滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2016年08月31日

増やしたい 、医学部進学者

 市立長浜病院、湖北病院の決算案が発表されたが、医師不足などを理由に厳しい経営を余儀なくされている。地方の公立病院はどこも医師や看護師不足に泣かされている。医師がいなれば手術ができないし、看護師が不足すれば入院患者の受け入れも制限される。
 滋賀県は医学部進学者の少なさが地域医療を支えるうえでの課題となっている。県健康医療課によると、滋賀県内の高校から大学医学部へ進学するのは年間50〜60人程度。平成28年度の滋賀医大入学者(医学科)も県内出身者は14%に過ぎない。一方で、医学部卒業者が研修医として県内の病院で勤務するのは年間90〜100人程度。このため「滋賀県の医療は、県内出身者だけでなく、多くの県外出身者にも支えられている」と指摘される。
 2年間の研修医の後、滋賀に残るのは6割程度だそうだ。この割合を上昇させられれば医師不足解消の一助となろうが、まず第一に滋賀の若者に医師を目指してもらうことが欠かせない。
 湖北医師会は地元の中学・高校生に医療に関心を持ってもらおうと、この夏、手術などを体験できるワークショップを開催した。募集定員を超える申し込みがあり、若者の間で医師への関心が決して低くないことがうかがえる。このワークショップの際、手操忠善会長から「県内から医学部に進学する人が少なく、滋賀の医療は他の地域の医師に支えられている」と教えてもらった。
 若者の医療分野への関心を高めると同時に考えたいのは、いかにして滋賀の病院に定着してもらうかだろう。特に滋賀の外から入ってくる研修医が滋賀で働き続けたいという病院環境の整備が欠かせない。そして、いつか家族と滋賀に定住したいと選んでもらえるような住環境も大切だ。それは医師やその家族が求める教育環境や文化環境であろう。
 長浜市内には長浜、湖北、長浜赤十字という3つの総合病院がある。そこに勤務する医師に長浜市に定住したいと思わせるような取り組みが欠かせない。これは自治体の役目であり、医師に診てもらう患者の姿勢でもある。

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2016年08月29日

男捨離のススメ?

 2010年の流行語に選ばれた「断捨離」は同名の著書を出版したやましたひでこさんの造語。「断」は「入ってくる要らないモノを断つ」、「捨」は「家にはびこるガラクタを捨てる」、「離」は「モノへの執着から離れる」を意味する。
 物質への執着から解放されて知足を促す精神論であり、現代人の物欲を満たすための大量生産、大量消費、大量廃棄のサイクルの見直し論でもあると、小生は解釈している。とはいえ「もったいない」と、なかなかモノを捨てられないのが現実であろう。
 この断捨離、今では単なる「片づけ論」ではなく、人間関係や仕事にまで拡大して解釈されることもある。
 行き過ぎとも思えるほど、断捨離を徹底する人は「ミニマリスト」とも呼ばれる。必要最小限(ミニマム)の持ち物だけで暮らす人を意味し、かえって豊かに生活できるそうだ。家具や日用品、衣服など日々の生活に必要不可欠と思えるような物でさえ最低限しか持たず、がらんどうの部屋での生活がクールでスマートであると錯覚させるような写真がインターネット上で紹介されている。
 最近知った言葉が「男捨離」。字の如く、夫や彼を捨てて、男性に依存しない、束縛されない自分本位の生活を送ることを意味するそうだ。自堕落な夫に愛想を尽かした妻が離婚を切り出すのが典型例で、そのタイミングは子育ての一段落だったり、親の介護だったり、様々だ。熟年離婚と同義であろうが、「男捨離」という造語からは何かしら肯定的な印象を受ける。
 最近、男性芸能人や政治家の浮気が週刊誌を賑わした。そんな男性が愛想を尽かされるのは当然だが、危険なのは男性が知らず知らずのうちに女性を怒らせているケースが少なくないこと。なんだか理由が良く分からないに妻や彼女が怒っているとの経験は、男性の多くにあるだろう。女性に言わせれば、その原因は男性の無頓着さにある、そうだ。
 妻や彼女が断捨離に夢中になっているとしたら、ひょっとして、あなたもその対象に入っているかもしれません。

