滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2016年06月29日

観光業への圧力

 熊本地震以降、九州地方への観光客が激減していることから、28日、日本政府の音頭によって北京で中国の旅行会社向けの説明会が開かれた。九州では地震以降75万人分の宿泊がキャンセルされ、観光業が大きな打撃を受けている。政府は観光客を呼び戻すため「九州観光支援旅行券」制度を創設し、最高で2泊につき3万円の補助金を出す。この制度を7月からスタートさせる予定で、そのための説明会を北京で開いたわけだ。
 九州はその立地からアジア圏からの観光客が多く、特に中国人はその購買力からも大のお得意様。九州に限らず、日本の主要な観光地は中国の富裕層の増加と円安の影響により中国人で賑わっているが、中国一辺倒の観光施策を進めれば大やけどを被る危険性があることを肝に銘じたい。
 この5月、台湾の新しい総統に独立派の蔡英文氏が就任したが、蔡政権が中国本土と台湾が一体であるとの「一つの中国」の原則を明言しないことに、中国政府は苛立ち、外交は目下、ストップしている。
 大陸寄りの馬英九前政権は8年前の総統就任直後に中国人観光客を解禁したことで大陸からの観光客が大挙し、現在は外国人観光客の4割を中国人が占めている。しかし、昨年から中国人観光客の減少が始まった。蔡政権誕生を阻止するため中国政府が国内の旅行業者に圧力をかけたというのが、台湾の観光業界の声だ。
 かつて、尖閣諸島の近海で発生した中国漁船衝突事件で、中国政府がレアアースの日本輸出を制限し、日本企業が新規調達先の開拓に追われる事態となったように、他国が思い通りにならねば「公私」の区別なく圧力を掛けるのが中国政府の外交手法だ。南シナ海で中国と領有権問題を抱えるフィリピンやベトナムなどの東南アジアの国々も、同じような圧力を受けてきた。
 今、日本は空前の中国人「爆買い」ブームを迎え、中国人向けに衣替えする観光地や商業地が増えたが、習近平国家主席のひと声で閑古鳥が鳴くことを忘れてはいけない。

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2016年06月28日

旅育のススメ

 「可愛い子には旅をさせよ」は、我が子を親の元で甘やかすのではなく、旅を通して世間の厳しさを体験させよという故事。「旅」が行楽ではなかった時代の教えであり、現代人が「旅」という文字をそのまま受け止めるのは誤りではあるが、行楽でもあっても、親を頼れない環境で生き抜く力や社会性を身につけさせるような旅なら、子育ての一環として歓迎されよう。
 「旅育」なる造語がある。「たびいく」と読み、旅行を単なる観光地巡りとせずに、子どもの心身を成長させるきっかけの一つとして位置づける考え方だ。もちろん、子どもが小さい場合は保護者同伴の旅行が基本となる。
 旅育のポイントは「どこへ行くか」ではなく、「何をするか」であろう。大切なのは旅の計画作りや準備を、子どもに積極的にやらせること。旅行は計画が楽しいのだから。旅先では保護者がすべて面倒を見るのではなく、子どもに役割を与える。例えば、切符を買う、食事の場所を選ぶなど。子どもにとって初めての経験ばかりで、きっと頭の中はフル回転することだろう。
 旅育の定番は「体験型」だ。特に都市部の家族にとって田舎体験は人気だ。野菜や果物を収穫し、石窯でピザを焼いたり、川で魚を捕まえて塩焼きにして食べたり。
 大手旅行会社も一般家庭では実現できないような魅力満載の体験ツアーを企画している。沖縄での漁、種子島宇宙センターの見学、化石発掘体験などがあり、子ども達が全国の仲間と寝食を一緒にするツアーも人気だ。
 中には旅費が10万円を超えるものもあるが、少子化によって教育資金が豊富なこと、共働きによって子どもを旅行に連れてゆけないことが背景にあり、貴重な体験をさせられるツアーは値段が高くても人気だ。
 琵琶湖や伊吹山という自然資産を持ち、農家が多いこの湖北地域は旅育にもってこいかもしれない。伊吹山に登り、姉川で水遊びし、琵琶湖でカヌーを体験—。農村部で増える空き家は「民泊」の拠点にする。都市部の子ども達が大自然に触れ心身を成長させる機会を提供すると同時に、自然豊かな湖北地域の暮しを広く発信する切り口の一つとして、旅育について考えたみたい。

