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大津市教委は誰の味方か?(見聞録)

 大津市の中学校でいじめを受けていた当時中学2年の男子生徒が昨年10月、自宅マンションから飛び降り自殺した悲劇。学校は「いじめはあったが、自殺との因果関係はわからない」と主張しているが、学校側が生徒を対象にしたアンケート結果で「自殺の練習を強要されていた」との回答があったことが分かった。
 学校側は「事実が確認できなかった」とこれを公表していなかった。
 このアンケート回答はいじめと自殺の因果関係を裏付ける証拠の一つとなろうが、万一、市教委・学校側が自身に不利な回答として意図的に公表しなかったとしたら、隠蔽のそしりは免れない。
 男子生徒は自殺の1カ月前から同級生に殴られ、成績表を破られ、死んだハチを食べるよう強要されるなどのいじめを受けていた。市教委が全校生徒を対象に実施したアンケートでも「体育大会で集団リンチに遭っていた」「万引をさせられ、殴る蹴るの暴行を受けていた」とあり、中には「先生に相談したけれど、何もしてくれなかった」との回答もあった。そして複数の生徒が「男子生徒が自殺の練習をさせられていた」と回答していた。
 理解しがたいのはアンケートでそういう回答を得ながら公表しなかった神経だ。男子生徒の遺族にだけアンケート結果を通知し、遺族が大津市や加害者を相手に行っている損害賠償訴訟の証拠書類として提出したことで初めて公になった。
 そもそも市教委や学校側は男子生徒の自殺直後、「いじめは把握していない」としていた。そして、いじめの実態が明らかになると、今度は「因果関係はわからない」との姿勢だ。
 男子生徒がいじめを苦に自殺したのならば、加害生徒とその保護者、市教委、学校がその責任を問われるが、因果関係さえ証明されなければ、男子生徒の死の責を誰も問われない。
 だが、「死人に口なし」の隠蔽は絶対に許されない。
 さて、市教委と学校の隠蔽はこれだけにとどまるのか。自殺練習を公表しなかった理由を「事実が確認できなかった」とする市教委だが、その調査手法は回答のあった生徒16人のうち記名のあった4人からの聞き取りのみ。加害生徒に対しては「いじめた側にも人権がある」として調査していなかった。
 自殺した生徒の死を悼み、遺族の悲しみに心を寄せ、いじめを許さないとの信念があるのならば、徹底的に真相を追究するのが教育現場を監督する教育委員会の姿勢ではないか。
 これでは保身と事なかれ主義から隠蔽したとしか見て取れない。心配なのは、この体質が大津市特有のものなのか、それとも他の教育委員会にもまん延しているかだ。

2012年07月06日 14:52 |


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