滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2012年12月27日

白昼夢に躍らされるな

 本紙は、きょう27日付で納刊となり、再びお会いするのは正月元旦号です。
 かえりみれば、あっという間の短かい一年でしたが、ご批判も頂き、激励も頂き、反省と学習を繰り返しながら読者の皆さんと不思議な絆を結ばせて頂いた光栄を感謝するばかりです。
 さて、安倍内閣が発足して、景気がよくなるのか、株屋さんからの情報が期待をこめて、はしゃいでいるが、あまり安易に先行きを躍らされていると、どかんと落とし穴にはまる危険性なしとしない。
 日銀の杓子定規なコントロールを外して、金融をじゃんじゃんゆるめて、物価の上昇とインフレを招来し、などと、見果てぬ夢を吹いているが、株にしても、経済にしても現実を正視し、世の中の動を冷静に見て判断をしなければ、バクチ根性になりがちな弱者・大衆に被害を与えることになる。
 安倍総理や自民党のリーダーの中には、夢よ、もう一度の、かつてのバブル時代の再現をもくろむ向きもあるようだが、時代背景が全然異なることを知るべきだ。
 昭和50年前後、田中角栄に象徴される列島改造ムードは、東京オリンピック、大阪万博、新幹線、東名神高速道路以後の日本の高度成長をはらむ客観性があった。端的にいえば、日本人が兎小屋から西欧近代国家並みに充実した家屋とそれにふさわしい文化生活を手に入れようとする欲望と、それを実現する過程がバブル期への行進曲だった。
 バブル期がいまなお鮮明に「よき記憶」として残像を豊かにしているのは、日本人の生活実態の革命期と一致したからである。
 土地は取引のマネーゲームの材料として証券化され、マイホームの夢にからむ需要もあって物価上昇の牽引役を果たした。
 欧米並みの文化生活の夢は商品開発と製造業、流通産業、それに余暇産業、その他、雪だるま式に市場を虹いろにし、それがストレートに株式に反映した。いまの日本に、当時と比肩すべき積極的需要要素があるかどうか。いまはなくとも潜在的可能性があるのだろうか。極めて悲観的材料ばかりである。
 高齢化社会に突入し、高齢者とその家族が経済的に受け身になっており、少子化による人口の減少傾向が経済の先行き不安の因となっている。
 土地需要はどうか。過剰気味で遊休地が多く、地価は下降気味である。家はどうか。マンションは限界に近く、古いものは空きが目立ち、価格は暴落している。一般家庭は建て替えが進む反面、無住の家が多く建築インフレなど望むべくもない。
 他産業はどうか。衣料、食品、家具類、すべて、国民は満腹状況で、新規の買いよりも、しまっているものを捨てたり、整理する願望が強く、物価の上昇どころか、下落を誘う。
 企業はどうか。中小企業は採算ベースを割り、新規投資を諦めるどころか、休廃業に追い込まれてゆく。
 いま、もし消費税の増税を断行すれば、買い控えで景気の冷えを招くことは必至である。デフレ脱却、プラス成長など、とんでもない白昼夢を見て証券市場の大恐慌を招くにちがいない。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月26日

この1年を振り返り(見聞録)

 きょう26日で今年の「見聞録」が最後となる。この1年間を振り返ってみたい。
 新年は1月1日、特別手配されていたオウム真理教の平田信容疑者が警視庁丸の内署に突如出頭し、逮捕された衝撃で幕を開けた。その後、6月には菊池直子容疑者、高橋克也容疑者が相次いで逮捕され、地下鉄サリン事件から17年余りで、オウムの特別手配犯の全員が御用となった。
 政治では民主、自民、公明による消費税増税法案が可決された。過去の選挙で争点になることもなかったのに、である。小沢一郎氏らはこれに造反、離党し、新党「国民の生活が第一」を結成した。12月の衆院選では嘉田由紀子滋賀県知事を代表とする急造の「日本未来の党」に衣替えしたが、惨敗を喫した。古巣の民主党も壊滅的打撃を受けた。
 日本維新の会、みんなの党は議席を大きく伸ばしたが、準備不足、第3極候補の乱立が足を引っ張った。
 一方、自民党は民主党の自滅で圧勝し、2009年以来となる政権奪還に成功。きょう26日、安倍内閣が発足した。手堅い政権運営に期待が寄せられているが、国民無視の派閥政治に戻りはしまいか、との心配もある。
 国際関係では中国が沖縄県・尖閣諸島の国有化に反発して、領海・領空侵犯など侵略行為に本腰を入れ始め、中国本土では反日デモと日本企業に対する破壊行為が横行。両国の政治だけでなく経済交流も冷え込んだ。韓国も支持率低迷にあえぐ李明博大統領が人気取りを狙って竹島に上陸し、これまでの日韓関係に水を差した。北朝鮮の若い将軍様はミサイルを打ち上げた。
 きな臭さを増す極東で、安倍新政権がどう立ち回るのか。
 今夏は原発停止で企業、国民が節電に励んだ。関西電力は地域をエリア分けして計画停電を準備したが、結局は停電を回避できた。その夏はロンドンオリンピックで熱くなった。柔道、体操、レスリング、卓球、バレーなどがメダルに輝いた。夜を徹してのテレビ観戦に国民の寝不足が続いたことだろう。
 事件や事故は数え上げればきりがないが、尼崎などを舞台にした連続監禁変死事件は、おぞましい犯行手口が次々と明るみになった。その主犯格の角田美代子容疑者は留置所で自殺した。独身男性を手玉に取ってカネを騙し取り、最後は自殺に見せかけて殺していた木嶋佳苗被告には死刑判決が出た。
 最もハッピーだったニュースはiPS細胞を開発した山中伸弥京大教授のノーベル医学・生理学賞の受賞だった。iPS細胞の開発、ノーベル賞の受賞という偉業だけでなく、山中教授の人柄と凛とした研究姿勢に、日本人の多くが救われた気がする。
 さて、2013年はどのようなニュースが世間を驚かせることになるのだろうか。どんな出来事が起こるにせよ、家族や同僚、友人、隣人、知人が健康で笑顔を絶やさずに1年を過ごせることが一番。来年も笑みがこぼれるハッピーなニュースを伝えたい。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月25日

