滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2013年07月30日

長寿自慢とけしからぬ話

 厚生労働省が25日に発表した2012年の日本人の平均寿命は女性が世界1位の86・41歳、男性は79・94歳で世界第5位だった。
 念のため世界の上位10カ国を上げれば、女性は2位香港。以下順に、スペイン、フランス、スイス、韓国、シンガポール、イタリア、オーストラリア、アイスランド。男性は1位がアイスランド。以下順に、香港、スイス、イスラエル、日本、シンガポール、スウェーデン、オーストラリア、イタリア。
 女性で1位と10位の差は2・21歳。男性は1・4歳。非常に緊迫したレースといえるが、冷静に見ればほぼ相似た民主的文明国家で、長寿の将来像は女性90歳、男性83歳ぐらいであろうか。
 ということは世界全体に平均寿命はまだまだ延びる可能性を秘めていることになる。
 しかし「おめでたい」と手を叩いて喜ぶべきかどうかは問題である。
 他国のことはいざ知らず、日本の場合は健康寿命が隠されているから長寿おめでとうといえる人はかなり割引きされねばならぬ。
 平均寿命と健康寿命の差は数年とも10年ともいわれるが、正確な統計資料がないから確定的には言えないが、健康寿命を短くしている原因は病気であり、病みつつ長寿している人の多いのが現実。
 病みつつ長寿している人はクスリ漬けはもちろんのこと、本来は亡くなっている人が延命施術によって生命を維持している人もある。
 滋賀夕刊の戸籍情報では毎日のように高齢者の死亡記事が出ているが、80歳代から90歳代の長寿者の多いのに驚く。この人たちは、ずっと長病みもなく死を迎えたのか。それとも病院や施設で長く治療を受けたり、延命施術を受けてきたのか。この点は問題である。
 真の意味の健康寿命が平均寿命に近似することが理想であり、それでなければ、長寿が家族や国家の重荷になり、社会福祉と国民負担の大きな国政上の問題となる。
 このことは医療費の問題と高齢患者の人権と人格にも関わることで避けて通ることは許されない。その第一の関門は延命施術に対する拒否権の法制化であり、リビング・ウィル(生前意志)の社会化であろう。
 例えば、人工呼吸器、パイプによる水や栄養物の補給、おなかに穴をあけて胃へ食べ物を流す(胃ろう)、体内へ管を何本も入れるいわゆるスパゲッティ治療などのほか、植物人間的状況の患者もいるはず。もし、自分があんな姿になって、しかも意識がなくなっていると考えるとき、何人が延命施術を了とするだろうか。
 大きな問題だが、人間は自分はいつまでも健康で長寿するときめこんでいるから、万一のことの準備やこれへの対策を怠りがちであり、これの法制化についても医療関係者、学者、政治家が及び腰である。けしからぬ話である。【押谷盛利】

