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死なないハエと食品汚染

 ぼくが「クスリ漬け」を批判するのは、クスリは使えば使うほど効かなくなるからだ。効かなければ一回の服用量を増やしたり、飲む回数を増やすことになり、体内を一層クスリ漬けにする。
 病菌を抑えたり、手術後の感染を防ぐなど、医療に革命的進化をもたらした抗生物質だが、細菌の本性というか、長い年月のうちに、抗生物質に負けず生き延びる菌が出始めた。これを耐性というが、その最も激しい、最も分かりやすい例を一つ紹介する。
 これは「文春」2月号に発表している評論家・立花隆氏の論文である。
 昭和40年(1965)、東京湾の埋立地でゴミ騒動が起きた。名前は夢の島だが、ゴミの島と呼ばれるこの埋立地に一日9000㌧(2㌧車で4500台)のゴミが毎日運ばれてきた。そうこうするうちに対岸の江東区にハエが押し寄せ、払っても、払っても人の顔にたかった。
 どの家の天井もハエで真っ黒。夜はハエを追い払うのに疲れ果て眠れない人が続出。殺虫剤をいくらまいてもハエは死滅しなかった。ハエが薬剤耐性を獲得して致死量の2000倍に増やしてもきかなかった。
 結局大量の重油をかけて巨大なゴミの山(高さ20㍍、長さ270㍍)を燃やすことで切り抜けた。
 3月8日付の「週刊朝日」は「危ない輸入食品472品目」のタイトルで、中国、米国、ベトナムなど52カ国から日本へ輸入される食品の薬害汚染を告発している。
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、5年前大きなショックを受けた日本だが、輸入食品の農薬や食品添加物の違反はまだまだ続いている。そこで、同誌はどんなものに注意が必要か、「危ない食品」の最新情報をレポートしている。
 厚労省によると、近年の輸入食品の届け出件数は2009年度=182万件(千以下略)、10年度=200万件、11年度=209万件。20年前に比べると届け出件数は約3倍、総重量は1000万㌧近く増えている。
 輸入食品の残留農薬や食品添加物の食品衛生法違反については、農民連食品分析センターが目を光らせるが、11年3月の東日本大震災後、検査依頼の8割を放射能検査が占めるようになり、輸入食品の違反問題が解消されていない。
 同誌は厚労省のデータをもとに12年2月から13年1月の違反事例を調べた。
 総違反事件数は1053件。ワーストは中国の227件、次いで米国150、ベトナム118、タイ94、インド65。昨年はドイツで中国からの輸入イチゴで1万1000人超が下痢や発熱で、ノロウイルスが疑われた。今年には、ケンタッキーフライドチキンを展開する中国事業部が、鶏に過剰な成長促進剤や抗生物質を投与したとして謝罪。2月には遼陽市でカモ肉に基準の約2000倍の亜硝酸塩や発がん性のある添加物を加え、牛肉や羊肉と偽って販売していたとして、中国当局が生産工場の関係者を逮捕した。
 05年に中国産うなぎから検出された合成抗菌剤「マラカイトグリーン」は日、米、欧州のほか当の中国でも食品への使用を禁止されているが、その後も違反が相次ぎ、昨年6月にも中国産蒲焼うなぎから、検出された。
 また菓子類や油脂から防腐剤、冷凍コハダや健康食品からは発がん性が疑われ、日本では40年前に使用禁止の人工調味料「サイクラミン酸」が検出されている。またアサリや天然の魚から除草剤使用を疑われる薬品が検出され不思議がられる例もあり、農薬の多用が水環境を汚染しているのでは、ともいわれている。
 輸入食品は検査されるが、すべてを安全基準に照らして黒白つけるわけではないから、法のスキ、人間のスキを狙って、山のように外国の食品が入ってくるのだから、安全第一の日本の農業、海産物に目を開き、一人一人が自己防衛しなくてはならぬ。【押谷盛利】

2013年03月02日 17:28 |


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