安倍総理と派閥の復活

 かつて、自民党の全盛時代、激しい総裁選の結果、勝利した陣営は意気軒昂、次なる内閣総理大臣の指名選挙を前に新内閣の閣僚、党役員人事などの思惑を秘めて自薦、他薦のあわただしい雰囲気をかもした。派バツの親分衆はここぞとばかり、子分の名をちらほら洩らして、人事の辞令が先行した。新聞などで、名前の出た人をトータルすると、実定数の2倍にも3倍にもなる勘定となり、名前だけで選挙民を喜ばしたあげく、どんでん返しの悲哀をかこつ人が多かった。悲哀組を手当てするため、政務次官(当時)とか、衆院の委員長、あるいは国対委員会の幹部に据えるなど執行部は苦労した。
 派バツ全盛時は、こうして、新しい内閣が発足するたびに、人事の駆け引きを通じて子分を掌握した。
 子分どもは、選挙時はカネをもらうし、当選後は役職のポストをめぐって恩恵にあずかるから、がんじがらめに親分の統率下に組み入れられた。
 親分がカラスは白いと言えば、誰も反対するものは無かった。党内の会議や国会での採決の場合も、賛否は親分の意向にしたがった。
 今回、政権を取り戻した自民党は、26日の臨時国会で安倍総裁を2回目の総理として誕生させる。
 ところで、ここ2、3日の新聞を眺めると、面白いことに気がつく。それは、かつての自民党全盛時代のように、ちらほら大臣や党役員の人事が活字になって明らかにされつつあることだ。心ある人は、おや、派バツが蘇ったのか、と、錯覚するが、錯覚を越えて、本物の動きになれば、先祖還りか、と国民の不信を招くことになる。
 この点で、国民の意識に今も鮮明に残っているのは、小泉純一郎氏だ。氏は変人といわれたが、「自民党をぶっ壊す」、「派バツを解消する」と宣言して、国民的人気を博し、内外とも本命といわれた橋本龍太郎氏を破って、総裁、総理になった。
 そして約5年間、彼は1内閣1大臣を基本として、長期政権を担ったが、実に立派だった。彼の前に各派バツは動きを規制され、沈黙を余儀なくなれた。彼は2次、3次と内閣を組織したが、その前に、だれが大臣になるか、党役員になるかは、一切新聞沙汰にはならなかった。
 すべて、直前に決定するまで彼は口をもらしたことがなく、もちろん派バツの出しゃばりもなく、子分を引き立て、実力を誇示するチャンスを与えはしなかった。
 派バツの功罪をここで書く紙幅はないが、短期大臣の粗製乱造は罪の最たる一つである。それは早く大臣を辞めさせて、新しいポストを待つ人に応えるという親分の人事操縦術の基本であり、これこそが官僚支配の要でもあった。
 この限りでは、国会も国民も眼中になく、ただ派バツ全盛と親分衆の政治支配だけが目的である。その開祖は戦後の一時期、白足袋宰相といわれた吉田茂である。安倍氏が首班になって果たして、派バツ政治を越えられるか、極めて注目されるところである。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月21日

独身女性の結婚と浮気(見聞録)

 韓国の次期大統領に女性の朴槿惠(パク・クネ)氏が選ばれた。
 彼女は同国の第5〜9代大統領・朴正煕(パク・チョンヒ)氏の長女で、1974年、北朝鮮工作員に母親が暗殺されたのを機に留学先のフランスから帰国し、1979年に父親が側近に暗殺されるまでファーストレディー役を務めた。
 15年程前から政治活動を始め、当選回数は5回。ぽっと出の女性政治家ではなく実力を兼ね備えている。ぶれない政治姿勢と物怖じしない性格で、顔を切り付けられるテロにも屈せず「韓国のジャンヌダルク」とも呼ばれているそうだ。
 さきの大統領選挙では北朝鮮寄りの左派勢力との一騎打ちの末、競り勝った。日本と同時期のトップ交代に竹島問題や従軍慰安婦問題でギクシャクした日韓関係を仕切り直すきっかけとしたいものだ。
 両国には歴史認識に違いがあるが、その問題だけをクローズアップすれば李明博大統領の二の舞となり、両国の友好関係が断たれてしまう。韓国では国定教科書による反日教育が行われているため歴史問題での妥協は安易ではない。
 さらに、朴氏の父である正煕氏は元満州国軍の将校で日本の士官学校に留学していたこともあることから、「親日派」と侮蔑されることもある。歴史認識などで少しでも譲歩しようものなら支持は簡単に揺らいでしまう。そういう難しい点はあるが、未来志向の視点に立った外交が少しでも前進することを期待したい。
 さて、朴氏が最も尊敬する人物は、スペインの無敵艦隊を破り、英国を世界最強国に導いた女王エリザベス1世だそうだ。エリザベスは2歳で母親を処刑で失い、生涯独身を通した。朴氏が両親を殺害され、家族のない独身を続けているのに似ている。
 エリザベスは「私は英国と結婚している」「すべての臣民が私の夫」などと語ったとされ、朴氏も選挙期間中「国民が家族」「国民に一生を捧げる」と訴え、国民はそのプロポーズを受け入れた。
 さて、同じ女性政治家である嘉田由紀子知事も以前、「私は大好きな滋賀県・琵琶湖と結婚する覚悟」と初めて県知事選に立候補した際のことを語っていた。しかし、目下、国政への「浮気」を咎められ、県議会で「知事を取るのか、日本未来の党の党首を取るのか」と集中砲火を浴びている。嘉田知事はこれを機に結婚相手を乗り換えるのか、それとも県民と添い遂げるのか。いずれにしても、県議会は「浮気」を許してくれそうにない。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月20日

知事は即時辞任すべし

 政界の妖怪・小沢一郎に踊らされた嘉田由紀子滋賀県知事の見た真冬の夢は流れる水の泡の如く、あっという間に消え去った。
 真冬の夢だけに覚めた跡の寒々さはひと通りではない。
 踏んだり蹴ったりの暗い夜道を泣きながら歩いている図が想像されるが、本人は間違った、とは決して言わない。そこに女の業ともいうべき一徹さがある。個人・由紀子なら何をほざいても何を仕出かそうが、「お好きなように」、ということになるが、公人・滋賀県知事となると、そうはゆかない。
 現に、19日開いた県議会では、知事の新党就任による県政への影響に対して6人の議員から集中砲火を浴びた。知事の与党ともいうべき対話の会ですら、批判的であり、16日の総選挙で県民の負託を受けた4衆議院議員もみんな厳しく、その前途を憂慮している。
 政界に波乱を呼び起こし、政党をつくっては砕いてきた小沢一郎は、今回の選挙で名実ともに影武者であることを証明したし、ふざけたことに、実力者といわれ、事実上の党首であるのに「おれは一兵卒、陰で支えるから」と嘉田を口説いた。その嘉田は「表へ出ないで」とこれまた小沢を隠した。そのうち選挙が始まると小沢なしでは動かぬことがばれたので、今度は「小沢さんを尊敬している。一緒に国のために…」と、あからさまに小沢を表へ出して、さも惚れきっているばかりのコメントを出した。
 如何に敏腕な知事といえども、3日やそこらの間に、天下の公党をつくれるわけがない。「新党をつくると宣伝して3日目には党のシンボルともいうべき党章もでき、党名も発表された。人事も同様。そんな手品のような話が2日や3日で出来上がる筈がない。一体だれと、相談したのか、どんな会合で事が進行したのか、全くの闇の闇の真っ暗やみの新党劇だった。すべては妖怪・小沢の脚本どおりで、泥舟小沢丸の救済以外の何ものでもなく、私利私欲で政治を動かした大罪は歴史に刻印されよう。清潔な嘉田イメージはその逆の黒いカラーに塗り替えられ、県民の名誉を失墜し、その被害は計り知れない。嘉田新党は名前は未来だが、明日の知れぬ根無し草で、選挙の結果を見ても「消えてなくなれ」との厳しいご神託だった。
 前職61人を擁する大所帯だったのに、残ったのは小沢、亀井静香ら9人だった。もともとは、評判の悪い小沢党では先行きの全滅が心配されるので、これに名古屋の河村市長、TPP反対の民主党の離党者、その他有象無象を加えた「インチキ集団」のごまかし新党だった。なぜ、嘉田が乗せられたのか。夢だからたぐりようもないが、それによる被害者は県民であるから、彼女が椅子に座っている限り、不信感はつきまとう。不信感で県政を暗くする罪は一日長ければ長いほど、マイナスを深くする。県民に詫びて一日も早く県知事を辞めるがよい。信なき政治は立たず。政治とカネ、政治と権力とカネの悪名高き妖怪は、最早や神通力もなく、日本の政治史の夜明けなかで、むかし、むかしの古ダヌキの故事として残ってゆく。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月19日

