滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2016年03月30日

暴発への備え万全か、エスカレートする北朝鮮

 エジプト北部アレクサンドリア発カイロ行きのエジプト航空機が29日、男にハイジャックされた事件は、またしてもIS(イスラム国)によるテロかと錯覚した。エジプトでは昨年10月、シナイ半島でロシア機の爆破テロが発生し、220人以上が死亡しているからだ。
 犯人の男はアレクサンドリアを離陸後、「自爆ベルトを身に着けている」と乗員を脅迫したが、結局、爆弾は偽物だった。男はテロリストではなく、当局によると「極めて個人的な理由」で犯行に至ったそうだ。
 ただ、EUの国々には戦慄が走ったことだろう。地中海の島、キプロスに着陸したから良かったものの、さらに北上してトルコやヨーロッパの空へと侵入すれば、都市部への墜落も懸念される。ニューヨークの世界貿易センタービルに旅客機が突入したような悪夢でさえ、想定したのではないだろうか。
 ヨーロッパでは昨年11月のパリ、今月のベルギー・ブリュッセルと、大規模な無差別テロが連続し、各国当局はベルギーを拠点とするテロ組織のネットワーク壊滅に全力を挙げているところだ。
 中東と陸続きであり、アフリカ大陸から地中海を挟んだ向かいにあるヨーロッパに比べると、我々日本にとってISのテロは対岸の火事かもしれない。しかし、今年5月に伊勢志摩サミット、そして4年後に東京五輪を控えており、テロ対策には万全の備えが欠かせない。
 国家、宗教、人種の摩擦などが引き起こす紛争は、常に世界のどこかで発生している。日本は戦後長らくその当事者となっていないことから、紛争への危機感は比較的小さいのではないかと危惧している。米軍と同盟を深化させ、抑止力を高めるはずの安保法制への根強い反対の声もある。
 日本の目の前の危機は北朝鮮の暴発であろう。3代目将軍が核実験やミサイル発射などの挑発をエスカレートさせ、きのう29日もロケット砲を発射している。
 これらの北朝鮮の挑発に右往左往しないことが外交戦略ではあろうが、果たして日本に危機感があるのだろうかと心配になる。もちろん日本には世界最強の米軍の後ろ盾があるから、北朝鮮が戦争を仕掛けるとは考えられないが、威嚇をエスカレートしたその先で北朝鮮が暴発すれば、その標的は韓国だけでなく、日本にも及ぶことは想像に難くない。しかし、今の日本社会は北朝鮮の相次ぐ挑発と威嚇に慣れてしまい、危機感が薄れているのではないだろうか。

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2016年03月28日

国民の不信を拭えるか

 民進党の結党大会が27日開かれ、民主党と維新の党が合流し、衆参156人の野党第一党が誕生した。ただし、新党とはいえ8割以上が民主党からの合流議員であり、執行部も代表代行に江田憲司・維新の党代表、政調会長に2期目の山尾志桜里・民主党議員を抜擢したほかは、岡田代表をはじめほとんどの役員が民主党からの続投。国民の目からは新党には見えず、民主党が党名を変えただけという程度の認識ではないだろうか。
 それを裏付けるように共同通信が26、27日に実施した全国電話世論調査では、民進党に対して「期待しない」との回答が67・8%にのぼり、「期待する」の26・1%を大きく上回った。政党支持率は8・0%で、前回調査(2月)の民主党(9・3%)と維新の党(1・2%)の合計も下回っており、民主党と維新の党の合流に国民は冷め切っていることがうかがえる。
 結党宣言では「野党勢力を結集し、政権を担うことのできる新たな政党をつくる。志を共有するすべての人々に広く結集を呼びかける。国民の信頼に支えられ、国民とともに進む、真の意味での国民政党となることを誓う」とある。
 この宣言にあるように、自民党に対抗し、政権を担う政党へと成長するには、民主党時代から続く国民の不信を取り除き、国民の信頼に支えられる必要がある。
 本来なら民主党の組織や理念を徹底的に解体したうえでゼロから新党を結成すべきだったが、それが実現しなかった今、民進党執行部は過去の歩みを点検しどのような点が国民の支持を得られないのかを真正面から反省する必要がある。反省なきまま、過去の民主党路線を地でゆくなら、民進党が健全な野党として国民の支持を集めることはない。
 自民党政権に緊張感を生むためにも、国政に健全な野党は欠かせない。民進党が国民に支持されるのかどうか、その評価は今夏の参院選で示されよう。

