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2016年02月24日

民主と維新の合併

 民主党と維新の党が合併し、新党が誕生する。実際は維新が解党して民主に合流し、そのうえで党名を変更することになりそうだ。自民に対抗しうる野党勢力の結集は、国政に緊張感を生むことができると歓迎したいところだが、どのような政策や理念を掲げて合併するのかは見えてこず、夏の参院選での生き残りをかけた党利党略としか、有権者の目には映らない。
 衆院の現在の勢力は自民291、公明35、民主72、維新21となっている。民主・維新は合流で計93人となるが、自民・公明の326人には遠く及ばず、国政に与える影響はほとんどない。自民党から「党のアイデンティティーがなければ、政党としてはいかにも未成熟」(谷垣禎一幹事長)、「合併しようが党名を変えようが大して期待していない」(二階俊博総務会長)との声が出るのは当然として、民主からも「国民が喝采したり、支持率が抜きん出て高まるところまで大きく変わらない」(細野豪志政調会長)と自嘲の声。
 なら、なぜ合併するのか。それは維新の事情によるところが大きい。維新の本家は前大阪市長・橋下徹氏の「おおさか維新の会」であり、民主出身者や旧「結いの党」を主体とする現在の維新は、橋下氏から「偽者」と酷評されている。橋下氏のカリスマ性の恩恵にあずかれない以上、今夏の参院選、そして「同日」とも憶測される衆院選で惨敗するのは必至だ。だからこそ、民主に合流することで議員それぞれが生き残りを模索したいのであろう。「寄らば大樹の陰」である。
 民主としては大きなメリットはなく、党名変更によるイメージ刷新がわずかながら期待できる程度だろう。
 振り返ると、2012年の民主党政権の末期から政党の離合集散が相次いだ。「国民の生活が第一」「みどりの風」「日本維新の会」「減税日本」「太陽の党(旧たちあがれ日本)」など、既成政党を離党して新たな政党を結成する動きが繰り返された。自民でもない、民主でもない、いわゆる「第3極」の粗製乱造で、同年末の衆院選で存在感を示せたのは日本維新の会のみ。理念なき離合集散で展望を切り開けた党はほとんどない。

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2016年02月22日

アメリカ大統領選

 アメリカ、オバマ大統領の後継を選ぶ11月8日の選挙に向け、民主、共和両党の予備選や党員集会が今月から行われている。米国の大統領は世界の政治や経済に大きな影響を与えるだけに全世界が注目し、新聞の国際面では連日、民主、共和の候補者選定の様子を紹介。現在のところ民主はクリントン氏、共和はトランプ氏が注目と支持を集めている。
 アメリカの大統領選は長期にわたる。これは民主、共和の両党がそれぞれの大統領候補を選出する予備選を開くからだ。予備選は2月1日にスタートし、6月まで続く。そして、11月8日の選挙は民主、共和の事実上の一騎打ちとなる。これ以外にも複雑な選挙過程があるが、大統領選のポイントは民主、共和の両党がそれぞれ統一候補を選ぶ第1段階と、統一候補が大統領の座を争う第2段階からなるということ。
 そして、実際は予備選の1年も前から支持拡大に向けた運動が始まっており、これは「影の予備選」とも呼ばれる。この期間を含めると大統領選は2年間にも及ぶ。
 立候補希望者は長期にわたって全米を行脚する必要があることから、政策や見識、人柄だけでなく、豊富な資金力が欠かせない。そして、大手メディアも旗手を鮮明にして特定の候補を推すから、メディア受けも重要となる。一方、国民はどの候補が国を統べ、世界をリードする力量を持っているのかをじっくりと吟味できる上、自らの政見を養うこともできる。
 日本の首相は国民が直接選ぶことはできない。首相は国会の首班指名選挙で選ばれ、実質は政権与党のトップ、自民党の場合なら「総裁」、民主党の場合なら「代表」が就任する。国民の支持や人気とは別次元の永田町理論によって選ばれるゆえ、就任当初から国民の支持がない首相もいた。例えば、選挙敗北の責任を取って辞職した橋本龍太郎氏の後継として1998年に首相に就任した小渕恵三氏は、橋本氏と同じ派閥だったこともあり、発足当初の内閣支持率は20%台だった。後に50%にまで回復したが、脳梗塞で倒れた。そして急きょ後継に就任した森喜朗氏は「密室談合」批判や失言により支持をひと桁に落とし、1年余りで交代となった。