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2013年07月25日

夏安居と長浜の夏中さん

 24日の長浜梶俳句会に「夏中さん」の句が話題になった。
 「祖母に手を引かれしながはま 夏中さん」(勝木岩松)。
 「夏中さん なつかしいねと東人」(武田蓉子)。
 「げちゅうさん」は「げちゅう」という言葉に親しみと敬意をこめて、さん付けにしたものだが、湖北地方以外の人に通じるか、どうか自信はない。
 ぼくの幼少期の記憶でいえば、あこがれの町、長浜での夏のにぎわう催しだった。
 「しっかり勉強して、家の手伝いをすれば、げちゅうさんに連れて行ってやるから」と、この父の一言に心わくわく、その日を待った。子どものぼくにとって、「げちゅうさん」は露店がいっぱい町に並び、人でごった返し、お旅で「あしげ」を見るのが夢であった。夏の盛りなので豊公園の湖岸で水浴びをするのも楽しかった。
 なんで、それが「げちゅうさん」なのか。高校へ行くようになってもそれを疑問に考えたことはなく、要するに長い歴史と伝統による「おこない」や「まつり」、「ほんこさん」、「えびすこ」くらいの年中行事の買いものや娯楽の一つくらいにしか思っていなかった。「げちゅうさん」が「夏中」であることを知ったのは、戦後、いい歳をしてからのことだが、最初に上げた2人の句を見る限り、両人とも似たり寄ったりの夏中通かもしれない。
 この日の句会に、夏中さんの意味を考えさせる句が印象に残る。
 「赤き靴ちょこんと並ぶ安居寺」(川上登代子)。
 安居は雨季の意で、仏語。僧が夏、一カ所に籠もって修行すること。陰暦4月16日から7月15日までの3カ月間で、この期間を夏という。雨安居、夏安居、夏行、夏籠りのこと、と大辞泉は説明している。ついでながら同辞書には「夏」について、仏語。僧が外出せず、安居を行う期間で、4月16日から7月15日までの90日間、と記す。つまり、夏中は、僧が夏行に入っている最中ということ。
 長浜の場合、一般に広く知られているのが東本願寺派別院大通寺の夏安居だが、西本願寺派別院や虎姫の五村別院でも夏の修行はある。また、一般の門徒や信者が参詣するので、寺参りの人が絶えず、その人出をあてこんで露店が並ぶ。いわゆる縁日がこれである。正確に言えば、神仏に特定の由緒ある日で、この日に参詣すれば特にご利益がある日と信ぜられる日。
 それはともかく、僧の修行やお寺参りに関心がなく、ただただ人の波の中で、見せものや買いものの喜びに酔うというのは昔も今も変わりなく、今流行のイベントを笑えない。
 ところで、ぼくの少年期体験で「あしげ」を取り上げたが、なぜ、あしげなのか、若いころは考えることもなかった。あしげは「サーカス」のことと、後で知った。辞書に「脚蹴」とある。足で蹴るとは馬じゃあるまいし、と思いつつ、納得したのは「足芸」である。足を使ってのはらはらする綱渡りやブランコ。だから昔の人は足芸と呼んだのだろうが、苦心の命名というよりほかはない。
 先の俳句に戻ると、安居の寺の本堂前に赤い子どもの靴がちょこんと並んでいるというのだから、おばあさんが孫を連れて夏中のお寺へ参っているのであろうが、嬉しい光景である。【押谷盛利】

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2013年07月24日

カルガモ一家とツバメ(見聞録)

 三ツ矢元町の造形作家・土田隆生さんから「可愛いカルガモ一家が大井川にいます」と、写真付きのレポートを頂いた。
 土田さんが子ガモ10羽を連れたカルガモを見つけたのは、6月30日、長浜北小学校のそばを流れる大井川。今月12日から14日にかけても目撃し、何枚かの写真におさめた。「付近に猫やカラス、アオサギを見かけるので、皆が無事に育っていたことにとても感動した」と綴り、「わざわざ遊歩道沿いの川で子育てとは、適当に人が通ることで天敵が近寄らないようにとの計算か」と推測している。
 子ガモは食欲旺盛に水草をついばみ、親ガモは何も食べずにその様子を見守っている。子ガモはたくましく成長し、親ガモを追い抜いて泳ぐ姿も見られるという。
 その一方で、「川上には民家が建ち並び、流れてきたごみも川底に見える。そのわりにはホタルの乱舞が見られ、コアユも群れている。それを狙うハスもいる。それだけ、きれいな水質が保たれているとしたら、水草もおいしいはずだ。いっぱい食べて大きく育って欲しい。8月には子ガモも飛べるようになることだろう」と締めくくっている。
 土田さんの観察眼が光るレポートからは、カルガモ一家への愛情もにじみ出ている。
 さて、小生も土田さんと同じ気持ちで、ツバメのヒナを見守っている。自宅のベランダを泥だらけにしていたツバメが無事に巣作りを終え、先週、ヒナ5羽が生まれた。大きな口を広げて、親ツバメがせっせと運ぶエサをねだっている。ヒナの口は閉じている時は俳優の故・いかりや長介さんのようだが、開けると六角形になっている。大きなエサを食べるための構造らしい。
 ツバメのヒナはわずか3週間で巣立つというから、8月上旬には我が家をあとにする。それまで5羽とも無事に育つことを願いたい。
 それにしても、休み無く早朝から夕方までエサを運び続ける親ツバメの献身に頭が下がる。本能か愛情か、その両方だろうが、子を生み、育てるという動物界の自然の摂理を目の当たりにし、非婚・晩婚、少子化という人間界の現象が、自然界では特異であることを気付かされる。