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2016年03月23日

大山鳴動して鼠一匹

 国土交通省が22日発表した公示地価は全国平均で前年比0・1%の上昇となった。上昇は8年ぶりだ。商業地が0・9%と全体を押し上げた。ただし、上昇が目立つのは三大都市圏や主要都市で、それ以外の地方では約7割の地点で下落している。
 滋賀県の場合は全体で0・3%の下落となった。商業地が0・2%、工業地が0・7%上昇したが、住宅地が0・5%下落した。市町別では草津1・6%、守山1・4%、栗東1・0%、野洲0・9%、大津0・2%と、県南部の5市がプラスとなり、その他の市町はマイナスだった。
 長浜市はマイナス1・0%で、高島の2・5%、甲賀の1・3%、彦根の1・1%に次ぐ下落率だった。
 公示地価が大都市で上昇し、地方で下落している現実は、東京など大都市への人口集中の流れが止まっていないことを示す指標の一つとなる。
 公示地価の発表とタイミングを同じくして決まったのが、「地方創生」の一環として検討してきた政府機関の地方移転の基本方針。安倍首相が「地域の仕事と人の好循環を作り出すことで東京一極集中を是正し、地方創生を進めてゆく重要な施策だ」と強調したものの、文化庁の京都への移転以外は、分室を設けるなど限定的だった。政府の大号令に各省庁がゼロ回答を連発した結果、大山鳴動して鼠一匹に終わった。企業に地方移転を求めながらの政府機関のこの顛末は肩透かしでしかない。
 さて、人口減少による需要と供給のバランスを考えると、今後も地方で地価、特に住宅地が下降するのは必然だろう。一方で首都圏では3LDKのマンションが5000万円を超え、駐車場代が月2万円とも、3万円とも聞く。これでは高給取りか夫婦共働きでないと家を買えないし、子どもを2人、3人と持つことも難しいと感じる。
 地方は大都市に比べ所得や利便性は低下するものの、贅沢をしなければ一戸建てに住め、満員電車に揺られることもなく、時間に余裕のある暮しができる。そのような地方の魅力的な暮らしを、都市に住む人々、滋賀を巣立とうとする大学生や社会人に伝えることも地方創生の取り組みのひとつとして、考えたい。

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2016年03月18日

特殊詐欺警報発令中

 還付金詐欺や架空請求詐欺が県内で多発しているとして県警は17日、特殊詐欺多発警報を発令した。
 今年に入ってから、16日までの特殊詐欺の被害件数は28件で、架空請求によって電子マネーを騙し取られたり、医療の還付金名目でお金を振り込んでしまったりと手口は様々。被害金額が大きいものでは、彦根市の70代女性が「ロト6の当選金がもらえる」などとして計2050万円を騙し取られた事件が1月に発覚したほか、2月に大津市の50代男性が296万円、草津市の80代女性が300万円を騙し取られている。
 長浜市内では、きのう17日の滋賀夕刊で伝えたとおり、60代の女性3人が「医療費の還付金がある」との詐欺電話に騙され、ATMからそれぞれ約50万円を振り込んでしまった。
 還付金詐欺は新しい手口ではなく、もはや誰もが知る古典的な手口だ。金融機関では携帯電話で通話しながらATMを操作する人には声を掛けるように警戒しているし、ATMの前には「詐欺注意」の張り紙がある。警察も役所も、そして新聞も注意を呼びかけているが、残念ながら被害が減っていないのが実情だ。県内の被害件数は28件だが、未だに被害に気付いていなかったり、泣き寝入りしたりと、実際はもっと多いのではないだろうか。
 詐欺が一向に減らないのは、犯人グループにとって「ローコスト・ハイリターン」のビジネスとなっているからだ。ゆえに、この犯罪ビジネスが割に合わない赤字経営となるようにアプローチできれば、自ずと終息することとなる。赤字経営へと導くには、まずは「ローコスト」を解消する必要がある。詐欺の必須アイテムである携帯電話と金融機関口座について、その契約や売買に対する規制強化、犯罪行為利用への厳罰化などで、裏社会での流通コストを上げることができれば、犯罪ビジネスを経営難に誘導できる。これらは警察や役所の仕事となろう。
 我々一市民としては犯人グループに「ハイリターン」を献上しないためにも、詐欺の手口を家族や近所で共有し、警戒感を高めたい。

