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近くて遠いブータン(見聞録)

 今、美男美女夫妻が国賓として日本を訪れ、テレビや新聞を賑わせている。
 そう、「国民総幸福量」という概念や禁煙国で知られる南アジアの小国ブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王(31)と、ジェツン・ペマ王妃(21)だ。国王夫妻の丁寧な物腰と、やわらかい笑顔に、魅了された国民も多いのではないか。
 ブータンはヒマラヤの麓に位置する仏教国で中国とインドに挟まれている。20世紀後半まで鎖国に近い政策をとっていたため、「ヒマラヤのシャングリラ(桃源郷)」などと呼ばれ、秘境とされてきた。
 資本主義に侵されず、独自の伝統や文化を大切にした自給自足の生活と、手付かずの美しい自然が残っている。
 最近も、ブータンの奥地で日本蝶類学会の調査隊によって約80年ぶりにブータンシボリアゲハが発見され、話題になった。
 21世紀になって資本主義の暴走が先進国に影を落とす中、伝統、文化を大切にするブータンの生活スタイルに、ノスタルジックな感傷を込め、憧れる先進国の人々も多い。
 旅行者からも「ブータンを見ずして海外旅行を語るなかれ」と言われるとか。ただ、鎖国の名残からか、外国人が気軽にふらっと旅行するのは難しい。
 というのも、入国にはブータン政府公認の現地旅行会社を経由して申し込みを行い、政府の取り決める公定料金を支払う必要がある。ビザ(入国許可証)も大使館や領事館では取得できず、現地旅行会社に頼るしかない。
 特にこの公定料金がやっかいで、シーズンによって異なるが1泊185〜220ドルと定められている。これにはガイド、車、ホテル、食事代などが含まれている。また、1、2人の少人数での旅行の場合は1泊当たり30〜40ドルの追加料金が発生してしまう。
 1週間程度、ブータン国内に滞在する旅行では航空運賃を含め30〜50万円程度と、アジア旅行にしては相当な割高に。表立った鎖国政策を取っていなくても、外国旅行者を寄せ付けない。
 国王夫妻の来日で日本人のブータンへの関心は高まっていることだろう。これを機に、日本人への門戸を少し緩めてくれないものかと期待したいが、それでは「秘境」になりえない。近くにあるのに遠い国、それもブータンの魅力か。

2011年11月17日 15:11 |


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