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2013年07月23日

民主党の凋落と新しい風

 参院選は終わったが、まだ余韻に浸っている人もいるだろう。アベノミクスが川の流れを一気に変えてしまったが、わりを食ったのは民主党だ。3年半前の至福、極楽の舞台から一挙に地獄の奈落の底へ墜落した。
 驕れるもの久しからずではないが、かつての政権党の見るも哀れな凋落ぶり。今回の当選者は選挙区、比例区合わせて17人という厳しさ。野党第1党という兄貴面どころか、恐らく党内は再建をめぐって混迷を深めるであろう。
 当然、海江田代表や細野幹事長の責任論が台頭するであろうが、敗戦ショックでお通夜のような現在、立ち直るのに必要なエネルギーも消えかかっており、気の早い連中は解党後の運命を模索するものもある。
 皮肉なもので、民主党の大敗をよそに、なんだ、かんだといわれていた維新と、みんなが揃って当選者を飛躍させた。
 両党が最初の方針どおり、選挙協力をしておれば、さらなる躍進が見られたはず。完全野党で気を吐いたのは共産党だけで、他は軒並み消えゆくばかりの不振だった。
 最も哀れをとどめたのは小沢一郎氏率いる生活の党だった。
 当選者ゼロという不面目は党首の金城湯池とされる岩手で惨敗したことが象徴的である。小沢党首は、夢よ、もう一度と秘策を練ったが、遂に地元の岩手からもご用無しの証文を受けねばならぬ羽目となった。
 かつて、民主党の代表となり、鳩山内閣では幹事長として党と内閣を動かしたが、彼の摩訶不思議なる神通力はいとも鮮やかに空中分解した。
 政局を巧みに利用して保身一筋、師の田中角栄ぶりを誇示したが、今回の参院選で、将棋で言う雪隠詰めの恥辱を味わうことになった。
 彼の幻想に寄与したマスコミの責任も問われるが、彼自身が国民に「ノー」をつきつけられた意味は大きい。それは、政治とカネの問題に関する限りない疑惑が背景にあることを国民が証明したといえる。
 旧い型の政治家よ、さらば。新しい型の政治家よ、燃えよ。今回の選挙はそれを天の神が啓示したともいえる。
 ねじれ国会が解消し、衆、参両院とも自民党が主導権を発揮できる政治状況が生まれたのだから、自民党は安倍総裁を先頭にかねてからの公約どおり、憲法の改正、国土の防衛と外交の主体性、日本の歴史の認識と教育の改革、少子高齢化対策などに大胆に取り組むことが望まれる。【押谷盛利】

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2013年07月22日

自民安定政権の誕生(見聞録)

 参院選は大方の予想通り自民党の圧勝で幕を閉じた。改選議席121議席の内訳は自民65、民主17、公明11、維新8、みんな8、共産8、社民1、諸派・無所属3。議席数のとおり自民党の一人勝ちだった。
 これにより「衆参ねじれ国会」が解消され、安倍政権が安定的に政治を行えるようになったが、これが吉と出るのか、凶と出るのか、しばらくようすを見守りたい。
 自民党の勝因は何だろうか。各報道機関の出口調査によると、自民党を支持する有権者の多くが経済政策による景気回復を求めている。しかし、「アベノミクス」を実感している有権者は限定的で、多くが期待を込めて自民党に票を入れた。
 一方で、しっかりとした野党の不在も、自民党の一人勝ちを誘発した。
 「しっかりとした」というのは党の政見、組織力、人材が整っていることを指す。本来なら野党第一党である民主がその役割を果たさなければならないが、3年半の政権運営があまりにひどく、国民の信を失ったままだ。労組という強力な支持母体がありながらの見事な負けっぷりに、解党的再出発が不可避となりそう。
 維新とみんなは第3極政党として期待を集めながらも、浮上できなかった。組織力、人材、そして選挙協力の頓挫に原因があるが、橋下徹、石原慎太郎、渡辺喜美というリーダーの発信力だけに頼った党運営への限界も見え隠れする。
 さて、3年間の安定期間を手に入れた安倍内閣。派閥に踊らされて不要不急の内閣改造を行うことなく、経済再生、財政再建、憲法改正、TPP交渉などに腰を据えて取り組むことに期待したい。特に超高齢化社会に対応する社会保障制度の見直し、人口減少社会の到来に備えた制度や構造の改革にも着手してもらいたい。安定政権だからこそ取り組める政策があるはずだ。
 一方、野党にはこの3年間で政見や組織の建て直し、構築にまい進し、万一、自民党政権が過去のように国民感覚から逸脱する国家運営を行った際、政権交代できるよう準備する必要があろう。与党への不満の受け皿が機能しないようでは、民主主義が成り立たない。

