滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2014年03月29日

みんなの党は瓦解への道

 「政治とカネ」、嫌というほど聞いてきた言葉が、またまた世論を沸騰させている。
 これまでの政治とカネは、田中角栄、金丸信、小沢一郎など政権側のリーダーが震源地だったが、今、問題の主人公は、れっきとした野党のきれもの。それも政治改革を「命」として、自民党を飛び出し、国民から大きな期待をよせられていた、みんなの党の渡辺喜美代表である。
 集団的自衛権をめぐる国会論争が、一夜明ければ政治とカネででんぐり返ってしまった。
 おりしも猪瀬直樹前東京都知事が医療法人・徳洲会から受けていた5000万円を「選挙資金だった」と白状して、公選法違反容疑で略式起訴された。
 みんなの党の渡辺代表は、前東京都知事の16倍もの巨額資金を借りながら、「個人として借りた、政治資金ではない」と開き直っているが、記者会見などでの言動は、しどろもどろで、どうやら夜も眠れぬ不安症で、肝心の国会を欠席するぶざまである。
 これまでの各社報道によると、渡辺代表は化粧品大手「DHC」の吉田嘉明会長から10年の参議院前と12年の衆院選前、合計8億円を借りている。いずれも選挙直前で、選挙にカネがかかるから、といって要請している。衆院選前の12年のときは、始め、日本維新との選挙協定があるので20億円はいる、といっていたが、後に、選挙協力が破棄されたので5億円あれば、と頼んでいる。これらのメールやカネの振り込みは証拠として残っている、とは吉田会長の言葉だが、この事実から巨額のカネは、選挙資金だったことが推測される。それを、しらを切って、個人で借り、個人で使った、として、使途を追及されるや「酉の市で、熊手を買った」などと失笑を買っている。金の熊手か、プラチナの熊手かと、お笑い種になっているが、政治家は窮すると、突拍子もない話題を撒く。かつて農相が、不当な事務所費の追及を受けたとき、「事務所の水代などに使った」と証言してさらなる追及の火に油を注いだこともあった。
 それはともかく、渡辺代表の前途は暗雲たなびく。彼の個人経営的な「みんなの党」は解党の危機を迎えた。東京都の市民団体は、公選法違反、政治資金法違反で検察庁へ告発しているが、この風は春一番くらいのものではなく、政界を吹く巨大暴風となった。
 日本維新は国会の倫理委で、本人の証言を聞きただすことを決めたが、自民党も公明党も、また他の野党も同調する公算が大きく、もし実現すれば、恥の上塗りで、そこまでゆかぬうちに、党首辞任に追い込まれるだろう。その反響は維新と結いの統一、あるいはみんなの党の解党による維新や結いへのなだれ現象が起こる可能性がある。さらに、その連鎖として民主党の瓦解を伴う政界再編成が予測される。
 国民の多くは政治不信を深めたが、今回のケースは、公務員改革など歯切れの良い公約で、組織を伸ばしてきた渡辺商店だけに、うっちゃりを食った国民の怒りと絶望感への罪は大きい。
 渡辺商店の旦那の思惑は那辺にあったのか。ひょっとすると、維新叩きに、使命感を持っていたのか。だれに、どの勢力に維新叩きを義務づけられたのか。雲の中の不思議の扉をだれかが、いつの日にか開けるであろうことを期待する(敬称略)。【押谷盛利】

