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円高と企業努力(見聞録)

 きょう11月1日付けの朝刊各紙の1面はパナソニックの赤字の話題一色となっている。薄型テレビ事業の失敗などで、3月期決算で4200億円の損失を計上する見込みだ。
 薄型テレビは、主要部品を組み立てるだけで高品質な商品を作れる技術的難易度の低さから、新規参入が容易で、過当競争に陥っている。
 一時は「1インチ1万円」と言われていた価格は下降一直線で、今では46インチが10万円を切る安さ。2台目、3台目を買う家庭も増えたが、メーカーは「作れば作るほど損をする」と言われていた。
 テレビ事業の失敗でパナソニックは36万人のグループ従業員のうち1万人以上を解雇する予定だ。
 巻き返し戦略は、ハイブリッド車向けの電池など環境エネルギー事業。家電重視から方向転換を図る。
◇パナソニックの赤字はテレビ事業の失敗が主な要因だが、今の超円高も一因とされる。
 その超円高の解消について日本国単体での金融緩和、市場介入の効果は小さいとみていたが、政府・日銀はきのう31日、円売り、ドル買いの為替介入に踏み切った。
 これにより円相場は1㌦75円台から一気に79円台に急降下したが、結局は77円台にまで戻った。
 今の円高は、世界規模で莫大な資金が動き、ドルやユーロに比べて安心感のある円が買われる投機的動きによる。一国の為替介入の効果は限定的、短期的であり、円高を解消するには▽欧米の財政、経済の建て直しよるドル、ユーロの信頼回復▽世界の金余り状態の解消▽無秩序的な投機マネーの規制―が必要とみている。
 いずれも、日本国単体では手の付けようのない問題だ。
 ゆえに、この超円高を即座に解消するような妙案はなく、かといって円高に無策でいれば、パナソニックのような日本を代表する企業が次々と打撃を受けかねない。
 過去の円相場を振り返ると、戦後しばらくは1㌦360円に固定されていた。今の相場と比較すると超円安だったが、1973年から市場原理に委ねる変動相場制に切り替わった。
 以降、今日に至るまで徐々に円高ドル安が進行し、ついに今年は1㌦80円の壁を突破し、史上最高値を更新した。
 この円高一直線の歩みの中で、日本経済を支えてきた輸出企業は血のにじむような努力を重ねてきたのは想像に難くない。品質を高めながら、価格を抑制し、世界に日本ブランドを広めた先人達の努力を思うとき、今の超円高も、企業努力で乗り越えられると信じている。
 強い円を背景に将来性のある企業、成長分野にある企業を買収・合併するなど、海外資産の取得のチャンスと受け止める必要があろう。

2011年11月01日 19:36 |


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