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大津・いじめ事件の行方は?(見聞録)

 大津市で昨年10月、いじめを受けていた中学2年の男子生徒が飛び降り自殺した事件は、市教委や学校の実態解明への消極的姿勢が、日本中の批判を招いている。
 市教委が自殺直後に全校生徒859人を対象に行ったアンケートで、自殺した生徒がいじめや暴力を受けていたとする回答が、伝聞も含めて計227件あった。自殺の練習を強要したり、「死ね」というメールを送っていたりと、いじめと自殺を関連づける回答もあったが、市教委は詳しい調査を行わず公表もしなかった。そして「いじめと自殺の因果関係は不明」とし、幕引きをはかっていた。
 自殺した生徒の遺族が、市や加害生徒を相手に訴訟を起こしたことを機に、真相が次々と明らかになった。
 越直美・大津市長は外部調査委員会による再調査を表明したが、果たして市教委と学校側がどこまで真摯に対応するのか。いずれにせよ、いじめの実態、自殺との因果関係については今後、司法の場で明らかになる。
 この事件はいじめられていた生徒が自殺したという衝撃だけにとどまらず、市教委と学校側が意図的に情報を隠蔽したとも受け止められ、新聞やテレビでも連日、大きく取り上げられている。また、インターネット上では「加害者」として複数の生徒やその父親、教師の名前、写真などが掲載され、一連の情報を集約した「まとめサイト」が登場するなど、「加害者」への私的制裁へと加熱している。
 そこに油を注いだのがテレビの情報番組。いじめに関係したとされる生徒の名前を黒塗りした資料を放送したが、黒塗りの一部が薄くて読み取れる部分があった。インターネット上では、黒塗り部分をさらに薄く加工した静止画が出回り、「加害者」として特定する扱いとなっている。別の番組でも、生徒の名前が書かれた資料が何の加工もなく流れた。
 この事件で考えなければならないのは、多くの生徒がいじめを知りながらなぜ止められなかったのか、学校側はなぜ対処できなかったのかという点。そして何より、市教委や学校側がなぜ十分な調査をせずに幕を引こうとしたのか。その消極的姿勢の要因は保身なのか、ことなかれ主義なのか、それとも何らかの圧力なのか。そこにメスを入れることこそ、大津市長の設置する調査委員会の役割ではなかろうか。
 いったい市教委と学校で何が起こっていたのか、その調査を見守りたい。

2012年07月09日 15:21 |


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