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2016年06月24日

参院選の序盤情勢

 自民党が単独過半数をうかがい、民進が苦戦、共産が躍進—。参院選の序盤の情勢を各メディアが伝えている。
 読売、朝日、そして共同通信の世論調査では多少の差異はあるものの、与党が安定した戦いぶりを見せているようだ。自民やおおさか維新の会などの改憲勢力が国会発議に必要な3分の2をうかがう情勢だ。
 参院選の勝敗を決する32の1人区では自民優勢の傾向であるものの、野党共闘の効果が出ている区もある。前回の参院選では31の1人区で自民は29勝している。しかし、今回は劣勢に立たされている区もある。野党共闘によって「死に票」が減ることにも由来しよう。
 さて、民進党現職・林久美子候補と自民党新人・小鑓隆史候補の事実上の一騎打ちとなっている滋賀選挙区(改選議席1)の情勢はどうだろうか。朝日は小鑓候補について「やや先行」、共同通信も「先行」と表現し、林候補が後を追う展開としている。一方、読売は林候補と小鑓候補が「激しく競り合う」としている。
 ちなみに、長浜の川島隆二県議の実姉、自民新人・山本佐知子候補は三重選挙区(改選議席1)で民主現職・芝博一候補と対決。読売は「横一線の戦い」、共同は「激しく競り合う」と伝え、朝日は芝候補が「やや有利」と伝えている。三重は民進党・岡田克也代表のお膝元であり、与野党対決が最も激しい選挙区の一つでもある。
 各陣営が一喜一憂しているであろう各メディアの世論調査の結果は以上のとおりだが、投票日(7月10日)までは2週間以上ある。2年前の県知事選のように情勢がひっくり返る可能性もある。投票先を決めた人も、決めていない人も、政党や候補者の掲げる政策やこれまでの実績を見極め、世論調査の結果に振り回されることなく、自身の願いや思いを投票行動として表現したい。

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2016年06月22日

参院選公示

 参院選が公示された。改選議席1の滋賀選挙区は与野党による事実上の一騎打ちとなる。
 争点は経済政策や社会保障制度のあり方、憲法改正などが主に挙げられるが、安倍晋三首相の率いる現内閣を支持するのか否かに、投票行動は集約されるのではないか。安倍首相を支持するなら与党に、首相にノーを突きつけるのならば野党に投票すれば良い。「自民に任せられないが、民進や共産も支持できない」という有権者にはおおさか維新の会などの「第3極」という選択肢が欲しいところだが、滋賀選挙区では維新は候補擁立を断念している。
 目下、民進の林候補と自民の小鑓候補が横一線で競っているとの分析がもっぱらだが、選挙戦を通してどちらがリードするのだろうか。
 直近に行われた国政選挙、2014年12月の衆院選から各政党の得票数を振り返りたい。
 比例代表の投票は約59万票。得票の多い順に政党を並べると、▽自民党20万2352票▽民主党(現・民進党)13万5324票▽維新の党10万8748票▽共産党6万7057票▽公明党5万1874票▽次世代の党9383票▽社民党7713票▽生活の党5621票▽幸福実現党2978票となる。
 与党の自民、公明を合わせると25万4226票となり、共闘の民進、共産、社民、生活を合わせると21万5715票となる。野党が共闘しても与党に4万票近く離されていることが分かる。そこで焦点となるのが維新の票の10万票。維新の支持者が自・公寄りなのか、民・共寄りなのかが分析のポイントとなろう。
 以上は比例代表の得票ゆえ選挙区にそのまま当てはまらないが、各政党が県内でどれほど支持を集めているかを知る手がかりとなる。
 選挙は7月10日までの長丁場。各政党が公約を発表しているのでじっくりと研究し、候補者の訴えに耳を傾け、政治参加を実感する数少ない機会として大切にしたい。

