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脱法ドラッグへの危機感を(見聞録)

 昨今、脱法ハーブによる若者の汚染が新たな社会的課題となり、その撲滅に厚生労働省による規制、警察の取り締まり強化に加え、その危険性を啓発することが求められている。
 その啓発の先頭に立つべき報道機関NHKの職員が脱法ハーブを吸引し、救急搬送されていたことが13日、明らかになった。20歳代の男性職員2人が今月3日、福岡市内で脱法ハーブを吸引したところ、意識がもうろうとした状態に陥り、救急搬送された。「好奇心で吸った」と話しているという。NHK福岡放送局は「法に触れる行為ではないので、公表しなかった」と説明し、脱法ハーブへの危機意識の低さを暴露した。
 30年ほど前、「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」との公共CMが流された。「甘い誘惑、ひと時の快楽。覚せい剤は確実に無残に人間を破壊します」と、覚せい剤追放を訴えるキャンペーンだった。
 以来、薬物の恐ろしさを訴えるキャンペーンは日常的に行われ、薬物の危険性を知らない者はいないはずだが、最近、「脱法ハーブ」が若者をターゲットに売られ、問題化している。
 脱法ハーブは乾燥した植物の葉に、麻薬の成分に近い化学物質を付着させたものが多い。紙巻きたばこのように吸うと、幻覚を見るなど麻薬と同様の状態になる。
 法令の規制外のため、所持していても罰則はなく、インターネットや都市部の繁華街で公然と売られている。表向きは「観賞用」「お香」などの名目となっているが、実態は吸引目的だ。
 吸った若者が体調不良で救急搬送されたり、吸引後に自動車を運転して事故を起こしたりするケースが相次ぎ、死亡者も出ている。
 厚生労働省は7月から規制対象物質を追加するなど対策を強化しているが、薬事法では物質の構造が少しでも違えば、同じ幻覚作用を引き起こしても規制の対象外となってしまう。規制しても、すぐに類似物質が出回る「いたちごっこ」が実情だ。
 脱法ドラッグの問題点はそれ自体の危険性に加え、ゲートウェイ・ドラッグ(入門薬物)となる可能性があることだ。脱法ハーブの使用に慣れれば、今度はより幻覚作用の強い覚醒剤などに抵抗感なく手を染める恐れがある。
 薬物依存症への芽を摘むためにも社会全体で取り組むべき課題だ。

2012年07月13日 16:14 |


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