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2016年03月16日

還付金詐欺にご注意

 長浜市内の74歳の男性宅に昨日、市職員を名乗る若い男性の声で電話があった。「緑色の封筒が届いていますか」「国保の医療費の還付がありますが、締め切りは2月末でした」との内容で、男性が「そのような郵便物は届いていない」と返答すると「厚生労働省に再発行を手配します」などと言って電話が切れた。男性は「市役所の職員とは思えないほど丁寧で優しいしゃべり方。電話の切り方も最後まで丁寧でした」と振り返った。
 これは典型的な還付金詐欺の手口であり、市民に注意を促して欲しいと、滋賀夕刊に知らせてくれた。犯人は男性の受け答えがしっかりしていることから、「どうやら騙せそうにない」と諦めたようだ。
 長浜市内では14、15日の2日間で少なくとも13件の還付金詐欺とみられる電話が発生している。高齢者宅に市役所の職員を名乗る男が電話をかけ、「医療費の還付金がATMで受け取れる」と量販店のATMへ行くように誘導し、現金を振り込ませる手口。電話を受けた多くの市民が「不審な電話」と相手にしなかったが、実際にATMまで赴き、ぎりぎりのところで警戒にあたっていた警察官が被害を防いだケースもあった。
 仮に一人暮らしで寂しさや孤独感を抱いている高齢者のもとに、優しく、丁寧で親身な電話がかかってくればどうだろう。気にかけてくれる喜びから犯人の話術に引き込まれはしないだろうか。犯人グループはそういった高齢者の寂しさに付け入る隙を狙っている。
 きょう16日にも、65歳の男性から「市役所から納めすぎた保険料が返ってくるとの電話があり、振り込みをすると言われた。こちらが所属を尋ねたら、電話を切られた。詐欺に違いない。市民に注意を呼びかけて欲しい」との連絡を滋賀夕刊に頂いた。
 犯人グループは長浜市内の電話番号リストを見ながら片っ端から電話を掛けているのだろう。近所のお年寄りに注意を呼びかけるとともに、日ごろから声を掛けることを意識したい。

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2016年03月14日

原発事故から5年

 東京電力福島第1原発事故は、発生から5年が経過した今も現在進行形だ。汚染水は増え続け、除染土壌などの廃棄物を保管する中間貯蔵施設の用地交渉も進んでいない。1〜3号機は炉心融解(メルトダウン)が発生したが、その溶け落ちた核燃料がどういう状態にあるのかは不明で、どのようにして回収するのかも決まっていない。高線量の放射線に阻まれ、復旧作業の長期化は避けられない。
 原発事故の影響で福島県内の9市町村で避難指示が出され、約7万人が今も避難生活を強いられている。中でも富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市などにまたがる地域は放射線量が非常に高いことから「帰還困難」区域とされ、住民が帰還できるメドは立ってない。
 そういう現状があるからこそ、各種世論調査では過半数の国民が原発の再稼働に反対し、原発に頼らない電源を求めている。しかし、自民・安倍政権はエネルギーの安全保障や電力の安定供給、経済面への影響から原発を基幹電源の一つとして位置づけている。「世界一厳しい」とした新しい規則基準を設け、国民に再稼働への理解を求めているが、この先、いったい何十年かかるのかも分からない福島第1原発の後始末に、国民の原発への不安・不信感は消えない。
 先日、大津地裁は関西電力高浜原発3、4号機の運転の差し止めを決定した。原発再稼働に前のめりの政府や電力会社には大きな痛手となった。司法判断は再稼働の是非について抑制的であるべきとの指摘もあるが、国民の原発再稼働に抱く漠然とした不安に応えた判断でもあった。
 地震大国の日本において、「想定外」の大地震は起こりうる。その時、原発を安全に制御できるのか。万一、メルトダウンが発生した場合、放射性物質の拡散を防ぐ手立てはあるのか。汚染された大地を元に戻すことができるのか。代替エネルギーを活用出来ないのか。こういった国民の率直な不安に応えずして、エネルギー安全保障や経済的視点ばかりを強調して原発再稼働の必要性を語るのであれば、原発政策への理解が深まることはない。