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2016年06月20日

公示迫る参院選

 参院選の公示(22日)を前に新聞各社が世論調査の結果を伝えている。
 朝日が週末に実施した調査では、比例区の投票先は自民38%、民進15%、公明7%、共産6%、おおさか維新の会4%などとなった。読売が17日から19日に実施した調査でも、比例区の投票先は自民35%、民進12%、公明7%、おおさか維新の会7%、共産4%となった。自民が他を突き放してリードしている結果となり、両紙ともに自民と民進の差は23ポイント。
 朝日は「自民党だけが強い勢力を持つ今の状況」について質問し、「よくないことだ」(59%)が「よいことだ」(23%)を大きく上回った。さらに、「今の野党が自民党に対抗できる勢力になることを期待するか」との質問に、「期待する」(59%)が「期待しない」(32%)を上回った。
 有権者の多くが自民一強を好ましいとは思わず、野党の成長を期待していることをうかがえる結果だが、比例の投票先を見る限り、野党はその期待に応えられていない。
 政権交代が可能な選挙を実現するために導入された小選挙区制度だが、野党が成長しない結果、自民一強を補完することとなっている。
 そこで今回の参院選では野党4党が共闘し統一候補を立てることとなったが、「評価する」(40%)が「評価しない」(36%)を上回っている(読売)。与党が「選挙目当ての野合」と批判するほど、国民の支持を得られていないわけではなさそうだ。
 比例区は有権者それぞれが支持政党に入れるから、選挙でも世論調査と大差のない傾向となるが、自・公の与党と、民・共を軸とする野党連合の一騎打ちとなる選挙区1人区ではそれぞれの地域事情もあり、与党が常に優勢とは限らない。
 滋賀の場合は一昨年の知事選で元民主党衆院議員の三日月大造氏が当選したように、革新系が飛躍する素地がある。他の多くの1人区で自民候補が選挙戦を優勢に戦いそうな気配の中、滋賀は自民新人と民進現職による接戦となる模様だ。
 さて、有権者が政治に求める政策は、社会保障の充実や景気回復、雇用環境の改善など、身近な生活そのものである。それらの声を国政に届ける機会の一つが選挙であり、特に子育て支援など若者世代向けの政策を充実させるには、今回から選挙権を獲得した18歳と19歳をはじめとする若者が積極的に投票することが大切だ。若者の投票率が上昇すればするほど、政党は彼ら彼女らの声を聞かざるをえないのだから。

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2016年06月17日

EU残留か、離脱か

 イギリスは欧州連合(EU)から離脱してしまうのだろうか。EUからの離脱の是非を問う国民投票が23日に迫る中、最新の世論調査では離脱への支持が伸びている。もし、本当に離脱となれば、ロンドン発の金融市場の混乱をはじめ、景気の後退、そしてEU崩壊の火種になりかねないと、イギリスを取り巻く国々は危機感を募らせている。リーマン・ショックのような金融危機が発生しないとも限らない。
 残留か、離脱か、その争点は経済政策と移民問題が主だ。キャメロン首相ら残留派は離脱によるリスクを強調し、離脱派はEU圏域を通じて流入する移民が英国民の仕事を奪っていると訴え、テロ危機と合わせて離脱を呼びかけている。
 各新聞社の世論調査によると離脱派がややリードしている情勢で、このまま国民投票を迎えればEUからの離脱が現実味を帯びることとなる。
 EUはそれぞれ主権を持つ民主主義国家の集まりで、欧州市民の平和と繁栄、自由の保障などを目指している。2度の大戦を含め、隣国同士が争ってきた戦争の歴史に終止符を打ち、平和と共存を図るための仕組みでもある。
 6カ国で設立した国際機関「欧州経済共同体」(EEC)を前身に、現在は28カ国が加盟。人口は5億人を超える。一国の政府と同じように直接選挙で選ばれる議会、EU加盟国の大統領や首相で構成する理事会があり、政策執行部門として委員会がある。もちろん法律も存在する。
 加盟国の連携の下、平和と繁栄を追求するその理念は崇高ではあるが、加盟国が増えすぎたためか、ひずみが生まれている。経済力や社会保障制度の格差が歴然と存在するまま、グローバル化を進めた結果、連合内でも「勝ち組」「負け組」の国が生まれた。EU加盟の恩恵が実感できない国の国民から離脱を求める声が出てくるのは当然かもしれない。
 英国の離脱派の主張は分かり易く言えば「主権を取り戻そう」であろう。グローバル化は今の世の「流れ」でもあるが、それが自国の主権と独立を守るうえで果たして「正解」なのか。TPPを交渉する日本としてもよく考えたい。