衆院選、滋賀の戦後処理(見聞録)

 4選挙区で自民が全勝した衆院選。自民の勝因についてあちこちに話を聞くと、やはり自民への積極的支持ではなく、民主政権への反対と第3極の準備不足というのがもっぱらの分析だ。
 さて、第3極は日本維新の会とみんなの党が躍進したが、他は少数政党を含め壊滅状態だった。社民は2議席に後退し、1議席しか取れなかった国民新党は連立を組んできた民主党が野党に転落するのを機に解党の道を選んだ。
 最も惨めだったのが、嘉田由紀子知事率いる未来の党だった。61議席を7分の1の9議席までに減らした。もっともその多くが小沢一郎氏の「国民の生活が第一」からの合流組で元々当選の見込みは少なかった。小選挙区では小沢氏と亀井静香氏のみの当選という負けっぷりだった。
 嘉田知事は3・11後初の衆院選にもかかわらず「脱原発」「卒原発」の争点が埋没しているとして、第3極の結集を訴え結党したが、小沢氏と組んだ点が国民の共感を得られなかった。嘉田知事を隠れ蓑にした「選挙互助会」の正体を国民が見透かしていたといえる。
 衆院選の結果を受け、嘉田知事は「原発をはじめとする既得権益を守ろうとする旧体制を破る力、大手メディアも加わった争点隠しを打ち破る力に、思いを一つにするには、時間と力が私たちには足りませんでした。(中略)今後、今日のスタートを第一歩として、同じ思いの人を広く求めながら、より大きな高みを目指して進んでいきたいと思います。参議院選に向けて、これからがスタートです」との声明を発表したが、前途は暗い。
 2006年、新幹線新駅の建設を強行しようとした現職知事を草の根選挙で破った嘉田知事は、自民、民主を軸としたオール与党体制の県政に風穴を空け、県民の代弁者となった。そして2010年の知事選では42万票をたたき出す圧倒的人気で再選した。しかし、現在は県議会で対立する自民党が過半数を占め、県内の市長、町長との関係はギクシャクしている。今回の未来の党の立ち上げは、県議や市長、町長だけでなく県民の支持も損なう結果となった。今後の嘉田県政の舵取りは非常に難しいと言わざるを得ない。
 政治家の間では、嘉田知事がどのタイミングで辞職するのかが話題になっている。未来の党の党首を務めながらオール野党の県議会を乗り越えるのは難しいとして、来夏の参院選に全国比例区で立候補するのでは、とも見られている。そうなれば来年は知事選も行われ、さっそく知事選候補に国会議員経験者などの名前が取り沙汰されている。一方、来年、市長選を迎える彦根市でも落選議員が立候補するのでは、いや知事選を目指すのでは、という噂が出ている。
 今回の衆院選の結果は滋賀県に大きな変化をもたらす。戦後処理がどう進むのか来夏まで目が離せない。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月18日

政治の大改革はこれから

 風のない総選挙だったが、結果は自民の圧勝、民主の轟沈だった。
 民主は負けるべくして負け、自民はふところ手をしていても票が舞い込んだ。
 今度の選挙、3年4カ月前の民主の完勝選挙の揺り戻しだった。「揺り戻し」は、揺すぶって元へ戻すことであり、だれが主導したわけでもないが、国民みんなが、よってたかって、「うそつき民主党」を合い言葉に揺り戻しのムードを出した。
 その揺り戻しをストップさせるどころか、民主党内は政策や路線で、争いが絶えず、決められない政治に国民はそっぽを向いた。
 そのそっぽに相乗効果を上げるような集団の離党や、さみだれ離党が続き、「あかんな、この党は」と、信用度が日増しに落ちていった。揺り戻しは国民が主体だから、自民は手放しでも人気は上昇する。本来は「3年前は自民党、今度は民主党」、ダメなものはダメだと、国民が第3極を推進すべきだったが、その第3極で最も期待された「維新」と「みんな」が統一できず、その隙を狙って、あだ桜の「未来」が降って湧いた結果、政界図に雲がかかって、ものの本質の見分けがつかなくなった。
 結局、揺り戻しは元へ戻って、「おなつかしや自民さん」とあいなりもうした。
 自民の大勝利は自民の組織の力ではない。それが証拠に例えば、滋賀2区の上野票6万7182は、前回(09年)の自民候補の6万6959と変わっていない。民主の田島票がこけただけの話である。
 自民もアカン、民主もアカン、というなれば、これ以外の第3極に委ねればよい、と、思うがそうはならない。守旧派というか、昔をなつかしむ勢力が改革を必死で阻止するのは歴史の教えるところ。改革は死にもの狂い。考えれば自民も民主も旧体制、大胆な思い切った改革はできっこない。閉鎖政治を改めるには驚天動地の改革をしなくてはならないが、それは困る、という現状維持の力が必ず加わる。
 守旧派、体制派と呼ぶべきこの力は今回も財界や官僚を通じて、さらにマスコミを通じて陰に陽に働いた。にも拘わらず「維新」が43議席も増やして、54議席。「みんな」が10増の18議席に躍進したのは見事であり、国民の期待感の現れである。
 維新とみんなへの国民の熱い心に水をぶっかけたのは滋賀県知事の嘉田氏だった。彼女は何を狂ったのか、よりによって小沢一郎氏と手を組み、公示の直前「未来」を結党。「国民の生活第一」やその他、名も覚えられぬ屑のような政党を抱え、脱原発、増税反対で第3極戦線を崩してしまった。小沢党の実態が知らされて、国民はみんな警戒した。その結果は60人を超す前職を抱えながら1ケタの9議席に退潮した。みるも哀れな不振だが、それでも滋賀では知事の顔で、比例に8万3000票余もかせぎ、「みんな」の5万票より多かった。維新はさすがに15万3000票を集めた。
 全国で未来が総スカンを食ったのは当然であり、権力とカネの小沢政治に国民は腹の底から怒っているのだ。それを思うと嘉田さんは滋賀県民の顔に泥をかけたといってもいい。政治の本当の改革はこれからだ。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月17日

「古い自民党」と決別を(見聞録)