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2014年03月27日

金のなる木とみんなの党

 「地獄の沙汰もカネ次第」という。「カネの力は弥陀ほど光る」。「カネのないのは首のないようなもの」。「東京は土一升、金一升」。「この世にカネで買えぬものはない」。「カネのうらみは恋のうらみ」。おカネに関するシャレや教訓めいた格言はたくさんある。
 この世はカネで支配され、カネのため義理を欠き、カネのため子を売る。カネゆえに人は苦しみ、人を傷つけ、その最たるものは、国を売り、国民の幸せを売る。
 そんな、うさん臭いテーマをなぜ持ち出したか、というと、すでに週刊誌にも報じられている、みんなの党の渡辺喜美代表の8億円の借入金問題が脚光を浴びているからである。
 27日付の朝日は、この問題で、渡辺代表に金を貸した化粧品販売大手のディーエイチシー(DHC東京)の吉田嘉明会長のインタビュー記事を載せている。
 これによると、吉田氏は、10年7月の参院選前に3億円、12年10月の衆院選前に5億円を貸している。このことについては、借り手の渡辺氏も肯定している。8億円のうち一部は返され、現在の残高は5億5千万円に上っているが、12年12月の渡辺氏の資産報告書は2億5千万円となっており、食い違いがある。
 吉田会長は旧知を介して、渡辺氏を知り、親しく交際する間柄となったが、その一番の大きな関わりは、渡辺氏の政治的信条にあった。渡辺氏は第一次安倍内閣で行革担当の大臣となり、公務員改革を通じ官僚支配の日本の政治を革新することをアピールしていた。
 この渡辺氏の心意気に賛同し、吉田氏の支援が始まった。ところが、昨年になって、渡辺氏の政治スタンスが変わってきたので、支援をやめるようになった。
 吉田氏はカネの流れを明らかにした理由を次のように語っている。
 「私がなぜ多額の支援をみんなの党にしてきたのか。それは日本をダメにした官僚機構を改革するため。(みんなの党から分裂し)脱官僚を掲げている結いの党に参院の予算委員会ポストを渡そうとしなかった渡辺さんに耐えられなかったから。おカネを返してもらいたいとは全く思っていない」。
 「(利息や担保は)3億円の時は借用書を書き、利息0・数%だった。担保や返済期限などは書かれていなかった。5億円の時は、そういう話は全くでなかった」。
 12年の衆院選前は、日本維新の会との選挙協力がすり合わされていた時で、このとき、吉田氏が「いくらぐらいいるんですか」と聞いたところ、「100人当選させるには20億円ぐらいいる」ということだったが、選挙協力が解消されないので5億円位ですむことになったとのこと。
 これらの話を通じて、分かったことは、おカネはやっぱり弥陀ほど光るのかな。あるところにはあるものだ、と感心したことである。
 両者の間で話がこじれたのは、国会運営について、意見が食い違ったためと思われるが、この点については、みんなの党から分かれた結いの党の江田代表の関わりあいがよく知られている。江田氏は、早くからみんなの党を渡辺氏の個人事業主的体質から脱却すべきと主張し、維新との選挙協力に積極的だった。渡辺氏は江田氏を役員ポストから外し、結果的に結いの党への分裂につながった。後になって政策面での後退が目立ち、国民の望んでいた第3勢力への躍進の道を放棄して、維新との選挙協力を壊してしまった。渡辺氏が頑強に維新との協力を否定したのは、やはり、個人経営的なみんなの党の親分としての地位に固執したからであろう。その後の渡辺氏の政治行動は自民党の別派のように自民党にすりより、親密感を深めているが、これは結局、みんなの党の不振を招くことになるのではないか。【押谷盛利】

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2014年03月25日

陸軍を批判した新聞人

 戦前の話であるが、防空演習というのがあった。灯火管制というお上の指令で、どの家庭も夜間は灯りを消すか、灯りが外にもれないよう電球に覆いをした。
 ぼくの記憶では、昭和8年ごろだと思うが、夜になって通達が回り、電灯の灯りが外へもれないよう電気を消すか、黒い布で覆うように沙汰された。上層部からの命令である。子供心によく分からなかったが、満州事変後、軍国主義が幅をきかすようになり、軍備の拡張とともに戦争への危機感をあおる風潮が高まった。
 戦争が始まれば、島国の日本は敵の軍艦や飛行機の攻撃を受けるだろうから、軍艦のことは海軍に委ねるとして、飛行機の来襲については陸軍が高射砲で防ぐが、夜の灯りは列島を敵の飛行機にさらすから、本土を暗闇にして敵の作戦を排除するようしなければならぬ、とする戦略だった。
 戦争に負けた昭和20年の3月10日の東京大空襲については、さきごろ触れたが、実は、それから12年も前の昭和8年(1933)、8月11日、防空演習はナンセンスだ、わが軍の敗北そのものだ、と痛烈に批判した新聞社説があった。筆者は当時、信濃毎日新聞の主筆として「言わねばならぬこと」と体を張って、軍の急所を衝いている。
 彼の名は桐生悠々で、太平洋戦争の始まる3カ月前の昭和16年(1941)9月10日、68歳で死んでいる。
 問題の社説は信濃毎日の昭和8年8月11日の記事で、見出しは「関東防空大演習嗤う」。
 このなかで、「敵機の空襲があったならば、木造家屋の多い東京は焦土化する。被害規模は関東大震災に及ぶだろう、空襲は何度も繰り返されるにちがいない。灯火管制は近代技術の前に意味がないばかりか、パニックを引き起こし有害である」などを訴えた。その上で、「だから敵機を関東の空に迎え撃つということはわが軍の敗北そのものである」と喝破した。そして「航空戦は空撃したものの勝ちであり、空撃されたものの負けである」と書いた。
 この社説は陸軍の怒りを買い、長野県の在郷軍人会は信濃毎日の不買運動を始めたため、筆者の悠々は9月に信濃毎日を退社させられた。
 信濃毎日を追われた彼は個人雑誌「他山の石」を発行し、死に至る8年間を「名古屋読書会」の主宰者として洋書の翻訳や会誌の頒分に当たった。死の直前、彼は死期を悟り、「他山の石」の廃刊の挨拶を作成している。まるで、数年後の日本の敗戦を予知するごとき内容だった。
 その中で、「他山の石を発行して八カ年、超民族的、超国家的に全人類の幸せを祈願して孤軍奮闘してきたが、たまたま咽喉がんが悪化し、流動物すら飲み込めず、やがてこの世を去らねばならぬ危機に立ちいった。小生はむしろ喜んでこの超畜生道に堕落しつつある地球の表面より消え失せることを歓迎致しておりますが、ただ、小生が理想としたる戦後の一大軍粛を見ることなくしてこの世を去ることは残念です」と9月○日付で書いている。
 実に見事な新聞人の大先哲ではある。合掌。【押谷盛利】

