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エネルギーの地産地消を(見聞録)

 福島第一原発事故を契機に、再生可能エネルギーに注目が集まっている。6日付け滋賀夕刊で伝えた通り、千葉大・倉阪秀史教授の分析では小水力発電が日本のエネルギー生産の一翼を担うことになりそうだ。
 小水力以外に地熱も大きなポテンシャルを秘めており、太陽光、風力、バイオマスと合わせ、再生可能エネルギーが原発の代わりとなることは可能だ。
 ただし、原発の発電量を再生可能エネルギーで賄うには各分野の設備投資に莫大な事業費を計上することが条件となる。倉阪教授の試算では年平均2兆3612億円を投資し続ける必要がある。しかし、社会保障費100兆円、民間投資100兆円の日本で達成不可能な数字ではないと訴える。
 また、民間企業はその利益追求のため、価格の安い火力や原子力を重宝しがちだが、発電した電気を電力会社などが一定価格で買い取る「固定価格買取制度」を設けて、民間企業を再生可能エネルギーに誘導すれば、2兆円を超える事業費を全額、税金で賄うことはなくなる。
 再生可能エネルギーの生産を大企業に任せる必要はない。雨が多く、小川や農業用水などあらゆる場所に水路がある日本では、エネルギーの「地産地消」が可能だ。現在、全国500カ所で小水力発電が稼動している。設置者は自治体や市民団体だ。
 現在のように電力を大企業が独占する戦前、1920〜30年代は山間部では村が電力事業を営んだ。37年には全国244の電力組合があったというから、エネルギーの地産地消は今より根付いていた。
 海外の石油や天然ガスという安価なエネルギーを仕入れ、経済発展を謳歌してきたこれまでの歩みは、それはそれで正解だったのかもしれない。しかし、今のエネルギー構造のままでは、化石燃料の枯渇が日本経済の破綻を招く。原発の材料となるウランもまた枯渇燃料だ。「遺産(化石燃料)に頼らず、そろそろ畑(再生可能エネルギー)を耕そう」との倉阪教授の指摘はもっともだ。
 原発を夢のエネルギーと重宝し、安価な石油や天然ガスに頼ってきた日本のエネルギー。今、未来志向での大転換が求められ、そのためには政治家の変革が欠かせない。6日の講演会に環境問題に敏感な市民活動家だけでなく、川島隆二、大橋通伸両県議、長浜市議会の原子力等防災・新エネルギー調査特別委員会(東野司委員長)のメンバーらが出席していたのは嬉しい限り。
 隣県に原発銀座を抱える滋賀県だからこそ、県、市を挙げて再生可能エネルギーの地産地消を推進したい。

2012年02月07日 15:49 |


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