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2013年07月20日

参院選分からぬ話3件

 いよいよ21日は参議院選の投票日。日本と日本国民の「明日」がかかっているのだから関心があって当たり前で、有権者はめいめいの政治信条や政治への注文を投票行為を通じてぶっつける機会だから棄権することはやめよう。
 なかにはマスコミ情報などで大勢は決まっている、と早合点して折角の選挙権を捨てる人があるかもしれないが、投票所に足を運んで、投票という選挙行動を通じて、政治にものをいう権利を確認することが大事なので、国民が民主主義を失えば、共産国のように選挙は無縁となる。
 ところで、今度の選挙戦を通じて腑に落ちないことが幾つかある。
 一つは、候補者の政党ぼかしが目立つことである。いまの日本の政治スタイルはその土台である衆議院が小選挙区制であることを確認したい。小選挙区制は与党と野党が対立し、与党の失敗や不信感がつのれば政権を野党に回すという分かり易い選挙制度を採用している。
 したがって、参議院選においても候補者は与党なのか野党なのか。立場を鮮明にするのが第一義的義務である。
 それなのに、党名をぼかしたり、明らかにしないのは、広く多方面からの支持を得たいとする助平根性であり、こういう主体性のない候補者は当選しても信用度は薄い。
 政党を重視する選挙制度であるからこそ全国区での政党名投票の道が開かれているのである。
 次に分からないのは、自民党と公明党の関係である。公明党は自民党を牽制する役割を強調するが、分かりやすく言えば、自民党の政策に「ノー」という匕首をつきつけているのである。
 例えば、首相の靖国参りは「ダメ」だと党首らが言いふらし、結党以来の自民党の眼目である「憲法改正」も公明党は否定的である。このほか外交、防衛でも自民党と公明党は距離がありすぎる。それなのに、この両党は選挙で、助けたり、助けられたり、恋人のような関係を国民の前で共演する。
 自民党の政策は限りなく水に近い水割りになるのでは。
 第3番目に分からないのは、第3極といって、自民でもない、民主でもない、力強い第3の政治勢力を標榜し、国民も期待していた「維新」と「みんな」が「第3極」と言われなくなったことである。
 維新とみんなは昨年末の総選挙では協力し合って、それぞれが結果を出していたから、いま自民党の一方的大勝といわれる勢力に立ちはだかるのは国民の心に残る第3極であると思われるが、これが影を薄くした。その最大の原因はみんなの党の渡辺代表による維新切りだった。維新は韓国や日本の一部メディアから叩かれたが、維新の政策は国益に反するものではなく、むしろ日本の主体性と矜持を内外に問うたというべきであり、政策の大胆な改革路線は「みんな」と似ている部分が多い。
 渡辺代表は、何を勘違いしているのか。敵と味方をはき違いしている感がして、喜ぶのは共産党だけである。【押谷盛利】

