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親米?反米?どう転ぶ(見聞録)

 照りつける太陽と、まぶしく反射する砂漠。ナイル川のほとりには豊か緑が広がり、象形文字を施した神殿、天を刺すようにそびえるピラミッド。古代史のロマンと北アフリカの異国情緒にどっぷり浸かれるエジプトが変革期を迎えている。
 独裁体制が崩れたチュニジアに続けとばかりに、連日、ムバラク大統領の退陣を求めるデモが続いている。夜間の外出禁止令は無視され、商店や博物館で略奪が相次ぎ、無政府状態と化している。
 原因は何か。30年に及ぶムバラク大統領の独裁からの脱却なのか。
 同じ独裁国家でも、地下資源の豊富な中央アジアのトルクメニスタンでは、教育、医療、電気、ガス、水道などが無料で、国民生活は安定し、政府の統治も行き届いている。ゆえにエジプトやチュニジアのような政府打倒のデモは発生しない。
◇エジプトはピラミッドや神殿といった5000年の歴史遺産を活用した観光産業以外に、強力な産業、資源を持たない。食糧も輸入に頼っている。
 国力は弱く、国民は貧困にあえいでいる。以前、首都カイロでタクシー運転手の自宅にお邪魔したが、石造りの粗末な家で、壁や天井には穴があき、かろうじて電気が通っていた。地中海の向こう側、欧州の豊かな生活と暮らべるべくもない。
 自国の貧困を顧みて、30年に及ぶ独裁体制に、その不満が爆発したと言って良いのだろう。
◇どうやらムバラク大統領は退場を余儀なくされそうだ。
 国際原子力機関(IAEA)の元事務局長・エルバラダイ氏が中心となって臨時政府が築かれる気配だが、野党勢力には欧米の民主政治を目指す政党から、イスラム原理主義を主張する非合法団体までが群雄割拠。調整がつくのかは不透明だ。
 まして、産業基盤が整っていない同国で、政治体制が変化したからといって、国民の貧困が解消される保障はまったく無い。
 そして何より気がかりなのは、イスラム原理主義を掲げる勢力が表舞台に立つことによって、さらなる中東混迷を招きはしまいか。
 親米、反米はさておき、エジプトに民主国家が民主的に成立するのか。中央アジアから、中東、北アフリカにまたがるイスラム教国にどう作用するのか。目が離せない。

2011年02月01日 14:40 |


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