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2016年07月29日

ベトナムの農産物

 ベトナムは料理が美味しい国として旅行者からの人気が高い。中華の影響を受けながら、生野菜や香草を使ったヘルシーな品が多く、代表的料理は、フォーとゴイ・クォンだろうか。フォーは米粉麺を使ったラーメンのような料理で、具材やスープによって「フォー・〇〇」という具合に名前が異なる。注文するとフォーの入った器に、香草やライムがどっさり入ったお皿が添えられる。香草を好みの量だけちぎって入れ、ライムを絞るのが一般的な食べ方だ。ゴイ・クォンは生野菜やエビ、ビーフンなどをライスペーパーで包んだ料理で、日本では「生春巻き」として親しまれている。さっぱりとした清涼感のある味が高温多湿の中でも食欲をそそらせる。
 どちらの料理も米を原料にしているのが共通点で、紅河やメコン川が流れるベトナムは世界有数の米の産地だ。生産量は世界5位(中国が1位、日本は10位)を誇り、国内消費量は日本の3倍近い。輸出はインドに次ぐ世界2位となっている。年間通じて平均気温が25〜30℃という温暖な気候から、北部の紅河デルタで二期作、南部のメコンデルタで三期作が行われているのが、米どころの理由だ。国内の労働者の4〜5割が農業に従事しているが、田植えも刈り取りも人力が主流で、機械化の導入が同国の農業課題となっている。
 ベトナムの農産物のうち、あまり知られていないのがコーヒーの栽培。輸出はブラジルに次ぐ世界2位で、日本の缶コーヒーにも使われている。フランス人がベトナムを植民地化した際、気候がコーヒー栽培に適していることから広めた。
 ベトナム人はコーヒー好きで、現地では忙しそうに働く女性を尻目に、男性がカフェのイスに座ってベトナム・コーヒーとおしゃべりを楽しむ光景が見られる。コーヒーの味は濃厚で「ブラックでも甘い」というのが一番の特徴。氷をたっぷり入れたグラスで提供されるが、すぐには飲まず少し薄まってから飲むのが日本人にはちょうど良い。

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2016年07月27日

ホーチミンのUber

 先週、ベトナム南部のホーチミン市に出かけた。3泊4日の駆け足で、メコン川流域で船に揺られたり、ベトナム戦争時の解放軍の地下トンネルを体験したり、クラクションの喧騒に包まれる街を散策したりと、東南アジアの風を感じた。
 同市を訪れたのは10年ぶりのことで、経済成長著しいというのに相変わらずの「バイク天国」。移動するのもバイク、物を運ぶのもバイクで、3人、4人乗りも珍しくない。朝夕の幹線道路はバイクで渋滞する。
 一方、ベトナム国内では自動車は年間10万台前後しか販売されていない。人口が9000万人にのぼるにもかかわらず。なぜ、ベトナム人は自動車に乗らないのだろうか。現地ガイドに尋ねると、税金や登録料が異常に高く、庶民には手が出ないそうだ。例えば日本の車を現地で取得しようとすれば価格は3倍にもなるという。輸入税や特別消費税、付加価値税など輸入だけで100%を超える税がかかり、そのうえ、登録料やナンバー交付料など取得時の費用も高額に設定されている。
 交通インフラ整備が遅れるベトナムでは、自動車が増加すれば深刻な交通渋滞を招くことから、政府が庶民に自動車の買い控えを促しているわけだ。
 目下、この渋滞対策として注目されているのが同国初の地下鉄の建設。清水建設と前田建設工業の共同企業体(JV)などが日の丸の看板の下、2020年の開業に向けて工事を進めていた。
 旅行者にとってホーチミン市内の移動手段はほぼタクシーに限定される。バイクと自動車の両方があるが、日本人観光客はぼったくりや脅しによってカモにされることが多く、現地ガイドは観光スポット周辺でタクシーを拾わないようにアドバイスしていた。おまけにホーチミン市内で信頼できるタクシー会社は2、3社程度しかないそうだ。
 ゆえに小生も現地での移動手段に頭を悩ませたが、スマートフォンで依頼できる配車サービス「Uber」(ウーバー)を利用してみた。専用アプリを使って一般車両に送迎を依頼でき、世界中でサービスが広がっている。
 ホーチミンでは、どこに居ても近くを走っているウーバー登録車両が5分以内に迎えに来てくれた。目的地はアプリの地図で指定し、スマホの画面にルートが表示されるので遠回りされることはない。決済は事前登録のクレジットカードのため、ドライバーとの現金のやり取りはない。言葉が通じなくても利用できる。おまけにタクシーよりも安い。利用後にはドライバーを5段階で評価するシステムがあり、運転や態度が乱暴なドライバーは排除されているので安心だ。
 言葉の通じない海外で旅行者の強い味方となるウーバー。ベトナムでその利便性に脱帽したが、残念ながら規制でがんじがらめの日本では東京など一部地域でしか利用できない。