 衆院選は自民の歴史的圧勝、民主の壊滅的敗北となった。安倍晋三総裁が「自民に信任が戻ってきたというより、民主党政権の3年間の混乱に対する国民の『ノー』という声だ。まだ自民に対する厳しい目は続いていく」と語るように、決して自民への支持が高まっている訳ではない。民主の自滅と第3極の分裂・準備不足による恩恵だ。
 滋賀県内の比例代表選の各政党の得票数を分析すると、自民票は投票総数の26%に過ぎない。県民の4人に1人の支持であり、維新票の22%とそう大差はない。惨敗の民主は15%だった。最多得票の候補1人だけが当選する小選挙区制度の特徴ゆえの自民圧勝という結果となった。
 この3年3カ月の民主党政権がどうだったのかは今さら批評するまでもない。新しい自民党政権には過去の国民無視の派閥主導型政治ではなく、日本の将来像を見据えた政策本位の政権運営に当たってもらいたい。
 憲法改正、景気回復、日米関係の再構築、中国・北朝鮮問題、原発とエネルギー政策など解決すべき数多くの課題が自民党を待ち構えている。それ以外にも消費税の増税の行方、持続可能な年金制度など、生活に身近な政策に国民の関心は高い。
 自民党が目指す200兆円規模の「国土強靭化計画」。公共事業は景気回復のカンフル剤ではあるが、公共投資依存型の経済成長を目指すことが、借金まみれの日本が選択する戦略なのだろうか。ここは自民党の若い議員は声を上げるべきだろう。
 さて、今後の国政運営だが、参議院では民主党が第1党で、自公合わせても過半数には達しておらず、ねじれ構造は続く。重要法案が参議院で否決されても衆院の3分の2で再可決、成立させることも可能だが、これでは横暴との批判が免れない。
 「勝てば官軍」とはいうものの、今回の大勝利は郵政選挙のような熱烈支持ではないことを胆に命じる必要がある。2009年の夏、なぜ自民党が下野したのか。それを忘れることなく政権運営にあたらなければ、今回の民主党のように有権者から総スカンを喰う。
 幸い自民党には若く清新な人物が揃い「古い自民党」と決別しつつあるとのイメージを持つ。若者の視点で新しい日本の将来図を描いて欲しい。返り咲きした上野賢一郎氏の活躍に期待したい。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月15日

この選挙、どんな風が吹く

 選挙はカネである。遠い昔の話ではない。田中角栄が全盛を誇った昭和49年ごろまでは国会から地方議会に至るまでみんなカネが仕切った。
 市議会議員に出る男が区長のところへ宜しくと挨拶に出た。区長いわく、カネは出来たか、と、しかるべき金額を提示したが、これは供託金ならぬ選挙請負金。
 ぼくが昔、地区の役員をしていたころ、隣組に死者が出た。隣組の組長のところへ喪主の方から金包みを差し出して葬儀一切のお世話を頼むと挨拶があり、それをしおに、隣組一同が組長宅を事務所にして葬儀一切を取り仕切った。
 世の中、刻一刻、変化ししてゆく。今は葬儀社が何から何まで仕切るので、町内の人はバスの送迎でお参りするだけでよい。昔は非時席といって、主な会葬者に食事を出した。もちろん酒も。今は家で葬儀をする人は少なく、中でも家族葬という略葬が流行気味である。
 田中角栄失脚のあと、三木武夫がクリーンな政治を叫んで、政治資金規制法をつくり、カネと選挙を改革したが、中途半端でクビになった。
 カネの道を遮断されては政治の道の食いあげになるというのが、当時の政権党自民党の本音であった。カネを表に出すと面白くないというので、後援会、その他いろいろ抜け道を考えたが、これに都合のよいのが派バツであった。
 派バツのボスはカネで政権を取り引きし、子分どもは親分に仕えて、カネとポストをあてがわれた。派バツがなければ、蛙に池のないようなもので、派バツの連合や組み合わせで、総理を決めたが、札束が散り紅葉のように賑わった。
 こりゃいかん、と派バツ潰しを宣伝したのが小泉純一郎で、同時に官僚政治の川の流れを一新するため手始めに郵政の民営化を断行した。これは小泉改革のホームランで、時は風が嵐を呼び、小泉解散では、あっというまに歴史的大勝利をした。これをきっかけに、歴史は変わり「選挙は風」となった。3年3カ月前の民主党の圧勝もまた「風」であった。「政権交代」という風はいまも生々しい。
 じゃ、今度の解散はどんな風なのか。いっときは「維新の風」が吹き荒れたが、どこからの黒い声がコントロールしたのか、この風はすさまじい逆風に妨げられ、その典型として、反維新の「未来」の割り込みがあり、未来のない未来と茶化されながらもおかしなつむじ風になったりする。
 それでは選挙を左右する今度の風は何か。原発、消費税、外交、TPP、防衛、憲法。タネは多いが、風は分散すると風力が弱まる。
 ぼくは風のない選挙だと思っているが、本当のことをいうと、風で決める選挙なんてものは次元が低い。風まかせは主体性のないことで、国民のレベルが低いところに起こる現象である。つぎつぎと世相も政治も選挙も変革し、一歩一歩、民主化し、名実ともに文明国家になるのだろう。その生みのなやみ、苦しみが今である(敬称略)。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月14日

躍進の自民、逃げきるか(見聞録)

 きょう12月14日は大石内蔵助ら赤穂浪士47人が吉良邸に討ち入った日にあたり、この時期になるとテレビで「忠臣蔵」を放送するのが定番となっている。300年前の事件が現代でも根強い人気を誇るのは、一命を賭して亡き主君への忠義を尽くした点にあるのだろう。
 今の政治家にも国のため、国民のために、彼らのような信念と覚悟が求められるが、果たして…。
 衆院選はあす15日が最後の選挙運動となり、あさって16日に投票日を迎える。大手報道機関の世論調査では自民が過半数を奪取し政権与党に返り咲く公算が高い。民主は80議席を割ることも想定されている。維新は50議席前後と伸び悩んでいる。
 自民は300議席に迫る勢いと報じられるなど2005年の郵政選挙を思わせる圧勝の気配だが、今回の選挙戦を肌で感じる限り郵政選挙のような国民の熱狂的支持があるようには思えない。逆に無関心の静けささえある。
 それを裏付けるように朝日新聞によると政党支持率調査では自民21%となっている。この数値は郵政選挙の33%を大きく下回り、2009年の政権交代選挙で大敗したときの22%よりも低い。自民党の支持率は過去と比べて決して高いわけではない。
 政権与党の民主党が支持率を前回の29%から11%に激減させたうえ、自民でも、民主でもない「第3極」が日本維新の会、みんなの党、日本未来の党などに分裂したことで、相対的に自民が浮上したにすぎない。
 自民党への積極的支持でもなければ、消極的支持でもない。ただ、従前の自民支持者が今回も自民を支持しているのに過ぎないのではないだろうか。
 滋賀第2選挙区でも自民・上野賢一郎候補がやや優勢で、4選を目指す民主・田島一成候補が迫り、その後をみんなの党の世一良幸候補が追いかける展開。共産党の中川睦子候補は支持の広がりは限定的。以上も世論調査の結果だが、選挙関係者はそう実感していない。上野候補が優勢と思えるだけの反応が有権者にあるかというと、決してない。逆風の田島候補の支持の広がりが欠けるから、相対的に上野候補が浮上していると分析できる。同選挙区唯一の第3極である世一候補は十分な選挙態勢が整わない中で善戦し、三つ巴の一角を形成できるか踏ん張りどころだ。
 有権者は選挙当日、どのような投票行動を取るのか。世論調査の結果どおりとなるのか、逆転劇が起こるのか。圧倒的多数を占める無党派層の動向が今回の選挙でも鍵を握ることになる。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月13日

