エネルギーの安全保障(見聞録)
イランの核開発疑惑をめぐり、欧米とイランの対立が先鋭化している。欧米による経済制裁の強化に対抗し、イランは中東の石油供給ルート「ホルムズ海峡」を封鎖すると鼻息が荒い。
世界有数の供給ルートであるホルムズ海峡が万一、封鎖されれば、世界経済の混乱は必至。オイルショックの再来となろう。日本に輸入される石油の8割もここを通っており、封鎖の打撃は計り知れない。
封鎖に対して、欧米が武力攻撃に踏み切る可能性は限りなく高く、それ以前にイスラエルが先制攻撃する可能性もある。すでにイスラエルの特殊部隊と見られる仕業でイランの核開発者が殺害されている。
ゆえに、専門家はイランが封鎖という暴挙に踏み切ることはないとみるが、経済制裁の強化は国を破綻させかねない。かといってせっかくの核開発を放棄するとも考えられない。
さて、欧米による経済制裁に対し、日本はやや距離を置いてきた。というのも日本が輸入する石油の1割をイラン産が占めているからだ。
しかし、政府は欧米の制裁に追従し輸入量を計画的に削減する方針を打ち出した。アメリカがイランと取引を続ける日本に対し金融機関への制裁をチラつかせたからだ。
福島第一原発事故を受け、原発を再稼動できない日本は、火力発電のフル稼働で震災後の急場をしのいでいる。イラン産石油の輸入削減は、脱「原発依存」に走り出しつつある日本にとって頭の痛い問題だ。
中東戦争におけるオイルショックのように、常に不安定な地勢にある中東は、ひとたび紛争が起これば、石油価格の高騰を引き起こす。
そういうリスクを避けるため、日本はオイルショック後、エネルギーの自給自足をうたって原発を推進してきた経緯がある。
日本は今、放射能汚染というリスクから国土を守るための脱「原発依存」に舵を切ったばかり。小生が危惧するのはイラン発の「オイルショック」を機に原発推進の亡霊が復活し、なし崩し的に原発の再稼動や新設に走り出さないか、という点だ。
今やエネルギーの安全保障は「原発か石油か」という二者択一であってはならない。太陽光や水力、風力など自然の恵みを活用する新技術にこそ光を当てるべきなのだから。
2012年01月19日 14:23 | パーマリンク
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