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2016年08月26日

早寝早起き朝ごはん

 「就寝時刻が遅い子どもほど何でもないのにイライラする」「学校がある日とない日で起床時刻が2時間以上ずれると、授業中に眠くなりやすい」。これは文部科学省が2年前、小・中・高校生約2万3000人を対象に実施した調査で明らかになった睡眠と心身の不調の関係だ。この調査では深夜0時以降に就寝している中学生が22%、高校生が47%にのぼることも分かった。
 規則正しい生活は子ども達の健やかな成長につながる—。そう願って10年前に始まったのが「早寝早起き朝ごはん」運動だ。子ども達の生活習慣の乱れが学習意欲や体力、気力の低下の要因の一つとして指摘されていることから、食事や睡眠の乱れを家庭や子どもだけの問題として見過ごすことなく、社会全体で改善しようという取り組み。この10年間の啓発運動により睡眠や朝食の大切さが広く認知されるようになった。
 朝食を毎日食べている子どもの方が学力や体力が高い傾向にあることは調査で明らかになっているが、これは朝食で摂取するブドウ糖などの栄養素によって体や脳が午前中からしっかり活動でき、さらに「噛むこと」によって脳が覚醒し活発化することによる。
 もし、この夏、生活リズムが崩れてしまっているのなら、改めて「早寝早起き朝ごはん」を実践したい。来週は2学期のスタート。

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2016年08月24日

夏休みの子ども達

 先日、親族の小学2年生の男の子がカマキリを捕まえたと得意気に見せてくれた。公園などで虫を捕まえては自宅に持って帰り、クワガタやカナブンなどを飼育しているそうだ。昆虫に関する知識も豊富で、例えば「カミキリムシの雄と雌の見分け方は触角の長さを比較すれば分かる」と教えてくれた。
 小生も子どもの頃、虫捕りに夢中になった。夏休みのある日、友人とクワガタ捕りに熱中するあまり深夜に帰宅したときは、さすがに母に叱られたが、父は「たくさん捕れたか」と叱ることはなかった。
 昆虫採集は生命や自然の不思議を目の当たりにできる、子どもにとってかけがえのない体験になる。公園や野原に出かけて虫捕りに熱中するのは、座学よりもよほど大切ではないかと勝手に思っている。
 この夏のある日の豊公園。セミが大合唱しているというのに、セミ捕りをする子どもの姿は見かけなかった。架空のモンスター集めに熱中する大人ばかりが目立った。今の子ども達はどんな夏休みを過ごしているのだろうか。塾や習い事で忙しいのか、熱中症対策で室内にいるのか。
 毎朝、豊公園でごみ拾いをしている近藤松二さん(71)から、湖岸でごみ拾いをしている親子の話を聞かされた。夏休みの自由研究のテーマとして、ごみがどれだけ落ちているのか調べているそうだ。「嬉しそう、楽しそうに親子でごみを拾い、こちらまで気持ちが良くなった」と話す近藤さんは「ヘタな教育よりよほど良い」と絶賛していた。
 学校によっては今週末で夏休みは終わり。子ども達はどんな夏の思い出を胸に登校するのだろうか。

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2016年08月22日

プレーヤー大挙の豊公園、ポケモンGO配信1カ月

 スマートフォンの位置情報を利用し、ゲームプレーヤーが実際に外出することでモンスターを発見・捕獲するゲーム「ポケモンGO」。7月22日の国内配信から1カ月を迎えた。
 滋賀県内では、長浜市の豊公園に特定のモンスターが多数出現する「巣」があるとインターネットで紹介されていることから、プレーヤーが大挙し、スマホを手に公園内を散策している。
 公園内にはアイテムを入手できる「ポケストップ」と呼ばれる場所も複数あり、朝から深夜までプレーヤーで大賑わい。このため、駐車場は満車状態が続き、深夜になってもスマホのライトがあちこちで光っている。
 ただ、公園内を散策する多くの人がスマホの画面に目を落として無言。小さな子どもを連れた家族らが散策を楽しむ豊公園の日常風景ががらりと変化している。
 ごみの放置や、タバコの吸い殻のポイ捨てが目立ち、市民からは市に対して苦情も出ている。
 このゲームはモンスターを捕まえるためにプレーヤー自身があちこちに出掛ける必要があるというので、東日本大震災や熊本地震の被災地では地域振興に活用する動きが出ている。珍しいモンスターの出現率をアップさせて、観光客誘致と連動させたい考えだ。
 一方、鳥取県は配信3日後には砂丘を「ゲーム解放区」として宣伝し、1週間後に専用サイト「とっとりGO」まで開設。「雄大な鳥取砂丘は美しい自然のなかで、多くのポケモンたちが暮らし、皆様を待っているようです。街中と違って安全に楽しめる鳥取砂丘で(中略)、ゲットしてください」とアピールしている。夜のプレーヤーも多いことから照明を増やすなどして安全確保にも配慮している。
 配信から1カ月でどれほどの効果があったのだろうか。同県広報課は「砂丘の入場者は例年の110数%になり、砂丘前の土産物店の売上は1〜2割程度増えた」と説明している。鳥取旅行の予約状況も好調で、「お役所」らしからぬフットワークの軽さが光っている。
 今後も少なくない自治体がポケモンGOを活用した地域振興策を練り出すであろうが、電車で気軽に訪れられる豊公園も、一考の価値があるかもしれない。

