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国民は肌で感じている

 13日の夜のテレビで評論家たちが憲法その他、国民に関心の高い時局の諸問題を論じていた。
 このなかで、いまの菅首相も話題に上ったが、言論人として多方面に活躍している元テレビキャスターの桜井よし子さんが「議論する気にもなれない」と菅さんを一言のもとにはねつけた。異口同音でもなかろうが、他のみなさんも笑いながら同調する雰囲気だった。
 日本人として、おらが国の総理を悪しざまに言うのは、はばかれるが、それは公私の別で、国民代表として国内はもちろん国際社会で活躍を期待される総理が、チョンボを繰り返したり、党内の政治とカネの膿一つを解決しないようでは「お役ご免」と国民から総スカンを食うのは当然である。
 民主主義というのは本来、そうした国民の声が政治に反映するシステムであり、民主国家においては国民世論が常に政治を支配する。
 エジプトの大統領が30年の独裁政治のうらみから国民の反発を受けて退陣したのはむしろ不可思議な珍現象で、なぜもっと早く退陣させられなかったのか。それを言えば、この国に民主主義が育っていなかったからである。
 現に隣国の北朝鮮がそうである。国の政治が破綻して国民は貧困と飢えに泣いているにも拘わらず、金正日支配下の独裁政治は続いている。生命の危険を冒して外国へ亡命しようとする人民の悲惨な脱北行は韓国に深刻な影響を与えている。北から逃れてきた人を救済するには職と食と住、それに教育や社会福祉の手当てが必要だが、その負担の陰で、北から放たれた工作員(スパイ)の暗躍も伝えられている。
 北朝鮮は1947年以来、金日成―金正日の親子の支配者による独裁政治が続き、国民の苦難をよそに核開発その他、軍事国家としての近代化を進めてきたが、国民生活に安泰の政治は遠くかすみ、国民は不信感を持ちながらも政治に抵抗し反発することができない。それは国民の間に広く深く組織された当局擁護のスパイ網の目に見えぬ恐怖があるからだ。
 独裁国家の一番恐れるのは情報の明るみであるが、そのため新聞もテレビも国営にし、権力者にとって都合の悪い報道は一切しない。国民に内外の真実を知らせず、偏った教育によって金体制をたたえさせられ、すべては偉大なる首領さまによって、幸せに生かされているという体制である。
 そうした独裁国家は腐敗し国民のうらみを買っていつかは崩れるが、こういう国がまだ世界に存在すること自体、人類の不幸の業というべきか。
 欧米に比べれば日本の民主主義はまだ若く未熟な部分が多い。しかし、繰り返す政変を通じて国民の政治的民度は成長し、国民が自国の政治の舵取りに発言力を持つようになったのは結構なことである。
 小泉さんの退陣後、自民、民主を通じ総理が1年ごとに替わり、いま、菅首相も風前の灯となっているのは情けないことだが、日本の民主的政治の成長のためには耐えねばならぬ運命かもしれぬ。
 すでに何回も論じ尽くされたが、菅内閣は潰れることが日本の国家の繁栄と国民の幸せに通じることを国民は肌で感じているのではないか。【押谷盛利】

2011年02月14日 15:26 |


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