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2016年03月11日

復興ボランティア、量から質へ

 東日本大震災からきょう11日で丸5年。被災地の復興は途上だ。
 全国社会福祉協議会によると、特に被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県では震災直後から今年2月末までに延べ148万1400人がボランティア活動に協力した(災害ボランティアセンター受け付け分)。ピーク時(平成23年5月)には18万2400人にのぼったが、今年2月には2800人へと激減している。
 これは単に被災地への関心が薄くなっているわけではなく、震災後5年間で「泥かき」や「がれき撤去」などといった人海戦術が求められる「復旧期」から、個人のニーズに合わせた支援を行う「復興期」へと推移するに従って、ボランティアのニーズが量から質へと変化しているからだ。
 今、被災地でどのようなボランティアが求められているのだろうか。福島県社会福祉協議会地域福祉課の関靖男課長に話を聞いた。
 現在、求められているのは直接支援と間接支援の大きく2つに分けられる。直接支援は地域住民の交流活動の支援、見守り活動、引越しの手伝い、孤立を防ぐ心のケアなど。これらの支援活動の主役になるべきは遠く離れたボランティアでなく、近隣住民が理想という。それは近所付き合い、コミュニティの再構築に繋がるからだ。ただし、県外からのボランティアを拒んでいるわけではなく、例えばイベントなどを企画して住民の交流を促すきっかけ作りなどを歓迎している。
 間接支援は、学習や観光で被災地を訪問したり、被災地の物産品を購入したり、被災地での活動や訪問の経験を伝えたりすること。これならば、遠く離れた滋賀県民にもできそうだ。
 原発事故により避難指示が出された福島県内12市町村のうち、現在も指示が出ているのは9市町村。避難地域は年間被曝線量の高い順に「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」の3区域に分けられるが、目下、南相馬市、川俣町内などで解除に向けた準備が進んでいる。
 南相馬市などで避難指示解除が決定されれば、住民の引越しを手伝うボランティアが大量に必要になるのではないだろうか?そう質問をぶつけると、関課長は、「意識調査では帰還を望む住民が多いが、実際は商店や診療所など生活に欠かせない基盤が整わない限り一斉に戻るということはないでしょう」と指摘。放射線に汚染された地域だけに、家族の中で意見が割れているケースもあるそうだ。
 被災地の復興に向け、遠く離れた滋賀から、どのように心を寄り添わせてゆけばいいのだろうか。機会あれば被災地を訪ねて、その爪跡から復興や防災を考えたいものだ。