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2016年06月15日

都知事の辞職、再び

 舛添知事は都民や議会の信頼を失った以上、謝罪して辞職するしかなかった。
 266万円のファーストクラスを利用し、ホテルは1泊20万円のスウィートルームという「贅沢」な海外出張が批判を集めたのをきっかけに、公金や政治資金の使い方が厳しくチェックされたわけだが、ほぼ毎週末、神奈川県湯河原町の別荘に公用車で通っていたり、家族旅行のホテル代や私的な飲食費を政治資金の収支報告書に計上したり、自宅を事務所にして家賃をファミリー企業に支払ったりと、その公私混同ぶりが明らかになった。
 しかし、「贅沢」との批判に、舛添知事は記者会見で「トップが二流のホテルに泊まりますか?」「恥ずかしいでしょう」と余裕しゃくしゃくだった。確かに日本の首都を統べるトップがセキュリティーの甘い二流、三流のホテルに宿泊しているようでは心もとないが、都民の目に「贅沢すぎる」と映ることが問題なのだから、丁寧な説明が必要で、「恥ずかしいでしょう」などと開き直るべきでなかった。この発言が都民の怒りを買い、問題が深刻化する着火点となった。のちに公私混同の問題について「不適切だが違法性は無い」との弁護士の見解を盾にしたことも反感を買った。
 政治資金規正法は政治家の収入と支出をオープンにすることで政治の清潔化を促すためにあるが、支出については株式や不動産でもない限り、何に使おうが法律上の問題はない。極端に言えば、個人的な遊興費に政治資金を使っても収支報告書に正しく記載すれば、「遊興も政治活動の一環だ」と開き直れば良い。「ザル法」とも呼ばれるゆえんだ。
 猪瀬前知事の場合は5000万円をこっそりもらって収支報告書に記載しなかったことから政治資金規正法違反であり、あっけなく辞職に追い込まれた。
 都知事が2代連続して金にまつわる醜聞で辞職に追い込まれたが、ザル法を放置すれば同様の問題を誘引するのは目に見えている。

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2016年06月13日

アメリカの病巣

 LGBTという表現がずいぶんと定着した。「レズビアン」(女性同性愛者)、「ゲイ」(男性同性愛者)、「バイセクシュアル」(両性愛者)、「トランスジェンダー」(心と体の性の不一致)の頭文字をとった造語で、一般的に性的少数者を表現する場合に用いられる。
 世の中にどれほどの性的少数者がいるのだろうか。博報堂DYグループのシンクタンク、LGBT総合研究所が全国の20〜59歳の10万人を対象にしたインターネット調査では、有効回答8万9366人のうち、LGBTに該当する人は5・9%(レズビアン1・70%、ゲイ1・94%、バイセクシャル1・74%、トランスジェンダー0・47%)という結果だった。ここに「無性愛者」(他者に性的指向を持たない層)を含めると性的少数者は8・0%になるという(6月1日、同社発表)。
 12・5人に1人は性的少数者という調査結果はにわかに信じがたい。12万人規模の長浜市民に置き換えると9600人もが該当することとなるからだ。ただし、彼ら彼女らが偏見を恐れてカミングアウトしていないだけかもしれない。
 そんなLGBTを標的にした米国史上最悪となる銃撃事件が12日未明、フロリダ州のナイトクラブで発生した。同性愛者を憎悪する男が軍事用ライフルなど複数の銃器で犯行に及んだもので、死者50人、負傷者53人にのぼっているという。
 さて、容疑者の男は両親がアフガニスタンからの移民で、自身はニューヨーク州生まれの米国籍だった。「ISに忠誠を誓った」ともされるが、問題なのは犯行に使われた銃器が合法的に購入したものだということだろう。
 銃乱射事件はアメリカをむしばむ病魔であり、もしISに感化された狂信者が無差別テロを起こそうと思えば、銃器店に足を運べばよい。
 性的少数者のために結婚を合法化するなど、「人権」の名の下に世界をリードするアメリカだが、銃規制だけはどんな悲惨な事件が起きようとも、どれだけ命が失われようとも進展しない。