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2016年07月25日

政策論争なき都知事選

 31日投開票の東京都知事選の終盤情勢は、各種世論調査によると、元防衛相の小池百合子氏がリードし、自民、公明などが推薦する元総務相の増田寛也氏が追う展開。民進、共産、社民、生活の4党が推すジャーナリストの鳥越俊太郎氏は伸び悩んでいる。
 当初は保守票が小池氏と増田氏に分裂することから、鳥越氏が選挙戦を有利に展開するとみられた。ジャーナリストとして知名度もあり、猪瀬直樹氏、舛添要一氏と続いてきたお金にまつわる醜聞に無関係と思われたからだ。しかし、小池氏とトップ争いをしているとの分析は告示間際のことで、選挙戦が進むにつれ減速している。
 要因はいくつかあるが、一つは立候補の動機を反安保法制、反原発とする一方で、都政について具体的なビジョンがないまま「これから考える」と立候補したことだ。そのうえで打ち出した「がん検診100%」という公約は、東京都が抱える課題のうち、いったいどれほどの優先順位にあるのか疑問符がつく。また、街頭演説の回数も他候補に比べ少ない。知事となれば激務が待っているが、「4年間の知事職をまっとうできるのだろうか」という心配も都民は抱いていることだろう。おまけに、週刊誌が報じる女性問題も影響している。
 一方、増田氏を立てた自民党東京都連は小池氏を意識しすぎたのか「他候補を応援すれば除名処分」との文書を配布して組織の引き締めを図ったが、親族が応援しても処分するという内容に「北朝鮮か」との批判が噴出。結果として、孤軍奮闘の小池氏へ同情票や無党派層の票が集まる結果となりそうだ。
 世界に誇れる日本の首都をリードする都知事には未来志向の感性と統治能力が欠かせないが、具体的な争点も政策論争もないまま、投票日を迎えそうな今回の選挙。各氏が3カ月前には立候補を表明し、政策を吟味・立案し、そして討論すべきだった。知名度ありきの選挙戦は余りにも薄っぺらだ。

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2016年07月22日

ゲームは進歩したが

 モンスターを集めて育成、対戦などを楽しむ日本生まれのゲーム「ポケットモンスター」(ポケモン)の最新作が夏休みに合わせて、22日からスマートフォン向けに配信されている。
 最新作の「ポケモンGO」はスマートフォンの位置情報を利用し、ゲームプレーヤーが実際に外に出ることでモンスターを発見・捕獲する。「ポケストップ」と呼ばれる重要スポットもあり、そこに立ち寄ることでアイテムを獲得できる。
 日本に先立って配信が始まっている海外ではジャスティン・ビーバーら有名人のプレイ動画が話題となったり、レアモン(希少なモンスター)の出没情報からニューヨークのセントラルパークにプレーヤーが殺到したりと、前例のない社会現象を引き起こしている。一方で、夢中になりすぎて立ち入り禁止場所や他人の庭に侵入するといったプレーヤーもいて、逮捕者も出ている。
 これらのトラブルを見越して、内閣サイバーセキュリティセンターは20日、「危険な場所には立ち入らない」「歩きスマホは×ですよ」など9項目からなる注意事項を発表。「人けのない場所での探索は避けましょう。別の意味でのモンスターがいるかもしれません」と子どもに注意を促している。同センターが特定のゲームについて注意喚起するのは初めてのことという。
 位置情報を活用してフィールドを実世界にリンクさせている点が「ポケモンGO」の画期的な点で、今後も地球を「ゲーム盤」として楽しむゲームが次々と登場することだろう。
 かくれんぼや鬼ごっこ、缶蹴り、ゴム跳び、めんこなど昭和の子ども達が楽しんだ遊びは、テレビゲームの普及や少子化によって室内へと場所を移したが、情報処理技術の進歩によって再び外へと移ることになるのだろうか。ただ、大人がスマホの画面を通して架空のモンスター探索に夢中になるニュース映像を見るたびに、何かしら複雑な気持ちになる。ゲームは進歩したが、我々はどうなのか、と。

