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今こそ幼児教育を(見聞録)

 保育園、幼稚園、認定こども園の所管部署を一元化して「幼児課」を新設する長浜市の方針は、ただの組織改編ではない。家庭や地域に対する幼児教育への警鐘と、子育て改革の始まりだと断言したい。
 まず、保育園と幼稚園の所管は、従来から健康福祉部と教育委員会に住み分けしていた。それは育児を担当する保育園と、就学前の教育を担う幼稚園の役割分担からだ。
 元々は国が保育は厚生労働省、幼児教育は文部科学省と、所管を分けているからである。
 しかし、保護者の保育ニーズの高まりで、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」が創設されるなど、「幼保一元化」が住み分けを難しくしてきた。
 そこで、長浜市は保育園、幼稚園の所管を一元化することにしたが、保育を教育委員会が担当することの意味は大きい。
◇長浜市に限らず、全国の小学校では、▽授業に集中できずに教室内を歩き回る▽突然大声をあげる▽順番を守るなどの集団ルールが欠如している▽他人への思いや痛みが理解できない―など、特別支援が必要なケースが増えている。授業も担任教諭1人では対応できないこともある。
 長浜市の伊藤宏太郎教育長は「今は15%程にのぼるのではないか」と、特別支援を必要とする児童の急増に危機感を抱いている。
 なぜ、授業に集中できずに歩き回ったり、集団ルールを守れない児童が増えているのか。
 その原因について、教育関係者は、核家族家庭の共働きによる教育力の後退、地域での子育て環境の低下などを挙げ、子ども達が外で遊ばなくなったこと、食生活が乱れていることも心身の健全な成長に悪影響を及ぼしていると指摘している。
 要は、小学校に入学する前に済ませておくべき幼児期のしつけがなおざりになっていることが、小学校から先の教育に支障を来たしている訳だ。
 今回の市教委の決断は、これからの子ども達のしつけを、家庭や地域だけには任せて置けないという「焦り」ではないかと小生は推測する。このまま放っておけば、子ども達の将来、日本の将来が危ういとの危機感とも分析できよう。
◇保育園を教育委員会が所管するとの今回の市の発表に際し、各家庭は教育への姿勢を問い直すべきかもしれない。
 携帯ゲームで遊び、テレビを見て、室内でおとなしくしている子どもは、手がかからず、「おりこうさん」かもしれない。外で不審者に声を掛けられる心配もない。
 しかし、「三つ子の魂百まで」と言うように、幼児期の人間形成ほど大切なものはない。
 今、なぜ、特別支援の対象となる児童が増えているのか。真剣に考える必要がある。

2011年09月17日 17:27 |


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