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2016年06月10日

新しい元素の発見

 「水兵リーベ僕の船、七曲がりシップス、クラークか」と何やら呪文のような言葉を理科の授業で教えられたのは中学生の頃だっただろうか。
 水素(H)、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)…、と周期表の元素記号を覚えるための呪文だった。先生によって教え方は様々で、中学生なら少し赤面するような呪文もあった。
 小生は「クラークか」の最後のカルシウム(Ca)までしか覚えられず、これは原子番号の20番目にあたる。
 元素は「これ以上分解できない物質」を指し、自然界に存在するのは原子番号92番のウランまで。93番のネプツニウム以降は加速器などを使って合成し、現在は118番目まで発見されている。
 8日、理化学研究所のチームが発見した原子番号113番の新元素の名前が「ニホニウム」となることが明らかになった。元素記号は「Nh」となる模様だ。
 30番の亜鉛と83番のビスマスという金属の原子核を衝突させることで合成する。原子核の大きさは1000億分の1㍉というから衝突させること自体難しいうえ、衝突によって合成される確率は100兆分の1という。おまけにニホニウムの寿命はわずか1000分の2秒というから、誕生した瞬間に消滅する。600日かけてもたった3個しか作れないから、理化学研究所のチームを統括した森田浩介グループディレクター(九州大教授)は「日常生活には役に立たない」と断言している。
 しかし、周期表の元素の新発見を欧米とロシアが独占してきた中で、初めてアジアの国が名乗りをあげたことに「大きな意義がある」としている。
 「日常生活には役には立たない」—。科学者のこの言葉は面白い。物理学者の小柴昌俊氏が「ニュートリノ」と呼ばれる素粒子をとらえることに成功し、2002年にノーベル物理学賞を受賞した際にも「何の役にも立たない」ときっぱりだった。
 学術成果が社会に役立つか、経済に貢献するのかを考えるのは企業であり、科学者は目の前にある不思議な現象や、新発見の追究に情熱を注ぐに過ぎない。その姿勢が科学の基礎や土台を進展させる。
 今度の「役に立たない」研究の成果を、科学技術の恩恵に浴する一市民として大歓迎するためにも、水兵リーベ…の先、ニホニウムが登場する元素記号周期表の第7周期の呪文の早期作成を願う。

