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人間の幸、不幸と顔の色

 目は心の窓という。では顔は?。
 顔が立つ、顔がきく、顔が広い、という具合に、その人の全体像を思わせる言葉づかいが幾つもあるので、それらをまとめれば顔はその人のシンボルといえるのではないか。
 顔向けできない不義理があれば「顔を合わせられない」というし、その人の顔いろを見て「今日は機嫌がよいか、悪いか」を判断するし、ときには健康かどうかまで知ることができる。
 「おれの顔に泥を塗るのか」とはヤクザのせりふだが、大事な話の仲介をして、顔を潰された、とすごむのは品のある人のすることではない。
 政治家は票を稼がねばならぬから常に顔を売ることに心を配る。だから何処へでも顔を出すし、腹が立っても顔に出すことをしない。腹で怒って、顔で笑うという器用な生き方をする。しかし、腹で怒って、顔を抑えるのは精神上、無理があるので、こんな生き方を長く続ければストレスが貯まって病気になるかもしれない。そのためにはストレスや心の疲れはときどきほぐしてやらねばならぬ。
 田中角栄は一の子分の竹下登が創政会をつくって派バツを割ったことに腹を立て、毎日ウイスキーをがぶ飲みして、ある日突然、脳梗塞で倒れた。腹の虫をおさめるため、アルコールは一時的に効果があるかも知れないが、続けると癖になり飲酒の量も深くなる。
 滋賀県の政治家でいえば、小西哲という元警察のえらいさんが2区から出て、武村正義(さきがけ)に挑戦し、1回戦は負けたが、2回戦は勝った。負けた1回戦のあと、初心貫くべく、懸命の努力をして、地を這っての地盤ごしらえに命を燃やした。その努力が報われて、初当選したのはよいが、浪人時の自粛ぶりの反動で、先生となってからは、あちこちからの招待や会合で好きな酒の抑えがきかず、言わばうま酒に酔い痴れた。政治家としての激務とストレス、そしてそれを癒す酒。不幸にもその酒が体に災いし、彼もまた脳梗塞で2期目に挑戦することなく、はやばやと旅立った。
 正月は京の南座で歌舞伎役者の顔見世が話題を誘うが、ひいき筋が役者の顔に胸をときめかすくらいだから、顔は顔でもわれわれの顔とは格が違う。
 いま、プロ野球は冬のキャンプの最中で、間もなくオープン戦も始まるが、新聞のスポーツ欄は有名選手にスポットを当てている。有名選手の顔を売りものにファンの目を新聞販売に利用する。
 顔には笑い顔、怒り顔、尖り顔、泣き顔、エン魔顔、福顔、ゑびす顔、さまざまで、その日、その日によって表情の違いもあるし、ある一瞬、晴れた空が曇ったり、雷が鳴るように、外界の刺激に反応する。
 賢い母親は子供の顔を見て、その日、学校で何があったかを直感する。子供の顔いろで、体の健康ばかりか、心の揺れや不安感すら把握する。
 健康を思う人は、朝、鏡を見て、しげしげと自分の顔を眺める習慣をつけるがよい。顔が健康かどうかを知らせてくれるから。(敬称略)【押谷盛利】

2012年02月10日 15:30 |


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