らくちん社会の悲劇か

 12月も押し迫ると、暦や日記が話題になる。古歴、古日記は新年に入ってから前年のものをいうのだが、俳句の世界では師走の残り少なくなった暦や日記をいう。
 商魂がたくましいのか、几帳面な人が多いのか、5年日記、10年日記もの長いのが売れている。明日のことも分からぬ変遷ただならぬ今の世に10年日記とは随分気の長い話だが、目標を定めてそれに向かう姿が尊い。
 それにしても、いまどき日記をつける人は珍しいのではないか。手紙すら書かない人が多い今の世である。ケータイでメールを送るか、電話をする人が大部分で、便箋に文字をつらねて文章化する手紙は希少価値といってもいいのではないか。「面倒くさい」が現代の流行的所作だが、実はこれが曲者である。
 面倒くさいが学習能力を低下させ、家庭では健康に反する食生活につながる。例えば、学習や読書、記録などで、分からぬ言葉や文字は辞書によって理解するが、面倒くさいからそれをしない。
 電子辞書が普及したから、指の先で用を足すことができるが、ページをめくって、必要な字句を探す努力がまぬがれる分、らくをする。
 頭もらく、手もらく、目的が早く達せられるから重宝である。
 今の近代文明は家庭内のらくを戦略として経済大国への道を切り拓いた。家の中の構造、食生活はもちろん、家庭内のすべての労働を省力化すること、いわゆるらくちん天国が目標だった。玄関に立てば点灯し、自動的に戸は開く。電子レンジのチンは家庭料理の本山で、生もの、冷凍、乾燥、あらゆるすべての加工料理が即座に希望通り出来上がる。寝ながら風呂は沸くし、テレビも電話もトイレもスイッチ一つ。買いものも、支払いも、借金までもがカード社会。
 かくて、手や足やアタマをらくさせ、そのあげく、ものを噛む労をはぶくため、なんでも液体にして呑み込むことが流行化した。
 らくちん社会は作業をする手や足やアタマをおひまにするから、手も足も頭脳もみんな弱くなる。歩くことが苦手になり、持つことに力が入らなくなり、声を出してしゃべったり、ペンを持つことをしないから、年寄りでもないのに、体の全機能が鈍くなる。限りなく病人予備軍に組み入れられ、生活のすべてにわたり、クスリ無しではいられぬようになった。なんのことはない。らくちん社会が病人、そしてクスリ社会をつくってしまった。
 こういう話を候補者はしないし、政党も遠ざけるが、このカネ食い虫が40兆、50兆円の医療費を、つぎつぎ更新して国の財政を破綻させる。らくちん社会が国を亡ぼす。候補者センセ、わかっているのかな。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月12日

うまい話には落とし穴あり(見聞録)

 言葉巧みに現金を狙う詐欺事件が後を絶たない。今月5日には携帯電話のサイト利用料金の滞納をめぐる和解金名目で高島市内の男性会社員(25)が約600万円を騙し取られた。携帯電話に料金未納のメールが届き、そこに記された番号に電話したところ架空の請求を受け、7回にわたって宅急便で現金を送付した。
 6日には草津市内の無職男性(68)が、市職員を名乗る男から「医療費の過払い分を返金します」といった不審電話を受け、銀行のATMコーナーに誘い出されたうえ、言葉巧みにだまされて指定された口座に現金50万円を振り込んでしまった。
 これら2つは新聞やテレビなどでもさんざん紹介されている典型的な手口で、騙される方が不思議なくらいだが、電話とメールだけで嘘の話を信じ込ませ現金を振り込ませるのだから、よほど犯人の演技力が真に迫っているのだろう。
 滋賀県消費生活センターも、最近、次のような相談があったとして注意を促している。高齢者宅に「健康食品を送る」と突然業者から電話があり、「頼んでいない」と断っても「受け取ってもらわないと困る」と、強引に送り付けてくるというもの。「ネガティブ・オプション」と呼ばれる商法で、注文していない商品を勝手に送り付け、その人が断らなければ買ったものとみなして、代金を一方的に請求する。「購入されない場合は、○○日以内に返送して下さい。期限内に返送されない場合は、購入したものとします」との文面が同封されているのが典型例で、商品を使用したり、消費すれば、購入を受諾したとみなされるため、着払いでさっさと返送するのが良い。
 また、気をつけたいのはインターネットやテレビにあふれる情報。「あの店の料理が美味しかった」「あの商品が良かった」「あそこの店は安い」など、芸能人や著名人の会話や日記に、店や商品の宣伝が含まれ、その情報を鵜呑みにすると、がっかりするかもしれない。「ステマ」(ステルス・マーケティングの略)とも呼ばれるその手法は、消費者に広告と気づかれないよう、客観性を装って宣伝行為をする。何らかの金銭的利益が見返りとして先方に渡っていることを想像すべきだろう。
 12日の読売新聞ではバラエティー番組などに出演する人気女性タレント(35)が「ブログ」(日記)で、あるオークションサイトを宣伝する嘘の記事を掲載した問題を取り上げていた。このタレントは数万円の商品を1000円余りで落札できたと嘘を書き、オークションサイトを紹介していた。ブログは常時少なくとも1万3000人が閲覧しており、タレントの日記を信じて、そのオークションに参加したファンもいたことだろう。
 ちなみに、このオークションサイトは「ペニーオークション」と呼ばれ、金額を入れるたびに手数料が必要。入札争いに負けて落札できなくても手数料の支払い義務がある。しかし、このサイトには自動的に入札を繰り返すコンピューターのプログラムが仕組まれており、商品のほとんどはコンピューターが落札。参加者が競り落とせたのは全商品のわずか1〜2%だったという。
 うまい話や儲け話には裏がある。古来、当たり前の指摘なのだが、騙される人が後を絶たないのは何故だろうか。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月11日

敵を知り己を知る兵法

 「敵を知り己を知りて百戦危うからず」という。
 これは、「孫子」の兵法にある有名な言葉。
 孫武は中国・春秋時代の兵法家で、紀元前500年ごろの人。敵を知り、己を知るの用兵は何も戦国時代のいくさに限ったことではない。商売繁昌の道も、選挙戦についても、あるいは会社経営や国と国との外交についても言い得る鉄則と思えばよい。
 日本が71年前に起こした太平洋戦争は、大和魂と神風思想に洗脳された日本軍の指導者が敵の実力とその戦力の背景に目をつぶって、ふんどしかつぎが横綱に挑戦したようなもので、冷静に判断すれば勝因はなかった。奇跡を信じる無鉄砲で、竹槍や肉弾攻撃で近代兵器戦を勝つというウソのような作戦を立てた。
 なぜ、日本はそういう無理無体な軍事作戦と軍国主義国家への道に走ったのか。
 そこで総括されるのが、政治と教育とマスコミである。政治は日本経営の最高の権力を指すもので、具体的には政府の行政と国会のチェックと法律、予算議決である。
 日本が軍国主義と戦争への道をひた歩んだのは、歴代政府と国会の責任によるが、その歩みの誤りを正すのが無冠の権力・新聞であるが、憂うべきはその新聞すらが、軍部や当時の政府におもねって、その提灯持ちの愚を犯した。国家の経営の間違いをただす最後の砦は国民であるべきだが、残念ながら、明治以来の富国強兵の愛国主義的教育が、日本人の心を閉鎖的に井の中の蛙に落とし入れた。大局的見地、世界の趨勢を知ることのない視野の狭い教育は、日本人を唯我独尊にし、国民を不倒不滅の神国思想に染めてしまった。
 あらためて、教育の大切さ、マスコミの指導力、影響力を思わせるが、これに影響を与えるのが、政治権力であり、権力を支えるのが支配階級だと分かれば、その実態探求に、今の国民は目覚めねばなるまい。
 今、選挙戦の最中だが、敗戦前の日本の犯した罪を厳しく反省しながら、これからの日本の歩むべき道を誤ってはならない。
 明治、大正、昭和も敗戦までは、日本の権力を裏から支えたのは特権階級だった。特権階級は、カネは出すが、政治については自分の繁栄と金もうけを担保にした。
 特権階級はだれか。
 貴族(華族)、財閥、大地主、官僚で、農民や労働者は虫けらのように見下された。財閥は、三井、三菱、安田、鴻池などに象徴されるように、日本のあらゆる産業にその金を投資し、金融、保険、製造、貿易、流通など、傘下企業を系列化し、統轄し、事実上、日本の経済を支配した。その支配階級に雇われていたのが、右翼であり、青壮軍人であり、マスコミだった。
 昭和の初期、世界を知ることが日本経営の基幹だったが、これに目をつむり、貿易を通じ、金もうけのみに走り、低賃金、重労働、不当小作料を追求して、国民全体の体力強化をなおざりにした。その結果、国民は井の中の蛙となり、新聞に操作され、役人のいうままに羊の如くついてきた。
 12月8日の開戦日を通じ、新感覚の日本人としての脱皮を促したい。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月10日

