滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2016年05月30日

スモーク・フリー

 あす31日は世界保健機関(WHO)の提唱する「世界禁煙デー」、6日までの1週間が「禁煙週間」であることは、あまり知られていない。
 日本では厚生労働省が東京五輪を意識して、「2020年、受動喫煙のない社会を目指して〜たばこの煙から子ども達をまもろう」をテーマに、記念イベントなどを計画しているが、広がりはほとんどない。長浜市もポスター掲示しか行わない。国からも自治体からもやる気は感じられない。
 さて、県民の喫煙率はいったいどのくらいなのだろうか。「健康しがたばこ対策指針」(平成27年3月改定)によると、男性が38・4%(全国平均38・2%)、女性が7・4%(同10・9%)で、年々減少傾向にある。
 もちろん、たばこは大麻のように法律で禁じられているわけではないので、喫煙の自由が奪われることはない。愛煙家が健康に対するリスクと天秤にかけながらたばこを楽しむのは個人の意思による。
 問題なのは、たばこを吸わない人が煙に悩まされる「受動喫煙」。特に不特定多数が集う屋内では受動喫煙を防ぐため禁煙・分煙を徹底するのが理想だが、法律や条例による規制が整っておらず、各施設の管理者の判断に委ねられている。先進国のほとんどで飲食店や公共スペースなど屋内での喫煙を禁止しているのに対し、日本の取り組みの遅れは際立っている。
 2020年の東京五輪が受動喫煙への対策を先進国なみに進める絶好の機会となろうが、舛添要一知事の腰は引けている。
 他国では受動喫煙防止どころか、国全体で禁煙化を目指す動きもある。例えばニュージーランド政府は17年から4年間、たばこ税を毎年10%ずつ引き上げ、20年には20本入り1箱が30NZドル(約2200円)になるという。実はNZ政府は2025年までに禁煙国家になることを目標に掲げており、増税もその一環。
 愛煙家にとってこれほど住みづらい国はないかもしれないが、日本もNZほど過激にならなくとも、たばこの煙に悩まされない「スモーク・フリー」の意識が高まってほしいところ。

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2016年05月27日

出産・育児と、仕事と

 1人の女性が生涯に産むと子どもの数を示す合計特殊出生率が平成27年、1・46となり、2年ぶりに上昇した。
 出生率は第1次ベビーブーム期には4・3を超えていたが、昭和25年以降、急激に低下。その後の第2次ベビーブーム期を2・1台で推移し、昭和50年に2・0を下回ってから再び急降下。平成17年に過去最低の1・26まで落ち込んだ。
 10年前から幾分か上昇したものの、人口維持に必要な2・08には遠く及ばず、これから出産する年代の女性が減ることもあり、人口の急減は止まることはなさそうだ。
 結婚して子どもが欲しい—。そう願う若者は9割を超える。しかし、不安定な雇用と子育て施策の遅れが、非婚化・少子化を招いている。
 男性が仕事に励み、女性が出産や子育てに専念するという昭和以前の家庭像は、男性の終身雇用が保障された社会だったからこそ定着した。今の、派遣や非正規など、企業が効率化のため生み出した不安定な雇用の下では、特に男性は結婚相手の候補となることさえ難しいと聞く。さらに国は女性の社会進出を促しながらも、出産や子育てをサポートする制度、施策をなおざりにしてきた。
 平成に入って四半世紀が過ぎたというのに、都市部の保育園は定員いっぱいで利用できず、ブログで「保育園落ちた」の叫びが国会でも反響を呼んだことは、この国の子育て施策の遅れを物語っている。
 成熟した社会とは男女問わず、希望すれば結婚や育児、仕事を両立させられることを意味するのではないだろうか。人口が急減する一方で、今後、爆発的に増える介護需要を視野に入れると、社会の担い手として女性が働きやすい雇用環境や制度を、国も企業も創出しなければならない。
 26日夜に西黒田公民館で開かれた長浜市議会と市民の意見交換会。ある自営業の男性が保育を希望しても断られるとの苦情を訴えていた。「保育園落ちた」は都市部だけの声ではない。