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2016年08月19日

女性のスポーツ参加

 リオ五輪のレスリング女子は48㌔級で登坂絵莉選手、58㌔級で伊調馨選手、63㌔級で川井梨紗子選手、69㌔級で土性沙羅選手が金メダルを獲得。日本勢が全6階級のうち4階級を制覇した。
 また、18日のバドミントン女子ダブルス決勝で、高橋礼華・松友美佐紀ペアがデンマーク代表を下し、バドミントンとしては日本初の金メダルを獲得した。
 18日までに日本が獲得した金メダル12個のうち7個が女性選手の目覚しい活躍によるものだが、五輪の参加国を見渡すと女性のスポーツが制限されている国があることがうかがえる。
 例えば、イスラム教の中でも特に戒律に厳しいワッハーブ派を国教とするサウジアラビアは、女性の自動車運転を禁止するなど、日本人の感覚からすると女性の権利がひどく制限されているように思えるが、スポーツも例外でなく、観戦のためにスポーツ施設に立ち入ることさえ禁止されている。五輪も同様だったが、「女性蔑視」との国際批判をかわすためか2012年から女性選手の出場を認めている。今大会では4人が出場している。しかし、同国の女性をとりまくスポーツ環境は制限されたままだ。
 リオ五輪で小さいながらもニュースになったのは、バレーボール男子の観客席でイラン人の女性活動家が女性のスポーツ観戦を認めるよう訴えるメッセージを掲げ、大会運営者から退場を迫られた騒ぎだ。イランもサウジアラビア同様に女性のスポーツ観戦を禁じており、活動家は「イランの女性をスタジアムに入れさせて」と英語で書いた幕を掲げて国際世論に訴えた。運営者側は五輪会場で禁じている「政治宣伝」にあたると判断して退場を要求した。
 印象に残ったのはビーチバレー女子のドイツ対エジプトの試合。ドイツ選手がビキニなのに対して、エジプト選手は全身を覆ったユニフォーム姿。これは女性が肌を露出することを禁じたイスラムの教えに由来するものだが、ビーチバレーはビキニなどの水着でプレーするという先入観、常識を覆してくれた。両国選手の対照的なユニフォームは、五輪という異文化のスポーツ競演に相応しい姿だった。

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2016年08月17日

五輪の帰化選手

 リオ五輪はきょう17日を含めてあと5日間。16日(現地時間)までに金メダルを獲得した日本勢は柔道3個、体操2個、競泳2個の計7個。銀メダルは競泳2個、柔道1個、レスリング1個の計4個。銅メダルは柔道や卓球など18個。
 国別の金メダルはアメリカが28個と飛び抜け、イギリス19個、中国17個と続く。日本はフランスやオーストラリアと並んで8番目。
 米原市出身の2選手が出場したホッケー女子日本代表は4敗1分けで予選突破はならなかった。陸上100㍍に出場した彦根市出身の桐生祥秀選手は予選で敗退したが、400㍍リレーに期待したい。
 テレビに釘付けとなったのは卓球だった。男子団体はエース水谷隼選手の目覚しい活躍で、準決勝でドイツを下し、男子団体としては初のメダルを確定させた。18日午前7時30分(日本時間)から王者・中国との決勝に臨む。
 卓球女子団体の試合は祈るような気持ちを込めて見入った。準決勝でドイツに接戦のすえ敗れた日本は銅メダルをかけてシンガポールと対戦。第1試合で福原愛選手が敗れたものの、第2試合はエース石川佳純選手が快勝。第3試合のダブルスでは福原選手が15歳の伊藤美誠選手を励まして接戦を制した。そして、第4試合は波に乗る伊藤選手が相手を圧倒し、銅メダルをもたらした。
 卓球女子団体戦で違和感を覚えたのは、対戦相手が中国系ばかりだったこと。団体戦は選手3人が出場するが、初戦のポーランド戦は中国系1人、準々決勝のオーストリア、準決勝のドイツはそれぞれ中国系2人だった。そして3位決定戦のシンガポールは選手全員が中国系で、「それで良いのか、シンガポール」と疑問を投げかけたくなった。結局、日本が対戦した4カ国の代表選手12人のうち、8人が中国系だったわけだ。
 これは、中国であぶれた有能な選手が第3国にエース級で迎え入れられ、帰化することによる。これは卓球に限ったことではなく、陸上では南米やアフリカの帰化選手が活躍している。身近な例では、タレントの猫ひろし選手がカンボジアに帰化し、マラソン選手としてリオ五輪に出場する。
 その道を極めたいと願う選手にとって、少しでも良い環境で練習でき、五輪という大舞台に立てるのならば、国籍変更は手段でしかなく、「強くありたい」「国際舞台に立ちたい」との純粋な思いが帰化のハードルを下げている。もちろん、受け入れ国側にも自国のスポーツの強化につなげたいとの計算が働いている。
 愛国心を鼓舞する国別対抗のスポーツ祭典であるオリンピックでさえ国籍の概念があいまいになっていることを思うと、「国を背負って立つ」という姿勢が色濃い日本代表選手に、より大きなエールを送りたくなる。