野菜摂取は「食育」から(見聞録)

 「だいこん、にんじん、ごぼう。具だくさんのおみそしる。お母さんの笑顔もいっしょに、いただきます」。
 これは県が募集した「食育三行詩」で最優秀作品に選ばれた米原市・大原小4年の福田涼葉さんの作品。「食」への関心を高め、食べ物を粗末にしない心、食べ物を作る人への感謝の気持ちを考えるきっかけとして、県が「おみそ汁」を題材に募集し、1398作品の応募があった。
 「おばあちゃんが畑で作った野さい。おみそしるにはいるともっともっとおいしくなるよ。いつもおいしい野さいありがとう」。こちらは大原小3の馬渕梧生くんの作品で、努力賞に輝いた。守山市の女性が作った「起きなさい。その一言よりも効果あり。辺り漂うみそ汁の香り」も面白い。
 日本の食卓の定番である味噌汁は、大根、人参、タマネギ、かぼちゃなど、どんな野菜ともマッチする不思議な料理であり、日本人の健康を支えてきた。
 しかし、現代の日本人は野菜より肉を好む傾向の強いことが、最近厚生労働省が発表した国民健康・栄養調査の結果から明らかになっている。
 調査は全国3412世帯を対象に食生活などを聞いたもので、成人の野菜類と果物類の1日当たりの平均摂取量はそれぞれ277㌘、110㌘で10年前の調査に比べ6%、17%減っている。野菜には野菜ジュースや漬物、果物にはジャムや果汁ジュースを含むため、実質的な摂取量はさらに少ないと推測される。
 魚介類は79㌘で10年前に比べ24%も減っている。肉類は81㌘で9%増えている。
 健康を維持するために必要な野菜の摂取量は1日当たり350㌘以上とされている。しかし、野菜が減り、肉類を好む傾向、つまり食スタイルのアメリカ化は我々の健康が損なわれ、肥満大国・病気大国のアメリカへの追随を意味する。
 なぜ、野菜の摂取量が減っているのか。その理由について、調査では回答者の30%が「価格が高い」と答えている。果たしてそうなのだろうか。夏はトマトやナス、冬は大根や白菜など、季節に応じた野菜を選べば、そう高くはない。季節を無視したハウスものや、輸入野菜を選べば値段が高くつく。
 野菜の摂取量の減少は、食べることに無関心な親と子どもが増えているのが原因ではないだろうか。電子レンジで温めるだけの加工食品・冷凍食品がスーパーにあふれ、ハンバーガー店のドライブスルーに車の行列が出来ているのを見るたび、「食育」の必要性を考えさせられる。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月07日

自民圧勝?無党派どう動く(見聞録)

 「自民が単独過半数をうかがう」—。各報道機関の電話調査の結果に、読者はどう思ったことだろう。あまりの自民の躍進ぶりに面食らった方も多いのではないだろうか。3年半前に愛想を尽かしたばかりなのに、いくら民主党政権の出来が悪かったとはいえ、2005年の郵政選挙を彷彿とさせるような強烈なゆり戻し現象が起こるとは想像もしなかったことだろう。1人しか当選できない小選挙区制度ゆえの現象だ。
 ここ滋賀2区でも多くの報道機関が自民元職の上野賢一郎を「優勢」とし、4選を目指す民主前職の田島一成が追う展開と報じている。みんな新人の世一良幸、共産新人の中川睦子は水をあけられている。
 同選挙区の過去の自民、民主候補の獲得票から分析すると、それぞれが持つ固定票は6万票余りと推測できる。というのは、2005年の郵政選挙で逆風の民主は約6万7000票を取り、2009年の政権交代選挙では同じく逆風の自民が6万7000票を取っているからだ。
 ゆえに2区の自民、民主の基礎票はそう変わらないのではないか。そう仮定すれば、いわゆる「ふわっとした民意」を取り込んだ候補に勝利の女神が微笑むことになる。
 さて、この「ふわっとした民意」の正体は、特定の支持政党を持たない無党派であり、政局や風で投票行動を決める。郵政選挙や政権交代選挙で大旋風を巻き起こしたのがそうだ。
 読売新聞(3日付)によるとこの無党派層は投票先(比例区)として維新12%、自民9%、民主5%、未来の党、みんなの党各4%としている(「決めていない」は55%)。民主より自民を支持する傾向にある。また、維新候補のいない2区では保守票である維新票は民主より自民に流れると推測される。
 ゆえに2区の上野優勢報道はデータ分析上でも補強できる。
 ただし、これは現時点での有権者の考えであり、9日後の投票日(16日)には、無党派層の投票行動がどう変化するのかは分からない。自民の単独過半数報道に、「自民党を勝たせすぎか」との有権者のバランス心理が働いたり、自民党の選挙陣営の気の緩みを誘発したりする可能性を秘めている。
 選挙戦はまだ中盤戦。各報道機関の調査でも投票先を決めていない有権者は4〜5割にのぼる。このまま自民が独走するのか、民主が追い上げるのか、第3極の日本維新の会やみんなの党、日本未来の党が存在感をどう示すのか、2区のみならず全国でどんでん返しが起こりうる。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月06日