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2016年05月25日

いよいよサミット

 伊勢志摩サミットがいよいよあす26日開幕する。日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのG7の首脳と欧州理事会議長、欧州委員会委員長が参加し、世界経済などについて話し合う。
 経済については、世界の景気を下支えしてきた中国経済に陰りが見えることから、G7各国が財政支出による景気刺激へ共同歩調が取れるのかが注目される。経済以外では、テロ、難民対策、中国の南シナ海の軍事拠点化への対応、北朝鮮の核実験・ミサイル開発問題などが取り上げられる。
 サミットは従来、ロシアを加えたG8で行っているが、ロシアによるウクライナのクリミア併合に伴って、ロシアは2014年からG8への参加停止処分となっている。Gは「グループ」の頭文字。
 サミットが始まったのは約40年前。1970年代のニクソン・ショック(ドルの切り下げ)やオイルショックなど、国境を超えた経済問題について話し合うため、首脳レベルで議論する場が必要と、当時のフランス大統領の提案により1975年にパリで第1回会議が行われた。この時はカナダとロシアを除く6カ国だった(ドイツは西ドイツ)。翌年にカナダ、1998年にロシアが入り、伊勢志摩で42回目となる。
 さて、サミットには「たった8カ国(今回は7カ国)で世界の未来を決めるな」との批判も少なくない。顔ぶれは日本を除いて欧州と北アメリカの国々が占め、南米、アフリカ、中東の国はない。にもかかわらず、世界経済などを話し合うのだから「たった8カ国で」との批判は免れない。また、経済のグローバル化が貧富の格差や環境破壊、紛争などを引き起こしているとして、反グローバリズム主義者からの抗議もある。
 ただし、サミットはいわば好き寄りの仲間同士の集まりで、国際法上の縛りを受けるわけでなく、各国は自国の利益と他国との連携を天秤にかける。しかし、サミットの成否は、これら仲間内の利益だけでなく、世界の経済成長と平和のために明確で実効性のあるメッセージを発せられるか、にある。議長国である日本政府には7カ国の最大公約数を弾き出すだけで終わることがないよう、期待したい。

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2016年05月23日

ある学生の悩み

 あちこちを一人旅する身として、旅先で困るのは食事の時間。それぞれの地域で魅力的な食に出会うが、一人で食べるのは味気ない。例えば、複数人で一緒の部屋に泊まるユースホステルなどを利用すると食事の道連れは簡単に見つかるが、ホテルで宿泊した場合はお手上げだった。
 しかし、便利な時代になったもので、インターネットの掲示板に書き込めば、手軽に食事仲間を探せる。先週末、所用で東京に出かけた際、夕食を一人で食べるのはつまらないと、無料掲示板で「メシ友」を募集したところ、掲載して1時間もしないうちに大学生や看護師から打診があり、カフェで待ち合わせ、レストランに繰り出すことになった。
 ネット上の無責任な約束ゆえ、本当に待ち合わせの場所に来るのか心配だったが、大学3年生の若者は姿を見せた。看護師は直前になって「明日は朝が早いので」とドタキャン。
 互いに自己紹介し、ビールで乾杯の後、学生に「見ず知らずの他人の誘いによく応じる気になったね」と問うと、彼は「来年、就職活動があるので、それまでにいろんな人に出会いたかった。ちょっと勇気はいりましたが」とのこと。こうしてネットの掲示板を介し、他人と一緒に食事するのは初めてという。
 学生生活、憧れの仕事、最近聴いている音楽、舛添要一知事のルーズな金銭感覚など、取り留めもない話を酒の肴にスペイン料理を楽しんだ。
 彼の話の中で印象に残ったのは就職活動だった。名の通った大学に通い、こうした積極性のある彼は就職先に困ることはなさそうだが、将来、東京で仕事に就くのか、それとも故郷の北陸に戻るのか、悩んでいた。東京なら就職先がたくさんあるが、マンション暮らしと満員電車での通勤が避けられない。故郷なら庭付き一戸建てのリラックスする生活に手が届くが、安定した就職先があるのだろうかと心配していた。ともすれば「勝ち組」「負け組」に分類される就職活動にあって、失敗は絶対に許されないと学生仲間の不安は小さくないという。
 彼のように就職先を悩む都市部の学生が故郷に戻りたいと思えるような情報発信が、自治体や地元企業に求められる。たとえ年収が東京より少なくても、地方の生活ならではの、お金には代えられない住み心地があることを伝えたい。