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2016年08月12日

71年ぶりの卒業式

 太平洋戦争末期、本土への空襲が激しくなると、都市部の子ども達は田舎へ疎開した。大阪金甌国民学校の子ども達も昭和19年から20年にかけ神照寺(新庄寺町)、金法寺(神照町)、一燈園(十里町)の3カ所で共同生活を送った。
 当時、疎開児童と交流していた高田總吾さん(85)=下之郷町=は戦後70年を機に昨年8月、疎開経験者を長浜に招いて同窓会を開いた。神照小6年生との交流会では疎開経験者が「イナゴを味噌汁に入れて食べました」「地域の方にお風呂を頂き、帰る時にはサツマイモをふかしたのを持たせてくれた」などと当時の様子を振り返った。
 この同窓会を縁に、金甌学校の同級生らが連絡を取り合い、今年3月、空襲のために中止された卒業式を71年ぶりに行ったことを、先日、高田さんから教えられた。
 さっそく、卒業式に出席した柴田登久子さん(84)=大津市=に話を聞くと、当時、長浜に疎開していた金甌学校の6年の子ども達は卒業のため大阪へ戻り、3月14日の卒業式に出席する予定だったそうだ。しかし、卒業式前日の13日から米軍による「大阪大空襲」が始まり、自宅は焼失、同級生は散り散り、学校は緊急避難所となり、卒業式は中止に。焼け出された柴田さんは親族を頼って鳥取県で生活することとなった。
 「小学4年生から運動場を畑にして、イモを作ったりしていた。勉強しなければならない時期に学べなかった」と悔やむ柴田さん。そのうえ、卒業証書を受け取れず、「小学校を卒業していない」というコンプレックスを抱き続けてきたそうだ。
 71年ぶりの卒業式は、大阪国際平和センター「ピースおおさか」が、大空襲のために卒業式がなかった当時の国民学校6年に卒業証書を贈る行事として企画。金甌学校の仲間の呼びかけで出席した柴田さんは「やっと卒業できた。やっと一人前になれた。スキップして喜びました」と話してくれた

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2016年08月10日

長崎「原爆の日」

 きのう9日、長崎は71回目の「原爆の日」を迎えた。米軍は当初、日本最大級の兵器工場がある福岡県小倉市(現在の北九州市)を原爆投下の第1目標にB29を出撃させたが、小倉上空の視界不良により投下を諦めて、第2目標の長崎へ向かった。
 小倉市民は九死に一生を得たが、代わって長崎の市民が犠牲となった。小倉上空の視界不良は煙や霞が原因で、前日の空襲による影響とみられていた。後に八幡市(現在の北九州市)の八幡製鉄所の元工員らが「コールタールを燃やして煙幕を張った」と証言し、攻撃を避けるための煙幕作戦があったことが明らかになった。小倉に代わって長崎が原爆の犠牲となったことから、煙幕作戦は長らく伏せられてきた。
 長浜市加納町の中村義昭さん(85)は1945年8月9日、学徒動員により小倉市にいた。久留米出身の中村さんは当時14歳。終戦直前になって、兵器工場の小倉陸軍造兵廠へ動員された。しかし、工場内には物資がなく、何一つ生産することなく終戦を迎えたという。
 中村さんが動員された陸軍造兵廠こそ原爆の投下標的だった。もし、投下されていれば即死は免れなかった。
 原爆の最初の目標が小倉だったこと、「天候不順」により目標が長崎に変更されたことは「当時の噂だった」という。
 福岡は兵器工場などが集中していたことから、たびたびB29に襲われていた。中村さんは「当時のことはあまり覚えていませんが、終戦記念日が近づくと、B29が空襲に来て防空壕に逃げ込んだことを思い出します。それだけが記憶に残っています」。中村さんの14歳の思い出。