8日は日米開戦の日

 選挙騒ぎのせいもあろうが、この8日が何の日だか知る人が少なくなった。
 今から71年前の昭和16年(1941)12月8日、日本はアメリカ、イギリスを向こうに回して太平洋戦争を始めた。海軍のハワイ攻撃の奇襲が奏功して、当初は勝った、勝ったと浮かれ気分だったが、1年もおかず、物量を誇るアメリカの空軍、海軍の反抗に1歩後退、2歩後退。ミッドウエーの海戦で屈辱的敗北を喫し、以来、無敵と豪語した山本海軍連合司令官は飛行機に乗ったまま討死した。
 ガダルカナル、フィリピン、ビルマ戦線、日本軍は食糧も弾薬も装備も軍艦も飛行機もなく、ジャングルの中で逃げ回り、草の根、蛇、ネズミ、ナメクジまで食べたが、大方は餓死した。
 開戦4年後の昭和20年(1945)8月15日、天皇陛下のラジオからの呼びかけで敗戦となった。悪夢の4年だったが、日本は、太平洋戦争よりさらに4年前、昭和12年に支那事変を始めているから、足かけ8年の暗い戦争時代を送ったことになる。最悪だったのは、敗戦の直前、8月6日、9日に広島と長崎へ原爆を落とされたことだった。昭和20年になって、日本は台湾でも沖縄でも敗退し、多くの将兵を海外に餓死させつつ、一億、火の玉などと、軍と政府の負け惜しみは女性の決死隊まで組織したが、東京、横浜、大阪、その他、都市という都市は敵機の空襲で灰になった。
 それでも軍は、天皇を長野の地下壕に迎えて、ここを大奉営とし戦争を続ける無鉄砲さだった。もし原爆が落ちなかったら。軍はまだ戦争を継続したであろうし、それこそ国民は全滅に近い被害を受けたにちがいない。
 それにしても無茶な戦をしたものだ。
 軍備、国力、物質、工業、生産力、なにからなにまで月とスッポンの格差のあるこの戦争。ていねいに、科学的に演習すれば勝負にならないことは分かりきっているはずだ。それなのに、開戦に踏み切ったのは、初攻の奇襲作戦の成功のように、大和魂がヤンキーの物量に勝るという自己陶酔のおろかな精神主義による。自ら墓穴を掘ったというべきである。
 今に思えば愚痴だが、当時の日本の政治家、マスコミは何という井の中の蛙だっただろう。
 世界の姿を知ることなく、日本だけが大和魂で強い、日本だけが世界に雄飛する、といううぬぼれの正体は何だったのか。それは、国民大衆を忘れて、財閥と貴族、官僚と軍が手を握り、世界の潮流ともいうべき民主主義を粉砕する野心のせいであった。そのために天皇を利用し、皇室の尊敬、絶対視を背景にして日本の大衆の声を圧殺し、富国強兵が合い言葉だった。
 その体制を補強するため、財閥は政治家に献金し、軍は右翼と結託して、愛国思想を宣伝し、社会主義、民主主義の進歩的学者や政治家、文化人、先進者の弾圧を強化した。そして、マスコミを封じて国民に何も知らせず、勝手な方向へ、軍事国家へと指導していった。
 8日を迎えるに当たり、しっかりと回顧し、反省すべきとともに、お国のため命を落とした靖国の霊に深々と感謝のまことを捧げねばなるまい。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月05日

おかしな公職選挙法(見聞録)

 総選挙がきのう4日始まったが、早速の名前の連呼にうんざりする読者も多いことだろう。もっとも市議選などに比べれば選挙カーが通る機会も少なく、それほど耳障りではないかもしれない。
 名前の連呼ではなく、政策を訴えた方が有権者に思いが伝わるのではと考えるが、実は公職選挙法の不思議な条文により選挙カーでの政策の訴えや演説が禁じられ、名前を連呼する以外に何もできないのが実情だ。
 まず、公職選挙法の第140条では「連呼行為の禁止」との項目で「何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない」と明確に記されている。ならば、なぜ選挙カーで名前を連呼できるのだろうか。この条文には例外事項があり、「演説会場、街頭演説の場所においてする場合、並びに午前8時から午後8時までの間に限り(中略)、選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない」とある。要は連呼を禁止しているが、選挙カーでは認めているのだ。
 そして、第141条には「車上の選挙運動の禁止」との項目。内容は「選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない」というもので、日本語の文章として破綻した意味不明さ。
 そして、この条文にも例外があり「停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること」「自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすること」については「この限りでない」とある。
 つまり、140条と141条を合わせて解釈すると、走行中の選挙カーでは名前の連呼しか認められていない訳だ。
 このほか、選挙で話題になるのが選挙事務所での飲食物の提供。139条の「飲食物の提供の禁止」の項目では「何人も、選挙運動に関し、いかなる名義を問わず、飲食物(湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子を除く)を提供することができない」とある。これは買収防止のための条文で、一般的な料理から弁当、サンドウィッチ、ジュース、ビールなどが禁止されている。
 厄介なのは「湯茶」の解釈。ポットから注いで提供するのは問題ないが、ペットボトルのお茶は商品として価格が付いているので買収が疑われることになるそうだ。
 条文では運動員への弁当は認めており、上限は1000円(金額は都道府県の規定による)。弁当としては豪華ではある。
 公職選挙法にある条文の一例を紹介したが、実際の運用には過去の選挙における実例や判例を収録した「選挙関係実例判例集」なるものがなければ、とても理解できない。それほど曖昧に作られた法律で、まずはこの法律を正さなければ、まっとうな選挙活動をできず、ひいては政治改革もできないような気がしてならない。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月04日

流行語、維新、3極、近いうち

 3日、恒例の今年の流行語大賞が決まった。トップ10の中に、政治用語が3点入っているのが愉快である。
 衆院の解散を意識したのか、自民、民主の日替わり総理に愛想をつかしたのか、「維新」がそのうちの一つを占めたのは国民の政治的関心の深さの現れであろう。
 他の2つは「第3極」と「近いうちに…」。
 やはり、今年たびたびマスコミ界を賑わした親近感のある言葉である。「近いうち」は、野田首相がこの7月、自民党の谷垣前総裁との会談で約束した言葉だが、近いうちが9月の両党の党首選前を指すのかと、一瞬政界を波立たせたが、結果はあっけなく、野田総理の隠し玉に谷垣総裁の空振り三振。これにはおまけがついて、野田は9月の党首選で再選のご褒美、谷垣は幹事長の謀反で、再選どころか、立候補すらできなかった。自民党といういわく言いがたい歴史と伝統が作用したのか、しばらく鳴りをひそめていた「派バツ」が初春の蕗のとうのように動き始めた。
 森元総理の支配する伊吹派は町村か伊吹に候補者をしぼったが、安倍が派バツを割って立候補した。前回の退陣の仕方がたたって、党内からもマスコミからも叩かれたが、逆に前政権時代の教育改革や憲法改正に関する積極性などが買われて、党首の座に返り咲いた。
 その安倍が国会で野田とわたりあって、「あなたはウソつきなのか、そうでないならあかしを立てよ」と解散の日取り「近いうち」の種明かしを迫った。
 末にゆくほど、じり貧になるのを知った野田が「やります。11月16日、解散」と答えた。これで、アホ正直解散、師走選挙。「近いうちは年内ということ」、と証明され、彼はウソつき呼ばわりをまぬがれた。
 「近いうちに」はあいまいな約束だが便利のよいなまくら言葉でもある。寒いから鍋でも囲んでいっぱいやろうか」「じゃ、近いうちに」。「愛の証しに旅行でも連れて行って頂戴」「分かった、近いうちに行こう」。
 「第3極」は、自、民両横綱が東を張るのか、西を張るのか。どちらが政権を取っても、この2極が要である、というのがこれまでの政局の常識だったが、これに異をはさんで湧き出た泉が「第3極」である。第3極待望論は、自、民の過去及び現在に対する反発で、いまの閉塞感打破への期待の声といってよい。
 日本維新の石原代表(前東京都知事)は「3極じゃダメだ、2極でなくては」と強気を見せているが、世間では3極への関心が千々に乱れている。それは「オリーブの木」の西洋流をかじってきた小沢一郎が自らの「国民の生活が第一」だけではどうしょうもないから、これを柱に、あちこちに咲いている少数党を集めて、第3極を実らせようとしたことが発端である。
 「維新」と「みんな」は拒否したが、「減税・反TPP・脱原発」(河村名古屋市長。山田元民主党農相、亀井前国民改革代表ら)のほか、「みどりの風」が参加して、党首に滋賀県知事・嘉田をかついで「未来の党」を立ち上げたことによる。
 いうなれば第3極の2分化であるが、言葉を換えれば沈没寸前の泥舟回避の救急車出動作戦。肝心の新党未来の知事の足下、滋賀県では、唯一の知事与党の対話の会も協力せず、県民からは経済界のみならず、各界から批判噴出で、党首の地元で候補の立てられぬていたらく。第3極どころか、オリーブの花が萎み始めた。
 公示直前の新聞社の世論調査「比例区の投票先」への回答は読売では自民がトップで19%、民主と日本維新が各13%、みんなの党と日本未来は5%。朝日では自民がトップ20%、民主15%、日本維新9%、公明4%、未来、みんな、共産各3%。毎日掲載の共同通信調査では自民18・4%、日本維新10・4%、民主9・3%、公明4・3%、日本未来3・5%。
 マスコミの維新叩きにも拘わらず、維新の人気が衰えないのは、維新代表代行の橋下大阪市長の府政、市政を通じてのわずか5年の改革のスピードと鮮やかさが「維新八策」とともに明治維新の夜明けをつくった坂本龍馬への親近感とだぶっているのであろう。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月03日

