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人口減少社会への覚悟を(見聞録)

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が27日発表した人口推計。2040年の日本は、全ての都道府県で人口が減少し、全国民の3割超が65歳以上になる。
 青森県や岩手県は人口が30%も減少する深刻さだ。滋賀の場合は2010年の人口は141万1000人だが、40年には130万9000人となり、7・3%減少の見込みだ。ただし、この数値は現在も人口が増加している湖南地域の恩恵があってこそで、湖北地域に限定すれば7・3%の減少では済まないだろう。
 長浜市の推計によると35年の人口は11万1986人を見込み、今月1日現在の12万3563人と比較して9・4%減少する。しかし、ここ3年間で長浜市の人口が2873人も減少していることを考えると、9・4%は楽観的な数値かも知れない。
 さて、政府や経済界は人口減少で国力が衰えると指摘し、少子化対策を訴えている。しかし、日本の人口密度は世界21番目で、他の先進国に比べ高い。ゆえに人口減少が絶対悪とは言い切れず、むしろ戦前・戦中・戦後の「産めよ増やせよ」の大方針と、2度のベビーブームが過剰だったのではないか、という見方もできる。
 問題なのは、少子化と高齢化が同時に急速に進んでいることだろう。生産人口、消費人口の急減は経済を停滞させ税収を減らす。一方で、飛躍的に増える高齢者福祉を支えてゆかねばならない。今のままの社会構造では政府や自治体の財政がひっ迫し、現役世代の負担増は避けられない。
 しかし、政府も自治体もこの問題をどこまで深刻に認識しているのか。リニアや北陸新幹線の整備、九州、北海道の高速道路などのインフラ計画を見る限り、これから加速度的に人口が減る深刻さを理解しているようには思えないのだが。ソフト事業は人口減少に比例しサービス量も減るが、インフラの維持管理は減ることはなく増える一方である。現役世代1人当たりの負担が増すことは明白だ。
 少子化は一朝一夕に解決する問題ではない。ならば、人口減少を前提にした国づくりにシフトしなければならない。そう考えると公共工事たっぷりのアベノミクスは目先の経済だけで、20年後、30年後の日本の姿を見据えているとはとても思えない。
 仮に大判振る舞いの投資をするのであれば、対GDP1%前後で低迷している子育て支援に集中させるべきであろう。ますます進む女性の社会的活躍と出生率の向上を両立させるには、女性が結婚、出産しても働き続けることができる環境整備が不可欠である。今でさえまかなえていない保育需要に応えるような施策が求められる。お手本はヨーロッパの国々にある。
 地方自治体も無策ではいられない。人口減少を傍観していれば、長浜や米原などの地方の小規模市は衰退する。今でも湖北出身の若者は都会で就職し、故郷に戻ってくるのは限られている。若者が帰りたい、住みたい、家庭を持って子どもを育てたい、と思える自治体にしてゆく必要がある。そのためには子育て環境や教育の充実、文化やスポーツの振興に目を向ける必要がある。
 20年後、30年後を見据えた長浜市、米原市のプロデュース。人口減少の生々しいデータが公表された今、未来から目を背けず、想像力を働かせて覚悟と準備が必要をするときだ。

2013年03月29日 17:15 |


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