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2016年02月17日

人気1位は日本、中国人の海外旅行

 中国国家観光局の発表したところによると、今年の春節(旧正月)連休で中国人旅行者に最も人気のあった海外旅行先は日本だった。2位以下がタイ、台湾、韓国、オーストラリア、ベトナムと続いたという。日ごろのニュースを見ていると中国人の多くが「反日思想」に毒されているのかと思いきや、海外旅行を楽しむ富裕層はそうではないようだ。
 同国のメディアによると、春節期間中には570万人から600万人が海外へ飛び出したというから、その規模の大きさに驚く。
 2014年に海外を旅行した中国人は1億0900万人と史上最多を記録した。消費額は約20兆円で、アメリカを抜いて世界一を独走中だ。17日の読売新聞の時事川柳に「レシートの長さを競うツアー客」とあるように、その旺盛な購買意欲は「爆買い」なる造語を生んだ。
 15年の統計データはまだ発表されていないが、14年の実績を大きく上回るのは確実で、13億人の人口規模からはじき出される海外旅行需要は計り知れない。中国人のパスポート保有率がまだひと桁であることを考えると、今後も爆発的に増え、身近な日本が最初の訪問地に選ばれるのは間違いない。日本の観光地のどこへ行っても日本人より中国人が目立つという現象が生まれるかもしれない。
 小生が先日訪れた神戸も中華系の旅行客であふれていた。ホテルにチェックインし1階でエレベーターを待っていたところ、ドアが開いた瞬間に後にいた家族が割り込んで乗って来た。その家族が降りた後、案内役のホテルスタッフは春節の連休を楽しむ中国、台湾、韓国の観光客でホテルがいっぱいだと教えてくれた。
 中国人旅行者は現地の産業を潤す一方で、そのマナー違反が問題化している。所かまわずタンを吐き、大声を出し、順番を守らず、時には道路に排泄する。「郷に入っては郷に従え」の精神など知らず、中国国内の生活スタイルをそのまま旅行先に持ち込む。
 それらの傍若無人な行為に眉をひそめることもあるが、ほとんどの中国人旅行者は近年の経済発展や規制緩和によって、ようやく海外に出られるようになった。まだまだ旅慣れしていないものの、国外に飛び出し、異国に触れ合う中で、国際的なマナーを知る機会になるのではないか。かつて日本人も欧州でブランド品をあさって、ひんしゅくを買った恥ずべき過去がある。

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2016年02月15日

吹きさらしの空港島、神戸空港開設10周年

 神戸港沖に浮かぶ人工島「ポートアイランド」の南側にある神戸空港は、あす16日で開港10周年を迎える。国際会議場やホール、ショッピング施設、博物館、マンションが建ち並ぶ近代的なウォーターフロントの街を車で走り抜け、南端の橋を渡ると空港島が見えてくる。だが、空港島には空港施設のほかは建物がいくつか建つだけ。「神戸」の都市的響きからは想像もできないほどの、吹きさらしの寂しい空き地が広がっている。
 神戸・三宮からポートライナーで18分という好立地にありながら、関西国際、大阪(伊丹)の両空港に埋もれて効果的な浮揚策が10周年の今も見つかっていない。
 神戸空港は関西、大阪に続く関西中心部の空の拠点として、神戸市が平成18年2月に開設した。全国では珍しい市営で、開設前は市民による反対運動が起き、是非を問う住民投票条例案が市議に提案されるなど紆余曲折があった。
 その経営状態は需要予測を下回り、資金計画が破綻するという点で、他の地方空港と違わない。当初の需要予測では平成26年度の旅客数を434万人としていたが、実際は244万人と予測の約6割にとどまっている。また、総事業費3140億円の7割を占める市債2108億円の償還は、空港島の企業用地の売却で賄う予定だったが、用地82・8㌶のうち、売却が進んだのは10・8㌶、13%に過ぎない。平成26年度に償還を終える予定だった当初の計画は破綻し、新たな市債の発行で償還金を穴埋めしている状態で、借入金の利子などによって返済額はふくらんでいる。
 空港事業だけに焦点を当てれば当初の計画は破綻しているが、「医療産業都市構想」を進めるポートアイランドに280社以上の医療関連企業が進出したこと、理化学研究所の次世代スーパーコンピューター「京」の誘致に成功したことなどを挙げると、未知数ながら空港の貢献度はゼロとはいえない。
 さて、今後の運営に展望はあるのだろうか。神戸空港は関西国際、大阪とのバランス面から、国際線を飛ばせないばかりか、発着便数、飛行時間の制限を受けている。この足かせの解消が浮沈を占うこととなる。関西国際、大阪両空港は4月からオリックスなどが出資する「関西エアポート」による一体運営が始まる。神戸市は神戸空港の経営権を売却して一体運営に活路を見出したい考えだが、関西エアポートは関西と大阪の安定運営を最優先し、神戸は後回しとする。
 航空需要と空港政策のミスマッチは今に始まったことではないが、そのツケは、いつだって納税者が支払うこととなっている。

