28日

どうなる北陸本線?

 北陸新幹線の米原ルート誘致に向け、地元の商工会や商工会議所が発起人となって27日、促進期成同盟会が設立されたが、長浜北商工会が発起人の参加を見送ったことに象徴されるように、地元がもろ手を挙げて賛成しているわけではない。
 27日の設立総会での決議文では米原ルートこそが「最も合理的かつ効率的であり、関西、北陸、中部にさらなる経済効果を及ぼす」としているが、これは23日に県が公表した3ルート案の試算に呼応したものであろう。
 試算は米原ルートのほか、福井県の推す「小浜京都ルート」、京都府が求める「小浜舞鶴京都ルート」と比較した。そして、建設期間、コストが最も小さく、新幹線利用者が最大になる米原ルートに軍配を上げている。
 ちなみに、整備新幹線の「着工5条件」は①安定的な財源見通しの確保②収支採算性③投資効果④JRの同意⑤並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意—からなるが、県の試算は投資効果の比較でしかない。
 しかも、滋賀県が地元にルートを誘致するために試算したのだから、我田引水との謗りは免れず、すぐさま、京都府が「お手盛り」などと反発したのは当然であろう。
 さて、湖北地域に居住する身として心配するのは、米原ルートが採用されれば、「並行在来線」との扱いとなる北陸本線がJRから経営分離されることだ。そうなれば、地元自治体が出資する第3セクターによる運行が避けらない。仮にJRが運行を続けたとしても赤字補償を迫られることになろう。
 設立総会での決議では「北陸本線敦賀・米原間は今後も現状を確保する」とあるが、並行在来線のJRからの経営分離は必至だ。米原ルートを誘致しておきながら、「在来線も従来どおりJRで運行してください」なんて、そんな都合の良い話はあるのだろうか。
 長浜市内をただ通過するだけの新幹線のために不便を被るのは市民である。米原ルート誘致を訴える政治家は、通勤・通学に利用される生活路線をいかにして維持するのか、その点について市民に説明して欲しい。

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2016年09月23日

統合型リゾート 実現いつ?

 カジノリゾートの日本での整備を可能にする「統合型リゾート(IR)整備推進法案」、いわゆるカジノ法案が国会に提出されたのは2015年のこと。推進の自民党に対し、公明党が反対し、継続審議となっている。
 IR整備は2020年の東京五輪が一つの節目になると見られていたが、公明党の山口那津男代表が21日の記者会見で「IRが存在しなくても観光客が増大している」と、改めて慎重姿勢を示しており、東京五輪にはとても間に合いそうにない。
 IRはカジノを中心に構成した統合リゾート施設を指し、カジノのほか、ホテル、ショッピングモール、レストラン、プールなどが併設されている。世界では130カ国以上でカジノが合法化され、IRはラスベガス、マカオ、シンガポールなどが有名。欧米、アジアではリゾート形態の一つとして、一般的になりつつある。お隣の韓国には17軒のカジノがあるが、そのほとんどが外国人観光客向けで、同国の国民の利用が認められているのは1軒のみ。
 日本の場合は20兆円規模とされるパチンコ産業が日本列島の隅々にまで浸透し、競馬、競輪、競艇、オートレースなど公営ギャンブルも盛ん。しかし、新たなギャンブル施設であるカジノに対しては否定的な意見が多く、新聞社の世論調査では賛成が3〜4割、反対が5〜6割という結果だった。「ギャンブル依存症を生む」「治安を悪化させる」「青少年に悪影響を与える」「反社会勢力に資金が流れる」といった意見が反対の根拠だ。
 目下、横浜、大阪、佐世保などがIRの誘致に積極的に取り組んでいるが、過去には滋賀でも琵琶湖にカジノ船を浮かべようとの経済界の研究があり、県議会で取り上げられたこともある。2013年にはクルーズ船の「ミシガン」でカジノを体験できるイベントも行われた。
 住宅のすぐそばに朝から晩まで開いているパチンコ店がある日本は世界でも例を見ないギャンブル大国だ。にもかかわらず世界のリゾート地では当たり前のカジノだけがいまだに合法化されないのは不思議な話である。