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2014年03月20日

東京大空襲とY氏の話

 3月11日の時評で「3月10日の東京大空襲」について書いたところ、早速読者の神照町のYさんから貴重な連絡を頂いた。
 Yさんは当時(69年前の昭和20年3月10日)10歳で、東京の墨田区に両親や姉と住んでいた。アメリカのB29による無差別の徹底爆撃で、東京は火の海となり、死者10万人の惨状は、10歳の少年には忘れるに忘れられない苛酷な記憶となった。一家は火の海のなかを泣き叫びながら逃げたが、遂に母親とは永遠の別れとなった。死体の確認もできず、生死不明の行方不明のまま今日に至っている。
 Yさんには長浜の三ツ矢町に叔父さんが住んでいるため、そこを頼って長浜に帰り、長浜小で学ぶことができた。
 東京は3月10日の大空襲以外にも終戦の8月15日まで100回を超える空襲を受けたが、その犠牲者の魂は迷っていることはないだろうか。東京都は平成2年(1980)に3月10日を「東京都平和の日」と定め、記念行事をすすめるかたわら、平成13年には墨田区の旧被服廠跡の都立横網公園内に「東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑」を建設、内部に犠牲者の名簿を納めている。
 東京都は犠牲者の名簿づくりに長年月をかけてきたが、今年は3月4日から10日にかけて、復興記念館2階で、東京空襲資料展を開いた。資料展では焼夷弾などの兵器、防空頭巾やモンペなどの生活資料、空襲下の東京を写したパネルを展示した。また、3月11日は毎年、復興記念館を会場に慰霊追悼式を行っている。
 10歳とは言え、Yさんの証言は貴重だが、同じく3月10日に被災した元守山高校長で、旧浅井町大路出身の清水知徳氏(大正5年生まれ、故人)著の「東京空襲下の生徒と私」の空襲体験が生々しい。
 当時、清水さんは妻と1歳の長女の3人暮らし。東京都小石川区久堅町に住み、都立本所高等実践女学校(現本所高校)の教師だった。昭和20年の2月末、東京への空襲がだんだん激しくなったため、妻子を浅井町へ疎開させた。やれやれと思ったその夜、「ジコアリスグカエレ」の電報で、翌日単身帰京した。米機の空襲はひどくなるばかり。清水さんの家も窓は破れ、住めないほど荒れたが、それから1カ月後に地獄が起きた。
 3月9日の深夜から始まった大空襲は本所、浅草、深川、神田、日本橋の5区を中心に広範囲で米機の焼夷弾攻撃を受け、都民は火の中を逃げまどい10万人を超える死傷者を出した。敵機は無差別、じゅうたん爆撃で、まず目標地域の周辺に大量の爆弾を投下して逃げ道を封鎖し、次にその地域を縦横十文字に集中攻撃するから逃げるに逃げられない生き地獄となる。
 下町一帯は未明まで真赤に焼け続けた。道といい、焼け跡といい、川といい、原っぱや公園などは死体の山で、死臭がただよう。そんななか、清水さんは、勤務先の女学校の焼跡に立ち、教え子の安否を気づかって、焼け跡の町を足を棒のようにして歩いた。
 Yさんの連絡から、13年も前、清水さんが著した東京大空襲の本に再会することができた。合掌。【押谷盛利】