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2016年02月12日

県新年度予算案、PB黒字ではあるものの

 滋賀県が10日発表した平成28年度の当初予算案。自治体の財政運営の健全性を分析するうえで、一つの指標となるのが基礎的財政収支、一般的に「プライマリーバランス」と呼ばれる数値だ。借金に頼らない歳入で、借金返済以外の歳出を賄えているかどうかを示すもので、これがプラスなら黒字経営、マイナスなら赤字経営というわけだ。
 滋賀は3年連続でプラスとなっているから、何とか黒字経営を死守している。
 ただ、借金である県債残高は平成23年に1兆円を超えてからも右肩上がりで、28年度末には1兆0868億円にのぼる見込みだ。10年前の平成18年に比べ、2000億円近く増えている。県は、県債残高のうち4423億円は「臨時財政対策債」と呼ばれる国が面倒を見るべき借金にあたるとして「実質的な県債残高は減少傾向を維持している」と説明する。一方で、貯金にあたる基金は財政調整基金と県債管理基金が取り崩しによって半減する見込みだ。
 県税収入は景気回復によって個人、法人税の増収を見込んでいるが、最近の株価の乱高下を見る限り、円安と株頼みの経済環境では、役所の懐事情は安定しない。
 税収が景気に左右される一方で、国民健康保険や介護保険の給付負担金は減少することなく右肩上がり。プライマリーバランスの黒字を維持し続けるには、無駄な事業を廃するだけでなく、不要不急の事業は見送る必要がある。
 しかし、県から受け取った予算案の解説書を見ると「重点政策」として、呆れるような結婚支援事業が掲載されていた。「結婚新生活の経済的支援が必要」として低所得者への引越費用などを助成する事業に1350万円を計上するというもの。県全体の予算規模からすれば雀の涙だが、いくら結婚支援とはいえ、新婚生活の引越費用まで税金で面倒を見るべきことなのか。
 我々現役世代は子や孫のために借金を少しでも減らすべきであり、無駄に費やされる税金のツケをいったい誰が払うことになるのか、想像力を働かせたい。

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2016年02月10日

未婚社会への備えを

 結婚適齢期の男女が相手を探す婚活パーティーは各地で花盛り。結婚願望があるのに良縁にめぐり合えない不幸話は多々聞くが、常にアンテナを高くし積極性を失わなければ幸せのゴールインは叶う、と信じている。
 中堅企業の最前線で営業職としてバリバリ活躍していた友人の女性。20代後半から10年間ほど合コンやパーティーに参加して結婚相手を探していた。しかし、仕事人間の彼女は、彼氏とのデートよりも取引先とのお付き合いを優先するものだから、デートのドタキャンもしばしば。結局、彼氏が愛想を尽かして去って行くという、長続きしない恋愛ばかりだった。
 30代後半になってからはいよいよ焦ったのだろう。「このままでは結婚できない」と社長に直談判し、最前線の東京勤務から実家近くの地方へと転勤を依頼した。それからほどなくして、結婚相手が見つかったとの連絡が入った。そして、今年の年賀状には3月に第一子が誕生予定との嬉しい報告。仕事にも婚活にもパワフルな彼女らしい成功談だった。
 気ままに自由を謳歌する人生を決意した独身希望者はともかく、結婚願望を胸に秘めながらも積極性に欠ける男女は少なくない。昔は世話焼きおばさんがネットワークを駆使してお見合いをセッティングしたが、今は親が子に代わってお見合いする時代となった。
 未婚の背景には、女性の社会進出と経済的自立が男性の自信を喪失させている側面もあるが、今の日本社会の構造的問題として、派遣や契約など非正規の若者が増えたことによる収入面の不安が、結婚を躊躇させる要因ともなっている。
 結婚をするもしないも個人の自由ではあるが、「未婚社会」の進展は老後の生活を誰がどのようにして面倒をみるのか、という問題にも行き着く。2010年の国勢調査の結果では30代後半の未婚率は男性35・6%、女性23・1%。今ではさらに進展していることだろう。遠くない将来、日本国内に家族のいない独居高齢者があふれることを想定すると、それらに対応しうる行政システムを検討する段階にさしかかっている。