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2016年09月21日

地価下落は必然

 国土交通省が20日発表した全国の基準地価。全国トップは東京・銀座2丁目で、1平方㍍当たり3300万円だった。坪1億円超という信じられない金額だが、実際はさらに高額で取り引きされる。先月、オンワードホールディングスが銀座3丁目の土地308平方㍍を135億円で譲渡したと発表したが、坪1億4000万円余りとなる。
 東京、大阪、名古屋の3大都市圏の商業地はいずれも上昇を続けている。外国人観光客など国内外からの来街者の増加を背景に、店舗やホテルの需要が旺盛なうえ、オフィスの空室率も低下傾向が続き、賃料が上昇するなどしている。金融緩和によって投資マネーが不動産市場に流れ込んでいることも地価上昇の背景だ。大阪市中央区の心斎橋駅近くで28・9%上昇、東京都中央区の銀座駅近くで27・1%上昇している。
 一方、地方では商業地、住宅地ともに下落傾向が続き、国内で2極化が進んでいることがうかがえる。需要が供給を下回れば、価格が下がるのは市場原理であり、人口減少に伴う地方の地価下落は止めようがない。
 滋賀県内では13市のうち大津、草津、栗東、守山、野洲の県南部5市が上昇した。京都・大阪のベッドタウンとして駅周辺の需要が底堅く、マンションを建設すればすぐに完売する状況だ。一方で、北部は振るわない。長浜市は商業地、住宅地ともに下落幅が拡大し、米原市も彦根市も下落している。「南高北低」を如実に示している。
 地方だって工夫をすれば、土地需要を高められる。例えば、住宅地で上昇率1位となったのは北海道倶知安町の別荘地だった。著名なリゾート地であるニセコ観光圏にあり、外国人の別荘需要が旺盛で、コンドミニアムへの投資も活発化していることから、地価が27・3%上昇した。地元が観光客誘致やロングステイの呼び込みを盛んに行った成果だ。
 ただし、外国人観光客や金融緩和に頼った地価上昇は商業地や観光地に限ったもので、今後も、ほとんどの住宅地で人口減少に伴う下落は止まらない。長浜市でも買い手の付かない住宅地はいくつもあるが、価格が下がれば宅地購入希望者の食指が動く。ファミリー向けに「マンション暮らしよりも、庭付き一戸建て」と、田舎ならではの土地活用をうまくPRしたいものだ。

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2016年09月16日

政務活動費の詐取

 野々村竜太郎元兵庫県議が政務活動費913万円を騙し取ったとして懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を受けたのは今年7月のこと。日帰り出張を344回も行ったとして虚偽の切符代を計上するなどの手口だった。疑惑を追及する記者会見で号泣したことから一躍、「時の人」となった。
 今、富山市議会では複数の議員が領収書の偽造によって政務活動費を詐取していたことが明らかになった。これまでに市議40人のうち8人が不正を認めて辞職している(辞意含む)。
 この不正は市議報酬を来春から10万円増の70万円とする条例改正案が6月に可決されたことをきっかけに、議会の金銭感覚に対する市民の関心が高まり、発覚した。
 手に入れた白紙の領収書に金額を書き込んだり、正規の領収書に数字を書き足して桁を増やしたりしていた。5年間で市政報告会を約60回開いたとして資料印刷代や会場費などを計上していながら、すべて架空だったケースもあった。
 市政をチェックする議員自らが税金を詐取するのは、市民を裏切る許されざる所業だ。議員辞職や政務活動費の返還だけでなく、野々村元県議同様に刑事告発され、裁かれるべきであろう。あわせて、議会事務局がまっとうに機能していたのかも問われるべきだ。
 政務活動費は地方議員の調査研究活動、政策立案活動を支えるため、報酬とは別に支払われる。
 長浜市議会の場合は月額2万円を会派に支給している(会派無所属の場合は議員個人に)。収支報告書への領収書の添付を義務付け、余った分は返還を求めている。収支報告書や、政務活動費を活用した視察・研修の報告書は市議会のホームページでも公開している。滋賀県議会の場合は月額30万円。今年6月からは収支報告書をホームページで公開している。
 政務活動費の詐取は兵庫県や富山市に限らない。自身の選出した県議、市議がどのような報告をしているのかチェックをするのも有権者の責務かもしれない。