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2016年06月08日

子連れの投票可

 長浜市選挙管理委員会は7月10日の参院選にあたり、イオン長浜店に期日前投票所を設ける。投票の機会を増やすという点で、その成果が期待される。
 改正公職選挙法施行により、今度の参院選から選挙権が18歳以上へと拡大されることは広く知られているが、大型商業施設など利便性の高い場所に「共通投票所」を設置できるようになったことは、あまり知られていない。従来、選挙当日の投票は、自治体に指定された投票所(公民館や公会堂など)で行うが、自治体が共通投票所を設ければそこでも投票できるようになる。期日前投票の共通投票所は法改正以前から認められていたが、選挙当日は認められていなかった。
 選挙当日も商業施設で投票できれば便利だが、長浜市選挙管理委員会は「124カ所の投票所をネットワークでつなぐ必要があり、コストがかかる」と導入を検討していない。二重投票を防ぐためには自治体内のすべての投票所を結ぶ通信回線の整備が欠かせず、膨大な費用がかかる。このため長浜市のみならず他の自治体も検討せず、県内で選挙当日に共通投票所を設置する動きはない。
 また、法改正では投票の際に18歳未満が同伴することを可能にした。これまで同伴が可能だったのは、幼児や「やむを得ない事情がある者」だけ。小中学生の子どもを連れて投票ができないことに、有権者から疑問符がついていた。
 「同伴」と称して投票に関係のない者が投票所に入場すれば混乱の恐れがあるために設けられていた規則だが、その運用は投票所の投票管理者の判断によって柔軟に対応していたように思える。
 今回、18歳未満に限定して同伴を解禁したことで、選挙がいったいどういうものなのか、政治家がどのようにして誕生するのか、親が子に実体験として教える機会となるのではないか。政治参加の瞬間に子どもを立ち合わせ、選挙の意義を感じさせる参院選としたい。

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2016年06月06日

参院滋賀選挙区

 参院選は22日公示される。全国の1人区情勢と同じく、滋賀も自・公陣営と野党共闘陣営による事実上の一騎打ちとなる。民進現職の林久美子氏に挑むのは自民新人の小鑓隆史氏。2年前の県知事選に担ぎ出された元官僚で、知事選を通して知名度をアップさせた。自民への支持率、重厚な県内組織などを分析すると選挙を優勢に戦いそうだが、非自民系の知事が続いている滋賀の特殊事情を考慮すると、そうはいかない。林氏は知名度抜群で、6年前の選挙で31万票も叩き出している。おまけに共産党も応援に全力投球。両陣営の接戦が予想されるところだ。
 過去の参院選滋賀選挙区を振り返ってみよう。3年前は自民が30万5872票を獲得し、民主(現・民進)の16万7399票を大きく上回る圧勝だった。共産は8万6587票。民・共を合わせても自民に5万票も足りない。
 一方、6年前の参院選は民主(現・民進)が31万7756票で、自民の21万0958票に大差をつけた。共産は6万4962票。民・共を合わせると17万票もの大差を自民につけることとなる。
 「林さんガンバレ」との見出しが目を引いたのは5月29日の週刊滋賀民報だった。滋賀民報は日本共産党の機関紙「赤旗」の地方版のような位置づけで、共産の主張が紙面を飾る。そこに民進の林氏を応援する見出しがあるのだから、共産党が野党共闘にいかに前のめりなのかがうかがえる。紙面では「安倍総理の最大の問題は戦争にノスタルジーを感じていること」との林氏の発言を紹介し、安倍政権打倒を読者に訴えていた。
 他党との協調を排して独自路線を取るのが一昔前の共産のイメージだが、最近の大阪府知事選や大阪市長選で自民推薦候補を支援し、先の北海道5区の衆院補選では民進などと揃って野党統一候補の無所属新人を推した。これは従来の共産には見られない姿勢で、有権者には共産の軟化と受け取られるかもしれない。
 これまでの滋賀選挙区は事実上、自・民の一騎打ちで、共産はどうしても脇役に追い立てられていたイメージがある。今度の選挙では当落にからむ戦いに参加することとなり、「打倒!安倍政権」の鼻息はいつも以上に荒く、存在感を大いに示すこととなるだろう。しかし、それが自民を追い込み、共産、そして民進の浮上に繋がるのかというと、そう単純な話ではない。今の安倍内閣の支持率は45%で、「支持しない」(34%)=6日付朝日=を大きく上回っている。自民に対抗しうる「柱」が野党の中に育ってない以上、有権者の選択肢は限られる。