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2016年02月08日

北朝鮮のミサイル、実効性のある制裁を

 北朝鮮による「人工衛星」と称した長距離弾道ミサイルの発射は、金正恩第一書記が周辺国と協調することなく独自路線を取ることを意味するのだろう。
 ミサイルは7日午前、北朝鮮西岸から南方向に発射され、沖縄県の上空を通過した。最終的には5つに分離し、東シナ海や太平洋などに落下したとみられる。日本政府は国内へのミサイル落下に備えて破壊措置命令を発令していたが、落下の恐れがないことから、迎撃しなかった。
 国連安保理は7日、「近日中に制裁決議案を採択する」との声明を発表したが、制裁が実効的なものとなるのかは、北朝鮮のお目付け役である中国の胸三寸となろう。
 中国は今回のミサイル発射に対して自制を呼びかけていたが、北朝鮮は耳を貸さずに強行した。中国に北朝鮮を押さえ込む力がないのか、それとも最初から押さえ込むつもりがなかったのか。
 北朝鮮の支配体制が中国の支援で成り立っていることは疑いようもなく、中国が北朝鮮との国境を封鎖すれば、金第一書記を窒息させることができる。封鎖しなくとも流通に制限をかけるだけで、大きな痛手を与えることができる。
 中国がそれらを実行に移さないのは、北朝鮮の暴走を外交カードの一つとして保有しておきたいからだ。今後の安保理での制裁協議でも、中国は北朝鮮に厳しい姿勢は取らないことだろう。
 さて、北朝鮮が人工衛星と主張するミサイルだが、年々飛距離と精度を高めて、現在は少なくとも半径1万㌔を射程としている。これは米ロサンゼルスを射程距離に収めていることになる。今回、打ち上げたミサイルは首都ワシントンを含む米本土全域を射程距離に収めたのかもしれない。北朝鮮が核弾頭の小型化と搭載の技術を完成させれば「ワシントンを火の海にする」と鼻息が荒くなることは必然であり、それこそがアメリカと対等に交渉したい金三代の野望でもあろう。