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2016年09月14日

女性の社会進出

 肉体の性差に対し、社会的性差を意味する言葉を「ジェンダー」という。「男だったらこうあるべき」「女だったらこうあるべき」という「らしさ」もそのひとつ。夫は仕事、妻は家事という日本の既成概念がジェンダーの代表例であるが、桃太郎の「おじいさんは柴刈りに、おばあさんは川に洗濯」と童話にも登場するように、日本人の多くが普遍的なものとして受け入れているのが現状だ。
 社会的性差は肉体的性差と相互関与しているゆえに、まったくのゼロにするのは現実的でないが、その解消「ジェンダーフリー」が叫ばれて久しい。
 「世界経済フォーラム」が毎年発表している各国の男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」というものがある。経済、教育、政治、保健の4分野のデータから男女の平等度を測定するもので、国別ランキングで日本は145カ国中101位だ。中でも「経済活動の参加と機会」が106位と振るわない。
 先日、女性の地位や生活向上を目指す奉仕団体「国際ソロプチミスト長浜」の松井喜久枝会長(9月に就任)から興味深い新聞記事を頂いた。国際ソロプチミストアメリカ日本中央リジョン(地域)の設立30周年記念シンポジウムを特集した記事で、なぜ、日本女性の社会進出が低調なのか、基調講演や討論会で識者が意見を交わしていた。
 4年生大学を卒業した女性は企業のドアを熱心に叩くが、結婚・出産という壁にぶつかって退職するか、責任の軽い仕事を割り振られる「お母さん向け指定席」に甘んじている、との指摘は社会学者の上野千鶴子さん。この状況の改善には日本型経営の長時間労働と年功序列をやめ、同一労働同一賃金を徹底するしかないと「変わるべきは男性と企業」と訴えている。
 また、市場経済が日本に比べ遅れているモンゴルで、企業の最高経営者の36%を女性が占めているとの話題が討論会で出た。社会主義時代に共働きが定着し、専業主婦という選択肢がないこと、実家が全面的に子育てに協力する習慣があることが働く女性を支えているという。
 日本では女性の多くが育児と介護を担い、今、改革が議論されている配偶者控除も理由の一つとなり、社会進出の機会や気運が削がれている。ただし、専業主婦でありたいと願う女性も決して少なくない。
 国は昨年、女性活躍推進法を制定し女性の社会進出の旗を振るが、衆議院の女性の割合は1割に満たず、男性目線の政治が続く。政治こそがジェンダーフリーからかけ離れた存在であり、それを変革するのは国民でしかない。

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2016年09月12日

65歳は「高齢者」か?

 厚生労働省のまとめた平成28年度高齢社会白書によると、日本の人口1億2711万人に対し、65歳以上の高齢者は3392万人を占め、高齢化率は過去最高の26・7%に達している。高齢化率は平成37年に30%を超え、同72年には40%に迫る見込みだ。
 この統計に対して少し疑問がある。医療や食生活の変化で70代、80代でも元気で、平均寿命が90歳に迫る今の時代、65歳の方を「高齢者」と定義しても良いのだろうか、と。現役で仕事したり、スポーツや趣味、ボランティア活動に熱心に打ち込んだりと、「高齢者」というイメージに当てはまらない元気な方が増えている気がしてならない。
 例えばテレビで活躍している中村雅俊さん、桃井かおりさん、三宅裕司さんらは今年65歳を迎えるが、「高齢者」との位置づけは失礼にあたるのではないだろうか。
 高齢化の進展に伴って社会も柔軟に変化する必要があるのかもしれない。例えば定年退職。過去は55歳、現在は60歳や65歳を一つの区切りにしているが、仮に65歳で退職した場合、男性は残り平均15年、女性は20年以上も生活を続けることになる。体力、気力が充実しているのに、豊富な経験を持て余すのはもったいない。
 厚労省が60歳以上を対象に何歳ごろまで仕事をしたいか聞いたところ、「働けるうちはいつまでも」が28・9%、70歳までが16・6%、75歳までが7・1%、80歳までが2・7%という結果で、過半数が仕事を続けたいと思っていることがうかがえる。
 高齢者の持つ豊富な経験や知恵を生かすことこそが、高齢化社会の日本には欠かせない。成人年齢を18歳に引き下げると同時に、「高齢者」の定義を68歳なり、70歳にし、現役世代として活躍してもらうことも、今後の高齢社会を明るく照らす方策の一つかも知れない。

