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旅育のススメ

 「可愛い子には旅をさせよ」は、我が子を親の元で甘やかすのではなく、旅を通して世間の厳しさを体験させよという故事。「旅」が行楽ではなかった時代の教えであり、現代人が「旅」という文字をそのまま受け止めるのは誤りではあるが、行楽でもあっても、親を頼れない環境で生き抜く力や社会性を身につけさせるような旅なら、子育ての一環として歓迎されよう。
 「旅育」なる造語がある。「たびいく」と読み、旅行を単なる観光地巡りとせずに、子どもの心身を成長させるきっかけの一つとして位置づける考え方だ。もちろん、子どもが小さい場合は保護者同伴の旅行が基本となる。
 旅育のポイントは「どこへ行くか」ではなく、「何をするか」であろう。大切なのは旅の計画作りや準備を、子どもに積極的にやらせること。旅行は計画が楽しいのだから。旅先では保護者がすべて面倒を見るのではなく、子どもに役割を与える。例えば、切符を買う、食事の場所を選ぶなど。子どもにとって初めての経験ばかりで、きっと頭の中はフル回転することだろう。
 旅育の定番は「体験型」だ。特に都市部の家族にとって田舎体験は人気だ。野菜や果物を収穫し、石窯でピザを焼いたり、川で魚を捕まえて塩焼きにして食べたり。
 大手旅行会社も一般家庭では実現できないような魅力満載の体験ツアーを企画している。沖縄での漁、種子島宇宙センターの見学、化石発掘体験などがあり、子ども達が全国の仲間と寝食を一緒にするツアーも人気だ。
 中には旅費が10万円を超えるものもあるが、少子化によって教育資金が豊富なこと、共働きによって子どもを旅行に連れてゆけないことが背景にあり、貴重な体験をさせられるツアーは値段が高くても人気だ。
 琵琶湖や伊吹山という自然資産を持ち、農家が多いこの湖北地域は旅育にもってこいかもしれない。伊吹山に登り、姉川で水遊びし、琵琶湖でカヌーを体験—。農村部で増える空き家は「民泊」の拠点にする。都市部の子ども達が大自然に触れ心身を成長させる機会を提供すると同時に、自然豊かな湖北地域の暮しを広く発信する切り口の一つとして、旅育について考えたみたい。

2016年06月28日 16:37 |


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