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人生の明暗とイチロー

 人の世は明暗を縄のようにない続ける生涯といえるかもしれない。
 おいしいといって腹いっぱい食べる喜びは「明」であり、食べ過ぎて胃を悪くすれば「暗」となる。花や鳥に囲まれ、楽しくて夢のある青い星を想像すればそれが明である。
 逆に身内や自身が病気になったり、争いごとに巻き込まれたり、思いもかけぬ損をしたり、などの場合は暗である。
 どんな人間でも生涯を通じ明暗を経験しないものは一人もいない。ということは、幸福な人はいつまでも幸福でいられるとは限らないし、不幸を泣く人もいつかは幸せの笑顔を招くことになる。
 人はこの世を明、あの世は暗と見るが、あの世は暗いと考えるのは人間の勝手で、案外明るいかもしれぬ。
 あの世といえば地獄・極楽の世界を頭に浮かべるが、同じあの世でも極楽は明、地獄は暗。生きても明暗、死んでも明暗、どの道、明暗の因縁から逃れるわけにはゆかぬ。
 あの世を黄泉の国、よみじというが、「よもつくに」「冥土」「冥界、冥府」などの言葉が示すように「冥」の字がつく。冥は暗(くらい)、光がない、形や声がない、目に見えないところ、くらやみの意味があり、死後の人間の魂のゆくところとされる。
 冥土が暗いか明るいか、だれもそこから帰ってきて報告するものがいないから本当のところは分からない。
 心霊を研究している人の話のなかに、仮死の人間が蘇生した体験談を聞く。
 ぼくの義弟も仮死体験をしたが、それによると、広い果てしない野に出て、一面に「みどり」と「花」の極彩色のまばゆい世界が広がっていたという。
 あの世が「みどり」と「花」の楽園だったとしたら、「冥土」や「冥府」のイメージとは大違いである。
 さて、現実の問題として、われらの総理・菅首相の命運は旦夕に迫っている。昨年の春、鳩山さんの辞任を受けて党代表、そして総理に選ばれたときは、順風満帆、「明」そのものだったが、あれから1カ年も経たずして、辞めろのコールが厳しい。小沢氏の政治とカネの問題が解決できずに、その能力の限界に国民が失望したわけだが、雲の上のえらいさんでもわずかの間に明暗をなうことになる。
 目下、プロ野球がオープン戦に入り、有名、無名を問わず選手の明暗が明るみに出る。
 早稲田から日ハムに入った斉藤のように、カメラと女学生に追われている人気ものが、実践で明の生活に入れるのか。楽天のマー君こと田中のように入団の年に成果を上げるのは奇跡に近い。斉藤の同僚には同じく早大から西武入りした大石投手がいる。若い人気ものの活躍を期待したいが、プロの世界は甘くない。
 ちょっとレベルが高いからといって得意顔になっている選手は、海の向こうで活躍しているイチローの爪のアカでも煎じて飲むがいい。
 数々の世界記録を更新しているイチローいわく「結果がすべてです」。その結果に向かって全身全魂を注いでいる彼の球人生活こそ鑑であり、そこに彼の明なる人生と哲学を学びたい。【押谷盛利】

2011年02月21日 15:21 |


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