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2014年03月18日

敵の攻撃から国を守る

 このところ、分かったようで分からない政治上の大論争が目を引く。「集団的自衛権」の問題である。
 戦争反対の日本国憲法でも自国の安全を守る自衛権は認めている。日本はアメリカと軍事同盟を結んでいて、言わばアメリカの強い傘の下で防衛上安穏に浸かっている。日本が危ない、という状況があれば米軍が出動するが、日本は武器を持つことならじとする憲法によって後方協力はするが、武力で敵を攻撃できない、というのがこれまでの自衛権をめぐる政府解釈だった。これでは、都合のよいときはアメリカ軍におんぶして、都合の悪いときは、先へ出ずに裏で協力するということで、真の意味での一体的同盟とは言えない。
 自衛権はあるが、武器の使用は許さないという憲法解釈はナンセンスではないか、自衛権という以上攻められたらこれに反発するし、かりに同盟国が戦火を交えた場合、その火の粉をかぶる恐れがあれば、同盟軍に協力して敵を撃つのは、安保条約上、当然のことではないか。そういう憲法上の解釈を確定するのが安倍首相の信念だが、賛否両論、国会はもとより、国民の間でもかまびすしい。
 日米安全保障条約(安保条約)は戦後の1951年(S26)吉田茂内閣の下で、締結されたが、日本に不利なところもあって、1960年(S35)、岸信介総理によって改定された。
 この改定をめぐり、当時「安保反対」の大闘争が展開され、かり出された地方の大学生までが安保反対のデモに加わった。「アンポ反対、岸を倒せ」の呪文が国会を取り巻いた。
 当時の政界は、いわゆる55年体制で、自民対社会党の自社対立時代であり、そのころの社会党の若もの向けのスローガンは「青年よ銃を執るな」だった。戦争が目の前に迫っているような物騒なこの訴え。まるで現実離れして、一方の左翼組合、日教組の「平和」とともに空疎な言葉遊びで、現実の日本はひたすら経済成長と国民福祉の道を歩み続けた。
 いま、集団的自衛権の問題がやかましくなってきたのは、日本を取り巻く極東の状況が非常に不安定、不穏になってきたからである。
 北朝鮮は日本海へ何発ものミサイルを撃ち込んでいるし、韓国に対する軍事統一攻撃も隙あらば明日にでもという状況である。
 中国は尖閣諸島周辺を軍艦と航空機で威圧しているし、フィリピンやベトナム沖の海上でも領土的野心でトラブルを起こしている。
 韓国は日本を敵視して極端な反日宣伝を世界にまき散らしているが、一方で、中国と手を握っており、米・韓の軍事同盟と、日米の同盟にひびを入れかねない外交を展開。1960年の安保改定時代には予想だにできなかった深刻な外交防衛問題にぶつかっている。
 平和な日本であり続けるためにこそ、国土の防衛にウソ、インチキがあってはならない。防衛力がある以上、安保上、集団的自衛権が存在するのはあまりにも当然である。【押谷盛利】