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2013年07月18日

健康食品への警告と薬害

 サプリメントなる健康食品の反自然について厳しい批判をしたが、その直後、宮本和喜造さん(69)からサプリメント愛用で、毎日7000歩の元気さ。この分では白寿も夢ではない、との投書を頂いた。
 驚くほど種類の多いサプリメント愛用者だが、そんなものに尊いおカネを出さなくとも、われわれは普通の日常生活で、先祖伝来の食生活を続けていれば健康になれるはず、と、これは、ぼくが今読んでいる近藤誠医師(慶大医学部講師)の本の中に出てくる権威ある学説。
 ベストセラーになっているこの本の題名は「医者に殺されない47の心得」。副題は「医療と薬を遠ざけて元気に長生きする方法」。
 この本の中に、「日本で普通の食事を摂っている人は、ビタミンもミネラルも十分足りている。健康のため付け足すのは、むしろ有害。摂りすぎると中毒症状が出たり、がん、心臓病のリスクが高まり、早死の原因になることがある」。
 「人工合成されたビタミンをサプリメントなどで摂るのは危険だし、野菜や果物から摂る天然ビタミンも、多く摂ったら、体にいいか、どうか不明だ。かつて、ビタミンの大量投与で風邪を防げる、がんを治せる、という説が一世風靡したが、原理的には無意味にも拘わらず、がん治療法として、血中濃度を高める高濃度ビタミンの点滴が日本でも行われている。まともな臨床実験が行われたら、生存期間の延長効果なし、もしくは、有害という結果が出るのは目に見えている」。
 いまから何百年も昔は近代医薬には縁の無い時代であり、食べ物も今と違ってご馳走もなく粗食だった。それでも浄土真宗の開山・親鸞は89歳まで生きた。その師・法然(浄土宗開祖)は79歳で没している。いずれも800年も昔の高僧である。
 本願寺第8世の蓮如は吉崎御坊を焼かれたりして、さんざんの苦労を重ねたが、それでも「御文(ご文章)」を著し、和讃を作るなど大きな功績を残して84歳の生涯を全うしている。
 いずれも自然を共にし、自然から頂く食べ物に合掌し、ひたすら仏の道を説き人心救済の使命感に生きた。
 近藤医師は、日本は薬害防止対策が大変甘く、薬事法の規制もゆるく、日本に出回る薬の種類は世界的に見ても大変多く、WHO(世界保健機構)は「270種もあれば十分」としているのに対し、日本では1万種以上も認可されている。その結果、おびただしい量の薬が患者に与え続けられている、と警告している。
 日本人の2010年度の医療費総額は36兆6000億円。総薬剤費の比率は約23・6%。国民1人当たりでは先進国平均の2倍前後の金を薬につぎ込んでいる。もっと薬の取り締りを強化すべきなのだが、クシャミが出ただけでも薬を飲まないと落ち着かない人が多いこと。大企業保護優先などの問題もあって実現しそうにない、と近藤医師は嘆きを深くするが、ぼくは、病院から出す薬も大きいが、さらにこれに輪をかけるサプリメント(健康食品)に国民の払う金が実に大きくもったいない話だと痛感する。
 テレビを見ると、サプリメントのこれでもか、これでもかのしつこい宣伝にあきれるが、この辺で、自然に返れ、昔の日本人のような食習慣に返れと、一大改革の波を起こすことを期待したい。今のマスコミや政治家は、役人や医療界、製薬業界、化学薬品界とつるんでいるから、このような正論はとてもいえないのではないか。
 近藤医師に声援を送るゆえんである。【押谷盛利】

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2013年07月17日

選挙における世論調査(見聞録)

 「参議院選挙って長すぎますよね」との社員のつぶやきに、思わずうなずいてしまった。
 今回の参院選は公示が4日で投票日は21日。投票日を除く選挙運動期間は17日間に及ぶ。これは都道府県知事選と同じ長さで、日本の数ある選挙の中で最長だ。
 ちなみに衆院選は12日間、県議選は9日間、市長選、市議選は7日間(政令指定都市を除く)、町村長選、町村議選は5日間。
 参議院は任期が6年と、他の公職の1・5倍の任期を有し、衆議院のように解散はない。これは政策について時勢に流されず、長い目で判断を下すためだが、それゆえ候補選定も長い目で見る必要があるのかもしれない。
 しかし、選挙戦の期間が長いと、報道機関は「ネタ」に苦しむ。例えば新聞各紙を見ると、候補の政策や横顔、選挙期間中の活動、地域の情勢などをひと通り伝えれば、紹介する材料がなくなる。ゆえに候補の服装を紹介したり、家族を紙面に登場させたりと、読者の関心が投票日まで続くようにとあれこれ工夫している。
 様々な選挙特集の中でも最も注目されるのは、世論調査の結果だろう。
 今回の参院選は序盤から終盤までほとんどの選挙区で自民が優勢で、非改選議席と合わせて過半数奪取が確定的と報じられてきた。
 前民主党政権があまりにも酷かった反面、安倍政権が特筆すべき失策もないまま経済、外交をこなしていることから、有権者の安心感を誘っている。さらに、維新やみんなの党といった第3極が人材不足と組織の脆弱性で、自民と競り合えていないことも一因だ。
 とはいえ、早々と自民圧勝と伝われば、有権者の投票意欲を削ぐ。意欲というのは、自分の努力が報われる可能性があるときに生じる。自分が投票してもしなくても結果が変わらないと有権者に思わせてしまえば、投票率が下がってしまう。
 世論調査は選挙情勢を有権者に伝えるために欠かせないが、頻度とタイミングを再考する必要があるかもしれない。選挙以外にも内閣支持率をその時々に報じるが、国政運営は長期的視点が求められるのに瞬間風速を計測するような人気投票的調査がプラスに作用するのか疑問だ。
 世論調査は実施する報道機関によって差異が生まれるが、これは質問の仕方によって回答が変化するからだ。ゆえに、政治の世界が世論調査の結果を「世論」だと早とちりして一喜一憂すれば、国の行く末が案じられる。世論調査の結果は一つの指標に過ぎず、本当の世論を決めるのは第3者ではなく自身の言動、参院選の場合は投票行動だ。