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2016年03月09日

新たな「壁」の建設

 かつて「宇宙から肉眼で見える唯一の人工建築物」とされた万里の長城は秦の始皇帝の時代から明時代まで、1700年以上をかけて増築や修復を繰り返しながら造られた。総延長は推定約2万㌔で、現存しているのは6000㌔余りとなっている。その目的は外敵の侵入を防ぐことにあったが、今では当時の高度な建築技術を確認できる観光地として世界各国からの旅行者で賑わっている。
 冷戦時に東ドイツが西ベルリンを包囲するために建設したのが「ベルリンの壁」だった。こちらは外敵の侵入を防ぐためではなく、自国民の流出を防ぐのが目的だった。社会主義の東ドイツでは国民は監視され思想犯が逮捕されるなど人権が蹂躙されていたことから、東ドイツ国民が自由を目指して西ベルリン経由で西ドイツに大量流出。その数が人口の2割にのぼったことに危機感を抱いた東ドイツが、西側からの軍事防衛を名目に築いた。
 イスラエルがパレスチナ人の居住地域を囲むように設けているのは「分離壁」と呼ばれる。テロリストのイスラエル侵入を防ぐのを名目にコンクリート壁や鉄条網を並べた。イスラエル政府は分離壁によってテロが大幅に減ったとその効果を宣伝するが、分離壁の建設によってパレスチナ住民が土地を奪われ、町が分断された。
 そして、今、トルコや東欧で「壁」が建造されている。シリアなどからの難民や不法移民を防ぐためだ。シリアのアサド政府軍、反政府軍、ISISの三つ巴の内戦は、アメリカ、ロシア、サウジアラビアなどの大国の思惑が絡んで泥沼化し、シリア国民は住む場所を追われている。トルコもヨーロッパの国々も難民受け入れがパンク状態となり、国境にフェンスを築いての水際作戦に乗り出した。
 フェンスは無秩序に流入する難民の抑制と不法移民の排除が目的だが、夜間には氷点下となる地で幼子を抱えた家族が安住の地を懇願している。
 外敵から守る壁、自国民を閉じ込める壁、テロリストを防ぐ壁、そして、難民を拒む壁。そういった壁のない世界を目指す試みがEU創設の理念ではあるが、難民問題はその理想実現の難しさを突きつけている。

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2016年03月07日

北朝鮮問題、有事への備え

 朝鮮半島有事に備えた米韓両軍の合同軍事演習が7日、韓国で始まった。北朝鮮の核実験(1月6日)と長距離弾道ミサイル発射(2月7日)を受け、過去最大規模の演習となるそうだ。
 米軍は原子力空母や最新鋭のステルス戦闘機、核搭載可能なステルス戦略爆撃機を派遣するなど、例年に比べ参加戦力を増強。さらに、北朝鮮への先制攻撃も想定した新作戦計画を適用し、北朝鮮に厳しいメッセージを送っている。
 これに対し、北朝鮮側は「最も露骨な核戦争挑発」との声明を発表し、「総攻撃」を仕掛けると威嚇している。国際的な制裁や周辺での軍事演習に対して北朝鮮が「無慈悲な軍事的打撃を加える」「ソウル、ワシントンを火の海にする」などと威嚇するのは常であり、想定内の声明であろう。
 とは言うものの、核開発に成功し、ミサイル技術を着実に向上させている北朝鮮は周辺国、特に日本や韓国への脅威だ。万一、北朝鮮有事が発生した場合、米軍の拠点を持つ日本がミサイル攻撃の標的となる可能性は大きい。ゆえに北朝鮮の度重なる威嚇が想定内だとしても、危機意識を麻痺させることがあってはならない。特に現在の金正恩政権は身内や幹部への処刑・粛清を繰り返すなど恐怖政治を進めているだけに、「暴発」の危険性は先代に比べ高い。
 国連安全保障理事会は北朝鮮への制裁決議をこれまで5回行ってきた。今月2日の制裁決議では、北朝鮮に出入りする貨物すべての検査を各国に義務づけ、北朝鮮産の鉱物資源の輸出も原則禁止にしている。前例のない厳しい内容に、金正恩政権の中枢や軍部に打撃を与えることが期待される。
 ただ、これらの制裁決議も中国が誠実に実行するか否かで実効性が異なる。過去の決議でも北朝鮮の核開発を食い止められなかったのは、安保理で拒否権を持つ中国によるところが大きい。中国としては民主主義陣営に対する「緩衝地帯」として北朝鮮の存続を望むゆえ金政権の暴発的転覆を招くような制裁には及び腰であり、また、北朝鮮への影響力を保持することが国際政治のカードの1枚となる。
 心配なのは今の北朝鮮から中国の手綱がほどけている可能性があることだ。なれば北朝鮮を取り巻く諸問題の軟着陸は難しい。日本は米韓との連携を基盤に北朝鮮への圧力を強めると同時に、有事への備えを怠ってはならない。