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2016年07月20日

都知事候補に期待すること

 元防衛大臣・小池百合子氏、ジャーナリスト・鳥越俊太郎氏、元総務大臣・増田寛也氏による事実上の三つ巴の争いになっている東京都知事選で、遠く離れた滋賀から知事候補者に期待するのは、2020年の東京五輪をきっかけとした受動喫煙防止への取り組みの強化だ。
 小生はタバコを吸わないためか、その臭いに敏感だ。飲食店で美味しいご飯を食べようとしたそのタイミングで、近くの席からタバコの煙が流れてきたときは絶望的な思いになる。
 喫煙者と同じ空間で食事するのだから、どこからか煙が流れて来るのは必然なのだが、自らがくゆらせた煙の行き先に無頓着な喫煙者には呆れる。ただ、そういう周囲の環境に無頓着な喫煙者というのは、愛煙家からもマナー違反者として嫌われているそうだが。
 WHOが非喫煙者の健康被害を防ぐため、受動喫煙の防止を訴えて屋内での完全禁煙を各国に勧告したのは2007年のことだった。日本では健康増進法で受動喫煙の防止をうたっているが、罰則のない努力義務に過ぎない。ゆえに昔よりは禁煙・分煙化が進んだものの、他の先進国が飲食店や宿泊施設、公共施設など不特定多数の人が集う屋内での禁煙を強制しているのと比べると、日本の遅れが際立っている。
 国際オリンピック委員会は「タバコのない五輪」を掲げている。日本政府の動きが鈍い今、まずは招致した東京都が屋内禁煙を徹底させる条例を策定して欲しい。
 東京都が2012年に実施した世論調査では飲食店に望む受動喫煙防止対策について、禁煙が36・6%、喫煙室を設置して客席では喫煙できないようにするが33・3%、天井から床まで間仕切りした環境での分煙が24・9%、対策は必要ないが2・8%だった。
 公費による贅沢海外視察や、政治資金の公私混同で辞職に追いやられた舛添要一前都知事は2014年、飲食店などの屋内禁煙を実現すると表明したが、飲食業界などから「売上が下がる」などと批判を受けて、あっさり撤回。人気取りのための覚悟無き提案だった。
 そこで、今度の知事選に立候補している3氏には他の先進国並みの条例を期待したい。世界中のアスリートや観光客が東京を訪れるのを機に実現できれば、ドミノ式に全国の自治体に波及する。非喫煙者が煙に悩まされない「スモーク・フリー」は世界の潮流だ。

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2016年07月15日

改憲議論に期待

 民進党の岡田克也代表が14日の記者会見で、改憲議論について「私は9条改正は必要ないと明言しているが、それ以外は、なるほどと思えるものが出てくれば議論することはないわけではない」と発言した。平和憲法の9条以外については国会での議論の余地があるとの認識を示した。
 野党第一党の党首が憲法改正議論を拒否しない姿勢を示したことは、大きな前進であろう。具体的に憲法のどこをどう変えるのかという中身の議論もないまま、「賛成か、反対か」と入口の議論にとどまっていた段階を脱することになるからだ。
 そもそも戦後70年が経過した今、現行憲法にミスマッチな部分があるのならば、修正するか否かを議論するのが、国会のしかるべき姿であろう。しかし、これまでは憲法改正議論が9条改正と同義に捉えられてきたから、議論そのものが封じられてきた。
 さて、10日の参院選の結果、改憲勢力が3分の2を占めたことで、議論の活発化が期待される。戦争放棄と戦力不保持をうたった憲法9条がポイントになるのは言うまでもないが、改正は今後の自衛隊の運用に関わるだけでなく、国外に「戦前に逆戻りした」との誤ったメッセージを与えかねない。一方で、憲法学者が違憲と指摘する自衛隊の存在をどう位置づけるのかという議論も欠かせない。
 改憲の最終決断は国民投票に委ねられるが、心配されるのは、後世から見て合理的判断ができるのかという点にある。郵政選挙や政権交代選挙のように国民が「風」に流されることもある。さらに例を挙げれば、英国のEU離脱をめぐる国民投票では、離脱派の政治家が嘘を並べていたことが後に明らかになり、離脱に投じた国民から「後悔」の声が出ている。
 今後、改憲議論がどの程度、熱を帯びるのかは未知数だが、いずれ国民がこの国の将来を左右する1票を投じる時期は訪れるであろう。改憲派、護憲派のプロパガンダに躍らされることなく冷静な1票を選択しなければならない時が。

