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教育再生は大学入試から(見聞録)

 自民党の教育再生実行本部は国際社会で活躍できる人材育成など教育改革について▽英語教育の抜本的改革▽理数教育の刷新▽情報通信技術教育の推進—を「教育再生3本の矢」として、その具体案を練っている。
 英語教育については、検定試験「TOEFL(トイフル)」で一定以上の点数を取ることを大学の受験、卒業の条件とすることを盛り込んでいる。
 理数教育については、文系を含むすべての大学入試に理数科目を義務付ける。現行の文系の大学入試は私立を中心に国語・英語・社会の3科目程度となっているが、文系の入試に理数科目を加えることで、中学、高校での理数授業が増え、それらに関心を持つ生徒が増えると期待する。あわせて、理数科目に重点を置く「スーパー・サイエンス・ハイスクール」(SSH)の生徒を倍増させる。
 情報通信技術教育の推進については、すべての小・中・高校生に情報端末(タブレット型PC)を配る。
 以上の3つの方針が自民党の教育再生方針だ。
 中学、高校の6年間、英語を学んでも、ほとんどの生徒が英語で会話できない現状を考えると、今の英語教育に問題なしとは言えないだろう。トイフルで英語でのコミュニケーション能力の有無を大学の受験、卒業の条件とすれば「大卒なのに英語がまったくできない」という、他国では考えられないような状態がいくらか緩和できるのではないか。
 文系入試に理数科目を導入するのも賛成だ。吸収力のある若いうちに幅広い知見・知識に触れることは欠かせない。大学受験の突破だけを目標に、中学、高校時代から、特定の教科に絞り込んだ勉強をするのは、もったいない。数学や理科の基礎的知識は社会に出ても必要であり、その基礎力を問われないまま受験できる今の入試制度は、高等教育機関として妥当なのか疑問に感じていた。
 タブレット型PCを児童・生徒の全員に配布するのは賛否があろうが、財政負担に対する教育上の効果を見定める必要がある。特に、情操面での効果を慎重に見極めたい。
 今の時代、子ども達は小学校から塾に通い、家計に余裕があれば私立に通学する。各家庭がそれほど教育に熱心になっているにもかかわらず、なぜ「教育再生」が必要なのか。
 根源は、入学生を確保したいがために受験生に迎合した大学入試と、たいした勉強をしなくても安易に単位を取得できる大学卒業のあり方にあるのではないか。
 小学、中学、高校生の多くが大学入試を目標に勉強しているのならば、まずは大学を変えなければならない。今後、具現化する「三本の矢」が、どこまで大学教育に切り込むのか、そこに教育再生の本気度が読み取れるのではないか。

2013年03月25日 17:12 |


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