勝敗占う無党派の声(見聞録)

 いよいよあす4日、総選挙が公示される。最近の世論調査の結果では自民、民主、日本維新の会、日本未来の順に支持率が高い。
 朝日新聞が1、2日に実施した調査では衆院比例区の投票先は自民が20%でトップ。以下、民主15%、日本維新の会9%、公明4%、日本未来の党、みんなの党、共産各3%だった。「答えない・分からない」は41%だった。
 読売新聞社が11月30日から12月2日にかけて実施した調査でも自民が19%でトップとなり、民主と維新がそれぞれ13%だった。未来は5%、みんなも5%だった。
 読売新聞の調査で興味深いのは無党派層が49%を占め、その投票先について維新12%、自民9%、民主5%、未来の党、みんなの党各4%を挙げている点だ(「決めていない」は55%)。無党派層に限定すれば、維新が自民を逆転してトップとなっており、既成政党よりも「第3極」への期待感がうかがえる。
 近年の国政選挙では、特定の支持政党を持たずにその時々の政局に呼応して、投票先を決める無党派層が最大勢力となっている。
 この「無党派」という言葉は1995年に行われた東京都知事選と大阪府知事選で、タレントの青島幸男氏と横山ノック氏がそれぞれ無所属で当選したことで注目を浴びた。既成政党の候補が敗れ、特定の支持政党を持たない有権者によって知事が誕生したからだ。同年の流行語大賞にも選ばれた。
 一昔前の選挙では特定の業種や団体など、例えば建設業界や医師会、労働組合など、そういった組織票を持つ候補や政党が主導権を握り、選挙事務所に詰めている顔ぶれを見ればどの陣営がリードしているのか、だいたい分かった。しかし、今は無党派層が選挙戦のすう勢を決定づける存在となり、いかに無党派の有権者を振り向かせるのかが、選挙戦の課題ともなっている。
 郵政選挙(2005年)、政権交代選挙(2009年)でも、無党派層を受け止めた政党が圧勝した。無党派層のいわゆる「ふわっとした民意」を取り込むには有権者に分かりやすいメッセージを伝える必要があり、「郵政民営化に賛成か、反対か」「政権交代か否か」の二者択一を迫った。それらは政策を抜きにして知名度とムードが重要になるため、人気取り、大衆迎合のポピュリズム政治と揶揄されるが、その「ふわっとした民意」が政治にいったい何を求めているのか、その声を理解できないようでは、今の日本で政治の主導権を握れない。
 さて、民主、自民、みんな、共産の4人が争う滋賀2区。それぞれの陣営では組織票、固定票を読み込んで当選ラインをはじき出しているだろうが、結局のところ、現段階では投票先を決めていない無党派層が当落の決定権を握りそうな気配だ。各候補が選挙期間中どういう訴えをするのか、ポピュリズム政治と揶揄されないためにも、じっくり吟味したい。

| | トラックバック ( 0 )

2012年12月01日

嘉田知事の裏切りを批判

 晩秋の日没の速さを「つるべ落とし」という。滋賀県民に淋しいのは、嘉田知事の人気が、つるべ落としに消えてゆくことだ。ぼくは「百日の説法、屁一つ」、そして「晩節を汚す」ともいった。
 それはいつもいうように「信なき政治は立たず」の法則による。
 「私は政治家としての小沢さんを尊敬している。小沢さんの力を日本の政策実現、未来のために使わせて頂く」。これは29日夜のインターネット番組での嘉田氏の発言である。
 そればかりではない。嘉田氏は小沢一郎氏の「国民の生活が第一」の事務局に「未来の党」の事務局を委任した。そして小沢氏の子分・森裕子参院議員を副代表に起用し、選挙は事実上、小沢氏が仕切ることになった。この結果、代表代行だった飯田哲也氏を副代表に降格、小沢氏側近の佐藤公治参議院議員が「未来」の財政を担当する。その政策が「国民の生活」の小沢党の生き写しである。
 かくして、「表の顔は嘉田、裏の顔は小沢」のマスコミ想定は真実となった。巨大な黒子の正体が明らかになった。
 沈没寸前の小沢党は、守護神・嘉田丸の救急出動で息を吹き返したと思っているかもしれんが、セーフ、アウトを判定するのは国民である。
 なぜ、嘉田人気が滋賀県で、つるべ落としに下降してゆくのか。それは政治不信で国民にそっぽを向かれている小沢とドッキングしたからである。
 小沢氏の政治資金規正法違反は裁判で無罪となったが、政治的、道義的に国民の疑いは晴れていない。限りなく黒に近い灰色というべきかもしれない。
 4億円の土地購入資金を銀行で借りた。いや、自分のカネだ。などとふざけながら、最後は秘書のやったことだ。届出の書類は目を通していない、という。
 佐々淳行初代内閣安全保障室長は、2010年1月20日の産経で、「小沢幹事長(当時)は新党をつくっては壊し、つくっては壊し、政党助成法による政党交付金を国庫に返納することなく自分の政治団体に引き継がせている。新生党解散時には9億2000万円を小沢個人事務所に、自由党解党時は15億5000万円の一部を小沢政治塾に引き継がせている。一方、小沢氏の資金団体・陸山会は97年から10年間に18件、計10億円もの不動産を購入し、すべて小沢氏の個人名義で登録している」、と、その政治とカネの政治不信を追及してバッジをはずせと迫っている。
 小沢氏は国会での追及にも沈黙のまま。民主党から一時、党籍離脱の処分を受けたが、解除後は子分を動かして党内の主導権争いにエネルギーを使い、いまの輿石幹事長も彼の推薦による。
 壊し屋の異名を持つ彼は、潰した後、新生党、新進党、自由党、国民の生活、を立ち上げたが、今回の「未来」で実に5回目の新党づくりとなる。
 ぼくは、どんなに立派なことを言っても、どんなに華やかな政治経歴があっても、政治とカネの疑惑で国民に強く深く不信感を持たせたものは政治する資格もなければリーダーになる資格もないと考える。単純な算数がある。0掛ける5は0。0×100も0。トップの政治家が信頼ゼロ(0)なれば10人へばりつこうが、100人つこうが、政治力はゼロ。これが神の掟である。「信なき政治は立たず」。悲しいかな嘉田知事は、信なきこの人にべた惚れしてしまった。県民への裏切り、これに過ぎるものはない。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
 
長浜市
長浜市議会
長浜観光協会