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2013年07月16日

医療と製薬会社の疑惑

 医科大学、病院、製薬会社、厚労省の役人をめぐる医療費のうさん臭い話は珍しくはないが、いま問題になっている降圧剤の臨床研究データの不正改ざんは余りにも生々しい。国民の医療費増大と国家財政にも影響するこの問題、徹底的追及と断固たる総括が望まれる。
 問題の降圧剤「ディオバン」は製薬会社ノバルティスファーマの看板薬で、京都府立医大の臨床研究データが、この薬の効能を過大に見せるように改ざんされていた。
 この治療薬は血圧を下げる特効を強調して年間1000億円余の売上げを誇っているが、他社の高血圧治療薬よりも脳疾患や心臓病にも効くように偽装されていた。この薬の臨床研究には京都府立医大のほか4大学も参加しており、製薬会社のノ社は5大学に奨学金を提供し、京都府立医大の研究室にも1億円寄付している。
 さらなる疑惑は、この薬の臨床研究のデータ解析にノ社の社員が別の肩書きで参加していたことである。
 以前にも、米国で使用禁止になっている血液薬剤を輸入した日本の製薬会社が当時の厚生省役人とつるんで不正利益をあげ、多くの薬害問題に発展した事件があった。国民の健康と国家の医療費を侵害する製薬会社の利益追求主義を断固清算すべきだが、それは不可能な悲願なのか。
 ところで、ぼくは、今、2013年の上半期ベストセラーの「近藤誠医師著・医者に殺されない47の心得」を読んでいるが、あまりにも衝撃的な内容で、その中に、やはり、製薬会社と国立医大医師の億単位の金の授受が指摘されている。
 近藤医師は、慶応大医学部講師。患者本位の治療を実現するため医療の情報公開を積極的にすすめ、抗がん剤の毒性を訴え、「患者よ、がんと闘うな」など多くの本を著し、昨年第60回菊池寛賞を受賞している。
 この本のなかに、「世界中で売れているコレステロール薬の病気を防ぐ確率は宝くじ以下」というのがある。
 コレステロールを下げるスタチン類は、世界中でよく売れている薬で、2009年の米国での売り上げは1兆円レベル(145億ドル)。2004年に米国ではコレステロールのガイドラインが改訂され、悪玉コレステロールの基準値を引き下げた。その背景に、改訂を決める委員9人中、8人が製薬業界から金をもらっていることが分かった。面白いことに、このスタチン類を飲んで、どんな薬効があるのか、データによれば、宝くじ以下で、本当に効いたのか、よく分からない、という結果が出ている。
 スタチン類は、長期間、服用し続けると、心臓発作のリスクを30%以上減らせると、製薬会社は宣伝するが、カナダのコロンビア大学J・M・ライト教授は、臨床試験を重ねた結果「年齢に拘わらず、スタチン類は女性には無効。中年男性では、悪玉コレステロールの値が大幅に下がったが、総死亡数は減っていない。ほとんどの人が、効果が無いどころか、健康を害する危険すらある」と警告している。
 低血糖の薬も同じ。薬やインスリン注射で血糖値を厳格にコントロールして、延命につながった、というデータは皆無。命を縮めたというデータはある、と皮肉っている。
 近藤医師は、医者の健康指導は心臓病を招く、と、これまたショッキングな指摘をしている。フィンランドの15年がかりの調査の結果についての話の中で、同医師の痛烈な一言が耳に残る。病気の早期発見、予防、早期治療、今や予防医学が大流行。痛みや苦しみがあって病院に来る人だけを診ていたら、人口減で患者が先細り。だから健康に暮らしている人の中から病気を掘り起こして、治療して業界の繁栄を図ろうとしている。すなわち「医者を呼ぼう医学」です(アスコム社刊・近藤誠著・医者に殺されない47の心得参照)。【押谷盛利】

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