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独裁者はアメリカの敵か(見聞録)

 イラク戦争からもう10年が経過した。大量破壊兵器を保有しながら、自国の意に反する国家に大量破壊兵器の保持を許さないアメリカが「イラクが大量破壊兵器を保有している」と嘘をついて、一方的に仕掛けた戦争だった。
 結局、大量破壊兵器は見つからず、戦争の大義名分は「サダム・フセインの圧制からイラク国民を解放する」「テロリスト支援国家を民主国家に変える」など、アメリカにとって何の緊急性もない理由となった。結局は世界の警察を自称するアメリカのフセインに対する私的制裁にすぎながったのではないか。
 フセインを亡き者にした後は、アメリカの監視の下、選挙で国の代表を決めて民主国家(親米)の誕生—というシナリオは夢物語に終わり、終わらないのはイスラム教シーア派とスンニ派の主導権争い、国際テロ組織による無差別テロの応酬。独裁者の恐怖政治からの解放が、イラク社会をより不安定化させたわけだ。
 米兵4500人が犠牲になり、戦費は200兆円にのぼっている。10年を迎え、アメリカではイラク戦争の評価が国内を二分しているが、客観的に分析すれば、中東の反米感情を高め、国内の深刻な財政問題を抱えたというマイナス面が強調されるだろう。
 さて、アメリカの標的になった独裁国家イラクだが、ほかに独裁国家としてイメージするのは、どんな国があるのだろうか?
 日本でポピュラーな独裁国家は北朝鮮(金正恩将軍)、イラン(ハメネイ最高指導者、アフマディネジャド大統領)、リビア(カダフィ)、ベネズエラ(チャベス)、キューバ(カストロ)などだろう。いずれの国も独裁者がアメリカを口汚く罵っているイメージが強い。アメリカもこれらの国を「悪の枢軸」と呼んだりして毛嫌いしている。ただ、カダフィは革命に倒れ、チャベスは病死した。
 他にも独裁国家がある。クエート、オマーン、バーレーン、サウジアラビアなどの中東産油国は王族による独裁が現在も続いているし、革命に倒れたエジプトのムバラクも独裁者だった。
 だが、これら産油国やエジプトに対し、アメリカが民主化を要求することはない。それは親米国家だからだ。我々日本人もこれら産油国やエジプトに対して独裁国家というイメージを持たない。知らず知らずに親米か反米か、という色眼鏡で見ているのだろうか。
 イラク戦争に参加した有志国はアメリカの私的制裁に加担させられたわけだ。日本は戦後復興活動という後方支援で済んだが、イラク戦争の反省を材料として、国際社会でのスタンスを見極める必要があるのではないか。

2013年03月22日 17:04 |


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