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2014年03月15日

死刑囚の人権と俳句集

 人権の尊さは、どれほど声を大きく叫んでも言いすぎることはないが、静かに振り返ると日本ほど人権を大切にされている国は珍しいのではないか。
 ぼくは今、逮捕されて以来39年間(平成14年現在)獄中にいる大道寺将司死刑囚の全句集「棺一基」を読みつつ、あらためて日本の人権尊重の有り難さを痛感している。
 北朝鮮では、昨日まで、ナンバー2といわれた大物が一夜明けて逮捕されるや、即刻銃殺された。その身内、部下までが処刑されるという法治国にはあるまじき暗闇の独裁体制があり、中国では、共産党の政府や幹部を批判しただけで逮捕されたり、監禁、投獄されることは決して珍しいことではない。
 漢民族でないチベットやウイグル地方の宗教的弾圧は、住民の焼身自殺による抵抗が秘密をかいくぐって世界に知られている。韓国では、いまの朴大統領の父がテロに襲われて、その夫人がまきぞえで死亡する事件や、大統領を辞めた高官が退職後、逮捕されたり、財産を没収されたり、そうかと思うと、海外に住む著名な学者が身内の婚礼で韓国入りしたものの、反韓思想の口実で入国をストップされ、空港からUターンさせた話は古いことではない。
 大道寺死刑囚は1948年(S23)生まれ。東アジア反日武装戦線「狼」部隊のメンバー。1974年8月14日、天皇のお召し列車爆破未遂事件の後、同年8月30日、三菱重工業本社前で、爆破事件を起こし、死者8名、負傷者百数十名。翌1975年逮捕、79年東京地裁で死刑判決。87年最高裁で死刑確定。2010年からがんのため獄中で闘病生活を送りながら句作し、第1句集「友へ」、第2句集「鴉の目」発刊。
 逮捕されたのは1975年27歳だったから現在の66歳に至る39年間を獄中暮らしということになる。一審判決から35年、最高裁の死刑確定から27年間も経過していることが分かる。
 さかのぼれば、帝銀事件の平沢死刑囚は獄中死に至るまで死刑執行はなかった。三重県名張市での毒ぶどう酒事件の奥西死刑囚も判決後40年以上経過しているが未執行。近くはオウム事件の裁判も遅れ遅れで、死刑判決はあっても執行はいつの日か分からない。
 さて、大道寺死刑囚の句集名の「棺一基」だが、これは「棺一基四顧茫々と霞みけり」の彼の俳句から命名した。棺一基とあるから、辞世の心がこめられている。棺に納まった自己の心境を「周り一面茫々と霞んでいる」と見たのは、自己の生死観でもあり、過去への思いや、未来への複雑な気持ちを「霞み」の季語で象徴している。
 「暗闇の陰翳刻む初蛍」。
 暗闇は刑務所だろう。陰鬱な世界から初蛍を霊視したのであろう。彼の住む東京拘置所は窓が目隠しされ、外界と遮断されているから、目にするのは壁だけである。だから、過去の記憶に加え、想像力と念力を生かしての句作であるが、心眼をもって、寒暖などから季節感、季語へと学習の密度を高めたのであろう。
 「生かされて四十九年の薄暑かな」。
 これは97年6月5日、彼の49歳の誕生日の作品。
 「炊事の香漂ひ来たる今朝の秋」。
 食欲の秋。獄中生活、何することもなく生きていても、炊事の匂いには特に敏感。
 「かそけくも輝く命蔦若葉」。
 作者の心頭から消えぬのは命。獄の塀にからまる蔦若葉は想像の世界。
 「独房にいつまで続く余寒かな」。
 着ぶくれて暖房している娑婆と比べての悲哀。随分寒いことだろう。余寒は余命であろう。春よこい。【押谷盛利】

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2014年03月13日

河野談話の検証と見直し

 旧日本軍が慰安婦を強制的に連行した、という、ありもしない話をでっち上げた、いわゆる河野談話がこのところ、ひんぴんと話題になっている。
 河野談話というのは、平成5年、当時の宮沢内閣の河野洋平官房長官の談話のことで、韓国側に言い寄られて、先方の要求通りに慰安婦の強制性を認めたもの。これが今も尾を引き、国益を損ねて、ことあるごとに韓国や中国から日本の不名誉を内外にアピールされている。
 日本政府は、あらゆる資料を調査して、ことの真相を究明しているが、強制的に連行したという証拠は出ていない。この件に関し、談話作成の事務官僚のトップだった当時の官房副長官・石原信雄氏が2月20日衆院予算委で明らかにした証言が極めて重い。
 これによると、慰安婦募集の強制性を認める唯一のよりどころとされた元慰安婦16人の聞き取り調査は、裏付けをとらずに行われたことが分かった。しかも談話は原案段階から韓国側とすりあわせを行い、政治決着を急いでの日韓合作の作文であることが分かった。
 事実を無視したインチキの談話であるから、これを見直し、日本の名誉を回復するのが政府の課題である。ところが、菅義偉官房長官は、談話の検証はきちんとやってゆくといいつつ、これを見直すことは考えていないと矛盾したことを明言している。
 去る9日の日曜のテレビで、たかじん時代からの番組「そこまで言って委員会」に出ていた産経新聞編集の幹部がこの問題に言及し、「日本の名誉のために河野談話の検証は徹底的にしなくてはならない。これまでから新聞社として独自の調査活動を続け、集積してきたが、今や最後の取材は河野洋平氏につき当たる。河野氏取材について、何回も要請するが逃げまくって応じようとしない。かつて、自民党総裁をも務めた人であり、今こそ、表へ出て真相を明らかにすべきではないか」と訴え、番組の討論者のほとんどが賛意を表していた。
 河野談話の検証と見直しは国民の支持するところであり、刻下の急務である。
 ところで、「文芸春秋」の13年10月号に出ている「中、韓の終わりなき非難の声」の特集記事が頭に残る。このなかで、現代史家・秦郁彦氏が、「私が深刻だと思うのは、実は、歴史観の争い、戦後補償の問題に関して最初に火をつけたのはほとんど、日本人だということです。慰安婦問題もその第1号を連れてきて訴訟を起こさせたのは日本人の弁護士だし、済州島での『慰安婦狩り』体験を書いたのも日本人の吉田清治でした。後に彼の証言は作り話であることが判明した。性奴隷という用語は国連の人権擁護委員会で、自分が広めた、と自慢しているのも日本人の弁護士です。ついでに言えば、大新聞などの報道も問題です」と語っている。
 これは日本人が日本を悪くいう自虐思想だが、これに犯されているのは、自民党の大物にもおり、強い日本、しっかり日本に、安倍総理の信念と実行力に期待したい。【押谷盛利】

