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サッカーに見るイスラム教(見聞録)

 女子サッカーの日本代表「なでしこジャパン」はきょう8日午後4時半からの北朝鮮戦に勝利すると、2012年のロンドン五輪の出場が決まる。滋賀夕刊が読者の手元に届く頃は試合の真っ最中かもしれない。
 五輪予選をテレビ局が生中継するなど、8月のワールドカップで、なでしこが優勝して以降、注目度が高い。
◇しかし、世界には、国策や宗教の影響で、満足にスポーツできない女性もいることを忘れてはならない。
 なでしこジャパンと同じくロンドン五輪を目指した女子サッカーのイラン代表チーム。6月3日、ヨルダンの首都アンマンのスタジアムでヨルダン戦に臨んだ。
 女性が頭髪や肌をあらわにすることを法律で禁じているイランは、スポーツも例外でない。選手のユニホームは、長袖、長ズボンに加え、頭からすっぽりとヒジャーブ(スカーフ)を覆っている。
 そんな彼女らに宣告されたのは「失格」。スタジアムで国歌演奏が終わり、いよいよ試合開始というタイミングだった。
 理由はユニホームが国際サッカー連盟の規定に違反していることだった。連盟は接触プレーの際に首が絞まる危険性からヒジャーブを禁止したのだった。
 この瞬間、イランの五輪出場は夢に終わった。茫然とした表情でピッチに膝をつき、涙する選手の姿を「NEWS WEEK紙」が伝えている。
 連盟の非寛容さが非難されるべきか、イランの女性に対する非寛容さが非難されるべきか、意見は分かれるところだろう。
◇イスラム教国は、女性への制約が多く、我々の目からは「男尊女卑」と映る。例えばアフガニスタンの旧タリバン政権は就学を禁じ、聖地メッカのあるサウジアラビアは車の運転や近親者の付き添い無しでの外出を禁止している。
 頭から体まですっぽりと黒い布で覆うのは、当り前だ。
 一方、エジプトやトルコは世俗主義が進み、若い女性にはジーンズやスカート姿が見られる。
 保守的なイランは宗教的締め付けの厳しさが目立つ。常に宗教警察が目を光らせ、頭髪や肌を見せることはおろか、体のラインが分かるような服装を禁じている。
 同国は、過去の親米政権時代は自由な気風があった。しかし、宗教指導者ホメイニ氏の主導でイラン革命が成立して以降は、保守回帰路線がとられ、今では公衆の面前で女性がスポーツすることさえ、歓迎されていない。
◇イランでサッカーを続けてきた女子選手に対する世間の風当たりはいかほどか、想像に難くない。2005年にようやく女子サッカー代表チームが結成されたが、ある宗教指導者は女子選手がメダルを取るのは「恥」だとまで言っている。
 サッカーに限らず、イスラム教国では女性の服装が制限される結果、競技できないスポーツが少なくない。
 宗教の制約を受けることなく、服装、スポーツに限らず恋愛や結婚など、あらゆる自由を謳歌している日本に居ては、理解できない風習や文化が世界にはある。

2011年09月08日 15:00 |


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