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2016年02月05日

薬物への拒絶反応、敏感に。清原和博容疑者の逮捕

 元プロ野球選手・清原和博容疑者が覚せい剤所持で逮捕された。芸能人やスポーツ選手が覚せい剤に手を出し検挙されるのは珍しくないが、KKコンビで甲子園を沸かせた、野球少年の憧れのヒーローが地に墜ちたことを機に、薬物乱用について考えたい。
 薬物の恐ろしさは、単に使用者自身の精神や身体をむしばむだけでなく、殺人、危険運転、放火、家庭内暴力など、周囲を巻き込むことにある。放置すれば社会の安定を脅かし、場合によっては国家を傾けることは、かつて英国がアヘンで中国を貶めた歴史が証明している。また、歴史を振り返らずとも、現代でもメキシコなど中南米の国々で薬物を収入源とするマフィアが暗躍し、政府や警察の力が及ばない悪の「聖域」を生んでいる。
 薬物乱用は芸能界や大都市といった、どこか遠い世界の話ではない。先月、岐阜の県立高校に通う16歳の女子生徒が覚せい剤所持で逮捕された。昨秋には京都の小学6年生が大麻を吸ったと教師に告白し、高校生の兄が逮捕される事件があった。高校生が大麻や覚せい剤を購入できる現状に、我々は大いに警戒する必要があるのではないか。
 スマートフォンからインターネットを介して、いつでも、どこでも、誰とでもコミュニケーションが取れる今の時代、ドラッグの密売人にとって、好奇心旺盛な高校生ら若者をターゲットにすることは決して難しいことではないはずだ。
 また、薬物への抵抗感を低める狙いなのか、「ドラッグ」「ハーブ」などという呼称も気掛かりだ。「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと表現し、法の網をかいくぐるため「お香」「バスソルト」「ハーブ」「アロマ」などに偽装して販売されることもあるそうだ。NHKのアナウンサーが自宅で調合し、使用していたとして逮捕されたのも「危険ドラッグ」だった。
 小生は海外旅行を親しむが、観光客が集まる飲食店街や安宿街では薬物を勧める密売人から声がかかることも少なくない。大麻を合法とする国では、専門店に行けばメニュー表に「〇〇産」などと並んでいる。そのような国はもともと薬物乱用者が多く規制しきれないため、大麻を「ソフトドラッグ」として、止む無く受け入れているのが実情だ。
 北米やヨーロッパに比べると、日本は島国である利点から薬物汚染を水際で食い止められている。日本社会はこれからも薬物に対する拒絶反応を敏感にしていかなければならない。たった一度の「冒険」のつもりが、たった一度の人生を取り返しのつかないものにしてしまうのだから。

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2016年02月03日

滋賀に与える影響探れ、北陸新幹線ルート

 北陸新幹線の敦賀以西のルート問題は、県民の交通利便性を左右するだけなく、沿線自治体の将来の盛衰を占うが、雲行きは怪しい。
 目下、与党検討委員会がルートについて協議し、新幹線ルートを呼び込みたい自治体の誘致合戦となっている。JR西日本が福井県小浜市から京都駅を経由して新大阪駅へ接続するルート案を示したことで、その方向へ流れそうな雰囲気だ。
 滋賀県や米原市の推す東海道新幹線・米原駅接続ルートは、3年前に「費用対効果などから最も優位」との提言を行っていた関西広域連合がハシゴを外した結果、一気に後退した。
 長浜市民にとっては安堵すべきことかもしれない。もし、米原接続となれば、現在の北陸本線・敦賀—米原間が「並行在来線」との位置づけとなり、JR西日本が経営から切り離す可能があったからだ。経営分離となれば、県や長浜市が在来線の運行に参加せざるをえず、財政負担やダイヤ悪化が明白だった。
 JR西日本は小浜ルートの場合も湖西線を「並行在来線」として経営分離を検討する意向のようだ。経営分離は湖西に住む大津、高島両市民にとって看過せざる深刻な問題であり、長浜市も西浅井町など北部地域の住民に影響が出る。決して他人ごとではない。
 滋賀の求めるルートが採択されないばかりか、在来線の経営分離というダブルパンチでは、かつてJR西日本社員だった三日月知事の面目はさておき、滋賀県民の不幸である。
 かつて、滋賀、福井両県や長浜市など沿線自治体は「北陸本線直流化」を求め、143億円の税金を投入した。北陸本線・長浜—敦賀間の電流方式を「交流」から、関西圏と同じ「直流」にすることで、関西圏からの列車がそのまま長浜以北の敦賀まで乗り入れられる、という事業だった。直流化開業となった平成18年当時、地元は「琵琶湖環状線構想」が実現したと大喜びだったが、あれから10年、湖北地域の運行ダイヤは充実したとは言えず、運行本数の少なさ、車両数の少なさ、米原駅での連結待ち時間、敦賀駅での接続の悪さなど、不便さが目立っている。
 交通政策は自治体の将来を左右する課題である。今、長浜市は滋賀を代表する観光地となっているが、その誘客の核である黒壁の成功は「交通の便」であろう。平成3年、北陸本線が長浜駅まで直流化されたことによる、京阪神から長浜への直通列車の運行効果が黒壁の成功を導いたと分析できる。
 今、北陸本線のルート選定が佳境を迎えているからこそ、県や沿線自治体は影響を分析、予測し、対策と交渉に当たらねばならない。北陸新幹線が与える滋賀への悪影響は決して小さくない。

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