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2014年03月11日

3月10日の東京大空襲

 3年前の3月11日の東北地方大震災と津波、福島原発の爆発などによる被災地の壊滅的被害は今なお復興への足取りが鈍く、死者行方不明者2万人の鎮魂と生活と住宅に苦しむ被災地の状況を知るにつけ、胸を締めつけられるようで、悲しく苦しい。原発事故の恐怖を感じないものは一人もいないが、経済のためには原発やむを得ない、と考える人に問いたいのは原発の安全性である。100%安全とはだれもが考えないと思う。「もし」という不吉が絶対生じないという保証がないから、危険な橋の上をそれと知らずに渡っているようなものである。
 原発による直接被害もさることながら、その2次、3次の連鎖被害が恐ろしい。被災地では汚染除去が進められているが、これは大変な難事である。作業そのものが時間と経費を要するだけでなく、除去された汚染土の処分である。袋詰めにされているものの、その処分地がないため、仮設的に積まれているが、処分地確保が言うべく簡単ではない。さらには原発の現場から出た汚染水の処分である。これまたタンクに封じこんでいるが、これの隔離埋蔵は海洋の1㌔地下とか言われており筆舌を越えた難事業である。地震国日本の不安定な地盤を考えるとき、原発容認は爆弾を抱えて生活していることを認めることであり、福島原発事故を知る限り、ノーと言わざるを得ないのが国民感情であろう。
 3月11日を期して東日本大災害のレポートは新聞、テレビであらゆる角度から知らされているが、今から69年前の太平洋戦争末期の昭和20年(1945年)3月10日の米軍による東京大空襲の惨事をマスメディアは報道しない。10日のNHKテレビは、東京空襲の犠牲者の追悼大会を報じていたが、この国際法違反の犯罪と死者10万人の痛ましいニュースの詳細の掘り下げ、当時の状況など、日本の忘れてならない歴史的事件を風化しかねないことが気になった。
 作家のNHK経営委員・百田尚樹氏が、先の東京都知事選で、元自衛隊幹部の田母神俊雄候補の支持演説で、米軍の原爆投下や3月10日の東京大空襲を批判したが、いま、国民はひそかに百田氏の勇気ある発言に拍手している。百田氏によると、東京裁判は米軍の原爆投下や東京大空襲の大虐殺をごまかすための裁判だったと、米側の痛いところを突いている。米国はその痛さを今に引きずっているため、安倍首相の靖国参拝を「失望」と批判した。
 月刊誌「APPLETOWN」の社会時評エッセイで、藤誠志氏が日本のこれまでの外交の失敗を指摘している(10日付産経)。
 「一説によると、小泉政権下の2002年に訪日した共和党ブッシュ大統領は、靖国神社への参拝を打診したのに、例によって中・韓の反応を必要以上に慮った日本の外務省が反対したために、結局参拝は行われなかった。このブッシュ靖国参拝が実現していれば、現在の中・韓の状況は変わっていたであろう」。
 さて、69年前の米軍大空襲だが、東京が焼け野原となり、死者10万人という国際法違反(民間への無差別爆撃)をじっと目をつぶってきた日本のマスメディアの腰抜けを強調したい。産経、読売以外の大手の新聞は安倍叩きを中国、韓国の意のままに流し、靖国参拝も慰安婦問題も、日本の視点で捉えず、中・韓のでっち上げ、先方の宣伝の提灯持ちに走っていることを知るにつけ、あらためて、3月10日と広島、長崎の原爆投下の歴史上許されざる犯罪を告発しなくてはならない。【押谷盛利】