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2016年09月09日

酒は人を飲む

 「酒に酔って暴言を吐き、暴力を振るう」「昼間から仕事に行かず、酒を飲んでいる」—。内閣府が8日発表したアルコール依存症に対する世論調査の結果では、国民が以上のようなイメージを持っていることが明らかになった。
 アルコール依存症は薬物依存症の一種で、飲酒を恒常的に続けた結果、自らの意思で飲酒をコントロールできなくなり、強迫的に飲酒を繰り返す病気。体を壊すことが分かっていても、家族や職場に迷惑がかかるのが分かっていても、自力では酒を辞めることができず、放っておけば家庭や人間関係が崩壊する。過去は意志の弱い飲酒者による「アル中」などと卑下されていたが、現在は精神疾患と認知されている。
 さて、内閣府の調査は今年7、8月に3000人を対象に行い、1816人から個別面接で意見を聞いた。アルコール依存症に関する説明ついて、7割が「飲酒をコントロールすることができない精神疾患である」と回答しており、正しい認識が定着しつつある。
 ただ、「飲酒をしていれば、誰もが依存症になる可能性がある」「依存症はゆっくり進行するため、飲酒をしていても依存が作られている途中は自分では気付かない」との認識は4割程度にとどまり、さらなる啓発が求められそうだ。
 また、あまり知られていないのが▽女性の方が短期間で発症する傾向がある▽一度依存症になると治らない▽お酒に強い人ほどなりやすい—の3点。いずれも回答者の1〜2割しか知らなかった。
 誰もが知っておく必要があるのは「アルコール依存症は完治しない」ということだろう。依存症から脱却するには生涯、酒を断ち続けなければならない。一度、酒を口にすると強迫的飲酒が再開するためだ。ゆえに自助グループ「断酒会」に入って同じ症状の仲間と体験談を語り合い、支え合う仕組みが定着しているが、脱落者は少なくない。依存症の恐ろしい点だ。
 厚生労働省の推計によると、アルコール依存症患者は109万人。予備軍を含めると294万人にのぼる。これは成人の35人に1人の割合だ。古来、「酒は人を飲む」と言った。飲酒生活はほどほどに。

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2016年09月07日

外食してますか

 一人暮らしが長かったせいか、好んで外食する機会が多く、一緒に食べる相手がいない場合は一人で出かけることも少なくない。
 世間はどの程度、外食しているのだろうか。リクルートが毎月実施している外食市場調査(調査では夕方以降の外食を定義)によると、外食実施率は75%前後で、4人に3人が外食している。頻度は月4回で、週に1回程度は外食している計算となる。平均単価は2500円前後で、50代、60代は3000円を超える。この調査では夕方以降に喫茶店でコーヒーを飲むことも「外食」と定義しているので、平均単価は想像よりも低い。
 以上の調査は主に都市圏を対象としており、飲食店の種類や数、公共交通機関の少ない湖北地域とは実情が異なる。
 外食で楽しいのは自宅の食卓には並ばないような料理や食材に出会えることだろう。先日、ある飲食店で食事したところ、淡い黄色の花を飾ったサラダを提供され、「これはオクラの花で、美味しく食べられますよ」と教えられた。その味はオクラそのもので、独特の粘り気があった。
 料理を教わることもある。あるイタリア料理店で「ぺペロンチーノをうまく作れない。ニンニクの香りがお店のように出せない」と相談すれば、ニンニクを細かく刻んで、オリーブオイルでじっくりと炒めるコツをカウンター越しに実演してくれた。
 外食を同僚や友人、知人との親睦の機会とするか、未知の料理・食材との出会いの場とするか、または、お酒と共にストレス発散の場とするのか、楽しみ方は人それぞれだが、月に一度は非日常の食卓を囲みたい。