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2016年07月13日

しぼむ脱原発議論

 関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁の3月の仮処分決定について、同地裁は12日、仮処分取り消しを求めた関電の異議を退けた。これにより高浜原発3、4号機の運転停止は継続することとなった。
 3月の運転差し止めを命じた仮処分決定は、原子力規制委員会が策定した新規制基準に基づく関電の安全対策の合理性が争われた。原告側は新しい規制基準そのものに不合理性があると指摘し、同基準に沿った関電の安全対策は有効でないと主張してきた。大津地裁は福島第一原発で問題になった電源確保や、避難計画が自治体任せになっている点に疑問を投げかけ、運転差し止めを命じた。
 今回の決定でも想定を超える災害が発生した場合に備え「致命的な状態を避ける対策が必要」と、関電の主張を退けた。関電は仮処分について「合理性を欠く」と指摘し、3、4号機を「安全性が確保されている」と説明。今回の決定を「主張をご理解いただけず、誠に遺憾。到底承服できるものではない」と反発している。
 5年前の福島原発事故を教訓に脱原発の機運が国内で高まったが、現在は政府が原発を主要電源の一つと位置づけ、新しい規制基準の下、原発の再稼働を進めている。福島第一原発事故の後始末の行き先が見えず、汚染水を海中に垂れ流し、未だに9万人が故郷に帰れない状態が続いているというのに、だ。
 国民の間でも、あの頃の危機意識は消し飛び、再生可能エネルギーへの関心も低くなった。事故の後始末もできない原発を再び基幹エネルギーとする政府の方針に違和感を抱きながらも、脱原発の議論はしぼんでいる。10日の参院選でも社会保障や経済政策、憲法改正、安保法制が争点となり、原発・エネルギー政策はほとんど語られなかった。
 だが、被災地は異なる。福島民報社が参院選期間中、原発について県民世論調査を行ったところ、冷温停止中の東京電力福島第二原発について「廃炉にすべき」との回答が81・6%にのぼり、「再稼働すべき」はわずか6・9%だった。事故を起こした第一原発は廃炉が決まったが、第二原発について政府、東電は今後の方向性を示さず、県民の不安は消えない。
 政府も電力会社も、そして原発の恩恵を受ける国民も、原発事故の惨禍を知る福島県民の声に真摯に耳を傾けるべきではないだろうか。

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2016年07月06日

アベノミクスの是非は?

 参院選はいよいよ終盤戦。アベノミクスの是非が争点の一つになっているが、その成果を巡って与野党の主張は対立しており、両党の街頭演説を聴いても、どちらを信じれば良いのか、頭を悩ませる有権者も少なくないのではないだろうか。
 自民党はインターネットの特設サイトで「データで見るアベノミクスの20の成果と目標」と題して、「国民総所得36兆円増加」「企業収益過去最高70・8兆円」「21兆円税収増加」「給料3年連続で2%水準の賃上げ」「就業者数110万人増加」「有効求人倍率24年ぶり高水準」「正規雇用者8年ぶりに26万人増加」など、華々しい「成果」を列挙している。
 これに対し、民進党も公設サイトで「旧民主党政権時には、年平均で1・7%だった実質成長率は、現政権下では0・8%に下降。アベノミクスが結果を出していないことは明らか」と指摘。給与を物価上昇で割引いた実質賃金は「2010年を100とすると最近は95以下と低迷を続け、それに伴って消費も伸びていない」とし、雇用についても「非正規雇用は全体の4割を超えた。雇用は不安定になる一方」とアベノミクスを真っ向批判。
 両党の宣伝する成果や批判は、各種統計データを分析したものだが、そのデータの取捨選択によってプラスイメージにもマイナスイメージにも料理できることを知っておきたい。
 ただ、経団連などが発表する企業の業績やボーナスの額をニュースで知ると、中小・零細企業にとってどこか遠くの世界の出来事に思え、景気が良くなったとの声はここ湖北地域でもあまり聞かない。
 さて、アベノミクスは「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」を3本の矢とするが、財政出動と金融緩和はカンフル剤に過ぎず、3年も経過すれば効果は薄くなる。また、為替、株は国際情勢によって乱高下する。
 ゆえに、内需を喚起し、下支えするような経済政策が欠かせず、それが成長戦略であろう。外国人観光客2000万人突破はその目立った成果だが、成長戦略のひとつである「地方創生」は、地方に権限と金を移すことがその近道であるのに、結局は中央が手綱を引き、地方の成長戦略の自由度を阻害している。まずは、成長戦略の一丁目一番地として省庁権限の移譲と規制緩和が欠かせない。