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2014年03月06日

雪は助かったが災害は

 「寒い」の愚痴から解放されて春到来を期待したが、3月に入っても冬雲はのさばっている。もう、雪は降らないだろうが、天のことだから奈良のお水取りがすむまでは春は来ないのだろうか。
 近江では、このあと比叡山延暦寺で行われる法華経の大法要にちなんで比良の八講荒れじまいが春のめやすとされている。
 このほか湖北では2月末の長浜市川道町の「川道のおこない」が終わるまでは春は遠いといわれる。
 しかし、考えてみればありがたい世の中である。薄着で外出すればともかく、家の中も職場も暖房が行きわたって寒さを感じることはなくなった。冬将軍に備えての分厚いコートを着ることもなく、若い女性はショートパンツや、ひざ上スカートで闊歩している。
 気まぐれなお天道さまの差し金で、この冬は、雪どころの湖北は雪に泣くことはなく、やれやれと安堵の気分に浸っている。何といっても降雪期の心配は屋根の除雪である。近年は特に過疎化の進みがひどく、老人世帯が多くなって、若ものがみんな都会へ出てしまった。屋根の雪下ろしのような危険で体力を使う重労働はとても老人ではできっこない。屋根の雪どころか、家から車の通る道までの除雪も困難である。
 もし、雪の中に閉じ込められたら、ひさしや家の倒壊を案じながら、食料品や燃料にもことかき不安に命を縮めることになる。
 今年のような年こそ、最悪の雪の年に備えて、その対策に手落ちのないようにしなければならぬ。雪だけではない、天災はいつやってくるか知れない。大雨が降り続けば水が出て河川は決壊するかもしれないし、市街地が水浸しになる心配もある。台風も同様である。いつもうまく避けてくれているから被害に対しての実感はないが、国土全体からみれば毎年どこかで大荒れして、人身事故になったり、山崩れや田畑の被害が出ている。
 それにしばしば言われている南海地震や東海地震の心配である。雪だけを逃れて、のほほんとしているが、備えあれば憂いなしの言葉もあり、個人の心の準備はもちろんのこと、県や市当局、住民組織の自治会などは、万一に備えての組織的対策を怠ってはなるまい。
 いま3月議会の最中だが、歳入歳出、予算をぎりぎりに使うやり方ではなく、万一を考えての予備費を十二分確保しておくことを望んでおく。【押谷盛利】

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2014年03月04日

中国の汚染風や汚染食

 明日は明日の風が吹くという。人々の暮らしにいい風が吹いてくれれば問題はないが、逆に人を傷つけたり、人心を不安と恐怖に陥れるような風は困る。困るといっても、ただ茫然と眺めているだけでは座して死を待つの愚である。
 いま、日本の空は中国から汚染の風で子供たちを外で遊ばせない状態になっている。PM2・5という毒ガスのような汚染微粒子の被害である。政府は自治体を通じ、国民に注意を呼びかけているが、それより前に、外交的に中国へ抗議し、大気汚染の原因除去を訴えねばならぬ。
 PM2・5は有害な二酸化硫黄や有機化合物を含み、強い発がん性を持つことが国連の世界保健機関(WHO)に確認されている。この汚染微粒子を吸うと肺がんや気管支炎などをひき起こし、国民の健康と生命に関わってくる。
 偏西風に乗って、中国大陸から日本の上空を襲うわけだから、原因を除去するより他はない。空気中に存在するのだから、やっかいである。何人も空気を吸わねば生きてゆけない。しかし、吸うとやられる。このため、戸外へ出ないこと、と、子供たちを外で遊ばせないことが大事だが、そうかといって、外で働く職業の人や農家の人に外へ出ることは禁じられない。完全防衛のマスクをすすめるが、これとて100%安全という保証はない。
 中国は経済と軍事力強化に集中し、国民のための環境政策は無能同様の立ち後れといえよう。えらいさんたちは住宅や職場を汚染から守るが、一般国民は不健康な環境のなかで抗議に立ち上がることさえできない。
 この国では空だけでなく、土も水も化学物質で汚れに汚されているから魚も野菜も果物も極めて深刻な衛生不安にある。このことは、さきの「毒ぎょうざ」ばかりでなく、茶、ウナギ、野菜類、その他、輸入食品の検査で、しばしば指摘されるところだが、毎日、毎回検査することは不可能であり、検査を逃れた食品が原材のままだけでなく、加工食品として輸入されている。
 空気や水、食品の汚染から、ある日突然入院せねばならぬとか、死の恐怖にさらされるわけでなく、10年、20年、30年後の長期的体調崩れが恐ろしく、それは昭和40年代の水俣病が卑近な一例である。
 目下、PM2・5に国民の関心が集中しているが、これに輪をかける形で、今後は黄砂の被害に泣かねばならない。黄砂は土ぐもりともいうが、中国の砂漠地帯から巻き上がる土ぼこりが大陸から日本上空へ達するもので、車が黄色いほこりで侵され、屋根にも畑にも落ちるから洗濯物を外で乾すこともできない。
 中国は世界一の経済国に進んだと、自慢しているくらいだから、飛行機や軍艦、爆弾などの軍事費を減らして、黄砂対策をすべきであり、PM2・5にも原因除去の政策、いわゆる民生安定、国民の健康促進、衛生環境向上へ政治の舵を切り換えるべきで、日本のメディアもこの国の御都合ばかりの報道をやめてピリッと共産党政権へ筋を通す発信をすべきであろう。【押谷盛利】

