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渡辺、鳩山氏の出処進退

 政治家や高級官僚は人の上に立つ人だから、常にその出処進退が問われる。
 表舞台に出て高位高官、陽の当たる地位につくことが出処。その逆に退いて民間人となること、公人から私人になることが進退。
 国家公務員の天下りが問題となったのは7年前の第一次安倍内閣時代だったが、いまの「みんなの党」の渡辺喜美代表は当時、公務員改革の担当大臣として、特に天下りの温床ともいうべき政府系外郭団体や特殊法人の整理と官僚の天下り禁止に全力を尽くした。
 ところが当時の官僚やこれと結ぶ自民党保守派の抵抗にあって実を結ばなかった。業を煮やした渡辺大臣は「これでは100年経っても結果が出せない。新しい政治勢力をつくって、国民とともに改革しよう」と、自民党を脱党し、惜しげもなく大臣を棒に振った。
 ゼロから出発した渡辺氏の出処進退の鮮やかさが国民の共感を呼んで、いまのみんなの党は第3極の一端をねらう有力な政党になった。
 彼に比べると哀れにも野垂れ死に同様の結末を思わせるのが民主党の初政権を握った鳩山由紀夫元首相であろう。
 自民党を出て、さきがけ、そして民主党を結成し、遂に総理となる順風満帆の出処だったが、その後がケチのつき始めで、最後は踏んだり蹴ったりだった。昨秋の選挙には党の公認ももらえず、子分は離れ、思いを国会に残したまま立候補すら出来なかった。
 そして、今回、降って湧いたように民主党を離党した。本人は時の人のように話題を投じた格好だが、軽蔑と嘲笑の声で、一顧だにされなかった。出処の華やかさに比べ進退のみじめさは、お通夜のような暗さが漂う。偶然か、不肖の子を残して母堂が亡くなられた。
 鳩山政権時代、一カ月1700万円もの小遣いを毎月、母親にもらいながら無届けによる脱税疑惑が追及された。脱税王なる不名誉な言葉すら流行し、以来小沢一郎氏との二人三脚の歩みが国民の反発を招き、結局鳩山御曹司、空しく消えゆく運命。
 しかし、この男、日本ではうだつが上がらぬと観念したのか、今年早々に中国へ飛んだ。北京で中国の外相らと会談し、事もあろうに、尖閣問題で、領土問題は存在しない、という日本政府の公式見解を否定した。
 また会談の翌日、南京大虐殺紀念館を訪ね、石碑の前で合掌して謝罪した。いわば謝罪外交というべきで、中国側は大歓迎の大喜び。各新聞が写真入りで大きく報道した。
 しなびた古大根が中国に出かけて、先方で脚光を浴びた形だが、民主党に泥を塗り、国民の信頼に屁をかましたこの御仁。心あらば靖国の英霊へ追悼のお参りをするがよい。母堂の莫大な遺産を東北の原発被害地の救済に寄付するがよい。せめてもの好進退となるだろう。【押谷盛利】

2013年03月07日 17:10 |


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