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2016年05月18日

夜空を見上げて

 読者から「いつの頃からか分からないが、星が見えないようになった。昔はきれいな星空だったのを思い出します」と、はがきを頂いた。原因について「雲」ではないかと指摘し、彦根地方気象台に聞いて欲しいとのことだったが、気象台の担当者は「年中、雲で覆われている訳でもないし、PM2・5の影響も考えにくい」と首をかしげるだけだった。
 北京のような大気汚染ならば星空など望めようもないが、湖北・湖東の大気汚染がひどいとは聞かない。
 はがきの主は無記名のため年齢を知りえないが、もしお年寄りならば、昔に比べて星が見えなくなった原因を「光害」に求めることができるかもしれない。
 「光害」は暗闇に包まれるべき夜間、照明によって引き起こされる害を指し、例えば、街灯などが明るくて眠れない、農作物が生育不良を起こす、夜空が明るくて天体観測が難しい—といったものだ。
 特に天体観測では、都市部では夜空を見上げても、あまり星が見えない。大気汚染による空気の汚れに加え、街灯やネオンの明かりが大気中のちりや水蒸気に当たって拡散し、夜空が明るくなっていることが影響している。
 これは日本の多くの都市部が抱える問題で、天の川を肉眼で見ることもできない。
 幸い滋賀の場合、すこし山に入ると満天の星空を眺められる。街灯などがなかった昔は、住宅地でも美しい夜空を楽しめたことだろう。今では交通安全上、防犯上の配慮から、あちこちに街灯が設置されたため、満天の夜空を楽しめる機会は少なくなった。

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2016年05月16日

白みその活躍

 日本の食卓に欠かせない味噌は1300年の歴史を持つ。その起源は古代中国の食品「醤」(肉や魚を雑穀、麹、塩と漬け込んだ発酵食品)や「豉」(大豆、雑穀、塩から作られた発酵食品)にあるとされる。飛鳥時代に日本に伝わり、「大宝律令」(701年)には「未醤」という文字が登場する。これが変化して「みそ」となったというのが有力な説だ。
 平安時代になると「味噌」という文字が文献にみられる。当時は食べ物に付けたり、なめたりしてそのまま食べていたそうだ。鎌倉時代に「すり鉢」が使われるようになると、粒味噌をすり潰して味噌汁として食すようになった。味噌汁の登場によって「一汁一菜」という食事スタイルも確立された。
 戦国時代には味噌による栄養補給が戦を左右したと言われ、兵糧に味噌は欠かせなかった。また、長寿の徳川家康は五菜三根の味噌汁を食し、健康に気を遣ったという。
 日本人の究極のソフルフードでもある味噌は汁物をはじめ、味噌田楽、味噌煮、ぬたなど和食に欠かせない。ここ湖北地域では味噌を手作りする家庭も少なくなく、それぞれの家庭や作った年によって味が異なるのが、市販品にない魅力だろう。
 先日、カフェで白味噌のチーズケーキを食した。味噌と洋菓子の組み合わせに興味をそそられたためで、白味噌のコクと甘さがチーズとマッチしていて、それでいて味噌の存在感がほとんどなく、驚いた。店主によると、白味噌は洋菓子との相性が良いそうだ。
 インターネットでレシピ紹介サイトを閲覧すると、ケーキやスコーンに白味噌を利用する調理法が紹介され、中にはチーズを使わないチーズケーキの紹介も。木綿豆腐と白味噌、レモンを合わせるとチーズ風味となり、ヘルシーだとか。
 日本人の味噌消費量はこの半世紀で半減しているが、甘くて塩分濃度が低い白味噌は、食の異文化交流の舞台で活躍の機会を増やしそう。

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2016年05月13日

進むも引くも、消滅か

 かつて前身の社会党が自民党への対抗勢力として革新系の有権者の支持を集めたのは遠い昔の話となった。今、社民党はいよいよ「消滅」の危機を迎えている。
 吉田忠智党首が12日、今度の参院選までに社民党を民進党へ合流すると唐突に提案した。
 社民党は参院選で吉田党首と福島瑞穂前党首の2人が改選となり、ともに比例代表での当選を目指すが、党勢が限界まで衰えた今、揃って当選する可能性はゼロだ。下手をすれば2人とも落選してしまう。当選の可能性があるのは知名度の高い福島前党首のみで、吉田党首が再び議員バッヂを付けられる可能性ははっきり言って皆無。
 ゆえに今回の合流の提案は、自身が国会議員として生き残るための選挙戦術に過ぎない。このため、党内からは「選挙目当て」と反発されている。
 一方、事前に相談もなく突然、合流を提案された民進党としても直ちに受け入れがたい。共産党との共闘により、ただでさえ支持者から左傾化が指摘されているところに、社民との合流となれば、より「色」が付き、保守系支持者が離れる可能性がある。
 社民党の前身、旧社会党は約70年前に設立された。その党勢は1958年の総選挙での166議席をピークに下落が続いてきた。一時、土井たか子委員長の下、マドンナ旋風により復活の兆しを見せたが、結局、対抗する自民を一度も上回ることができなかった。特に衰退のきっかけとなったのは、イデオロギーの対立する自民と手を組んだ村山富市委員長を首相とする自社さ政権だった。社会党支持者から「転向」と批判され、信を失った。その後の低落は語るまでもなく、現在の国会議員はたった5人。
 さて、吉田党首の合流の願いが叶おうとも、叶わぬとも、社民党には明るい展望が見えない。今度の参院選で2人の当選がないと、社民党は政党要件の一つである「国会議員5人以上」を満たせないし、「国政選挙での得票率が2%以上」というハードルもある(3年前の参院選は2・36%)。
 進むも、引くも待っているのは「消滅」かもしれない。