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2014年03月01日

鈍感で国を売る大統領

 これは、ぼくの直感だが、アメリカのオバマ大統領の評価が下降線を向いているように思えてならない。
 アメリカは世界の平和と民主主義、自由主義の本山として、これまで国際的な期待と信頼を集めてきたが、中国の台頭を前にして、国際的なびびりや腰の揺れが目立ち始めた。日本の立場で言えば、安倍総理の靖国参拝にケチをつけて「失望」うんぬんのぬきさしならぬ言辞を政府声明に残した。
 その言辞の底にある思想は100年前のアメリカで、日本人の移民を差別し蔑視した黄禍論が見えかくれする。同盟国である日本の首相が、靖国へ参拝するのを目の敵のようにあげつらうのは、信仰への認識を欠くばかりでなく、同盟国の国民の心につばする如き非礼である。
 日本国内のうち、中国、韓国の立場に立って、日本をことさら悪し様に言い、安倍叩きに狂奔する朝日や毎日などのメディアを除き、国民の多くは安倍総理の靖国参拝を支持した。そういう日本国民の信仰的心情を土足で踏みにじる行為に出たのは、抗日、反日で、夜も日もあらぬ韓国の朴大統領へのお世辞かもしれない。
 もし、お世辞で、朴大統領を喜ばそうとしたのなら、取り返しのつかぬミステイクを日・韓両国民に与えたことになる。
 もし、本気で、オバマ氏が靖国を敵視するなら、日本国民の総反撃を呼ぶであろう。
 オバマ氏は、世界は刻々と動いていることに気づかないのだろうか。現実の政務に追われて、明日の世界への方向音痴でいたとすれば、もはやアメリカのリーダーとしては失格であり、国際的には、アメリカの威信を急墜落させるだろう。シリア、イラク、ウクライナなど中近東や東欧はともかく、韓国の政治情勢はこの国の民主主義の危機的様相を帯びていることにオバマ氏は気づかないのだろうか。その鈍感が気になって仕方がない。
 アメリカの政界が今後どう展開するのか。極めて注目されるが、いま、最も警戒すべきは、韓国の朴大統領が、急速に親北戦略をあらわにしたことである。
 分かりやすく言えば、北と南の統一戦略である。統一とは、共産党独裁の北朝鮮と自由主義陣営の南朝鮮(韓国)の統一である。これまで38度線で政治も経済も防衛もすべて相反していた両国が一体化することである。
 これは、金日成、金正日以来の北の最高司令塔の最大、最高の国是である。
 これまでの北朝鮮の韓国に対するもろもろのアタックや紛争あるいは観光、離散家族の再会など、すべては、統一へのジグザグ的準備であり、おだてたり、喜ばせたり、殴ったり、傷つけたりしながら、日日これあらたに統一への足がかりと韓国内での世論操作に集中してきた。
 韓国内では、政党、教育界、言論界、労働界、各種団体の隅々に至るまで、北の工作員やスパイ網が滲透し、命令一下、いつでも実力行使で統一できる条件整備が進んでいる。
 朴大統領は韓国主導の統一を夢見ているかもしれないが、ナンセンスであり、南北統一とは朝鮮半島の共産化である。
 朴氏の日本叩きは北の作戦でもあり、オバマ氏までがその作戦に乗せられていると、ぼくは心配する。【押谷盛利】

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