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パンダと人間の生存権

 パンダが赤ちゃんを生んだ、と日本中が大騒ぎしている。
 パンダだって生きものだから繁殖の環境にあれば生むのが当たり前で、すべての生物は種を存続し、繁殖させるべく神さまが遺伝子にインプットしてくれている。
 今回の場合「自然繁殖だからすごい」と感心するが、自然界はもともと自然繁殖が普通である。
 人間の傲慢な、あたかも宇宙を征服するが如き錯覚を起こさしめて、科学というメスで、自然界のメカニズムに切り込んだり、生物の持つ遺伝子を操作するなど、生物側から言えば人間は地球の鬼である。
 繁殖と言えば、前世紀では考えもしなかった人間の反自然増殖が不思議でも不穏でも不道徳でもなくなった。品種改良の人間のエゴで、牛や馬などの人工増殖が普通となったが、悲しいかな、人間は万物の霊であるから、牛馬並みの人工授精をして、優れた人間が生まれる保障はない。
 人工授精によって生まれた子の人権もあるから親である精子の情報公開はしていないが、ぼくの知っている2例では優秀とは逆のケースの子が生まれている。
 このごろは精子のみならず、卵子も借りものの例があり、バチ当たりにも試験管ベビーなる言葉をつくったが、このような神の掟に反する人間の横着さを神さまがお喜びなさるはずがない。子を神さまからの授かりものとする原始宗教的な素朴な考えが否定されたから人間界がおかしくなった。
 人間は科学の力を過信して、女性は40歳でも50歳でも赤ちゃんが生まれると勝手にうぬぼれているが、年齢とともに人間の体力や脳力は弱まり、精子、卵子といえども働き盛りの活力のある年代と、鮎でいう錆鮎の如き若さを失った年代では、受精率に差があり、仮に受精してもうまく子宮で育つか。育つとしても身心ともに健康な赤ちゃんが生まれるか、疑問が生じる。年齢とともに受精率が低下し、妊娠しにくいことは産婦人科系医学の常識となっている。
 うまくて多収穫な米つくり、うまくて甘いメロンつくりなどに代表される農作物の品種改良などは、例えば海産物、蚕糸、およそ人間の知恵で研究加工できる商品は、経済の活性化と富の形成に際限もなく利用の範囲を広げてゆくが、それは逆に自然界の反発を買う。地上の生物生存の条件を悪くする結果、その反動に人間自身がその生存環境に苦しむことになる。
 少なくとも日々の生活の食事の上ではいつもぼくがいう反自然の食品をとらないことが、生き残る知恵である。【押谷盛利】

2012年07月07日 15:08 |


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