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2016年08月08日

注目の女子ホッケー

 リオ五輪の日本勢は萩野公介選手が競泳男子400㍍個人メドレーで金メダルを獲得。このほか柔道、競泳、ウェイトリフティングで銅メダル計6個を獲得している。
 日本の「お家芸」の柔道は、準決勝で敗れて銅メダルを争う展開が連続した。「時の運」もあるのだろうか。メダルが期待されながらも本領を発揮できずに涙を飲む選手が相次いだ。金メダルを目指したフェンシングの太田雄貴選手はブラジル代表に敗れ、まさかの初戦敗退。メダルが期待された卓球の石川佳純選手も初戦で北朝鮮代表に敗れた。男子テニスでは世界ランク1位のジョコビッチ選手(セルビア)が世界141位のデル・ポトロ選手(アルゼンチン)にストレートで敗れる波乱もあった。
 さて、湖北では米原市伊吹地域出身の清水美並選手と西村綾加選手が出場する女子ホッケーが注目されている。旧伊吹町は1981年のびわこ国体でホッケー会場になったのを機に競技の強化に取り組み、オリンピック選手を生み出す土壌を育んできた。しかし、少子化などの影響で競技人口は最盛期から半減しており、女子ホッケーのリオでの活躍は競技再興の起爆剤となりうる。
 目下、6チームで争っているリーグ戦で上位2チームに入って準決勝進出となれば、メダルの射程圏内となる。初戦は世界ランク10位の日本が13位のインドと引き分ける結果となった。8日(日本時間9日)の世界2位アルゼンチンとの戦いがリーグ突破の最大の難関となるが、強いチームや選手が勝つとは限らないのが五輪。是非とも強豪を打破してホッケー人気を盛り上げて欲しい。

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2016年08月05日

異文化を知る

 たとえ短期間でも海外に身を置くと、日本との文化や風習の違いを体感できるのが面白い。
 今回のホーチミン観光でいえば、空港に降り立った際に待ち構える白タクと客引きタクシーの数々。これはホーチミン市に限らず、外国の空港ではありふれた光景だが、ぼったくり目当ての悪徳ドライバーが含まれているのが悩ましい。日本でタクシーを利用していてメーターの回転が異常に早いなどのぼったくりに遭うケースはまずありえないだろう。
 安宿のあるホテル街周辺はごみが散乱し、悪臭が立ち込めていた。慣れれば気にならないのだが、現地在住の日本人は「ごみ箱があるのに、彼らはごみを路上に捨てる。ごみ箱を使うという習慣が定着していない」と指摘していた。
 交通ルールはどれ程徹底されているのか不明で、バイクや車を「我先に」と走らせるから終日クラクションの嵐。おまけに信号も少なく、交差点の騒音はひどい。
 インターネット環境は充実し、どんな店でもWiFiを利用できた。これは日本も見習うべきだろう。ただし、共産党を唯一の合法政党とする一党独裁の国とあって、フェイスブックなどのSNSが突然遮断されることがある。最近でも反中デモの暴徒化を防ぐため、一時、遮断されたそうだ。また、共産党を宣伝するプロパガンダ看板があちこちに設置されているのも、民主主義国でないことを実感させた。
 小生が気になったのは働き方だ。日本人のようにあくせく働くことなく、特に男性が平日の昼間からカフェでのんびりおしゃべりする姿を見かけた。現地ガイドによると女性は勤勉で、男性は怠け者というのが一般的な評価で、仕事に対する姿勢も、与えられた仕事はこなすが、その後は指示がない限り怠惰をむさぼるそうだ。この傾向がどの程度のベトナム人労働者にあてはまるのかは不明だが、仕事最優先の日本とは大違いで、プライベートな時間を存分に楽しんでいそうだった。

