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長浜市街地を歩いて…(見聞録)

 日常の取材に加え、ときどき新聞配達や読者拡張に歩く。先日は宮前や神前、元浜町など旧市街地の路地をウロウロしたが、過疎化・空洞化の傾向が気になった。
 長年、誰も住んでいないのだろうか、屋根が崩れかけた古い民家、チラシが溢れたポスト、ジャングルのように木や雑草が繁る庭。子どもの声が響き、家族の語らいがあったであろう民家が、廃屋同様に人の気配を押し殺すようにたたずんでいた。
 高齢化率が50%を超す「限界集落」なる言葉から連想するのは田舎の農村や山村の姿だが、長浜の旧市街地も他人事ではない。少子化と核家族化による人口流出が直接の原因だが、長浜曳山祭を支える物心両面の負担や旧市街地特有の近所付き合いを敬遠する向きも指摘されている。
 民家の所有者としては誰かに住んでもらいたいところだが、「得体の知れない人に貸してご近所さんに迷惑をかけては申し訳ない」と、不動産市場にも出てこない。人が住まない民家は傷みが早い。
 市街地にいかにして人を呼び込み、定住してもらうのか。長浜市が抱える深刻な課題ではないだろうか。「中心市街地活性化」を掲げ、税金を投入し続けた結果、シャッター街の商店街は年間200万人が訪れる「観光地市街地」となった。だが、「観光市街地」を一歩出れば、市民が思い描く活性化は進んでいないことが分かる。2008年度調査によると中心市街地活性化の対象エリア内で208軒の空き家が確認され、今も増え続けている。
 長浜市は活性化施策に対する税金投入のあり方を見直す必要がありそうだ。目下、中心市街地への移住や町家改修を助成する制度を設け、新年度は町家を改修したモデルハウスを整備し若者にPRする施策を用意している。
 今、東京や大阪では都心回帰、地方都市では駅前回帰の動きがある。生活に必要なものが徒歩圏内に揃う「コンパクトシティ」が見直されているわけだ。長浜市街地の場合も八百屋、魚屋、米屋、酒屋があり、食品の買い出しには困らない。お洒落なレストランやバーがあり、駅前にはスーパー。学校や医院も徒歩圏内。新たな定住者を招き入れるポテンシャルは決して低くない。また、近所付き合いの希薄な環境で育った都市部の住民は、互いの顔が見えるコンパクトな生活空間を求め、それは町家生活への憧れとも関係している。
 若者の定住が進んでこそ、市街地活性化だろう。

2013年03月01日 17:23 |


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