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2016年07月04日

ISのテロ拡散

 武装集団がバングラデシュの首都ダッカのレストランを襲撃し、外国人客ら20人が死亡した。国際協力機構(JICA)の事業に携わる日本人7人も含まれていた。日本人が巻き込まれた海外でのテロ事件は、2013年にアルジェリアのガスプラントで10人が死亡した人質事件以降で最悪の規模となった。
 ダッカで1日夜に発生したテロ事件はレストランにいた外国人や非イスラム教徒が殺害された。報道によると、容疑者は7人で裕福な家庭に育った若者ら。どのような経緯でISに感化され、誰が糸を引いていたのか、分析と調査が待たれる。
 狂信者によるテロは中東から欧米やアジアに拡散している。昨年はパリで2度のテロがあり、今年は、ベルギーの空港や地下鉄で爆破や銃撃があり34人が死亡したほか、アメリカではナイトクラブで銃の乱射があり49人が亡くなった。トルコ・イスタンブールの空港爆破では36人が犠牲になっている。
 テロの標的となりやすい場所はデパートや市場など人が多く集まる場所、空港や駅などの公共交通機関、ホテルやリゾート施設、観光施設などだ。過去のテロは行政や警察、軍の機関などを標的としたが、今や恐怖と混乱を引き起こすため外国人や市民が多く集まる場を狙う。しかし、今回のバングラデシュのテロのように不特定多数の市民が集うレストランなどで、効果的なテロ対策を施すのは難しい。
 我々日本人も非イスラム教徒という理由だけで、ISに感化された狂信者のテロのターゲットにされかねない。海外を訪れる際は現地の治安情勢に注意したい。
 さて、ISはイスラム教スンニ派のテロ組織だが、エジプト・カイロにあるスンニ派の最高権威機関「アズハル」は今回のテロを受けて「無実の人々を殺害した残酷なテロ行為はイスラムの教えとは全く関係ない」との声明を発表した。イスラム教指導者がISの宗教観が誤っていることを常々発信することも欠かせない。

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2016年07月01日

手賀沼せっけん運動

 1977年に琵琶湖で発生した大規模な赤潮をきっかけに、主婦層を中心に広がった「せっけん運動」。合成洗剤に含まれる「リン」が琵琶湖の富栄養化を引き起こしているとして、天然油脂を主原料にしたせっけんの利用を呼びかける県民の蜂起だった。
 赤潮が発生する前から、赤ちゃんのおむつかぶれや主婦の湿疹などの原因が合成洗剤にあるのでは女性らが勉強会を開き、石けん利用の気運が高まっていた。
 そこで、大規模赤潮が発生した翌年、主婦層が中心となって「せっけん会議」を設立。県民に石けんの利用を呼びかけると同時に、行政や企業にリンを含む合成洗剤の禁止を訴えた。
 その結果、リンを含む合成洗剤の販売・使用・贈答の禁止や、工場排水の規制を盛り込んだ「琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(びわこ条例)が成立することとなった。
 このせっけん運動は琵琶湖と同じ水質汚濁の問題を抱える地域に広がった。
 千葉県北部に位置する手賀沼でのせっけん運動は1980年に始まった。生活排水、産業排水が流れ込み、当事、「沼の汚れは全国ワースト1」と言われるほど水質汚濁が深刻だった。
 そこで、沼周辺の3市1町の住民が合成洗剤追放運動に乗り出し、1985年には住民1万人が出資して「せっけん工場」を完成させた。近隣市町村の家庭から出される廃食油を回収し、せっけんに再生した。現在は第2工場も稼働し、バイオディーゼル燃料も作り出している。市民が共同出資するせっけん工場は全国的にも珍しいが、31年が経過した今も稼働し、生産した石けんは福祉施設や学校給食の調理場などで利用されている。また、地域住民や子ども達の環境学習の場としても活用されている。
 この取り組みは今年、日本河川協会主催「日本水大賞」の市民活動賞に輝き、先週、東京で表彰式・活動発表会が開かれた。
 高度経済成長期、経済活動を最優先した結果、河川や湖沼の水質汚濁、大気汚染などの公害を生み出した。石けん運動は自然環境を破壊すれば人間の暮らしも破壊されることに、住民自らが気付いたことよって始まった。行政やメーカーに責任を押し付けるだけでなく、住民自身が自然破壊の加害者であることを自覚し、自身の生活スタイルを変えようと取り組んだことが、今の他力本願な世相と異なる点ではないだろうか。
 滋賀のせっけん会議は後に「びわ湖会議」に衣替えし平成20年に解散したが、県民運動が行政や企業を動かし、環境保護への気運を高めたという身近な実例として、子ども達に詳しく伝えたい。

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