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2016年05月11日

被災地支援2人の話

 熊本地震の発生から間もなく1カ月。現在も約1万2000人が避難生活を余儀なくされている。遠く離れた滋賀からも義援金を送るなど地道な支援を続けるとともに、大地震に備えて私たちの心構えはどうあるべきなのか、被災地で支援活動に取り組んだ長浜の2人から話を聞いた。
 長浜市職員の清家真一朗さん(32)は被災建築物の危険度判定士として4月26日から28日までの3日間、熊本県内の3自治体に赴いた。目視や柱の傾斜測定などで住宅の危険度合いを3段階に評価し、壁に3色の紙を貼り付ける。赤は「危険」、黄は「要注意」、緑は「調査済み」(被災程度小)を意味し、計49棟の診断のうち、緑13、黄16、赤20と判定した。
 木造の古い建物ほど破損が著しく「赤い紙」の対象となったが、比較的新しい建物でも液状化現象によって傾いたり、電柱が倒れ掛かったりしていたことで「危険」と診断したケースもあった。
 家具が倒れ散乱した室内での診断作業に、清家さんは「新しい家、古い家に限らず、家具が倒れれば怪我をする可能がある。今、すぐにできる地震対策は家具の固定ではないでしょうか」と語る。そのうえで、「もし古い家に住んでいるなら、耐震診断で自分の家の状態を知ることも大切です」とすすめる。
 長浜市社会福祉協議会の浅田かず子さんは大型連休中、被災地のボランティアセンターのサテライトで全国から応援に駆けつけるボランティアをさばいた。ニーズを上回るボランティアが殺到し、苦労の連続だったそうだ。
 浅田さんは今回、地域の助け合いの必要性を強く感じたそうだ。浅田さんはボランティアのニーズの掘り起こしのため被災者に「何か手伝うことはないですか?」などと話しかけても、遠慮されるケースが少なくなかったという。方言の壁なのかもしれない。遠くから来るボランティアが被災者の困り事を聞いたり、悩み相談にのるよりも、同じ方言でその地域をよく知る人物のほうが、被災者と打ち解けやすい。ボランティアセンターの運営には地域住民の協力が欠かせないことを実感したそうだ。
 大きな災害が発生した際は、近所同士の助け合いが欠かせない。阪神・淡路大震災で建物の下敷きから救い出したのも、東日本大震災で襲い来る大津波に一緒に逃げようと声をかけたのも、ご近所さんだった。
 向こう三軒両隣。日ごろからの付き合いを大切にしたい。

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2016年05月09日

トランプ氏の放言

 不動産王トランプ氏が米大統領選の共和党候補となることが確実となった。当初は泡沫と見られていたが、眉をひそめたくなるような数々の過激な発言がなぜか米国民の共感を呼んだ。
 イスラム教徒の米国への入国禁止、不法移民の強制送還、メキシコ国境への壁の建設など排斥主義を振りかざし、日米安全保障については「米国は世界の軍隊や警察官をする余裕はない」と日本に米軍駐留費を全額拠出するよう訴え、叶わないなら米軍を撤退すると脅している。おまけに日韓の核武装も容認する。このような放言主が大統領選候補として激しい予備選をどうして勝ち抜けたのかが不思議だが、貧富の格差の増大で不満が鬱積している米国民の琴線にこれら放言が触れたのだろうか。
 ちなみ、在日米軍駐留費のうち「思いやり予算」として日本側が負担しているのは年間約2000億円で、用地借り上げ料や周辺対策費、米軍再編経費なども含めると2015年度だけで「7200億円を超える」(7日、読売新聞)そうだ。
 これだけの税金を米軍に拠出しているわけだが、米軍は何も日本防衛のためだけに駐留しているのではなく、日本に軍事拠点を持つことがアメリカのアジア戦略に必要不可欠だからだ。日本がアメリカに守ってもらっているという従来の視点を少し変えれば、日本がアメリカのアジア戦略を支えてあげているという見方もできる。ゆえに、トランプ氏の米軍駐留費の指摘は大外れであるのだが、これぞ彼流の「思いやり予算」の値上げ戦略かもしれない。
 日米安全保障だけでなく、世界中に暗雲をもたらしそうなトランプ氏は11月、民主党・ヒラリー氏と一騎打ち。その結果を世界中が固唾を呑んで見守ることになるが、日本ではこれを機に日米安保、在日米軍の必要性と意義について議論を活発化させたいものだ。

