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W杯歓喜と放射線汚染禍(見聞録)

 サッカー女子W杯での日本の優勝は、東日本大震災からの復興を目指す日本国民にとって勇気付けられるニュースとなった。決勝戦は体格もスピードも上回るアメリカを相手に粘りに粘って同点に持ち込み、延長戦を経てPK戦で破った。
 世界のメディアの反応は―。鋭い縦パスでチャンスを作り出した日本の攻撃を「すし職人の包丁さばきのようにピッチを鋭く切り裂いた」(南ドイツ新聞)とユーモラスな分析もあるが、多くが被災地と日本国民に勇気と希望を与えたと報じた。
 「希望と忍耐で数少ない幸運を生かして勝利に酔った日本が被災地を励ました」(ニューヨークタイムズ紙)、「3月の地震と津波でいまだに動揺している国民に、心の安らぎを与えるという偉大な目標に、日本チームは常に動かされていた」(英ガーディアン紙)、「美しいサッカーと美しい奇跡は被災した民族に自信をもたらすだろう」(新華社通信)―などがその例だろう。
◇被災にあえぐ日本の優勝を世界が祝福し、国民が歓喜する中、国内の実情に目を向ければ、福島原発事故による放射線汚染禍に収束の気配は見られない。
 「なでしこ優勝」に沸く18日、放射性セシウムを含む稲わらを与えられた肉牛が全国に出荷されていたことが、各都道府県の調査で明らかになった。
 滋賀県でも2頭の肉が流通し、長浜市内の飲食店で6月3~14日に5・1㌔を提供していた。また、大津市や豊郷町の肉食販売店も計360㌔を販売していた。
 すでに県民の胃袋に収まっているから、汚染がどの程度だったかは不明。県は住民からの相談に応じるため、19日から22日まで相談窓口を設けているが、「汚染の可能性があるだけで基準値を超えた訳ではない」(県食の安全推進室)として、店舗名を公表していない。
 汚染牛肉を習慣的に食べる訳で無し、たった一度なら健康に被害はない、と専門家は説明するが、小さな子どもを持つ親には心配だろう。
◇放射能汚染の全国拡散は牛肉だけにとどまるのか、他の食品は大丈夫なのか、という疑念が生じる。無用な心配を煽る風評は避けたいが、本当のところはどうなのか。
 地震から2カ月も経ってから「メルトダウンしてました」という東電、国民の胃袋に入ってから「汚染の疑いがあります」という厚生労働省。何をか言わんや。

2011年07月19日 17:38 |


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