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2016年03月04日

「うえの」か「うわの」か

 長浜市は今月21日から、東京・上野のビル1階を借りて、観音文化をはじめとする湖北地域の情報発信を始める。このことを3日付け滋賀夕刊で「上野に観音文化発信拠点」との見出しで報じたところ、「『東京』とした方が良かった。『上野』では長浜市上野町かと勘違いしそう」との指摘を読者から頂いた。
 「上野」という地名から、長浜市上野町を連想したのは指摘の読者が旧浅井町在住だったからであろう。上野町は、茶や造園の小堀遠州ら小堀家の菩提所、近江孤篷庵があることで知られる。ちなみに読みは「うえの」ではなく「うわの」で、知らない市民も多いのでないだろうか。
 きのう3日、長浜市の自衛隊入隊予定者の激励会を取材した際、司会進行役が入隊予定者の住所を「うえの」と発音したことから、出席者から「米原市の方ですか」との指摘も出ていた。米原市にも伊吹山麓に「上野」の地名があり、こちらは「うえの」と呼ぶ。よって湖北地域では「上野」との表記だけでは、長浜か、米原か、ということになる。
 「丹生」という地名もそうだ。長浜市余呉町にも米原市の旧米原町にも「上丹生」「下丹生」という地名がある。前者はダム問題、後者は木彫りの話題で紙面に登場することが多い。「朝日」も両市にある。
 「上野」が「うえの」なのか「うわの」かは違いを覚えるとして、読みが難解な地名も少なくない。長浜では「瓜生」「香花寺」「馬渡」「津里」「馬上」「祝山」「岩熊」「摺墨」など、米原では「岩脇」「枝折」「間田」「夫馬」「小田」など。読みは「うりゅう」「こうけいじ」「もうたり」「つのさと」「まけ」「ほりやま」「やのくま」「するすみ」「いおぎ」「しおり」「はさまた」「ぶま」「やないだ」となる。

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2016年03月01日

人口減少と行政サービス

 長浜市の発表した新年度一般会計予算案。財政計画通りに予算規模を抑制し、市債残高も順調に縮減しており、財政規律の堅守には一安心といったところか。
 さて、新年度予算案に掲げられた事業の中で賛否を呼びそうなのは、小学校給食費の無料化と、保育料の半額・無料化であろう。いずれも所得制限を設けることなく、金持ちも貧乏も一律に恩恵を受けられる。市が目的とする少子化・人口減少対策としてはメッセージ性十分。藤井市長の意欲が強くにじみ出た施策だ。
 気掛かりなのは無料化施策の効果。先行地では人口減少に歯止めが掛かったと報告されているが、数年に一度は、無料化施策による少子化・人口減少対策への効果をチェックして、その費用対効果によっては見直すことも視野に入れながら、事業をスタートすべきだろう。
 少子化対策と並行して直視すべきは人口減少社会への対応だ。総務省が26日に発表した国勢調査の速報値によると、2015年の長浜市の人口は11万8230人で前回調査(2000年)に比べ、5901人減少。人口減少数は県内1位で、年間約1200人減っている計算だ。
 長浜市の人口ビジョンでは2060年には8万5000人に減少すると見込むが、少子化対策などに取り組むことで10万人を維持する目標を立てている。
 10万人の維持には、未婚・晩婚化の解消や、仕事と子育てを両立できる社会への変革が欠かせないが、人口減少は現在進行形である。人口減少に伴う税収減の中、道路や橋、下水道といったインフラ設備の維持、高齢者の社会保障費などによる市財政のひっ迫は避けようもない。
 日ごろから、市には施設整備や各種助成などの要望が相次ぐが、人口減少社会を見据えた場合、それらの要望を実現することによって将来世代の負担が増えまいか、市当局には厳しい視点で事業の取捨選択に徹して欲しい。
 なるべく早い段階で財政規模を縮小し、同時に市債残高を削減することで将来世代の負担を解消させたい。財政を切り詰めれば市民サービスが低下する恐れもあるが、そこは市民自らも市の事業をチェックし、無駄なもの、民間でできるもの、市民で取り組めるものは積極的に提言してゆきたい。「始末してばかりでは夢がない」との誹りもあるが、人口減少社会が進行している以上、身の丈に合わせた準備が必要だ。

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