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えらいこっちゃの国難

 生きるか死ぬか困難な状況に立ち至ったとき人は血相を変えて「えらいこっちゃ」とあわてふためく。
 国の場合は非常時という。文永11年(1274)と弘安4年(1281)に、日本は元のフビライ軍の襲撃を受けて大騒ぎとなった。歴史上は蒙古襲来というが、弘安の役ではたまたま暴風が吹き荒れて敵の船舶は雲散した。助かった日本は神風が吹いたと天に感謝した。
 明治維新前夜、幕府がえらいこっちゃと大騒ぎしたのは米国の東インド艦隊司令長官として浦賀に来航したペリー将軍の軍艦4隻と開港要求だった。たった4杯で夜も眠れず、と落書されたほどだが、これが発端で、和親条約、開国、尊皇攘夷、安政の大獄、井伊直弼暗殺などの政変から龍馬時代へと国の大転換が迫る。日本のさらなるえらいこっちゃは、太平洋戦争と広島原爆、敗戦となるが、国家の非常時は必ずしも戦ばかりではない。
 いま、世界に眼を転ずればギリシアの非常事態は世界に響く深刻極まりない困難であろう。
 この国の金融不安を欧州EUがこぞって担保しているが、それの裏書にギリシアは歳出を大幅にカットし、生存レベルを急ダウンしなければならぬが国民の不満は大々的なデモとなり国民投票の帰趨も定かではない。万一、ギリシアがつまずけばイタリア、スペインなども連鎖反応を起こす危険があり、ヨーロッパの銀行は持っている外債が紙屑同様の最悪すら予想される。
 何としてもギリシアの破綻は防がねばならぬ。これが欧米アジア各国共通の願いであるが、ときを同じくして日本の円高は沈む気配がない。むしろ客観的には信用のある円に世界の投資が注がれ、政府の円高干渉策にも拘わらず、円高は続く。
 円高は日本の輸出産業を閉め出す結果になるが、逆に輸入が好条件とばかり、日本に上陸すれば国内産業は冷え、雇用市場を狭くし、景気の後退は必至である。
 かてて加えて、日本の困難はさきの東北大震災、大津波、福島原発の復旧復興に直面している。政府は本年度第3次補正予算で莫大な国費を投じるが、そのカネの出所は国債である。
 大震災を特定した国債ではあるが、いずれにしても国民からの借金である以上、返さねばならぬ。この結果、増税は避けられぬが、国民は所得の減少と増税の二重苦に耐え、困難を打破する非常時の覚悟はあるか。
 公務員ばかりでなく、あらゆる職場でも賃金カットやダウンの事態が起こるやも知れぬ。追いうちをかけるのは節電苦。これまでのように上昇景気に鼻歌まじりで消費にあけくれすることは許されまい。
 「えらいこっちゃ」。心して身も心も引き締めねばならぬ。【押谷盛利】

2011年11月04日 19:28 |


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