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ギャンブル禁止条例(見聞録)

 生活保護や児童扶養手当をパチンコなどのギャンブルに浪費することを禁じた兵庫県小野市の条例が話題となっている。
 この条例の骨格となる条文は「給付された金銭を、パチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消し、その後の生活の維持、安定向上を図ることができなくなるような事態を招いてはならないのであって、常にその能力に応じて勤労に励み(中略)、日常生活の維持、安定向上に努めなければならない」とある。
 まっとうな主張だが、別の条文の「金銭をパチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するもの」と、市民の責務を取り上げた部分が、「監視社会につながりかねない」「プライバシーは保護されなければならない」と人権団体などから反発が出ることとなった。
 蓬莱務市長は「生活保護に対する無関心を改め、意識改革を図りたい」と訴えている。
 受給者が200万人を超える生活保護制度は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を助長することを目的としている。これは憲法で保障された「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に由来する。
 ギャンブルが「健康的で文化的な」生活に当てはまるのかは、別の議論として、労働の末に納めた税金を原資とする生活保護給付金が、受給者の自立に使われずギャンブルに浪費されているとすれば、納税者の1人として、心情的に歓迎できるものではない。
 さて、小野市ではこの条例のほか、全国に先駆けて5年前に「いじめ等防止条例」を施行し、空き家対策に市民や自治会、行政などが一体となって取り組む「空き家等の適正管理に関する条例」を今年1月から施行している。
 生活保護などの社会保障費の拡大、学校でのいじめ問題、空き家対策などは、全国に共通する課題である。前例を大切にする役所にとって、全国の自治体の先陣を切って新しい条例を制定するのは冒険的行為だが、蓬莱市長は民間企業の経理課長や企画室長、人事部門統括部長などを歴任した、根っからの企業人。「言われてからやるのではなく、言われる前にやる」がモットーだそうだ。

2013年03月27日 17:23 |


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