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観光業への圧力

 熊本地震以降、九州地方への観光客が激減していることから、28日、日本政府の音頭によって北京で中国の旅行会社向けの説明会が開かれた。九州では地震以降75万人分の宿泊がキャンセルされ、観光業が大きな打撃を受けている。政府は観光客を呼び戻すため「九州観光支援旅行券」制度を創設し、最高で2泊につき3万円の補助金を出す。この制度を7月からスタートさせる予定で、そのための説明会を北京で開いたわけだ。
 九州はその立地からアジア圏からの観光客が多く、特に中国人はその購買力からも大のお得意様。九州に限らず、日本の主要な観光地は中国の富裕層の増加と円安の影響により中国人で賑わっているが、中国一辺倒の観光施策を進めれば大やけどを被る危険性があることを肝に銘じたい。
 この5月、台湾の新しい総統に独立派の蔡英文氏が就任したが、蔡政権が中国本土と台湾が一体であるとの「一つの中国」の原則を明言しないことに、中国政府は苛立ち、外交は目下、ストップしている。
 大陸寄りの馬英九前政権は8年前の総統就任直後に中国人観光客を解禁したことで大陸からの観光客が大挙し、現在は外国人観光客の4割を中国人が占めている。しかし、昨年から中国人観光客の減少が始まった。蔡政権誕生を阻止するため中国政府が国内の旅行業者に圧力をかけたというのが、台湾の観光業界の声だ。
 かつて、尖閣諸島の近海で発生した中国漁船衝突事件で、中国政府がレアアースの日本輸出を制限し、日本企業が新規調達先の開拓に追われる事態となったように、他国が思い通りにならねば「公私」の区別なく圧力を掛けるのが中国政府の外交手法だ。南シナ海で中国と領有権問題を抱えるフィリピンやベトナムなどの東南アジアの国々も、同じような圧力を受けてきた。
 今、日本は空前の中国人「爆買い」ブームを迎え、中国人向けに衣替えする観光地や商業地が増えたが、習近平国家主席のひと声で閑古鳥が鳴くことを忘れてはいけない。

2016年06月29日 16:48 |


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