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2016年05月06日

田植えと米離れ

 旅行やレジャーを楽しむ大型連休は農家にとって田植えの絶好のタイミング。家族や親族が一堂に集まって、わいわいと楽しく田植えに汗を流すのも連休の過ごし方だ。土の匂いが漂い、夜にはカエルの元気な声。先月までの土色の大地が青空を反射する水田へと変化し、季節の移ろいをより感じさせる。
 日本の原風景ともいえる田園だが、これが将来に継承されるのかは未知数だ。米の消費減少、担い手の減少によって耕作放棄される田んぼは増えている。
 今、TPPによる日本の農業への影響が心配されているところだが、現実はTPPよりも消費者の米離れが日本の米作への深刻な問題となっている。
 日本人1人当たりの年間の米の消費量は昭和37年の118㌔に比べ、現在は57㌔と半減している(平成25年)。食文化の多様化によって、パンや麺が食卓にのぼる機会が増えたためだ。 
 特に若者の米離れが指摘され、農水省が昨年10月、全国の20〜69歳の男女1万人にインターネットで食生活実態調査を実施したところ、20代男性の2割が月に一度も米を食べていないことが明らかになった。
 この調査は和食文化が日常生活にどれほど定着しているのかを調べるために実施したもので、最近1カ月の食生活について49項目を調査。「米を食べる」と回答したのは全体の93・2%だった。男性は女性に比べて米食の割合が低く、20代では81・6%、30代で88・5%という結果となった。20代男性に限定すれば、2割近い回答者が1カ月に1度も米を食べていないことになる。「カレーライスや牛丼も食べないのか?」「コンビニのおにぎりも食べないのか?」と農水省の調査結果には疑問を抱くが、若者の間で米離れが進んでいることはうかがえる。
 先日、彦根市の荒神山に登った際、山頂から見下ろした琵琶湖畔の田園風景はまだらだった。米作の現実を伝える眼下の景色に、どうしたら米食文化を取り戻せるのだろうかと考えた。東南アジア料理に使用される米粉麺フォーにもっと親しめないものか、学校での米飯給食の回数を増やせないものかと。

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2016年05月02日

世界の鉄道の旅

 世界各地の鉄道の車窓から見える美しい景色、風光明媚な観光名所、乗客たちの出会いと別れ、人々を運ぶ乗務員たちの思いなど、鉄道を巡るさまざまなドラマを映像で届けているテレビ番組「世界の車窓から」(テレビ朝日、月〜金曜午後11時10分)がきょう2日、1万回の放送を迎える。
 番組は1987年にスタート。これまでに世界104の国と地域を訪れ、総取材距離は地球19周に相当するという。現在の番組はインド国内の鉄道を紹介し、きょう2日からは「北インドの山岳鉄道と砂漠の大地ラジャスタンの旅」と題したシリーズ。来週からは南米アルゼンチンとウルグアイの旅が始まる。
 さて、インドの旅を担当したディレクターは山本和宏氏。撮影日記で「世界の車窓から」について「28歳の私より半年長生きの番組」と綴り、幼少期から番組作りに携われることを願っていた。氏のような制作サイドではなくとも、番組によって旅情をかき立てられ旅に飛び出した視聴者も少なくないだろう。
 おそらく番組でも紹介されたことがあるだろうが、世界中の旅人が憧れる一つにシベリア鉄道がある。ウラジオストクからシベリアの大地を横断してモスクワへ至る約9000㌔の旅。飛行機なら8時間余りの距離を電車に揺られて6泊7日の旅程となる。モスクワ—モンゴル・ウランバートル—北京を結ぶコースもあり、ウランバートル、ハバロフスク、イルクーツクなどの主要都市で途中下車して観光を楽しむのが一般的だ。
 シベリア鉄道以外にも、カナディアンロッキーをはじめとする美しい自然を満喫できるカナダのVIA鉄道、マッターホルンなどのアルプスの名峰の中を駆け抜けるスイスのグレッシャー・エクスプレス、砂漠を眺められるモロッコ鉄道など、旅行者垂涎の鉄道が世界各地にある。

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