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遠のく財政再建、消費増税の延期

 来年4月に予定されていた消費税率の10%への引き上げが2年半延期されることとなった。「アベノミクス」と騒がれる割には景気の好循環が実感できない中、増税による消費の冷え込みが景気を悪化させると懸念されるためだ。
 国民の多くが増税延期に安堵するだろうが、財政健全化への道はより遠くなった。
 平成28年度の国の財政を振り返ると、予算規模は96・7兆円で過去最大。しかし、所得税や法人税、消費税などの税収は約57・6兆円に過ぎない。全体の3分の1にあたる34・4兆円を借金に頼っている。つまり将来世代への負担だ。
 一方、歳出は借金返済にあてる国債費が23・6兆円を占め、福祉関連の社会保障費が約32兆円にのぼる。今後の少子高齢化に伴って、税収の落ち込みと社会保障費の拡大という二重苦が懸念されるところである。
 以上のような危機的な財政状況を少しでも改善する手段が増税だが、法人税を減税する一方で、消費増税を2度にわたって延期することに、政府の覚悟の無さがうかがえる。
 安倍首相は2020年にプライマリーバランスの黒字化を公言している。プライマリーバランスとは税収だけで歳出(借金返済分を除く)をまかなえているのかを示す指標で、黒字なら借金が減少し、赤字なら借金が膨らむことを意味する。今の日本は1992年以降赤字続きで、2016年度は約10・8兆円の赤字。あと4年で10兆円余りの差額をどうやって埋めるというのだろうか。経済好循環を持続させて税収増で赤字を解消するのが、政府にとっても国民にとっても万々歳ではあるが、世界経済の状況を見ても劇的好転は見込めない。増税を見送った今、黒字化は不可能だろう。
 さて、財務省は国民に財政状況を知ってもらうため、公式サイト「日本の財政を考える」を立ち上げた。そこに財務大臣となって財政を立て直すシミュレーションゲームがある。社会保障や公共事業、教育、税制など11分野で国民の声を聞きながら予算を増減させてプライマリーバランスの黒字化を目指す。現実では不可能だが、社会保障費を30%カットする選択肢も用意されており、黒字化は難しくない。子どもでも遊べるように単純化されている。
 親世代、祖父母世代の借金を背負わされる今の子ども達にもゲームを通して現実を知って欲しいところ。

2016年06月01日 16:05 |


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