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2016年09月05日

「こち亀」連載40年

 「こち亀」の愛称で40年間親しまれてきた人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が17日の「週刊少年ジャンプ」(集英社発行)で連載を終了する。
 「こち亀」は破天荒な警察官・両津勘吉が繰り広げる1話完結のギャグ漫画で、1976年9月から連載が始まった。小生も中学生時代にジャンプを読んでいたので、記憶に残る懐かしい作品だ。
 「こち亀」の魅力は作者の秋本治さん(63)にある。社会で流行する商品や現象を作中に取り入れ、時には社会風刺の毒を盛ることも。漫画を読むとその時々の世相をうかがい知れる。ゲームやプラモデル、兵器、ギャンブルなどにも造詣が深く、サブカルチャーを知る教科書の側面もあった。
 また、昭和の子ども達がどんな遊びをしていたのか、東京の下町を舞台に振り返る回想作品も数多く、秋本さん自身が印象に残っているという作品は「お化け煙突が消えた日」だ。
 1964年、東京足立区の千住火力発電所の「お化け煙突」が取り壊されたことに絡め、両津少年と若い女性臨時教師との触れ合いを描いている。小学校を去ることになった教師に両津少年らがおばけ煙突に登ってメッセージを送るシーンが印象的だった。戦後の経済成長による東京の下町の変貌と有りし日の少年時代の思い出を重ね合わせ、ファンに根強い人気。
 秋本さんのネタ元は新聞記事の切り抜きだそうだ。「テレビのニュースは全国的に広まるが、新聞の小さな記事は見ている人が少なく、そこから(漫画に)発展する」と、過去のドキュメンタリー番組で語っていた。
 それにしても40年間、一度の休載もなく1話完結の作品を世に送り続けるのは、並ならぬ精神力であろう。毎週、締め切りが迫ってくるのだから、のんびりと旅行なんてしていられないし、体調不良で休むわけにはいかない。そして、毎回、新しいネタが必要で、情報収集が欠かせない。
 40年間、走り続けた秋本氏と「両さん」。17日は小生も童心に帰って、ジャンプを手に取ってみたい。

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2016年09月02日

病院を撃つな!

 内戦の続くシリアではロシアの支援を受ける政府軍が反政府勢力の拠点の街を無差別に攻撃。産婦人科や小児科の病院も空爆などの標的となり、無辜の国民が殺されている。国連が「破滅的」と指摘する政府軍の攻撃だが、アメリカ、ロシア、イラン、サウジアラビアなどシリアを取り巻く大国の思惑が絡み合い、収束の気配がない。
 そんな地で医療活動を続ける団体が「国境なき医師団」だ。シリア政府からの活動認可が得られないまま、同国の深刻な医療不足を解消するため、2012年から活動している。その医師団が度々訴えているは医療施設への攻撃に反対する「病院を撃つな!」キャンペーンだ。
 病院を標的とした攻撃の中で記憶に新しいのは2015年10月、医師団がアフガニスタンで運営する病院が米軍による空爆を受け、患者とスタッフ合わせて42人が死亡した事件。米軍は、意図的に狙ったものではなく誤爆と弁解したが、米軍の誤爆は今に始まったことではない。
 紛争地とはいえ医療施設への攻撃は許されるのだろうか。ジュネーブ条約では、紛争当事国はいかなる場合でも医療施設や医療スタッフ、患者らを攻撃してはならず、保護しなければならないと規定している。このような国際法があるにもかかわらず、病院への攻撃は絶えない。
 医師団の集計によると、2015年だけで、医師団の関与する医療施設75カ所が攻撃を受けた。内訳はシリア63、イエメン、ウクライナ各5、アフガニスタン、スーダン各1カ所。突出するシリアは政府軍がロシア軍の全面支援を受けている。医療施設への攻撃が独裁者の意図であるならば、猟奇的と言わざるを得ない。
 「なぜ、命を救う場所に爆弾が降りそそぐのか。なぜ、患者や医療者や彼らを支える人びとの命を狙うのか」—。医師団が訴える紛争の非道を直視するとともに、国連の機能不全を憂う。

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