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2016年08月03日

ゲリラのトンネル

 海外旅行で主要都市に滞在した際、近隣の観光スポットを訪れるには現地で募集するツアーが手軽。ホーチミン発は南ベトナム解放民族戦線(いわゆるベトコン)が築いた地下トンネルなどを体験する「クチトンネルツアー」、メコン川流域を船などで巡る「メコンデルタツアー」が人気で、クチトンネルは日本語ガイド付きで20㌦、メコンデルタは30㌦程度。英語ガイドならいずれも10㌦前後と格安だ。時間があればバスに12時間揺られて隣国カンボジアの古代寺院「アンコールワット」を訪ねる3泊4日のツアーも準備されており、こちらは300㌦程。
 ホーチミンの北西70㌔にあるクチ県のトンネルはホーチミンを訪れる旅行者なら必ず訪れる場所で、ベトコンがいかにゲリラ戦を展開して米軍を打ち負かしたのかを学べる。ジャングルの中にトンネルが掘られ、ベトコンが身を隠す穴、アメリカ軍を狙った落とし穴があちこちにある。急襲しては姿を消し、そして落とし穴に誘い込み、世界最強の軍隊を翻弄した。
 クチのトンネルはクモの巣のように広がり、全長は250㌔に及ぶ。作戦本部や会議室、宿泊施設のほか、食堂や病院、学校などがあり、芝居上演も行われたそうだ。このトンネルの中で生活したのはベトコンであり、村人だった。昼は米軍の爆撃から逃れるためにトンネルに身を潜め、夜は地上で農作物を作り、米軍が現れると鍬や鋤を銃に持ち替えて戦った。
 「どこにもいないが、どこにでもいる」と恐れたベトコンのゲリラ戦に、米軍はジャングルに枯れ葉剤を撒いて土と水を汚染し、また、ベトコンとの区別がつかない村人を殺害し、世界中で反戦運動を招くことになった。
 ツアーでは実際に隠し穴やトンネル内を体験できる。小生の体験したトンネルはとても狭くて湿気があり、屈まなければ先に進めない。20㍍も進めば全身から汗が噴き出し、腰と膝に負担がかかるのが分かる。「もっと長いトンネルはいかがですか」と勧めるガイドに笑顔がこわばった。
 ベトコンが地の利を生かしていかに米軍を翻弄したのかガイドは得意げに説明したが、村人があの息苦しい空間の中で何年も米軍の空爆に耐えて生活しなければならなかった不幸を思うと、大国が小国を蹂躙した陰惨な歴史から目を背けたくもなった。
 ベトナムは各地に戦争の傷跡が残っており、人類の負の歴史を学ぶ観光地として訪れておきたい国のひとつだ。

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2016年08月01日

ベトナムのしたたかさ

 中国による1000年以上もの支配、そしてフランスによる70年間の植民地化、米国とのベトナム戦争、中越戦争と、苦難の道のりを歩んできたベトナム。目下の危機は中国による南シナ海支配となっている。
 「九段線」という境界線を一方的に設定し、南シナ海全域に主権や権益が及ぶという中国政府の主張は、オランダ・ハーグの国際仲裁裁判所の裁定によって否定された。しかし、中国政府は「紙くず」と切り捨て、自国の利益のためには、国際法を順守する気など毛頭ないことを世界に発信した。
 さて、その九段線はベトナムの目の前に広がる海にも引かれ、ベトナム政府、国民の反発を招いている。2年前には西沙諸島の海域に中国が石油採掘施設を整備したことに、ベトナム国内で激しい抗議運動が起き、中国人が死亡する事件が発生している。
 今度の仲裁裁判の裁定を受けて、国内では再び反中感情が高まり、デモが発生した。また、「九段線」を支持する中国人俳優が出演するテレビドラマの放送が打ち切られるなどしている。
 とはいえ、ベトナムにとって中国は最大の貿易相手であり、1対1の真っ向からの対立は避けたいのが本音。今年5月にはオバマ大統領の訪問を受け入れ、南シナ海問題を話し合い、武器禁輸解除を引き出した。同じく5月に日本の岸田文雄外務大臣の訪問を受け、南シナ海問題を共有。ベトナムの海上警備能力を高めるための日本の巡視船の供与など、防衛協力の拡大で一致した。
 ベトナムは米国や日本に対中包囲網のイニシアティブを取るように促しているわけだが、これはベトナム戦争時に、社会主義陣営の北ベトナムが中国とソ連の双方に支援を競わせた戦略を彷彿とさせる。大国に翻弄されながらも、中国やアメリカに戦争で敗れることがなかったのは、そのしたたかさに由来するのかもしれない。

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