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2016年06月03日

しつけと家庭教育

 北海道の山林で5月28日夕から行方不明となっていた小学2年生の男児がきょう3日朝、無事に保護された。発見された場所は陸上自衛隊の演習場で、男児は行方不明となった28日の夜に歩いて演習場内の小屋に辿り着き、雨をしのいでいたという。この6日間、警察、消防、陸上自衛隊など延べ900人以上が捜索したが発見できず、きのう2日、合同捜索本部を解散し規模を縮小していた。
 さて、男児が山林で行方不明となったきっかけは両親が「しつけ」と称して山林に置き去りにしたことだ。両親は当初、「山菜採り中にはぐれた」と嘘の説明をしていた。この両親の言う子どもを山中に置き去りにする「しつけ」は子を大切に思う愛情の裏返しなのか、それとも激情に駆られたものなのかは不明だが、「しつけ」を理由に子どもが殴り殺されたり、衣装ケースに入れられて窒息死したり、という不憫な事件はなくならない。
 子どもを死に至らしめる「しつけ」は犯罪行為であり論外だが、どのような「しつけ」が正しいのか。子育てに悩む親にとって、それは解のない問いかもしれない。
 先日、配布された長浜青少年センターだより「ともしび」に掲載されていた「子どもを非行に走らせる一〇箇条」と題した記事が気になった。長浜署の有川昭博署長の原稿で、未成年の非行の要因を家庭とし「子どもを非行化させるコツ」として、逆説的子育て論を記している。
 例えば「欲しいと言ったら何でもすぐ買い与えよ」「子どもの間違いや失敗は理由を問わず叱り飛ばせ」「お金こそ人生のすべてであると身をもって教え込め」「子どもの前で常に法律、警察、学校、役所の悪口を言い、社会の決まりや公共機関への敵意を植え付けよ」など。
 これはある少年院が発表し、十数年前の新聞コラムで紹介されたそうだ。有川署長は青少年の健全育成の基盤は家庭にあるとし、「大人のエゴに走ることなく、いつも愛情をもって少年に接したい」と原稿を締めくくっている。

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2016年06月01日

遠のく財政再建、消費増税の延期

 来年4月に予定されていた消費税率の10%への引き上げが2年半延期されることとなった。「アベノミクス」と騒がれる割には景気の好循環が実感できない中、増税による消費の冷え込みが景気を悪化させると懸念されるためだ。
 国民の多くが増税延期に安堵するだろうが、財政健全化への道はより遠くなった。
 平成28年度の国の財政を振り返ると、予算規模は96・7兆円で過去最大。しかし、所得税や法人税、消費税などの税収は約57・6兆円に過ぎない。全体の3分の1にあたる34・4兆円を借金に頼っている。つまり将来世代への負担だ。
 一方、歳出は借金返済にあてる国債費が23・6兆円を占め、福祉関連の社会保障費が約32兆円にのぼる。今後の少子高齢化に伴って、税収の落ち込みと社会保障費の拡大という二重苦が懸念されるところである。
 以上のような危機的な財政状況を少しでも改善する手段が増税だが、法人税を減税する一方で、消費増税を2度にわたって延期することに、政府の覚悟の無さがうかがえる。
 安倍首相は2020年にプライマリーバランスの黒字化を公言している。プライマリーバランスとは税収だけで歳出(借金返済分を除く)をまかなえているのかを示す指標で、黒字なら借金が減少し、赤字なら借金が膨らむことを意味する。今の日本は1992年以降赤字続きで、2016年度は約10・8兆円の赤字。あと4年で10兆円余りの差額をどうやって埋めるというのだろうか。経済好循環を持続させて税収増で赤字を解消するのが、政府にとっても国民にとっても万々歳ではあるが、世界経済の状況を見ても劇的好転は見込めない。増税を見送った今、黒字化は不可能だろう。
 さて、財務省は国民に財政状況を知ってもらうため、公式サイト「日本の財政を考える」を立ち上げた。そこに財務大臣となって財政を立て直すシミュレーションゲームがある。社会保障や公共事業、教育、税制など11分野で国民の声を聞きながら予算を増減させてプライマリーバランスの黒字化を目指す。現実では不可能だが、社会保障費を30%カットする選択肢も用意されており、黒字化は難しくない。子どもでも遊べるように単純化されている。
 親世代、祖父母世代の借金を背負わされる今の子ども達にもゲームを通して現実を知って欲しいところ。

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